6・38

「東郷さん、どうしてそんなこと言うの」

「これは仕方のない事なのよ、友奈ちゃん」

「そんな、そんなの嫌だよ!」

「分かって友奈ちゃん、友奈ちゃんの為なの」

「為ってそんな、あんなに言ったのに、言ってくれたのに」

「私だって嫌だよ、でもこのままじゃいられない、いちゃいけないから」

「わ、私、頑張るから、めちゃくちゃ頑張るから!」

「友奈ちゃんだって分かってるはずだよ、このままじゃもっと酷い事になるって」

「嘘って、嘘だよって、言ってよ、東郷さん」

「つらいけど、いつかきっと、いい思い出だって笑えるから」

「嫌だよ、東郷さん、そんなの出来ないよ……」

「だから、離れよう、ね」

「私、何がダメだったのかな、何処がいけなかったのかな……」



「……何やってんの、あれ」

「なんかね~、ゆーゆが虫歯になっちゃったんだって~」



「ああぁぁぁ!牛鬼、私のぼた餅食べないでえぇぇぇぇ……」

「ごめんね友奈ちゃん、治療が終わるまでの辛抱だから……」
最終更新:2015年02月09日 16:55