私は今、恋をしている。生まれて初めての恋。片想いだけど、私はその人のことが大好きだ。
その相手は――
その相手は――
紬「唯ちゃん?」
唯「うえぁっ!?」
ムギちゃんが、不意に私の顔を覗き込んだ。
突然目の前にムギちゃんの顔が現れて、私はドキドキしてしまう。
突然目の前にムギちゃんの顔が現れて、私はドキドキしてしまう。
紬「どうしたの?戸締まりもしたし、帰ろう?」
唯「う、うん!帰ろうか!」
そう、私が好きなのは――ムギちゃんだ。
優しくしてくれたり、お菓子を持ってきてくれたり、好きなところはいろいろあるけど、
何よりも好きなのはその笑顔だ。
ムギちゃんが微笑みかけてくれるだけで、心がとてもあったかくなる。
優しくしてくれたり、お菓子を持ってきてくれたり、好きなところはいろいろあるけど、
何よりも好きなのはその笑顔だ。
ムギちゃんが微笑みかけてくれるだけで、心がとてもあったかくなる。
紬「じゃあ、電気消すね?」
唯「うん…」
もし、私が好きって言ったら…ムギちゃんは受け入れてくれるだろうか。
…くれないだろうな。
ムギちゃんはもっと上品で美人な人の方がいいんだろうし、私なんかに振り向いてくれるはず、ないよね。
そうだ。私はただ、友達のままでいられれば、それでいいんだ…
…くれないだろうな。
ムギちゃんはもっと上品で美人な人の方がいいんだろうし、私なんかに振り向いてくれるはず、ないよね。
そうだ。私はただ、友達のままでいられれば、それでいいんだ…
紬「唯ちゃん、どうしたの?」
薄暗くなった部室で、ムギちゃんがまた私の顔を覗き込む。
そんなムギちゃんを見るのが苦しくて、恥ずかしくて、私は何も言えずに顔を背ける。
そんなムギちゃんを見るのが苦しくて、恥ずかしくて、私は何も言えずに顔を背ける。
紬「具合悪いの?保健室行く?」
唯「なんでも…ない…」
苦しい。ムギちゃんのことが好きなのに、一緒にいるのが苦しい。
胸が張り裂けそうで、痛くて、悲しくて…私、私…
胸が張り裂けそうで、痛くて、悲しくて…私、私…
唯「う、うぅ…えぐ…」
紬「唯ちゃん?ど、どうしたの?」
唯「む、ムギぢゃ…ごべ、ごめん…私…」
なにやってるんだろう私。好きな人の前でいきなり泣き出すなんて…
とにかく、何か言わなきゃ。ムギちゃんを心配させちゃいけない。
とにかく、何か言わなきゃ。ムギちゃんを心配させちゃいけない。
唯「え…えっと…め、目にゴミが…」
紬「唯ちゃん」
ムギちゃんは私の名前を呼ぶと、突然私を抱きしめた。私は頭が真っ白になる。
唯「あ、あ、む、ムギ…」
紬「いつも唯ちゃん、梓ちゃんにこういう風にしてるから、落ち着くかなって…それで、どうしたの?」
私はムギちゃんに抱きしめられて、さっきまでの苦しい気持ちは消えていた。
今なら、言える。私はそう感じて、ムギちゃんの顔を見つめる。
唯「グス…あのね、ムギちゃん」
紬「うん?」
唯「私ね…ムギちゃんに恋してるの。本気で、大好きなの。」
紬「え…?」
唯「ただ…それだけなんだ。ごめんね、心配かけて」
ムギちゃんは驚いいたような顔で私を見つめていた。
もちろん受け入れてもらえないのはわかっている。
でも、自分の本当の気持ちを伝えられたし、後悔はなかった。
もちろん受け入れてもらえないのはわかっている。
でも、自分の本当の気持ちを伝えられたし、後悔はなかった。
唯「返事とかはいいから…じゃあ私いくね、離して?」
でもムギちゃんは私を離さない。それどころかさらに強く抱きしめた。
唯「あの…ムギちゃん?」
紬「ごめんね」
唯「え?」
紬「泣くほど苦しかったんだね…私なんかのことで、そんな思いしてたんだね…」
唯「な、なんで謝るの?私…」
次の瞬間、ムギちゃんは私に唇を重ねた。私は今、何が起こっているのかよく分かからなかった。
紬「これが…私の返事。大好きよ、唯ちゃん」
唯「ムギちゃん…わ、私なんかで、いいの?」
紬「唯ちゃんじゃなきゃ、ダメなの」
唯「でも私、あまり美人じゃないよ?」
紬「唯ちゃんはとってもかわいいわ♪」
唯「でも、でも…」
紬「もう唯ちゃんたら、私のこと好きなんじゃなかったの?」
唯「す、好きだよ!」
紬「私は唯ちゃんのことが好きだからキスしたの。だから、それでいいでしょ?」
唯「う…うん」
なんだか夢みたいだ…本当にこれは現実なのだろうか。
紬「どうしたの?」
唯「な、なんだか夢みたいで…」
紬「じゃ、確かめてみよう?」
唯「え…んっ…!」
ムギちゃんは、再び私にキスをした。やっぱりこれは夢じゃない。
だってこんな柔らかくて甘い唇が、夢なはずない。
だってこんな柔らかくて甘い唇が、夢なはずない。
紬「どう?」
唯「うん…夢じゃないや」
紬「よかった♪」
唯「ねぇ、ムギちゃん?」
紬「なあに?」
唯「これからも、よろしくね」
紬「はい♪じゃあもう暗いし、一緒に帰ろう?」
唯「その前にもう一回だけ…いい?」
紬「もう、唯ちゃんたら欲張りなんだから」
唯「えへへ~」
おわり