唯ムギデート
唯「ムギちゃんおまたせ!待った~?」
紬「あ…今来たばかりよ!」
――今日、私と唯ちゃんは二人きりで出かけることになっている。いわゆるデートだ。
唯「さあムギちゃん、今日は私が案内してあげるよ!」
紬「はい♪」
というわけで、まず最初にやってきたのは映画館。
人がたくさんいて驚いたけれど、唯ちゃんが手を引いてくれていたので迷わずに済んだ。
心なしか、唯ちゃんの背中はいつもより大きく見えた。
人がたくさんいて驚いたけれど、唯ちゃんが手を引いてくれていたので迷わずに済んだ。
心なしか、唯ちゃんの背中はいつもより大きく見えた。
そして唯ちゃんはどこからかポップコーンを買ってくると、にこにこと私に手渡した。
紬「ええと…これは?」
唯「ふふーん、映画館に来たらこれを食べなきゃ!必需品なんだよ?」
紬「そうなんだあ…!さすが唯ちゃん、何でも知ってるのね!」
唯「えへへ~♪」
見た映画は恋愛映画だったけど、内容はあまり頭に入ってこなかった。
なぜかというと、眠ってしまった唯ちゃんが、私に寄りかかっていたからだ。
シャンプーのいい匂いが漂ってきてドキドキして…とても映画どころではなかった。
なぜかというと、眠ってしまった唯ちゃんが、私に寄りかかっていたからだ。
シャンプーのいい匂いが漂ってきてドキドキして…とても映画どころではなかった。
今まで経験したことのない、とても幸せな時間だった。
唯「ふわ~あ、寝ちゃった…ムギちゃん、どうして起こしてくれなかったのー?」
紬「えっと…とっても気持ちよさそうに寝てたから」
唯「え、そうだった?まあいいや、次のとこ行こうか!」
紬「うん♪」
楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
映画を見た後は洋服屋と雑貨屋に行き、お昼にはハンバーガーを食べた。
午後は本屋と楽器屋をのぞき、次に行ったゲームセンターを出る頃には、すっかり日が傾いていた。
映画を見た後は洋服屋と雑貨屋に行き、お昼にはハンバーガーを食べた。
午後は本屋と楽器屋をのぞき、次に行ったゲームセンターを出る頃には、すっかり日が傾いていた。
唯「ありゃ、もうこんな時間かー…そろそろ帰らなきゃだね」
紬「うん…そうだね」
本当はまだまだ遊びたかったけど、仕方ない。唯ちゃんが遅くなると憂ちゃんが心配してしまう。
私はそう自分を納得させて、帰りの電車の時間を思い出していた。
そんな私を見てなにかを思いついたのか、唯ちゃんは一つ提案をした。
私はそう自分を納得させて、帰りの電車の時間を思い出していた。
そんな私を見てなにかを思いついたのか、唯ちゃんは一つ提案をした。
唯「…ムギちゃん、最後にもう一ヶ所行きたいとこがあるんだけどいい?」
紬「え?うん、いいわよ?」
唯ちゃんに連れられてやってきた場所は、梓ちゃんが入部した時にやってきたアイス屋だった。
唯「ムギちゃん、アイスおごってあげるよ!何でも好きなもの言って!」
紬「え、でも…」
唯「いいからいいから!」
紬「えっと…じゃあ、チョコレートのを…」
唯「おっけい!お姉さん、チョコレート二つ!」
唯ちゃんは、私に気を遣ってくれたのだろうか。
きっとさっきの私は、よほど情けない顔をしていたのだろう。
きっとさっきの私は、よほど情けない顔をしていたのだろう。
唯「はいムギちゃん、アイスだよ♪」
紬「ありがとう…でも唯ちゃん、おごってもらってよかったの?やっぱりお金…」
唯「いいんだって!私、ムギちゃんにいつもお世話になってるし、それに…」
紬「…それに?」
唯ちゃんはしばらく沈黙した後、アイスを一口なめてこう言った。
唯「…それに私、ムギちゃんのこと大好きだから!好きな人におごるのって結構嬉しいんだよ?」
紬「唯ちゃん…」
私を好きと言ってくれた唯ちゃんの笑顔に、私は釘付けになる。
アイスが溶けて垂れているのにも気付かず、私はひたすらに唯ちゃんを見つめていた。
アイスが溶けて垂れているのにも気付かず、私はひたすらに唯ちゃんを見つめていた。
唯「あ、ムギちゃんアイス垂れてるよ!早く食べなきゃ!」
紬「え?…あ!」
私はアイスをあわてて食べた。
唯ちゃんが買ってくれたアイスは、今までに食べたどんなアイスよりも甘くておいしかった。
唯ちゃんが買ってくれたアイスは、今までに食べたどんなアイスよりも甘くておいしかった。
唯「さて、じゃあ今度こそ帰ろっか!もう暗くなってきちゃったよ」
紬「あの…唯ちゃん?」
唯「ん?なあに?」
私は唯ちゃんに近づくと、思いきり抱き締めた。
少し照れくさかったけど、伝えたい気持ちが私を思いきった行動に駆り立てた。
少し照れくさかったけど、伝えたい気持ちが私を思いきった行動に駆り立てた。
唯「む、ムギちゃん?」
紬「今日はいろいろなところに連れていってくれてありがとう…私、すごく楽しかった」
唯「あ…うん、どういたしまして!私も楽しかったよ!」
紬「それと…」
唯「ん?なに?」
紬「…私も唯ちゃんのこと大好き。今度、アイスのお礼においしいお菓子持ってきてあげるわね」
唯「うん…ありがとうムギちゃん、お菓子、楽しみにしてるね」
私と唯ちゃんはしばらく見つめ合った後、そっとキスをした。
私のファーストキスは、ほんのりと甘い、チョコの味がした。
私のファーストキスは、ほんのりと甘い、チョコの味がした。
律「お!そのお菓子うまそうだなムギ!一つくれないか?」
紬「あ…ごめんなさい、これは唯ちゃんのだから」
律「えー?唯だけずりい~」
澪「でも珍しいな、ムギが一人だけにお菓子持ってくるなんて」
梓「なにかあったんですか?」
紬「え!いや、これは…お礼だから」
律「お礼ってなんの?」
紬「えーっと…その…」
ガチャ
唯「みんなおっす!ムギちゃん、おっす♪」
紬「唯ちゃん…おっす♪お菓子とお茶、どうぞ!」
唯「わーい♪」