今宵の月は真紅に近い色合いに染まっている。
大気と光の関係であるとは解っていても、それはどこか不安を感じさせる神秘を湛えていた。
この不可思議な事件の幕引きには相応しい情景かも知れないな、と私は他人事のように思った。
「友奈ちゃん、あなたは本当に―――」
こちらを見詰める友奈ちゃんの表情は、月を背にしているからか良く見えなくて。
その口元の鋭い輝きだけが闇の中で目に焼き付いた。
『結城友奈は吸血鬼である?』
「貧血ですか?」
「そうなの。流行ってるって言い方も変だけど最近多いらしくてさ。
正月明けのダイエットのやり過ぎもあるんだろうって話だけど、あんたたちも気をつけなさいよ」
「ふん、サプリとにぼしを常用してる私には縁の無い話ね。最新のサプリも試験摂取中よ!」
「にぼしはサプリとと同列なんだねー、にぼっしーの中でー」
確かに、私と友奈ちゃんのクラスでも最近貧血を訴える同級生が何人か出ていた。
それも決まって女子ばかりだ。貧血というのはあくまで症状で病気ではないから、感染することはないはずなのだけど。
「う~ん」
「なあに、友奈。なんかちょっと顔が青いんじゃない、まさか貧血?」
「え?あ、いえ、それは全然大丈夫なんですけど」
友奈ちゃんは笑って手を振ってみせるが、何か思い悩んでいることがあるのは明白だった。
勇者部五カ条.一つ、悩んだら相談。それを真っ先に実践する友奈ちゃんらしくもない。
こちらから声をかけようとして、ふと気付く。友奈ちゃんの口から小さく覗く尖った歯。そこに蛍光灯の光が鈍く反射する。
「(牙…?)」
私は自分の想像を否定する。人の上顎犬歯は他の生物に比べれば退化しているのが普通だ。
もう一度確認しようと友奈ちゃんを見詰めるけど、彼女はもう神妙な顔で口を閉じてしまっていた。
結局、それが気になって私は友奈ちゃんの悩みについて聞くのを忘れていた。
…作って来たぼた餅も出すことも、忘れていたのは内緒だ。
※
「ゆーゆ、どうしたんだろうねー。うどん屋さんにも寄らずに先に帰っちゃうなんて」
「何だか、今日の友奈ちゃんは様子がおかしかったわね」
友奈ちゃんが先に帰ってしまったので、私はそのっちと2人で帰り道を歩いていた。
私たちは大事な理由が無い限りは必ず一緒に帰るようにしている。バーテックスとの戦いが終わってからは一層だ。
そして、その大事な理由についても互いの教え合うのが普通なのだが、今回は何も教えてもらっていない。
「貧血騒動といい友奈ちゃんの不審な行動といい、何だか落ち付かないわ」
「ゆーゆはわっしーの心の安定剤だからねー」
「そうね、友奈ちゃんが居ないだけでこんなにもこんなにも心が乱される。あ、ごめんなさい、そのっち。一緒に帰っている時に」
「いいんだよー、そうやってフォローを入れてくれるだけで嬉しいよー」
私の家が近付くということは、友奈ちゃんの家も近くなると言うことだ。
もう友奈ちゃんは家に戻っているのだろうか。ふいと彼女の家の方に視線を向ける。
「―――?」
「どうしたの、わっしー?…なあに、あの人?」
友奈ちゃんの家の前、彼女の部屋を見上げるように立っている異様な人物。
容姿はとても整っているのだが、真黒な髪はほとんど手入れされていないようで、顔色はそれこそ貧血を起こしたように悪い。
真黒な街頭姿はまるで全身を包んでいるようにも見えて、珍奇な風体なのに不思議と目立たないと感じさせる。
そして唇が。唇だけがまるで血を啜った後のように、赤い。それなりに距離があるのにはっきり解るほどに。
「まるで、吸血鬼みたい…」
そのっちが呟いた言葉は、私の感想とも合致していた。
こちらの視線に気付いたのか、女性はこちらに一瞬怯えたような視線を寄越すと、足早にその場を去っていく。
私は思わず友奈ちゃんの家の前まで小走りに駆けると、女性の視線の先、友奈ちゃんの部屋を見詰める。
まだ夕方だと言うのに、そのカーテンはしっかりと閉じられていた。
―――その日、幾つか送った友奈ちゃんへの伝言に返信は無かった。
※
吸血鬼。かつて西洋で広く実在が信じられていた怪物であり、恐るべき力を秘めた不死者。
怪力を誇り、様々な超能力を持ち、狼や蝙蝠を使役し、人の血を糧として啜る。
そして、血を啜られた者もまた吸血鬼として蘇り、被害者を加速度的に増やしていく。
死蝋などの腐りにくかった死体への誤認、あるいは黒死病の流行による噂の流布で生まれたとされる伝説上の存在。
「…どうして私は、こんな早朝から吸血鬼について調べてるのかしら」
自分でも何故こんなことをしているのかよく解らない。
ただ調べる程に、昨日感じた幾つかの違和感や不安とそれらは不気味な一致を見せていた。
吸血鬼は何度かに分けて被害者を襲う者が多く、完全にその仲間にされるまでは貧血のような症状を発することがある。
また、その吸血は牙を使って相手の首筋の動脈から行うのが一般的とされ、そこには赤い特徴的な傷痕が付く。
太陽光や十字架を嫌うという説もあるが、実はこれらは耶蘇教が多くの魔物に勝手に設定した物で根拠は薄い。
「―――馬鹿馬鹿しいわ。貧血騒動が吸血鬼の仕業だとでも?」
口に出してしまってからギクリとする。そんな非現実的なことを私は信じているのだろうか。
いや、神樹様、勇者、精霊、そしてバーテックス…どれも物理法則では計り知れない存在ではある。
特に精霊たちは日本古来の妖怪の名前を冠していて、その容姿もその印象に準拠した者が多かった。
その上で、吸血鬼だけは絶対に存在しないと断言できるだろうか。そう考えると途端に否定し辛くなってしまう。
もしも本当に吸血鬼が居て。万が一、友奈ちゃんが狙われていたら。いや、あの一瞬見えた牙。もう襲われていたら?
「はあ…。友奈ちゃんを起こす時間だわ。直接聞けばいいじゃない、それで笑って否定されておしまいよ」
そう自分に言い聞かせるように呟いて、背筋を伸ばす。考え過ぎてしまうのは私の悪い癖だ。
ふと、自分の携帯に着信が来ているのに気付く。こんな朝早くに誰だろう。
『今日は少し早く学校に行きます。自分で起きられたので大丈夫。 友奈』
友奈ちゃんからの伝言。こんなに朝早くに、どうして。
外はまだ朝霧が深くて、日の光がほとんど差していない。
訳もなく私はゾクリとした。何だか、自分の想像がおぞましい方向に肯定されているようで。
※
「本当に何をやってるんだろう、私」
結局私は、落ち付かない気持ちに圧されるようにして友奈ちゃんを追って早朝の学校に来ていた。
まだ明るくなっていないのに、幾つかの運動部では朝練が行われていてそれなりに活気がある。
そう言えば、夏凜も陸上部や剣道部の朝練に付き合っていることがあると言っていた。
もしかしたら友奈ちゃんも友達に頼まれて、朝練に参加しているのだろうか。それならそれで行ってくれればいいのに。
「あれ、東郷さんじゃない。早いね、もしかして例の勇者部の活動?」
声を掛けて来たのは、確か夏凜ちゃんの同級生で陸上部に所属している子だった。
「ええ、そんな所。ところで友奈ちゃんを見なかった?」
「結城さん?ああ、それならさっき夏凜ちゃんと一緒に向こうに行ったよ。なんか夏凜ちゃん、様子がおかしくってさ」
「様子が、おかしい?」
「なんか受け答えもハッキリしないし、焦点も合ってない言うか。眠たいだけかなって思ってたんだけど」
お礼もそこそこに私は彼女が指し示した方向へと駆け出す。
どうして学校にやって来たのか解らないままの友奈ちゃん。様子のおかしかった夏凛ちゃん。嫌な予感が膨れ上がる。
どこだ、どこに2人はいる?いや、きっと何かお喋りでもしているだけで、私の不安も姿を見た瞬間に晴れて―――。
―――友奈ちゃんが、夏凜ちゃんの首筋に顔を埋めていた。
少なくとも、私にはそう見えた。
夏凜ちゃんは真っ青な顔で震えていて、友奈ちゃんが手を離せば倒れてしまいそうだ。明らかに普通では無い。
「ゆう、な、ちゃん?」
自分の声が震えているのが寒さのせいばかりで無いのは明らかだった。気を抜けばその場にへたり込んでしまいそうだ。
「東郷さん?」
友奈ちゃんがこちらを振りかえる。夏凛の首筋には。赤い痕が。
「東郷さん、どうしてここに…いや、今はいいや。保健の先生を呼んでくれる?朝練に合わせて保健室にいるはずだから」
私がその場を駆けだしたのは、友奈ちゃんの指示に従ったからか、それとも逃げ出したからか解らない。
ただ、1つだけ私の中で確信に変わってしまったことがあった。
友奈ちゃんは、讃州中学を覆う奇妙な影に関わっているということ。
※
夏凜ちゃんは急性の貧血だと言うことで、念のために午前中は保健室で休むことになった。
風先輩や樹ちゃんも登校して直ぐに駆け付けてくれたけど、安らかな寝息を立てている夏凜ちゃんより私が心配されてしまった。
それも仕方ないだろう。青いどころか白い顔でガチガチと歯を鳴らし続ける私は、明らかに異常だ。
そのっちは私の様子で何かに気付いたようだけど、何も言わずにそっと手を握ってくれていた。
―――そして、友奈ちゃんはその日、学校を休んだ。夏凛ちゃんを保健室に預けるとそのまま家に帰ってしまったのだ。
「(どうしよう、どうしよう、どうしたらいいの?)」
友奈ちゃんが吸血鬼になってしまった。そして夏凛ちゃんを、大切な勇者部の仲間を襲った。
あり得ないはずの妄想を、今の私はもう切って捨てることができなくなっている。
あるいはこれまでの貧血騒動も友奈ちゃんが引き起こしていたことだったのだろうか。
最初はあまり縁のない3年生を、やがて手近な同級生を、そして遂に勇者部の仲間を。
「(このままじゃ、友奈ちゃんは誰かの血を吸い殺してしまうかも知れない)」
他人の幸せを自分の幸せだと喜び、私を自縛と記憶の楔から解き放ってくれた友奈ちゃんが。
私にとって何よりも大切な人が、誰かを手にかける。考えたくもない事態だった。
「―――ずっと一緒に居るって、約束したじゃない」
1人だけ夜闇の世界を歩ませたりはしない。友奈ちゃんが救ってくれたように、私も友奈ちゃんを助けたい。
授業が終わるころにはすっかり震えは止まっていた。
友奈ちゃんが欠席で夏凜ちゃんが大事を取って早めに帰ると言うことで、勇者部の今日の活動はお休みとなった。
本当はみんなに最後になるかも知れない挨拶をしておきたかったけど、仕方ない。
風先輩、樹ちゃん、夏凜ちゃん、どうかお元気で。そのっち、みんなが居るからもう寂しくないよ。
「私と友奈ちゃんの興廃、この一戦にあり」
覚悟、完了―――。
※
―――友奈ちゃんの家の前に例の女性が現れても、私はもう驚かなかった。予想していた事だ。
友奈ちゃんが玄関から出て来て、彼女と並んで歩き出す。私も、気付かれないようにその後を追う。
憎むべき吸血鬼、だが勇者の力を失った私では不意打ちでも勝機はないだろう。
私の目的なあくまで友奈ちゃんの奪還だ、最悪の事態を想定して秘蔵の短刀を携帯はしているが、出来たら使いたくない。
やがて2人は、真夜中の讃州中学へと辿り着き、友奈ちゃんと吸血鬼が双手に別れる。今だ!
「友奈ちゃん!」
私の声に友奈ちゃんがゆっくりと振り返る。背にした月は、血を想わせる真紅。
大気と光の関係であるとは解っていても、それはどこか不安を感じさせる神秘を湛えていた。
この不可思議な事件の幕引きには相応しい情景かも知れないな、と私は他人事のように思った。
「友奈ちゃん、あなたは本当に―――」
こちらを見詰める友奈ちゃんの表情は、月を背にしているからか良く見えなくて。
その口元の鋭い輝きだけが闇の中で目に焼き付く。
「東郷さ…」
友奈ちゃんが何かを口にする前に、私は彼女に駆けより―――その私よりも少しだけ小さな体を掻き抱いた。
そう、彼女の口元に首筋を差しだすように。
「友奈ちゃん、もうこんなことは終わりにして!誰かを傷つけてしまったなら償えばいいの!
それがどれだけ困難でも私が一緒に支えるわ!誰が貴女を責めても私だけは味方で居るから!
だから…私で最後にして!」
私にはもう勇者の力は無い。超常の力を行使する存在に対抗する手段は何も無い。
もしも、それを可能とする方法があるとすれば…それは、勇者とバーテックスと同じ。神秘に神秘をぶつける方法。
私自身も吸血鬼になって、友奈ちゃんを操る吸血鬼を倒すことだ。
吸血鬼になれば正常な意識は失われてしまうかも知れない。あの友奈ちゃんですら人を襲うようになってしまうのだ。
それでも、私は私を保ち続けられるという絶対の自信があった。友奈ちゃん風に言えば…『滅茶苦茶強く信じてるから』。
「あの、東郷さん?」
「友奈ちゃん、私を気遣って抵抗してくれているのね。でも、いいの。無理はしなくていいのよ」
「いや、あの、何の話なの?東郷さん、てっきりあの人のことを何か気付いてついてきたと思ったんだけど」
「え?」
「お待たせ、もう気は済んだわ…あら、随分情熱的ね」
からかうような声が聞こえて振り返ると、女吸血鬼がこちらを見詰めていた。
でも、その表情は深い疲れこそ刻まれているけど、とても穏やかで優しいものだった。とても人を襲う怪物には見えない。
「私にも、そんな相手が居たら違ったのかな…その子と仲良くね。ここからは1人で行けるから」
「あの!」
「大丈夫よ、もう逃げたりしないから。自分の罪からも、勿論あの世にもね。本当は迷ってたんだけど。
でも、貴女達を見たらふっ切れた。そんな風に誰かに好かれる結城さんはいい人、もう裏切りたくないわ。
色々ありがとう。明日には大きなニュースになると思うから、早く帰ってね」
吸血鬼…だと私が思い込んでいたらしいお姉さんは、深々と頭を下げるとそのまま讃州中学を出ていった。
私は友奈ちゃんに抱きついたまま、ポカンとその後ろ姿を見送っていた。
友奈ちゃんも同じようにしばらく呆然としていたようだけど、やがて私の背中にそのまま手を回してくれた。
「その、やっぱり良く解らないけど、心配かけてごめんね、東郷さん」
私はその言葉を聞いて、ようやく友奈ちゃんが何も変わらず友奈ちゃんのままだと確信し…その腕の中でぐったりと脱力した。
※
「あの人はね、ダイエットサプリを作ってる会社の社長さんなんだ。元社長さんなのかな?
一昨日の夜に、コンビニにジュースを買いに行った時に会ったの…橋から飛び降りようとしててね」
慌てて自殺を止めた友奈ちゃんに、社長さんは語った。
自分の会社で作っていたダイエットサプリに恐ろしい副作用が見付かって、それを悔いて死のうとしていると。
それを見過ごせる友奈ちゃんでは勿論無くて、必死に警察へ行くように説得したのだという。
結局、昨日今日と2日かけて必死に説得した結果、社長さんは警察へ行く前に昔通っていた讃州中学を見たいと言い出した。
真直ぐな友奈ちゃんの姿に昔の自分を重ねたのかも知れない。それを誤解した私が尾行した、という訳だ。
「それにしても、その副作用って一体?」
「ええと、私もよく解んないんだけど。汗が出やすくなる成分と一緒に大量のカルシウムが入ってるんだって。
カルシウムって骨を作るんだよね?何が悪いのかな」
「―――!スポーツ貧血だわ。カルシウムは鉄分の吸収を阻害する効果があるの」
スポーツ貧血とは、その名の通りスポーツ選手などがよくかかる貧血症状のことだ。
汗には少量の鉄分が含まれるのだが、大量の汗をかくスポーツ選手はそれだけ鉄を失い易く、補充が間に合わなければ貧血になる。
讃州中学で頻発していた貧血騒動も、恐らくそのサプリが原因だったのだろう。
風先輩が言っていた『正月明けのダイエットのやり過ぎもあるんだろう』は正に的確に真相を示していた訳だ。
「そんな怖い症状があるんだ…私はただ、運動をする人ほど貧血になり易いって聞いたから。
だからサプリと運動の両方に縁のある夏凜ちゃんが心配になって、朝に様子を見に行ったんだ。
そうしたら明らかに調子が悪そうで…結局話してる途中に倒れちゃって、社長さんが首を見てみなさいって言ってたから」
スポーツ貧血は大量の汗が原因で引き起こされるので、首の発疹などが症状として見られることがある。
あれは血を吸っていたのではなく、首の発疹を確認していたのだ。
「はあ、やっぱり私はダメだわ。考え過ぎると大抵ろくでもないことになってしまう。
幾らでも真相に気付くチャンスはあったのに…」
「いや、私も悪いよ。勇者部五カ条の通りにちゃんと相談すれば良かった。
けど、誰にも言わないで泣いて頼まれちゃったから…せめてもう死んだりしないって解るまではと思って」
「ううん、友奈ちゃんは正しいわ。そのお陰で社長さんは決心がついたみたいだったし」
最後の言葉を聞く限り、その一押しに私も絡むことができたようで、それだけは今回の暴走の功績と言えるかも知れない。
「ああ、もうホッとしたらお腹すいてきちゃったよ。ここ2日、東郷さんのぼた餅食べてない…あ、食べられないんだった」
「え?」
「社長さんのことで悩んでたから言いそびれてたけど、ほら、これ」
そう言って友奈ちゃんは、歯を1本ひょいと指で外してみせる。
「ここだけ銀歯なんだ。実はバーテックスとの戦いの時に折れちゃって、ずっと挿し歯だったんだけど。
新しく作り直す間だけ銀歯で代用してたの。お餅とかお饅頭とかは食べちゃダメって言われてて…」
はああ、と私は大きな大きなため息を吐きだす。あの時にぼた餅を出してさえいれば、こんなに心乱されることも無かったのに。
「あ、今気付いたけど、これも東郷さんに秘密にしてたことになるのかな?ごめんね、東郷さん!」
歯に隙間があるまま必死に謝る友奈ちゃんが、可愛くっておかしくって。
私は思わず吹き出してしまって、不安も自己嫌悪もどこか遠くに消え去ってしまった。
それは、まるで吸血鬼が朝日の中に消えていく様にも似て―――。
おしまい
最終更新:2015年03月05日 10:01