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「りっちゃぁ~ん」
唯の甘ったるい声が私を呼ぶ。
これをなんだかやめてほしいと思い始めたのはいつからだっただろうか。
いつからと言っても、そう遠くない気がするけども。なんでなんだろう。
これをなんだかやめてほしいと思い始めたのはいつからだっただろうか。
いつからと言っても、そう遠くない気がするけども。なんでなんだろう。
「ん? どした?唯」
「エヘヘ~。今日一緒に買い物いこ!」
「エヘヘ~。今日一緒に買い物いこ!」
にこっと。にへっと。とろけそうな笑みをこっちへ向けてくる。
…。本当に何でだろ、私。この笑顔が苦手になっちゃったのかな。
なんとなく、胸が熱くなるっていうか、そんな感じというか。
手を取られてぶんぶんと振られる。手がすぐにに熱くなってくる気がした。
…。本当に何でだろ、私。この笑顔が苦手になっちゃったのかな。
なんとなく、胸が熱くなるっていうか、そんな感じというか。
手を取られてぶんぶんと振られる。手がすぐにに熱くなってくる気がした。
「…うん、いーよ。行こっか」
繋いだまま手が引っ張られ始める。軽音部のメンバーはもう帰っており、残り二人だったので施錠をして音楽室を後にした。
手を引かれて階段をどんどん降りていく。唯の足は踊り場に降りた所でぴたりと止まった。
手を引かれて階段をどんどん降りていく。唯の足は踊り場に降りた所でぴたりと止まった。
「唯?どした?」
「…ん」
「…ん」
私の方が後に降りていたので一段上にいる。ちょっと上にいるから見える唯のつむじがかわいい。
「……りっちゃん。私りっちゃんが好きなんだー」
唯の顔は踊り場の窓へ向いたままなので全く見えない。差し込む夕日に目を細めた。
私の手のほうが熱かったと思ったけど、唯の手にきゅっと力が入るとすぐに違うって分かった。
唯の手もあったかいを通り越して熱い。私の手のひらの体温と同じくらいに、熱い。
私の手のほうが熱かったと思ったけど、唯の手にきゅっと力が入るとすぐに違うって分かった。
唯の手もあったかいを通り越して熱い。私の手のひらの体温と同じくらいに、熱い。
「…唯」
声を掛けると唯らしくも無い、肩まで上下する程のびくっとした反応が返ってきた。
手はやや痛い程に握られている。唯、痛いよ。
手はやや痛い程に握られている。唯、痛いよ。
「ほんとなんだよ!…りっちゃん、いつもの好きじゃなくて…」
「…うん」
「りっちゃんのこと考えると、ドキドキしちゃう方の、…すきなんだよ」
「唯」
「…うん」
「りっちゃんのこと考えると、ドキドキしちゃう方の、…すきなんだよ」
「唯」
握られるばっかりだった手を握り返す。きゅ、と引いたら唯は振り向いた。
どう見ても夕日ではない色で真っ赤な唯のほっぺたが、かわいかった。
あれ…私。かわいいって。唯はそりゃ、かわいいけどさ、なんかこう…
どう見ても夕日ではない色で真っ赤な唯のほっぺたが、かわいかった。
あれ…私。かわいいって。唯はそりゃ、かわいいけどさ、なんかこう…
「私も唯のこと、好きだよ」
そうか。私も唯が好きなんだ。
「りっちゃん!……。りっちゃんも、ドキドキする方?」
そりゃ、しちゃうよ。しかも今まで気づかなかったよ。
赤く染めた頬とか、何か期待するようないつもと違う唯の瞳とか、繋がれたままの手とか。
いつもじゃ絶対無いけど、私が乗ってる階段の一段差で実現されてる唯からの上目遣とか、すっごいヤバい。ドキドキしてるよ。
赤く染めた頬とか、何か期待するようないつもと違う唯の瞳とか、繋がれたままの手とか。
いつもじゃ絶対無いけど、私が乗ってる階段の一段差で実現されてる唯からの上目遣とか、すっごいヤバい。ドキドキしてるよ。
「………うん。ドキドキしてるよ、私も」
「…りっちゃぁん」
「…りっちゃぁん」
唯に握られていた手が離されて、次は手首を掴まれる。そのまま逆の手の指先が手首に添えられた。
「唯。なに、これ」
「ドキドキしてるかなぁって思って」
「あのなぁ…」
「ドキドキしてるかなぁって思って」
「あのなぁ…」
添えられた手を取り、豊かではないが僅かにある自分の胸へと導く。夏服の薄さはすぐに唯に心臓の音を伝えた。
どくどくと心臓はいつもより早めに脈を打っている。唯の手をのせるともっと脈が速くなった気がした。胸が痛い。
どくどくと心臓はいつもより早めに脈を打っている。唯の手をのせるともっと脈が速くなった気がした。胸が痛い。
「……りっちゃん」
「………なんだよ」
「…すっごいドキドキしてるね、りっちゃん!」
「……言わなくていいって」
「だって」
「………なんだよ」
「…すっごいドキドキしてるね、りっちゃん!」
「……言わなくていいって」
「だって」
あ、また。唯のとろけそうな笑顔。
「りっちゃん、私。うれしいんだもん。一緒のきもちで、一緒の想いで」
唯の頬はもうほんのり赤いだけだったけど、今度は私が赤くなる番みたいだ。
痛いほど早鐘を打つ脈に、唯がまだ添えたままの手に、触れ合う私と唯の手に、
痛いほど早鐘を打つ脈に、唯がまだ添えたままの手に、触れ合う私と唯の手に、
「えへ。りっちゃん大すき!」
恥ずかしくて唯の顔がまともに見れなかった。なんだよ、私。苦手じゃなくて恥ずかしかっただけかよ!
おしまい