今日は、友奈ちゃんのお部屋で、ふたりっきりでお勉強会。
いつも一緒にいるはずなのに、そこが友奈ちゃんの部屋というだけで、なんだか特別な時間のような気がして・・・ちょっと嬉しい。
「ふ・・・うぅ~っ・・・やっとひと段落ついたねぇ」
「そうね、そろそろ休憩しましょうか」
そんなこんなでお茶とお菓子を頬張りつつ、私と友奈ちゃんとでゆったりまったり、なんでもないひととき。
何気なくふたりでテレビを眺めていたら、偶然恋愛ドラマの告白シーンが流れた。
「いいなぁ、わたしもこんなロマンチックな恋愛してみたいなぁ」
「・・・友奈ちゃんは、こういう恋愛にあこがれているの?」
「えっ?・・・・・・うん、ちょっとは・・・えへへ」
「そ、そう・・・」
『こんなロマンチックな恋愛がしたい』か・・・。
それはそうよね、友奈ちゃんだって年頃の女の子だし、当たり前に恋とかするわよね・・・・・・。
頭では納得したつもりだったが、なぜだか釈然とせず生返事を返してしまう。
「ん、東郷さんは恋愛ドラマとか見たりしないの?」
「そうね、普段はいつも時代劇や歴史ドキュメンタリーばかりだから・・・」
そんなことよりも、今はもっと気になることがあって。
「・・・友奈ちゃんは、なにか好きな人のタイプってあったりするの?」
「えぇ?そんなのないよぉ~///」
「ほんとはあるけど、恥ずかしくて言い出せない?」
「うう・・・今日の東郷さん、なんだかいじわる」
確かに、今日の私は意地悪かも。友奈ちゃん、ごめんね。
でも、好きな『男の』タイプ、とは聞けなかった。なぜだか怖くて。
「あるなら聞きたいわ」
「もう、恥ずかしいよ・・・」
「でも、ほんとは聞いてほしい友奈ちゃんなのでありました、と」
変に茶化して聞いてみる。本当はすごく気になってるくせに。
「んん・・・じゃあ、東郷さんも後で教えてね?」
「ええ」
「・・・っと・・・そうだなぁ・・・、わたしは、優しくて、頼りになって、いつも傍にいてくれて・・・わたしが困ってると、すぐに助け舟を出してくれたり」
「変に着飾らないで、その人も自分の魅力に気づいてないんだけど・・・実はすっごくかっこよくて、でも弱くて脆い部分もあって・・・」
「わたしだけがその人の魅力に気づいてるみたいな・・・・・・そんな人かな」
「・・・・・・なんだか、妙に具体的ね」
「えっ///そ、そうだった?」
「友奈ちゃんったら、ほんとは好きな人がいるんじゃないかしら?」
「やっ、やだ、そんなことないよ~///もう、わたしは言ったんだから、今度は東郷さんの番だよ!」
はぐらかしてはいるが、顔が真っ赤になってる。友奈ちゃんはほんとに嘘をつくのが下手ね・・・。
・・・・・・そっか、友奈ちゃん・・・好きな人、いるんだ。・・・なぜだかその事実がわかってしまっただけで
既に「好きな人のタイプ」なんて、話せる気分じゃなくなっていた。
「私は・・・・・・・・・ひみつ」
「えぇ~っ、東郷さんずるい~!教えてよー」
「さ、そろそろ休憩は切り上げてお勉強会の続きをしましょう」
「むぅぅ・・・・・・東郷さんの、にぶちん」
「友奈ちゃん?何か言った?」
「なんでもないもん」
私が好きなのは・・・・・・この世界にたったひとり。
でも、それを伝えたら、友奈ちゃんはきっと私のことを嫌いになるから・・・
・・・わたしは、ほんとのこと言っただけなのに・・・・・・
やっぱり東郷さん、自分のことになると鈍感なんだもん・・・
最終更新:2015年05月17日 12:44