その他 ゆっくりプロデュース



ゆっくりかっていってね!!!」
「そこのおにいさんれいむをかっていって!!!」
「まりさはいいこにするからかっていって!!!」
「わかるわかるよー!かっていってよー!!」
月に一度人里で開かれる祭り。様々な出店が並ぶ通りの一角に、その店はあった。
大きな箱の中に閉じ込められ、売られている多数の小さいゆっくり。値段は一匹十円。
古谷徹「外の世界の価値に換算すると約五百円である。」
どうしてもここから出たいゆっくり達は道行く人々にひたすら媚を売る。
大抵は鬱陶しそうな目を向けて去っていくが、中には面白がって買っていく者もいた。
「じゃあこのゆっくりかんぬし下さい」
「毎度ありぃ!一匹百万円だよ!」
「ははは、はい十円」
「BEERRRRRRRRRRR!!BEEEEEEEEEEEEERRRRRRRRRRRRRRRRRRRRR!!!!!」
買われていったゆっくりかんぬしが嬉しそうにはしゃぐ。それを見た他のゆっくり達は、
「ゆゆ!ずるいよかんぬしさまばっかり!れいむもかっていってね!!」
「かんぬしさまとかれいむとかどうでもいいからまりさをかってね!!」
「これかったののんべえだろ……きたないなさすがのんべえきたない」
「うつくしくゆっくりゆかりんをかっていけ!!!」
大騒ぎする買われなかったゆっくり達。売り子のおっさんが箱を軽く蹴ると騒ぎは収まった。
「こいつら凄いねおっちゃん」
「まあこいつらも買って貰えないと困るからなァ。何せ加工所行きがかかってるから文字通り必死なんだわ」
「ははあ。売れればボロ儲け、売れなきゃ加工所で引き取ってもらえる。いい商売だねおっちゃん」
「うはははは!実は俺が考えた商売じゃないんだけどな!ウサ耳プロデューサー様のおかげなのよ!」
「ああ、あの噂の……本当に居たんだ」
「おう。俺もちょっと前までは信じてなかったんだけどな。ある時フラっとうちの店に来てゆっくり売らへんかときた」
「はぁーっ。でも何でゆっくりなんだろ?」
「そこん所は俺もよく分からん。まあ実際に儲かってるんだから文句は……おっ!お疲れ様ですプロデューサー!」
「おー売れとるみたいやないか。お、お客さんか。いらっしゃい。ゆっくり買うて行ってや」
強欲そうな顔に兎の耳に良く似た耳を生やした小柄な女性がやってきた。
顔に似合わず可愛らしい声をしている。
「あなたが噂のウサミミプロデューサーさんですか?」
「おっ、なんやワシの事知っとるんかいな。いかにも、ワシがウサミミプロデューサーのウドちゃんや」
「う、ウドちゃんさん……ですか」
「さんはいらんいらん。ワシゃ皆様方の求める商品を売るのが仕事じゃけぇ、もっと気安ぅ呼んで欲しいのや」
「プロデューサー、これが今ん所の売り上げです」
「ん、どれどれ……おお、いい調子やないか。この調子なら全部捌けそうやな」
「へえ。プロデューサーのおかげで今年も上手い事食っていけそうですわ。本当にありがとうございます」
「ええええ、気にすんなぃ。ワシはうまい事売ってくれそうなあんただから目付けただけや」
「それでも言わせて下さいプロデューサー。もしプロデューサーに声かけてもらわなかったら今頃は……」
「おっちゃん、何かあったんですか?」
「おぅ。俺ァ元々小豆農家でな、ゆっくり共がどんどん出てきて小豆もめっきり売れなくなっちまってたんだよ」
「それでゆっくり売りを?」
「うん。まあ来年からは畑を作り替えて別の野菜を作る予定なんだけどな。それでも今年はどうにもならなかった」
「そこにウドちゃんがやってきた、と」
「そういう事だ。だからプロデューサーは俺にとっちゃ命の恩人なんだよ」
「照れるからあんまそういう言い方はせんでぇな。それとプロデューサーでなくウドちゃんと呼んでや」
「いえ、プロデューサーと呼ばせて下さい。ウドちゃんだなんて恐れ多くてとてもとても」
「参ったなぁ。お、おぅ、元気にしとるかゆっくり共」
照れくさいのを誤魔化すようにゆっくり達に声をかけるウドちゃん。ゆっくり達はウドちゃんに対して、
「あ!ゆっくりできないおばさんだ!!」
「さっさとゆっくりさせてよねおばさん!!!」
「わかるわかるよーうさみみおばさんだよー!!」
「うつくしくゆっくりゆかりんをここからだせばばあ!!!」
「ゆゆ~!!ばば~!!」
「たいがいにしろよきもんげが。まじでおやのかなめいしのけっこんゆびわのねっくれすゆびにはめてぶんなぐるぞ」
「ちんぽっぽー!くそばばあ!!」
物凄い勢いで罵声を浴びせる。どうやらウドちゃんの事は知っているらしい。
「ば、馬鹿お前ら!プロデューサーになんて事言うんだ!ぶっ潰されてえのか!!」
ガンガンと箱を蹴って物理的に黙らせるゆっくり売り。ニコニコと笑ったままのウドちゃんは、
「やめやめぇ。大事な売り物に傷でも付いたら大損や。ゆっくりの悪口位どうでもええがな」
「す、スンマセンプロデューサー。今後はもっとビシっと躾けますんで」
「ん、そうしてや。お客様にこんな事言ったら事やからのう」
「あの……ウドちゃん、一つ聞いてもいいですか?」
「ん?何や、遠慮なく聞いてや」
「どうしてゆっくりで商売を始めたんですか?」
「あぁその事かいな…誰にも内緒やで」
声を潜めるように、ウドちゃんが話し始める。
「知っての通りゆっくりはごくごく最近急に出てきた生きモンや。
 こいつを本格的に扱った商売ゆうたら、まだ加工所位しかあらへん。
 つまり、こっからいくらでも新規に商売を広げる余地があるって事や。その将来性が主な理由やな」
早口にまくしたてるウドちゃん。客とゆっくり売りは感心して頷いている。
「なるほど。確かに言われて見ればそうですね」
「俺はただの鬱陶しい害獣位にしか思ってませんでした。流石プロデューサーです」
「今のは誰にも内緒やで。ウドちゃんとのお約束や。そいじゃそろそろ行くわ。これからもよろしくなお二人さん」
颯爽と早足でどこかへ去っていくウサミミプロデューサー。
客は買ったゆっくりを連れて別の店へ行き、ゆっくり売りは仕事に戻った。
祭りはまだまだ終わらない。

ゆっくりうどんげ
永遠亭に住まう天才薬師・八意永琳が人工的に作り出した新種のゆっくりである。
通常のゆっくりと違って胴体が生えており、身体機能・知能共に通常のゆっくりとは比較にならない程強化されている。
このゆっくりうどんげにとっての『ゆっくり』とは金儲けである。
ゆっくりうどんげに関する実験の一環として、永琳はゆっくりうどんげにある程度の資本を渡して商売を始めさせた。
観察役には妖怪兎である因幡てゐが任命されている。

GOOD COMMUNICATION!!


作:ミコスリ=ハン




タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2008年09月14日 09:28
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。