唯×律SSまとめwiki内検索 / 「SS17唯と私は付き合っている。」で検索した結果

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  • SS17唯と私は付き合っている。
    SS17 唯と私は付き合っている。いわゆる恋人同士ってやつだ。 部屋でごろごろしている唯にそれとなく好きだと伝えたら、なんと唯も私のことを好きだと言ってくれたのだ。 あの時は天にも昇る気持ちだったけれど、今にして思えば。もうちょっと告白のシチュエーションというものを考えるべきだった。雰囲気とか。 そうすれば――そうすれば?一体、何が変わっていたというのだろう? 穏やかな放課後。柔らかな夕日が教室をオレンジ色に染め上げて、窓際には二人の女の子。 囁きにも似た密やかな笑い声が、椅子に腰掛けた私の元まで届けられる。 「ムギちゃんの髪の毛ってふわふわだよねぇ。一体どんなおシャンプー使ったらこんな風になれるんですかい?」 「おシャンプーって、ふふ、唯ちゃんたら。普通のシャンプーだし普通のリンスよ。そんなこと言ったら、唯ちゃんだって……」 「えー、ムギちゃんの...
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    メニュー 合計: - 今日: - 昨日: - 検索 and or トップページ 更新履歴 お知らせ掲示板 イラストコーナー 平沢 唯 × 田井中 律 「唯ー、ちゅーしようぜ」 りっちゃんと両想いになった。 律「こんちわー」 唯「りっちゃんのおでこってかわいいよねぇ」 「ゆいりつデート」 律「あっちー・・・」 今日は唯の家にみんなで集まってサッカー観戦! ああー...
  • SS22平沢唯です!律と付き合ってから数ヶ月が経ちました。
    SS22 平沢唯です! 律と付き合ってから数ヶ月が経ちました。でも最近関係がぎくしゃくしています。あたしが悪いのは分かってる。 だってあたしと律は秘密で付き合ってるから。でも、澪ちゃんが付き合ってるのを知ってか知らずか、最近になって律と仲良くしています。 まあ、幼馴染だから仕方ないけどさ。仲がいいのは。あたしと和ちゃんみたいなもんだもん。 でも、胸がチクチク痛むんだ、律と澪ちゃんがお話してるのをみると。 律とあんまり喋ってない。部活のときに相打ちを打つ程度。あたしと律はこの部のムードメーカーだから、当然けいおん部ないが暗くなる。 部活後。 澪「じゃ、じゃあ今日はもう帰るよ。ま。。また明日な」 紬「あ、じゃああたしも~」 ........。 唯「あたしも帰る」 律「あ....あたしも....。唯、一緒に...
  • SS55笑ってよ…
    SS55 笑ってよ… 12月25日が終わろうとしていた。 私はやれ恋だ愛だなんてトークをしているテレビ番組を眺めながら、男から送られてきたメールを未開封のまま削除している。 メールの送り手は聡の友達の学生から始まって職場の上司までと随分幅広い。 自惚れているわけじゃないが、おそらく私はモテル方なのだろう。何通も送られてきたメールの送り主の誰とでもそういう関係になれるだろうし、相手の質も決して悪くはないと思う。 こんなことを言っておいて贅沢な話だが、私は未だに男と付き合ったことが無い。 「何考えてんだよ…あいつ」 送り主の確認をしながらメールを削除していると”唯”の名前が出てきた。 もちろん、友達なんだからメールが来るのは当たり前なんだが日付がなんとなく危険を感じさせる。 『りっちゃんに会いたい』 件名を見てゾッ...
  • SS33ぼんやりと窓の外を見ていると、不意に唯が歌い出した。
    SS33 ぼんやりと窓の外を見ていると、不意に唯が歌い出した。 教室は静かで、唯の歌声がやけに響いてる。 いつの間に二人きりだったんだろう。ついさっきまで私達の他にも誰か居たような、ずっと前から二人きりだったような。 とにかく、今は教室に唯と私しかいない。静かな空間に唯と二人きりなんて久しぶりだ。 私達は二人で唯の机の上に座って他愛ないお喋りしたりふざけたりして、進路指導の部屋に行った澪とムギを待っていた。 ホントは私達だって受験生なんだから一緒に行った方が良かった。 そうわかっていても、嫌なことは極力後回しにしてしまう。唯と私の共通点のひとつ。 オレンジ色に染まる部屋にぴったりの歌が心地よくて、頭を唯の肩に預けた。 目を閉じたら、歌声に包まれて溶けてしまうような気持ちになった。 小さな歌が止むと今度はそっと手を握られた。目を開けると繋が...
  • SS1「唯ー、ちゅーしようぜ」
    SS1 1 「唯ー、ちゅーしようぜ」 澪もムギも掃除当番だっていうから、唯と二人で部室に向かっていた。 ふと昼休みのときのことを思い出して、いってみた。 軽音部のことでさわちゃんに呼び出されたのが、正に「いただきまーす」っていうやいなや、購買で買ったパンにかぶりつこうとしていたとき。昼時に放送で呼び出すなよ、全く。 「律、いくのか」 「あー、しょうがねーじゃん。いかないと後でぐちぐちいわれるだろうし」 澪を筆頭に、みんなからご愁傷様です、って目で見られた。 「りっちゃん、食べるのまってるから、早く戻って来てね」 「お、やさしーじゃん唯~このこの」 唯に軽くチョークをきめると、くすぐったそうに身をよじった。 唯とは高校で知り合ったけれど、ずっと前から一緒にいたみたいに気があって、飽きない。 なんか、今までに...
  • SS18唯律「「唯律です!!」」
    SS18 唯律「「唯律です!!」」 唯「あたしたちは今、温泉に来ています!」 律「2人でな!・・・そう。デートだああぁあぁぁ!!」 唯「あ、あんまり叫んだら恥ずかしいよ、りっちゃん」 律「おっおう。悪い悪い」 あたしは唯と連休を利用して温泉地に来てる。澪達は都合が付かなかったみたいだ。澪は来れたら来る。って行ってたけど、関西人いわく、やんわりとしたお断りらしいから来ないだろうな。多分。 てか、デートとか言ったけどめちゃくちゃ恥ずかしかった。まあ、唯は可愛いから付き合えるってんなら全然アリだけどな。な、何言ってんだろあたし。 唯「りっちゃーん。ここのホテルだっけー??」 律「!・・・おう。ここだここ」 ビックリした。急に話し掛けやがって。嬉しいけどな、でも今はダメだよ・・・。唯。 従「三名様でお...
  • hSS2がしりと掴まれた手首。
    hSS2 1  がしりと掴まれた手首。  唯の手は小さくて、けれどあたしの手首を捕えることは容易なことだったらしい。  振りほどこうと思えば簡単に出来たはずなのに、まっすぐな唯の瞳に見据えられて、  あたしは身動きを取ることすら忘れてしまう。  と、そのとき。唯の口元がわずかに動いたかと思うと、 「……出ちゃヤダ」 「え?」  手元で鳴り続ける電子音の中。  唯の声は小さかったけれど、はっきりとあたしの耳に届いた。  唯は確かに言った。  この電話に『出ないで』と。   * 「あれ、りっちゃんだけ?」  いつもの放課後。がちゃりと部室のドアが鳴って、そんな声が聞こえてくる。  いつもの席に腰を下ろして雑誌を読んでいたあたしは、お、と呟いて顔を上げた。 「遅いぞ、唯」 「だってぇ、数学の宿題出すまで帰っちゃだめって先生が言うんだもん」 「や...
  • SS2りっちゃんと両想いになった。
    SS2 りっちゃんと両想いになった。 つきあって、ちゅーもしている。 本当は、付き合って、手をつないで、ぎゅってして、それからちゅーをしたかったんだけど…。 でも、ちゅーをすることで、見えてこなかったものっていうのもあるし。 何より、いまとっても幸せ。 ずっとかなうはずのない思いだって思っていた。 りっちゃんは、別に誰かと付き合わなくても、一緒にいなくても、きらきら輝いていたから。 だから、私の思いなんて、余計だよね、って。 でも、なるべく、りっちゃんと一緒にいたかった。同じ時間を共有したかった。 だからりっちゃんが来るまでお弁当を待っていたり、たくさんスキンシップしたり。 それで、よかった。 ちょっと心が苦かったけど、それでもりっちゃんから光をたくさんもらえたから。 「唯ーちゅーしようぜー」 私はこの日を一生忘れない。 ...
  • SS10唯「ねえりっちゃん、私たちって似てると思わない?」
    SS10 唯「ねえりっちゃん、私たちって似てると思わない?」 律「はあ?」 二人で街をぶらぶらしてると、唯が突然こんなことを言い出した。 相変わらず脈絡のない奴だ・・・。 唯「だってね、二人ともお姉ちゃんだし」 確かに二人とも下に兄弟がいる。いる・・・が。 律「私は唯ほど弟に依存はしてないぞ」 唯「んなっ!?」 ひどいよりっちゃーん、とか言いながらポカポカ叩いてくる。 ああもう、なんで仕草がいちいち可愛いんだろうなこいつは! いつからだろう、唯のことをこんなに意識するようになったのは? 視線が合う度。言葉を交わす度。肌を触れ合わせる度。 気持ちがまるで雪のように積み重なっていって、押し潰されてしまいそうになる。 友達として「好き」になったのは、恐らく唯が入部してくれたあの日だろう。 ...
  • SS14平沢唯です!
    SS14 平沢唯です! 今日はりっちゃんと一緒にお勉強会を兼ねてのお泊り会です。 憂はあずにゃんのウチにお泊りのようです。 あ・・・・考えてみたら二人っきりじゃん! りっちゃんと二人か~。初めてだ。楽しくなりそうです! ピンポーンと呼び鈴が鳴った。りっちゃんが来たと胸を弾ませ・・・、弾みません!憂の方が大きいよ!姉なのに!! ドアを開けるとやっぱりりっちゃんがいた。 宅配便でーす。とかだったらテンションがた落ちだっただろうなー。 てゆか私服りっちゃん可愛い! 唯「さありっちゃん、入って入って~」 律「おー。お邪魔しまーす。って今日は唯しかいなかったんだっけか」 唯「そだよー」 律「そっそうか」 2階へ 律「じゃ、取りあえずご飯の準備するかー」 唯「おー!」 ...
  • SS16ピンポーン。
    SS16 ピンポーン。 憂「はーい!あ、律さんどうもこんにちはぁ」 律「おう憂ちゃんこんにちは。唯は自分の部屋?」 憂「はい。ギターの練習ばっかりやっていて。でもそんなお姉ちゃんも可愛いんですよ~」 律「可愛いよな~」 憂「えっ?」 律「あ、いやいや何でもないよ。じゃ。上がらせてもらっていいかな?」 憂「あ。済みません引きとめちゃって。どうぞ上がって下さい、お菓子は・・・?」 律「あ、いいよ。持って来たから。気づかいありがとな」 唯の自室 律「おーやってるなぁ」 唯「あ~りっちゃんだー!」 律「りっちゃんだぞー。っとその前に土産だ」 何かな?紙袋に入っていて、中身が分からない。 唯「りっちゃんこれなにー??」 律「開けてみてからのお楽しみ...
  • SS35-1
    SS35-1 午前六時半。私はいつも、これくらいの時間からエプロンをつけて朝食作りを始める。 今日のメニューは、ご飯、みそ汁、卵焼き、ほうれん草のおひたし、そして塩鮭というかなりオーソドックスな朝食だ。 とはいえ、近頃の過程の食生活は破綻しているとか何とかテレビでよく見るから、その点に関しては私はちゃんとしているほうだろう。 むしろ、こんなしっかりとしたものを朝から食べられて、私の相方は大いに果報者だ。 まさしくりっちゃんさまさま、と大げさに感謝してほしいくらいだけれど、生憎私の相方、つまり旦那様はまだ夢の中だ。 まあ、こんな時間に起きていることの方が珍しいので、とっとと二人の寝室に向かう。 朝食の用意をし終わって、旦那を起こしに行くのは、もうとっくに習慣となっていた。 最初のころは、憂ちゃんはこんなに大変だったのか、と彼女の妹の苦労をしみじみと感じたものだ...
  • SS35-2
    SS35-2 目が覚めた。 あれだけのことがあったのに、眠れるもんだな、と思った。 涙が乾いて、瞼や頬のあたりがひりひり痛い。顔、洗わなくちゃ。 ベッドの隣は、誰も来た形跡がなく、冷たいままだった。胸が、締め付けられたように苦しくなる。 「……ソファーで寝てんのかな」 ゆっくりと体を起こし、ふと時計を見ると、もう八時を回っていた。 「えっ!」 初めての寝坊だった。慌てて、リビングに向かう。 何やってんだよ、私。こんなこともできなくて、唯に文句ばっかり。 「……唯!」 中には……誰もいなかった。 ソファーの上に、毛布がたたまれて置いてある。 ちゃんと起きて、会社に行ったんだろう。玄関に置いてあったごみも、なくなっている。 遅刻しなかったことにほっとしながらも、唯が私に何も言わずに出ていったことに、強い...
  • SS12りっちゃんが風邪を引いたというので
    SS12 りっちゃんが風邪を引いたというので、お見舞いに来ました。りっちゃん喜んでくれるかな? 唯「りっちゃん!お見舞いに来たよ~」 澪「し~。今寝かしつけたとこだから。まだ熱あるみたいだし」 そう言う澪ちゃんはりっちゃんの頭を愛でるように撫でている。何でここに?いやいや。いつも通りの光景じゃないか。 でも何だろう?その光景を見ていると胸の奥がチクチク、痛い。こんなの初めてだ。嫌だ!って気持ちと、それに対して何で?というのがせめぎあっている。よく分からない気持ちだ。 澪「唯、どうかしたか?顔色が悪いぞ?」 唯「う、ううん。なんでもないよ。りっちゃん寝たばっかりなんだから、起こしちゃ悪いよね。澪ちゃん、じゃあまた明日ね。バイバイ」 澪「お、おう。じゃあまた明日な」 う、うん。と相打ちを打つと私は逃げるように家...
  • SS15いつもの毎日。
    SS15 いつもの毎日。いつもの夕暮れ。いつもの私の部屋。 私はギターをいじっていた手を止めて、背を預けていたベッドの上に視線をやった。 そこにはりっちゃんが当たり前のように陣取っている。部屋の一部みたいに溶け込んでいる風景だった。 制服が皺になるのも構わず仰向けになって真剣な表情で漫画を読むその姿に、私はふとため息をついた。 彼女の家に遊びに来ておいて、ひたすら漫画読む人いるかなぁ、普通。 「?」 「……」 突然投げかけられた溜息に反応したりっちゃんと、ぴたりと目が合う。 つまらない気持ちを視線に乗せてにこりと微笑むけれど、まるで気が付かなかったとばかりに漫画へと意識を戻すりっちゃん。 あ、無視された。今のは流石にちょっとかちんときたよ。 私は静かにギターを置いて、寝転ぶりっちゃんの上へと自らの身を投げ出した。 「ぐふおっ」 飛び込んだ...
  • SS29唯「りっちゃん」
    SS29 唯「りっちゃん」 律「ん?」 唯「みんな遅いねえ」 律「そうだな。遅いな」 唯「何してるんだろうね」 律「掃除当番だって言ってたし、掃除してんじゃないのか?」 唯「だよね」 律「うん」 唯「りっちゃん」 律「ん?」 唯「ちょっと眠い」 律「じゃあ、みんなが来るまで寝てるか?」 唯「うん。肩借りていい?」 律「ちゃんと返してくれよな?」 唯「どうかな?」 律「こらこら。…ま、肩じゃ寝にくいだろうから膝を貸してやるよ」 唯「いいの?返さないよ?」 律「それは困るな」 唯「ふふっ、冗談だよ。借りるね」 律「ああ。みんな揃ったら起こすよ」 唯「ありがとう」 律「おやすみ」 ...
  • SS13出会った期間は浅いかもしれない。
    SS13 出会った期間は浅いかもしれない。けど、あたしはりっちゃんが好きなんだ。ううん。愛しているのかもしれない。 でも、この恋はきっと叶わない願いなのだろう。だって、そうでしょ?女の子同士なんて。。叶いっこないよ、りっちゃん。 りっちゃん。切ないよ。 今日は女の子が好きな人にチョコをあげる日。 そう。2月14日バレンタインデー。 りっちゃん、食べてくれると嬉しいな。 などと考えていると後ろからあたしを呼ぶ声が聴こえる。この声、りっちゃんだ! 律「ゆぅーい。おはよっ」 唯「あーりっちゃんおはよ~!あれ?澪ちゃんはいないの?」 律「ああ。澪か。澪は調子悪いらしくてな・・・。これたら来るってさ」 唯「そっかー。心配だね」 律「全然心配してるようには聞こえないぞ・・・・。まあ、澪だもんな。大丈夫だろう...
  • hSS1「りっちゃぁ~ん」
    hSS1 「りっちゃぁ~ん」 唯の甘ったるい声が私を呼ぶ。 これをなんだかやめてほしいと思い始めたのはいつからだっただろうか。 いつからと言っても、そう遠くない気がするけども。なんでなんだろう。 「ん? どした?唯」 「エヘヘ~。今日一緒に買い物いこ!」 にこっと。にへっと。とろけそうな笑みをこっちへ向けてくる。 …。本当に何でだろ、私。この笑顔が苦手になっちゃったのかな。 なんとなく、胸が熱くなるっていうか、そんな感じというか。 手を取られてぶんぶんと振られる。手がすぐにに熱くなってくる気がした。 「…うん、いーよ。行こっか」 繋いだまま手が引っ張られ始める。軽音部のメンバーはもう帰っており、残り二人だったので施錠をして音楽室を後にした。 手を引かれて階段をどんどん降りていく。唯の足は踊り場に降りた所でぴたりと止まった。 ...
  • SS25ずるっ、ずるっ。
    SS25 ずるっ、ずるっ。 放課後の部室。ティータイムにも、練習にも当てはまらない音が聞こえてくる。 普段なら、ムギがもってきてくれる菓子の甘い香りが漂っているけれど、今日は、嗅ぐだけでお腹がすきそうな、醤油とダシの匂いが充満していた。 「嬉しいわ。私、インスタントのうどんをみんなで食べるのが、夢だったの~」 食べ慣れていないであろううどんを、上品に口に入れながらムギが言う。 ムギの菓子を断って悪いな、とは思ったけれど、意外と楽しんでいるようで、ほっとした。 「……どんな夢だよ。まったく、律が変なこと提案するから」 そんなムギに呆れながら、ぶちぶちと私に文句を言う澪。 とはいいながらも、箸が進むスピードは一番早い。だから太るんだぞ、と思ったけれど、言うと絶対殴られるので、言わないことにする。 「なんか、うどんすするだけで...
  • hSS4ぽつ、ぽつ。
    hSS4 ぽつ、ぽつ。 滴が地面を叩く。 そのリズムがだんだんと速くなっていくのに危機感を覚えて、手に持っていた黄色い傘を開いた。 「やっべえな……」 ザーッという音とともに、頭上の傘に幾粒もの雨粒が落ちてきた。 雨は嫌いではないけれど、せっかくの楽しい休日にショッピングしているときに降られたら、憂鬱なことこの上ない。 とりあえず傘は持ってきて正解だった、と律は思う。 本当は、CD屋に寄って目当ての物を買いたかったけれど。 「これじゃあなあ」 CDが濡れたら嫌だし、雨のせいでなんとなく気分が沈んでしまったし。 雨、という言葉で、とあるのんびりギタリストを思い浮かべる。 いろいろな策を講じて、愛用のギター、ギー太を守ろうとしていた奴。 あいつなら。 唯なら、雨の日でも、明るく、朗らかなんだろうな。 律は、自分の顔が、緩んでいることに気が...
  • SS24“唯、日曜、空いてるかー?”
    SS24 “唯、日曜、空いてるかー?” “みろみろ! この似顔絵、すげー似てるだろ?” “ひーまー、ひーまー、なんか面白いこと書けー” ふふっと知らぬ間に笑みがこぼれて、私は慌てて口を覆った。 ただの文字なのに、送り主の表情や声まで感じとれちゃいそうだ。 りっちゃんから、主に授業中に送られてきた手紙を整理している。 そのために一つ一つ開いて、読んで確認していたんだけれど……結局、どれも捨てられそうにない。 整理をあきらめて、私は、手紙を読むことにひたすら没頭することにした。 私は後ろの方の席。りっちゃんは、前の席。 先生の目を盗んで手紙を回すのは大変なはずだけれど、それでもりっちゃんは、しょっちゅう書いては送ってきた。 そのたびに、私もせっせと書いて、回してもらう。 私の手紙を読んでいるときのりっちゃんが、とってもすき。 だろ? と...
  • SS42「良いお湯だねえ、りっちゃん」
    SS42 1 「良いお湯だねえ、りっちゃん」 「だな」 「景色も良いし、お部屋は綺麗だし、これはご飯も期待できそうだね」 「しょせん商店街の福引だし、もっとしょぼい宿を想像してたんだけどな」  そんなことを言っていると、ちょいちょいと肩を叩かれる。 「ねえねえ、りっちゃん――とやっ!」 「うぷっ……こら、唯!」  唯の両手が水鉄砲に早変わりして、ぱしゃりと乳白色のお湯が飛んでくる。  確か打身だったか腰痛だったかに効能があるんだったっけ。もう忘れた。 「ふふーん、油断したね、田井中君」 「温泉入るなりいきなりテンションマックスだな……」 「りっちゃんとの旅行でテンション上がらないはずがないよ!」 「……そ、そうか」  ふいうちでそんなことを言われて、思わず頬が熱くなる。  何気なく視線を下げたら揺れる水面と唯の胸元が視界に入って、慌てて顔を上げた。 ...
  • SS31家に帰りドアを開けると唯が倒れていたんだ。
    SS31 家に帰りドアを開けると唯が倒れていたんだ。 最初は驚いたけど、毎日やるから数日後には「ほら起きろって」と流すようになった。 すると翌日は口から血を流してて、1週間後は白いTシャツが血まみれだったり、どんどん酷くなってきたよ。 最近ではネタがなくなったのか、または煮詰まりすぎて思考が狂ってきたのか。 頭に弓矢が突き抜けていたり、ビニール袋を被っていたり(息してるので思いっきり袋が伸縮している)、昨日は軍服を着て銃を抱えたまま名誉の戦死を遂げていた。 軍服はアーミーショップで揃えたみたいでな。まあ一応無駄遣いしないようにと注意しておいたよ。 「どう思う?」 「どうって言われても……」 昼休み。 私は会社の食堂で梓と昼食を食べながら、ここ数年毎日起きている出来事を話した。 家に帰ると必ず唯が死んだふりをしている。と...
  • SS3律「こんちわー」
    SS3 律「こんちわー」 憂「あ、律さんいらっしゃーい!どうぞ上がってください」 律「おう、おじゃまするぜ!」 憂「お姉ちゃーん、律さんきたよー!」 唯「・・・・・」 憂「もう、お姉ちゃんってばー!」 律「いいよいいよ、どうせまた音楽でも聞いてるんだろ。直接部屋に行くよ」 憂「ごめんなさい、そうしてもらえますか・・・。あ、飲み物はいつものでいいですか?」 律「もち!あ、お菓子は持ってきたからお構いなく!」 憂「クスッ、わかりました」 律「おら唯ー、りっちゃん隊員のお出ましだぞー!」バァン 唯「ほぁ!?あ、りっちゃんいらっしゃーい」 律「やっぱイヤホン使ってやがったか・・・。例によって憂ちゃん呼んだんだからな」 唯「すいやせん・・・。でもついつい夢中になっちゃうんだよね」 律「澪のやつはヘッドホンしてても割と気づくんだよな。こ...
  • SS26澪「なあ唯。部活後時間あるか?」
    SS26 澪「なあ唯。部活後時間あるか?」 唯「え?うん、大丈夫だよー」 部活終了。 あたしと澪ちゃん以外はおうちに帰ったみたいなので、澪ちゃんの用件を聞くことにした。 唯「で、澪ちゃん。お話ってなに?」 澪「え、ああ。えーとだな。実は・・・・・。すっ、好きな人が出来たんだ」 え!?ええええええ!!いきなり何を言ってるんのこの子は! 唯「・・・うん。で、それをあたしに話してどうしたいの?」 澪「あ、ああそれでぇその好きな人ってのがな、りっ、あ、いや・・・・・」 りっちゃん?「りっ」ってりっちゃんのこと?聞くのかあたし?聞けるのかあたし!?あたしも・・・りっちゃんのこと気になってるんだけど。寧ろ好き! 唯「りっ、りっちゃんのこと?」 言っちゃたよおおお。あたしの馬鹿ああぁぁ!これで澪ち...
  • SS21律「ゆーいっ」
    SS21 律「ゆーいっ」 唯「あ、りっちゃん!おはよー」 律「おう、おはようさん。今日は珍しく早いな」 唯「えへへー、実はね…」 律「目覚ましを一時間早くセットしてたから、いつもより一時間早く起きた、とか?」 唯「……り、りっちゃん…」 律「な、なんだよ」 唯「さては私の部屋を覗いていたなっ!?」 律「覗いてねーよ!唯が早く起きた理由っていえばそれくらいしかないと思ったからだよ!」 唯「あ、そっか」 律「ったく……」 唯「そういえば、澪ちゃんは?」 律「澪?今日はまだ会ってないけど?」 唯「そうなの?」 律「ああ。別に毎日一緒に登校してるってワケじゃないからな」 唯「へー、なんか意外」 律「ま、そうなったのは最近からだけど」 ...
  • SS19『イチゴの花言葉は無邪気。あなたは私を喜ばせる』
    SS19 『イチゴの花言葉は無邪気。あなたは私を喜ばせる』 紬「今日のケーキはイチゴのショートケーキよ~♪」 唯「わ~い!私の大好物だよムギちゃん!」フンス 律「よっしゃー!んじゃさっそくお茶にしようぜー!」 梓「もう~。唯先輩も律先輩もムギ先輩もお茶のことばっかり」 澪「まぁいいじゃないか梓。今日はいつもよりは練習できたしな」 紬「ハイどうぞ!みんな召し上がれ♪」 唯「あ!りっちゃんのケーキ私のより少し大きいよ!」 律「またか。唯は毎回それ言うんだからな~」 梓「でも唯先輩って私達にはそんなこと言ってきませんよね」 澪「それだけ甘えてるんだよ律に。子猫同士がじゃれ合ってるみたいなものかな」 唯「りっちゃん早くそっちと交換してよ~」 律「こいつ~!あんまりしつこいとこう...
  • SS11こんにちは、平沢唯です。
    SS11 こんにちは、平沢唯です。 私たちは今、ムギちゃん主催・りっちゃんお誕生日おめでとうパーティ@軽音部の真っ最中。 そう、今日は・・・りっちゃんの誕生日! もちろんこの日の為にちゃんとプレゼントも用意して・・・ 澪「おめでとう律。これは、その・・・つまらないものだけど」 律「ありがと澪ー♪おっ、これはいいエプロンだな」 澪「一応手作りだからな」 律「なにー!?そ、そんなのもったいなくて使えないよ」 澪「できれば使ってほしい・・・」 あれ? 紬「おめでとう、りっちゃん。私からはこれよ」 律「へへ、ありがとムギ。これは・・・私のキーホルダーと同じやつのぬいぐるみ?」 澪「私が持ってるのと同じやつだ・・・いや待て、細部が違うぞ」 紬「実は私も手作りなの」 律「これを一から作ったのか・・・?」 澪「負けた・・・...
  • SS6律「あっちー・・・」
    SS6 律「あっちー・・・」 唯「うう・・・ごめんねりっちゃん」 澪「なあ唯、そろそろ一人で歩けないのか?」 律「あー駄目駄目、こうなった唯はアイスがないと復帰は難しいよ」 澪「そうなのか・・・」 夏である。 今日は軽音部のみんなでプールへいこう!という計画が立っていた。なので私はいつものように唯を迎えにいったのだが― 唯『私・・・もう、歩けないよ』ガクッ 律『しっかりしろ唯!みんなでプールに行くって約束したじゃないか!』 唯『私を置いて一人で行って・・・ね?』 律『馬鹿野郎!お前を置いて行けるわけないだろ!』 唯『でも・・・私なんて連れてっても荷物にしか』 律『唯をここに置いて行くんなら、私もここに残るぞ』 唯『りっちゃん・・・』 律『くだらないこと考えてないで、ホラ肩につかまんな』 唯『うんっ!』 澪...
  • hSS5「あのなあ、いい加減にしないと怒るぞ」
    hSS5 1 「あのなあ、いい加減にしないと怒るぞ」 「……りっちゃん、もう怒ってるじゃん」 「怒ってない。唯がさっきから突っかかってくるから、理由訊いてるんだろ」 「私、突っかかってなんかないよ」  口を尖らせる私を見て、りっちゃんが小さくため息をついた。  ため息の中に、ほんの少しの苛立ちが見える。心がちくりと痛い。  いつもならやれやれって言って、それでも優しい顔で頭を撫でてくれるのにね。  今の私たちの距離は、お互いの手が届かないくらいに遠い。 「…………」  りっちゃんのばか。口にしようとして止めた。声を出す気にもならなかった。 「唯、いいから機嫌直せって」 「…………」 「……はあ、もういいや」  子供のように不貞腐れた私の態度に、りっちゃんがそう呟く。  かちゃりと鳴った小さな音は、りっちゃんが家の鍵を手にした音だ。  りっちゃんはそ...
  • SS41「りっちゃあああああん」
    SS41 1 「りっちゃあああああん」 「おわっ!?」  とある日の放課後。  部室に入るやいなや、猪のような勢いで何かが猛烈なタックルをくらわせてきた。 「いてて……なんだあ?」  ドアの角にぶつけた背中を撫でつけながら視線を落とす。  猪の正体。それはあたしのお腹にぐりぐりと顔を押し付けている唯だった。  ……なにやってんだ、こいつは。 「こら唯、どこの猪かと思ったぞ」 「…………」 「とっつかまえて唯鍋にしちゃうぞ……って」 「…………」 「唯?」  反応がない。ぽんぽんと後頭部を叩いてみても、やはり唯は顔をあげない。 「……どした?」  中腰の姿勢だったあたしは、そのまま床に膝をつく。  唯もそんなあたしの動きに合わせて床にぺたりと座りこむと、ぐずぐずと鼻を鳴らした。 「え、ちょ……泣いてんの?」  明らかにいつもと様子の...
  • SS50いつか
    SS50 いつか 戦ばかりが続いていた時代のこと。 男は戦にかり出され、女が家事や国事を行うことが当たり前になっていたのだが… そんな時代に三味線片手に旅をする少女が居た。 「ひ~ふ~み~よ~ご~は~ん♪」 少女は名前を唯といって、故郷に妹を残して出稼ぎ中の身である。 「次、そなたと我!」 唯の歌と三味線は“天下一品”というものでは無かったが、なんとなく人を集める不思議なものだった。 「おおっ。今日は良い出来だよ。これなら憂にお金を送ってもらわなくても生きていける」 演奏を終えて集まったお金を数えると、普段より多めだったようだ。 「「あっちで可愛い子が芸やってるって!」」 唯がお金を懐におさめ終えると辺りの人が大移動をしていた。 「今日は贅沢しちゃおうかな?久しぶりに鰻とか食べようか…」 「...
  • SS34今年のクリスマスも皆で
    SS34 今年のクリスマスも皆でどんちゃん騒ぎで盛り上がって、すごく楽しかった。 澪はコスプレ強いられて、梓は何だかんだで楽しそうで、ムギは終始笑顔ではしゃいでた。憂ちゃんもにこにこして皆を見てた。 さわちゃんはやっぱり彼氏出来なくて、和は何ていうかプレゼントが相変わらずで。サラダ油の詰め合わせだった。いや、ありがたいんだけどさ。 私だけ、去年と同じようにはいられなかった。 ケーキを食べるときも、プレゼント交換の時も、隣に座る唯のことが気になって気になってたまらなかった。 その唯は皆と同じく去年と変わらない様子で。変わらない様子で、りっちゃんりっちゃん言って。 皆で楽しく騒ぐのはおおいに結構。 でも、世間じゃ恋人達が浮かれて良い雰囲気作って良いことしてるんだぞ。 別に、唯にそんな恋人らしさを求めてる訳じゃないけど。それでも特別な何かが欲しかった。言葉でも...
  • SS47ギー太も首ったけ
    SS47 ギー太も首ったけ 高校・大学と進んで、私が社会人になって3年目になった。 HTTのみんながそれぞれの道に進む中、私だけ就職先も決まらず、とりあえずバイトでもしようと思ったら偶然小さな楽器店から求人が出ていたのがすべての始まりだった。 「ああもう!これってピックアップ断線してないか?中はぐるの苦手なんだよな」 楽器屋さんで働けば“好きなドラム”と関われると思っていたけど、実際はギターの調整がメインですごく苦労した。 「田井中さん、中はぐるのは僕がやるから。スタジオのドラムのペダル見てくれないかな?」 「あ、マスター。ドラムなら任せてください。じゃあ、これお願いします。リアが極端に音が小さい症状です」 でも、店の主人は良い人だし、最近はドラム関係の仕事も増えてきてなんとか続けられている。 「マスター。スタジオの確認終わり...
  • SS36「ほいよ、今日は肉じゃがだぞー」
    SS36 1 「ほいよ、今日は肉じゃがだぞー」 「やったあ、ありがとーりっちゃん」  差し出したタッパを受け取った唯は、熱々のそれをほっぺたにあててふにゃりと笑う。 「あったかあったか……」 「ほれ、玄関でアホなことしてないで、中入れて」 「あ、ごめんね。どうぞどうぞ」 「お邪魔しまーす」  言いながらぽいぽいと靴を脱ぎ捨てて、見慣れた部屋へと上がりこんだ。  部屋を見渡すと、この間来た時にはなかったこたつがいつの間にか設置されている。  ……この間って言っても、たかだが一昨日なんだけど。 「こたつ出したんだな」 「だって夜とかすっごい寒いんだもん~」 「確かに……あ、でもこたつで寝るなよ、風邪ひくから。熱出しても憂ちゃんが看病してくれたりしないんだからな」  唯の頭をポンと叩いて笑うと、唯がもじもじと何か言いたげにこちらを見た。 「? なんだ...
  • hSS3初めて入ったりっちゃんの部屋。
    hSS3 1  初めて入ったりっちゃんの部屋。  大きめのベッドに上半身を預けると、ふわりとりっちゃんのシャンプーの香りがした。  目の前には、りっちゃんの寝顔と、しっかりと繋がれた左手。  見慣れたカチューシャは枕元に置かれていて、代わりにその前髪はゴムでくしゃりとまとめられている。  すやすやと安らかな寝息を立てるその姿を見ながら思う。  良かったね、りっちゃん。澪ちゃんと仲直り、出来て。  あどけないりっちゃんの寝顔と、優しげな澪ちゃんの表情。  ここ数日ふたりの間に漂っていたあの棘のような空気はもうどこにもない。  繋がれたふたりの手は、すべてが丸く収まったことを教えてくれた。  軽音部はみんな仲良しが良い。みんな一緒にいられるのが良い。  それに私は、りっちゃんが笑ってくれたら嬉しい。りっちゃんに悲しい顔は似合わないって思うから。  ――ね...
  • SS58ここにいて
    SS58 ここにいて 「唯、今日はおとなしくしてろよ。祭りなら来週隣りの町でもあるから」 頭がガンガンと痛んで体が熱い。りっちゃんがなんて言ってるのかわからない。 軽音部の皆で夏祭りに行こうって事になって、私は一年ぶりに浴衣を着てはしゃいでいた。 お祭り当日までまだ二日もあったのに… お祭りの日になって、私はベッドから起きることができなかった。 体に力が入らなくて、声も出にくい。 ―――38度4分――― 起こしに来てくれた憂に熱を測られて、私はお祭りに行けなくなった。 「お姉ちゃん…薄着だったから。熱が下がるまで安静にしないとダメだよ。私お薬見てくるから」 今日着る予定だった浴衣が憎らしく見えた。 「みんなと一緒に行きたいよ…」 普段なら絶対憂と喧嘩なんてしないけど、お祭りに行きたいって言ったら...
  • SS38「星の距離」
    SS38 「星の距離」 唯「ねえりっちゃん」 律「なんだ?」 唯「星同士ってね、すごく距離が離れてるんだって」 律「そうなんだ」 唯「そうなんだって」 律「こんなに近くに・・・隣り合ってるように見えるのにな」 唯「近くにいるようで、本当はいないんだよ。なんか寂しいね」 律「ああ」 唯「・・・・・・」 律「・・・・・・」 唯「ねえりっちゃん」 律「なんだ?」 唯「星って綺麗だね」 律「そうだな」 唯「そうだよね」 律「・・・・・・」 唯「・・・・・・」 律「・・・・・・私たちもさ、」 唯「ん?」 律「星みたいに・・・近くにいるようで、いない―――」 唯「・・・・・・」ギュッ 律「...
  • SS43「りっちゃん遅いねえ……」
    SS43 「りっちゃん遅いねえ……」 「また言ってる。さっきから五分置きに言ってるぞ」  机にべったりと突っ伏してうだうだと体を捩らせていると、澪ちゃんが呆れたように頬杖をつく。  澪ちゃんの手には、紅茶の入ったカップ。今日はもう二杯目の紅茶だ。  もちろん私も、ムギちゃんも、あずにゃんも同じ。  机の上のティーカップは、いつもよりもひとつだけ少ない。 「唯ちゃん、部長会議なんだからしょうがないよ」 「まあそうなんだけどねー」 「律先輩いつになるか分かりませんし、先に練習してますか?」  あずにゃんの提案に、「私はドラムがいないとちょっとやりにくいかも」と澪ちゃん。  私もりっちゃんのドラムが無いまま演奏を合わせる気にはなれなかったので、 そうそう、とそれに同調しておくことにした。 「きっともうすぐ来るよ、あずにゃん。ほら、クッキーあげるから。あーん...
  • SS56ゲーム
    SS56 ゲーム 「別れてほしいんだ」 その一言で、私はこれまでの偽りを清算した。 高校生の時は澪ちゃんに勝てる気がしなかったし、何もかもを捨ててまでりっちゃんを選べる強さも無かった。 りっちゃんの事を諦めて、からっぽの日々を過ごす私に転機が訪れたのは二年生になってからだった。 あずにゃんが入部してきてくれた。小さくて、それでも私を引っ張っていってくれる元気や強さがりっちゃんと重なった。 私は部員の中で一番あずにゃんを大切にした。りっちゃんの傍に澪ちゃんが居ても、あずにゃんが居てくれたから痛みは感じなかった。 高校を卒業して、あずにゃんと恋人として付き合うようになって… 私は、りっちゃんの事は思い出にして、あずにゃんとずっと一緒に生きて行くんだなと思っていた。 でも、私が人生と言う名のゲームの最終章を選ぼうとし...
  • SS45ロミオとジュリエット
    SS45 ロミオとジュリエット 「お~、梓来たか」 「あ~ずにゃ~ん」 「ちょっと、やめてくださいよ唯先輩。律先輩も見てないで止めてください」 部室に入ると唯先輩が私に抱きついてきた。 私が2年生になってからは、このやりとりもなんだかお約束になってしまっていた。 力いっぱい抵抗すれば唯先輩を振りほどくことができる…それくらいの力加減で私は抱きしめられる。 「もう、私は練習しますから先輩達は勉強してください」 「あ~ん、あずにゃんのいけずぅ~」 ある程度力を入れて振りほどこうとすると案の定唯先輩は私を解放した。 「りっちゃ~ん、今日家で流し焼きそば祭りやるんだけど来ない?」 「流し焼きそば祭りって何だよ?わけがわからん。私は遠慮する」 「そんな事言わないでよ。今日は憂が純ちゃん家にお泊りで寂しいんだ...
  • SS49傷
    SS49 傷 土砂降りの雨が降っていた夜、憂ちゃんから連絡があった。 唯の家に遊びに行った時に『また遊ぼう』と連絡先は交換したものの、今まで連絡を取り合うことは無かったのに。 「律さん。お姉ちゃん、お邪魔してないですよね?」 電話を通して憂ちゃんの声を聴いたのは初めてだったけど、あきらかに元気が無いという事だけは理解できた。 「唯?来てないよ。どうしたの?ひょっとして唯、この雨の中どっか遊びに行ったの?」 「いえ、何でも無いです。それじゃ、失礼します!」 唯が来てないと告げると、憂ちゃんはそれだけ口にして電話を切ってしまった。 事情はよくわからないが、こんな時間まで唯が外出してて不安…という事だったのだろうか? 「唯のやつ憂ちゃんと喧嘩でもしたのか?」 この時、私は唯のプチ家出?が私と関わりのある事だなんて思いもし...
  • SS30澪が書いた詩を唯が読み上げる。
    SS30 澪が書いた詩を唯が読み上げる。 私と唯しかいない部室で、その音読はとてもよく響いた。 昨日澪が持ってきた歌詞を見た時唯は、まだメロディーが付いてないうちから、 私がボーカルする!と張り切っていた。 言わなくたって基本的に唯がボーカルになるのに。 そう言った時の自分の声が思いの外素っ気なくて、でも唯は気にする様子もなく いつものふにゃふにゃした表情で、私がんばるよりっちゃん!なんて言った。 読み上げ終わった唯は、やっぱりこの歌詞良いねー、ムギちゃんどんな曲付けるかなー、 とのほほんと笑いかけてきた。 でも私は笑い返すことも、唯の言葉に同意することも出来ずに、曖昧な返事をして そっぽを向いてしまった。バカ、何やってんだ私。 でも唯の声で読まれた歌詞を聞いて動揺してることにも、顔に熱が集まってることにも 気づかれたくなくて...
  • SS32唯「よかったね、りっちゃん」
    SS32 唯「よかったね、りっちゃん」 律「んー、まあ、仲直りできてよかったよ。唯たちにも心配かけたな」 唯「気にしなくていいよお。私も、何もできなかったし」 律「んなことないよ。ほっといてくれてありがと」 唯「……うん」 律「和ってさ、唯の幼馴染だから悪い奴じゃないんだろうし、」 唯「うん、和ちゃんはいい子だよ!」 律「……唯が、和を慕ってるのも分かってたから、唯の前で和と澪に対する愚痴をいうわけにもいかなかったんだ」 唯「……そうだったんだ」 律「唯は、和と澪に対して、思うところは無かったのか?」 唯「うーん。ない、かなあ」 律「そっか……。唯は、大人なんだな。ていうか、私が子供っぽいのか」 唯「それもあるかもしれないけど、私と和ちゃん、りっちゃんと澪ちゃんは、幼馴...
  • SS44ハジメマシテ?
    SS44 ハジメマシテ? 「絶対これだけは譲れないよ」 「なんでだよ。別にどっちだって良いだろ」 「ダメだよ。私は長女なんだから平沢の名字を捨てられない」 「私だって田井中家の長女だぞ。それに平沢の家には憂ちゃんっていう立派な妹が居るだろ」 「そんなこと言ったら、りっちゃん家には聡君っていう長男が居ますぅ。聡君が結婚するから田井中家は安泰だけど、平沢家は憂がお嫁に行っちゃったら…」 彼女達が言い争っているのはお互いの名字の事。 もちろん、日本では同性婚が認められていないので、養子縁組をする以外は本人達がそうしているだけの関係ということになる。 「私は田井中“律”にはそんなにこだわり無いけど、田井中“唯”は譲れないぞ」 「りっちゃん、告白したのも、プロポーズしたのも、えっちな事したのも全部私からなんだよ。こういう時だけ出しゃ...
  • SS28唯「りっちゃん、どうしたの? 眉間にしわ寄せて」
    SS28 唯「りっちゃん、どうしたの? 眉間にしわ寄せて」 律「ん……なんでもないよ」 唯「あ! そういえばもうすぐ」 律 ピクッ 唯「クリスマスまでちょうどあと一カ月になるね!」 律「(…唯がおバカさんでよかった……)」 唯「くーりすーますー♪ えへへ、プレゼント楽しみだなあ」 律「え?」 唯「憂、なにくれるんだろー?」 律「(ちょおおい!! 私に言ったんじゃないのかよ! つーか、クリスマスより先に、大事なイベント忘れてませんかあ!?)」 唯「りっちゃん、さっきからどうしたの、頭抱えて」 律「おっ、」 唯「お?」 律「お前のせいだあああ!!」 唯「ふええええっ!?」 律「はぁ……はぁっ…」 唯「り、りっちゃん!?」 ...
  • SS4唯「りっちゃんのおでこってかわいいよねぇ」
    SS4 唯「りっちゃんのおでこってかわいいよねぇ」 律「か…かわっ!?なんだよ、藪から棒に…ってか唯、目がこええ」 唯「いやぁね、そのぴかぴかのおでこを見てたらどうしても触りたくなっちゃってね?どうか触らせていただけないかとですね」 律「そ、その手付きをやめろ!」 唯「まぁまぁ、減るもんじゃなし…ていっ!」ピトッ 律「ぬわー!やめろー!さーわーるーなー!」 唯「ぐふふ、ねーちゃんいいでこしてまんなぁ、つるっつるのすっべすべやで!」 律「だ、だからやめ…うぅ…」 唯「ねぇ…りっちゃん」 律「あ…?」 唯「おでこにちゅーしてもいい?」 律「んなっ…な、なに言って…」 唯「いいよね」 律「ちょ、唯、マジでやめ…」 唯「ちゅー♪」 律「……っ」 やわらかい唯の唇が額に触れたとたん、なにやら胸の奥がむずむずくすぐったくなる。...
  • SS53ボタン
    SS53 ボタン りっちゃんと喧嘩して家を飛び出した。 実家に帰って荷物を整理していたら、懐かしいブラウスを見つけた。 あれは、高校三年生の雨の降った日の事。 「唯、ボタンとれかけてたぞ」 「付けてくれたの?」 「うん」 「もったいなくて着れない!」 「いゃ~」 りっちゃんはチマチマしたことが苦手だけど、ボタン付けだけは上手いって澪ちゃんが言ってたっけ。 りっちゃんが付けてくれたボタンはまたとれかかっていて、他とは少しだけ違う色の糸が見えていた。 「もう10年になるんだ。何かあっという間だった気がするよ」 あの時はさわちゃん先生が”1年て短い”って言ってた意味が解らなかったけど、10年も過ごしてみてやっと解った気がする。 「お姉ちゃん、律さんから電話だよ?」 「居ないって言って!...
  • SS7今日は唯の家にみんなで集まってサッカー観戦!
    SS7 今日は唯の家にみんなで集まってサッカー観戦! …したかったんだけど。 梓『そんなことより練習しましょうよ!』 澪『ごめん、もうちょっとで歌詞完成しそうなんだ』 紬『ごめんなさい、家の都合があって・・・』 というわけで、発起人である唯とあたし、二人だけの応援団となった。 しかし唯がサッカーに興味あったとは意外だ。ギターしか知らないようなあの唯が「サッカー見ようよ!」とか言い出した時は何事かと思った。。 あたしは昔から好きだし、たまに弟とやったりするんだけど。 まあそんな凸凹小規模応援団だが、現在盛り上がりは最高潮に達しようとしていた。 律「よっしゃPKゲット!これは決めろよー?」 唯「ふおお・・・緊張するねりっちゃん・・・」 律「ああ、残り時間からして、もうこんなチャンスないだろうからな・・・」 不意に手に柔...
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