唯×紬 @ ウィキ

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yuimugi

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ある日の帰り道、唯ちゃんと一緒にコンビニの前を通りかかると『肉まん発売中!』ののぼりが目に入った。

紬「あら?」
唯「どしたのムギちゃん?」
紬「うん、コンビニにも肉まんって売ってるんだなあって」
唯「やだなムギちゃん、肉まんとかって普通コンビニで買うもんでしょー?」
紬「え?中華料理屋さんで出てくるものでしょ?こう、器に入って大きいのが…」
唯「…ムギちゃん、よく聞いて!」

唯ちゃんは私の肩をガシッと掴むと、なにやら深刻な表情で私に詰め寄った。

紬「な、なに?」
唯「あのねムギちゃん…それは肉まんであって肉まんじゃないの…」
紬「え!」
唯「私たち日本人にとっての肉まんっていうのは、あの蒸し器の中にある手のひらサイズのものを言うんだよ!」
紬「そ、そうなの!?」
唯「そうなの!ムギちゃんはまだ真の肉まんを知らないんだよ!」
紬「がーん!」

知らなかった…私は日本人でありながら、本物の肉まんを食べることなく満足していただなんて…

紬「グスン…私…日本人として失格ね…」
唯「安心してムギちゃん、今こそ真の肉まんを食べよう?さあ」

唯ちゃんが差し出した手を掴み、私はコンビニへと足を踏み入れた。


10分後、肉まんを一つずつ持った私たちは公園のベンチに座っていた。

唯「じゃあ、食べようか!」
紬「はい!いただきます!あーん…」
唯「あ、そんなに一気に頬張ったら…」
紬「んぁ、あふい!」
唯「ダメだよムギちゃん、熱いんだからちょっとずつ食べなきゃ」
紬「う、うん…」

恐るべし肉まん、こんなにも熱を帯びているだなんて…これはゆっくり食べないと火傷を…

唯「ごちそうさまー」
紬「も、もう!?」
唯「甘いよムギちゃん、肉まんを食べる上で最も大事なのは、熱いうちにいかに食べられるか、ってことなんだよ…」
紬「そうなのね…唯ちゃんすごい!憧れちゃう!」
唯「いやはや、照れるなぁ…」
紬「じゃあ、私も頑張って食べるわ!もぐもぐ…あ、あつ…」
唯「ふぁっくしょん!」
紬「どうしたの?」
唯「あはは…急いで食べたせいで温まらなかった…」
紬「もう、唯ちゃんたら…」
唯「ねぇねぇ、ムギちゃん温かいから、ちょっとくっついててもいい?」
紬「え?」
唯「そんじゃあ失礼しまーす」

そう言うと唯ちゃんは、私にピタリとくっついた。ほっぺとほっぺがぶつかって、思わずドキッとしてしまう。


紬「ゆ、唯ちゃん、ちょっと近すぎないかしら?」
唯「そうかなー、あったかくてちょうどいいよ?」
紬「う…」

至近距離での唯ちゃんの笑顔にまたもドキッとした私は、あわててすっかり冷めた肉まんをぱくりと頬張る。
…どうしよう、ドキドキしててあまり味がわからない…
と、ここで唯ちゃんが私の手の肉まんをじーっと見つめているのに気がついた。

紬「…もしかして、食べたいの?」
唯「い、いや!そんなつもりじゃ…」
紬「よかったらどうぞ?私は半分くらいで十分だから」
唯「でも…いいの?」
紬「うん、だから…はい」

私は残りの肉まんを唯ちゃんに渡した。どうせこの状況じゃ味もわからないし、おいしく食べてくれた方がいい。

唯「ありがとうムギちゃん!じゃあ、いただきまーす」
紬「あんまりあわてて食べちゃダメよ?」
唯「大丈夫大丈…むぐ!ゲホゲホ…」
紬「クス、言ったそばから…」
唯「えへへ…あ、はい、最後の一口どうぞ!あーん」

唯ちゃんは肉まんを一口分、私の口へと持ってきた。少し恥ずかしかったけど、素直にそれを食べた。
それはわずかだったけど、とても温かく、おいしく感じた。


そのまま私たちはベンチで寄り添いながら、夕暮れの公園を眺めていた。
不思議と、寒さは感じなかった。

唯「ねぇムギちゃん、おいしかったね、肉まん。柔らかくてあったくて」
紬「うん、そうだね」
唯「ま、ムギちゃんもあったくて柔らかいけどねー」
紬「あら、唯ちゃんもよ?えいっ♪」
唯「わ、ほっぺつんつんするのやめてよー♪えい!私も仕返し!」
紬「きゃっ♪」

いつの間にか、私は心も体もぽかぽかになっていた。それは肉まんだけのおかげじゃないよね、唯ちゃん♪


終わり



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