唯×紬 @ ウィキ

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yuimugi

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唯ムギデート


唯「ムギちゃんおまたせ!待った~?」

紬「あ…今来たばかりよ!」

――今日、私と唯ちゃんは二人きりで出かけることになっている。いわゆるデートだ。

唯「さあムギちゃん、今日は私が案内してあげるよ!」

紬「はい♪」

というわけで、まず最初にやってきたのは映画館。
人がたくさんいて驚いたけれど、唯ちゃんが手を引いてくれていたので迷わずに済んだ。
心なしか、唯ちゃんの背中はいつもより大きく見えた。

そして唯ちゃんはどこからかポップコーンを買ってくると、にこにこと私に手渡した。

紬「ええと…これは?」

唯「ふふーん、映画館に来たらこれを食べなきゃ!必需品なんだよ?」

紬「そうなんだあ…!さすが唯ちゃん、何でも知ってるのね!」

唯「えへへ~♪」

見た映画は恋愛映画だったけど、内容はあまり頭に入ってこなかった。
なぜかというと、眠ってしまった唯ちゃんが、私に寄りかかっていたからだ。
シャンプーのいい匂いが漂ってきてドキドキして…とても映画どころではなかった。

今まで経験したことのない、とても幸せな時間だった。


唯「ふわ~あ、寝ちゃった…ムギちゃん、どうして起こしてくれなかったのー?」

紬「えっと…とっても気持ちよさそうに寝てたから」

唯「え、そうだった?まあいいや、次のとこ行こうか!」

紬「うん♪」

楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
映画を見た後は洋服屋と雑貨屋に行き、お昼にはハンバーガーを食べた。
午後は本屋と楽器屋をのぞき、次に行ったゲームセンターを出る頃には、すっかり日が傾いていた。

唯「ありゃ、もうこんな時間かー…そろそろ帰らなきゃだね」

紬「うん…そうだね」

本当はまだまだ遊びたかったけど、仕方ない。唯ちゃんが遅くなると憂ちゃんが心配してしまう。
私はそう自分を納得させて、帰りの電車の時間を思い出していた。
そんな私を見てなにかを思いついたのか、唯ちゃんは一つ提案をした。

唯「…ムギちゃん、最後にもう一ヶ所行きたいとこがあるんだけどいい?」

紬「え?うん、いいわよ?」


唯ちゃんに連れられてやってきた場所は、梓ちゃんが入部した時にやってきたアイス屋だった。

唯「ムギちゃん、アイスおごってあげるよ!何でも好きなもの言って!」

紬「え、でも…」

唯「いいからいいから!」

紬「えっと…じゃあ、チョコレートのを…」

唯「おっけい!お姉さん、チョコレート二つ!」

唯ちゃんは、私に気を遣ってくれたのだろうか。
きっとさっきの私は、よほど情けない顔をしていたのだろう。

唯「はいムギちゃん、アイスだよ♪」

紬「ありがとう…でも唯ちゃん、おごってもらってよかったの?やっぱりお金…」

唯「いいんだって!私、ムギちゃんにいつもお世話になってるし、それに…」

紬「…それに?」

唯ちゃんはしばらく沈黙した後、アイスを一口なめてこう言った。

唯「…それに私、ムギちゃんのこと大好きだから!好きな人におごるのって結構嬉しいんだよ?」

紬「唯ちゃん…」

私を好きと言ってくれた唯ちゃんの笑顔に、私は釘付けになる。
アイスが溶けて垂れているのにも気付かず、私はひたすらに唯ちゃんを見つめていた。


唯「あ、ムギちゃんアイス垂れてるよ!早く食べなきゃ!」

紬「え?…あ!」

私はアイスをあわてて食べた。
唯ちゃんが買ってくれたアイスは、今までに食べたどんなアイスよりも甘くておいしかった。

唯「さて、じゃあ今度こそ帰ろっか!もう暗くなってきちゃったよ」

紬「あの…唯ちゃん?」

唯「ん?なあに?」

私は唯ちゃんに近づくと、思いきり抱き締めた。
少し照れくさかったけど、伝えたい気持ちが私を思いきった行動に駆り立てた。

唯「む、ムギちゃん?」

紬「今日はいろいろなところに連れていってくれてありがとう…私、すごく楽しかった」

唯「あ…うん、どういたしまして!私も楽しかったよ!」

紬「それと…」

唯「ん?なに?」

紬「…私も唯ちゃんのこと大好き。今度、アイスのお礼においしいお菓子持ってきてあげるわね」

唯「うん…ありがとうムギちゃん、お菓子、楽しみにしてるね」


私と唯ちゃんはしばらく見つめ合った後、そっとキスをした。
私のファーストキスは、ほんのりと甘い、チョコの味がした。


律「お!そのお菓子うまそうだなムギ!一つくれないか?」

紬「あ…ごめんなさい、これは唯ちゃんのだから」

律「えー?唯だけずりい~」

澪「でも珍しいな、ムギが一人だけにお菓子持ってくるなんて」

梓「なにかあったんですか?」

紬「え!いや、これは…お礼だから」

律「お礼ってなんの?」

紬「えーっと…その…」

ガチャ

唯「みんなおっす!ムギちゃん、おっす♪」

紬「唯ちゃん…おっす♪お菓子とお茶、どうぞ!」

唯「わーい♪」



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