詩といつか見た夢
『と、言うわけで…の書いた詩が採用されました』
『いや~』
『あれは皆さん書けませんでしたよね』
『……………………………………のお陰よね』
『私のは……?』
ピピピピピピピピ
澪「…………」パチ
澪「……嫌な夢だ」
最近思うように詩が書けない。閃きは浮かぶがそこから続かない。書きたいように表現出来ない。いわゆるスランプという奴だ。放課後ティータイムの作詞である私がこの時期にスランプは不味いのである。
放課後音楽室
澪「どうだこれで!」
書いた詩をみんなに見せる。みんなの顔は期待から不満を言いたいような顔になった。
律「…あらいぐまが洗った恋……」
梓「何ですかこれ?」
紬「…………」
唯「面白~い」
律「動物シリーズは澪は不調なんだよ」
澪「だろ。他にもあるんだ」
前のふわふわ時間だって唯が誉めてくれたから曲になった。だから今回だって通る。そう思った。
梓「あっ!みんなで詩を書いてくるなんてどうですか?」
律「それいいな」
澪「私のじゃダメなのか?」
唯「えー澪ちゃんので良いんじゃん」
紬「たまには澪ちゃん意外の詩でも良いかと思うの」
結局みんな詩を書くことになった。私の詩を嫌いなったのか…そんな気がした。
『…………風邪引いた』
『風邪を引いたのは……』
ピピピピピピピピ
澪「…………」パチ
ぼやけてだが夢を見る。何の夢か誰の夢かわからない。ただ私にとっては損な夢な気がする。
さわ子先生から部室しよう禁止命令が出てライブハウスで一回目の詩の見せ合いをした。みんないまいちで二回目に持ち越された。
相変わらず私は動物シリーズだった。
詩を考えていたら唯から電話がかかってきた。風邪を引いたらしい。駆け付けたら憂ちゃんだった。唯は助けを求めてきた。みんなで憂ちゃんの回復を祈った。
ただ、私は後悔する気がした。
『えー次が最後の曲です』
『それでは聴いてください!…………』
ピピピピピピピピ
澪「…………」パチ
今日は行きたくなかった。でも行かないといけない気がした。仕方がないから行くことにした。
律「と、言うわけで全員一致で唯のU&Iに決まりました」
唯「いや~」
紬「凄いわ~」
梓「部室と憂のお陰ですね」
澪「私の動物シリーズは……?」
律「2曲作ろう……な?」
結局、唯の詩が2つとも曲になってしまった。今まで誉めてくれた私の詩を誉めてくれる人は居なかった。
みんな帰った後の音楽室
悲しかった。今まで誉めてくれた私の詩。全て唯に奪われてしまった。
澪「ペンギンさんとダンスダンスダンス……私をさらってマンドリル……私の恋に白黒つけてよパンダみたいに」ポロポロ
澪「ううう……」
?「ふふふ」ダキッ
澪「ふぇっ!?」
?「その動物さんシリーズをもっと聞きたいな?」ギュー
澪「……やだ」グスン
?「えー澪ちゃんのその動物さんシリーズが一番好きだな~」ギュー
澪「唯もどうせ馬鹿にしてるんだろ」グスン
唯「馬鹿にしてないもん」
澪「……本当に馬鹿にしてないのか?」
唯「馬鹿にしてるのなにも澪ちゃんの詩は全部好き。不調で動物さんシリーズの詩も好調でいつもの恋の詩も……澪ちゃんにしか書けない詩だから好きなんだよ」
澪「………………」
唯「ねぇ良いでしょ~」
澪「…………夢を見たんだ」
唯「?」
澪「私の詩が採用されない。代わりに違う誰かの人の詩が採用される」
唯「………………」
澪「作詞は唯一の私の仕事だったのに……」ポロポロ
唯「……この詩はね。部室や憂だけじゃないんだよ。りっちゃんにムギちゃん、あずにゃん。それに澪ちゃんだって入ってる」ギュー
澪「…………」ポロポロ
唯「私の詩だって澪ちゃんみたいに書きたくて書いたんだ」
唯「澪ちゃんは追い詰められてたんだよ」ギュー
唯「書かなきゃいけない。みんなのために書かなきゃいけないって。好評だった曲の歌詞みたいに」
唯「そしていつの間にか澪ちゃんの書きたい好きな詩を奪っちゃったんだよ」ギュー
唯「こういうのを何て言うんだっけ?ぬかごろしだっけ?」
澪「…………ふふ」
唯「澪ちゃん?」
澪「それを言うならほめごろしだ」コツン
唯「そうでした」エヘヘ
澪「ありがとう」
唯「?」
澪「唯の言う通り私は切羽詰まってたかもしれない」
唯「…………」
澪「なんか肩の荷が下りた気がした」
唯「そっか良かった良かった」
澪「特別に動物さんシリーズを教えてあげよう」
唯「わーい」
唯に言われた日から夢を見なくなった。無事動物さんシリーズも卒業出来た。やっぱり本当に書きたい詩を書くことが大事なんだ。
ありがとう……唯…
終わり
初出:2->>881
- ボツの方も嫌いじゃない -- (名無しさん) 2013-02-05 02:27:24