慧音×ゆっくり系4 慧音先生奮闘記 慧音エンド


アレだと、
あっきゅんは調教に目覚めたよ派(調教派・アリス系左派・永琳系右派)
あっきゅんは何でもありだよ派(万能派・幻想郷最強派)
になってしまうので、
あっきゅんは清く正しい大虐殺だよ派(ジェノサイド派・民族浄化派)
の今の流れを断ち切らない為の別エンドを書きましたとさ。
適当に書いたんでアレです。



「けーねー。いるー?」
返事が無い。
「留守か。畑にでも出てるのかな?」
妹紅は何となしに扉に手をやる。鍵が掛かっていない。少し開けるとどうも何かの気配がする。
寝てるのかな?こんな時間に?
意識を集中する。この気配はけーねじゃないだろうか?
「けーね?」
もう一度呼んでみるがやはり返事が無い。
「留守の様ですね。」
妹紅には留守と思えない。
「開けるよー。」
扉を開けてみる。玄関が散らかっている。廊下もだ。食べ物の切れ端などが散乱している。
阿求も異変に気付いた。
「藤原様…。」
「此処で待ってて。」

妹紅は念の為スペルカードを手にすると玄関に入った。靴を脱ごうとしたが、廊下が土で汚れているのでそのまま上がる。
気配は複数感じる。奥のようだ。だが油断は出来ない。近くの居間を確認する。誰も居ない。ゆっくり進む。
妹紅は直ぐ後ろの阿求に気が付いた。げんのうを持っている。ゆっくりを相手にするときとは違い、不安の為だ。
中には入るなと言おうとして妹紅は止めた。自分の近くのほうが却って安全なのではないか。
まずいなー。妹紅は束の間後悔した。異変に気付いたときに先に逃がしておくべきだった。
不死の自分ならどうとでもなるが、阿求を庇いきれるかどうか確信が持てない。
家の近くでは阿求が危険だが、遠くまでの往復に時間を掛けると今度はけーねが心配だ。
どうしようか。妹紅が阿求を見ると、妹紅の考えを察したかのように頷いた。その顔が、自分は大丈夫だと語っている。
よし、行っちゃえ。永琳の薬もあるから多少の怪我は大丈夫だ。いざとなったら逃げよう。

妹紅はゆっくりと進んだ。奥の、慧音の寝室から物音がする。扉は閉まっているが、何か声が聞こえる。その前まで進んだ。
慎重な妹紅は隙間から覗くような危険はしない。一気に襖を開く。
反対側を向いていた中の人物が、一瞬、びくっと身を震わせ、振り向いた。
開口一番、
「ユックリシテイッテネ!」
「ゆっくりしていってね!」
「「「ゆっくりしていってね!」」」
「ああ?」
寝室は食べ物が散らかって、荒れ放題に荒れていた、その真ん中に慧音が居た。例のゆっくり一家も居た。それが一斉に「ゆっくりしていってね!」と叫んでいる。
「先生?」
「ユッ?オネエチャンタチハユックリデキルヒト?」
「ゆっくりできる人?」
「「「ゆっくりできる人?」」」
「けーね、何を言って…」
「ココハケーネノオウチダヨ!ユックリデキナイヒトハデテイッテネ!」
「出ていってね!」
「「「出ていってね!」」」
「サッサトデテイッテネ!ケーネハココデユックリスルヨ!」
「ゆっくりするよ!」
「「「ゆっくりするよ!」」」
妹紅と阿求が呆気にとられる中、慧音とゆっくり一家の「ゆっくり出ていってね!」コールが響き渡る。
長い時間が過ぎ去った。
ようやく事態を飲み込んだ妹紅が、視線は慧音に合わせたまま、後ろに控えるモンスターに呟く。
「阿求。」
「はい。」
「けーねの区別は付くな?」
「はい。」
妹紅は右手を顔の高さまで掲げる。
「家は壊すなよ?」
「はい。」
妹紅は指を鳴らした。
「やれ。」



慧音の治療は半年掛かった。
二人が慧音を担いで永遠亭に行くと、永琳は「また来た!」と言って逃げようとした。
妹紅が患者を診て欲しいと告げると、永琳は「私には治せない!」と言って逃げようとした。
阿求が慧音を指さすと、永琳は「こっちは治せる。」と言って治療に掛かった。
治療は凄惨を極めた。
患者は一千万パワーのゆっくり。大人しくさせるのも並大抵で無かった。
永琳が全指揮を執り、鈴仙が補佐し、てゐが幸福を掻き集め、妹紅が拘束し、阿求が静かにさせた。輝夜は寝ていた。
始めのうち、慧音は何度も危篤状態に陥った。その度に永琳が神業でもって慧音の頭部を治療する。
峠を越したのは一月後。阿求が手加減を覚えてからである。
その一月後に慧音は自我を取り戻し、さらに一月後に退院出来るまでになった。
慧音退院の日、鈴仙とてゐは嬉しさと寂しさがない混ざった表情をしていた。
永琳は泣いていた。阿求は今更ながら師匠の誠実さに心打たれた。輝夜は寝ていた。
慧音は阿求と妹紅の付き添いの中リハビリを続け、三月程の通院生活をのちようやく永琳に全治のお墨付きを貰う事が出来た。



「ハルーッ!」
リリーホワイトが高らかな宣言と共に大量の弾幕を撒き散らすと、桜が咲き乱れた。幻想郷に春の訪れである。
満開の桜の中、慧音と里の子供達が歩いていた。今日は慧音の全快祝いを兼ねた花見遠足なのだ。
川傍に立ち並んだ桜の下で、生徒達は先生を囲んで座った。皆それぞれ背中のリュックから弁当や水筒を取り出す。慧音も頭の上の弁当箱を下ろした。
「先生!全快おめでとう!」
「みんなありがとう。」
昼食が終わると生徒は全快祝いの花輪を慧音に掛けた。先生は幸福そうな顔をする。
やがて休憩時間となり、生徒達は思い思い遊び始めた。先生はやはり幸福そうな顔でそれを眺めている。
「ああ、やっぱり教師止めなくて良かった。」
慧音は感慨深げに呟く。こんな幸せな思いが出来るなら、あの程度の事は幾らでも耐えられる。
一時は自己嫌悪に陥りもしたが、あの二人のお陰で立ち直る事が出来た。
まだまだ私は学ばなければならない。生徒が成長するように、先生も成長するのだ。

慧音はぼんやりと子供達を見ていた。
数人の男の子が川に何か投げている。勝負でもしているのだろうか、大声でやり取りしている。
川岸に何かを投げる子供が二人。少し離れて何かを手にしている子供が三人。
よく見ると持っているのはゆっくりだった。ゆっくりれいむを手にしている。
一人の足下には親と見られるゆっくりれいむが、身動きとれないよう踏まれている。
子供達は子れいむを川に投げているのだった。
そのうち川岸の二人が何か言い争いを始めた。段々争いが激しくなり、とうとう叩き合いになる。
「こらっ!止めなさい!」
慧音は走っていった。後ろの三人は悪さが見付かったとき特有のきまりの悪い顔になる。
「先生!だってこいつが嘘付くんだもん!」
「嘘なんか付いてないよ!僕のほうが遠くだったって!」
「もうやめてね。ゆるしてね。れいむの子どもをなげないでね。」
親れいむが涙ながらに訴えている。子ゆっくりはもう三匹しか残っていない。
慧音は言い争う二人に静かに近付いた。「頭突きされる!」思わず目を瞑る。
二人は頭突きを喰らった。だがそれは卵が割れないくらいに軽い頭突き。
驚いて目を開ける二人に向かって慧音は優しく諭した。
「やめなさい。暴力を友達にふるうなんて…いけません。そんな事では山田様に天国に連れて行って貰えませんよ。」
「ごめんなさい…。」
先生の笑顔に二人はやや上気した顔で謝った。
慧音は生徒がさらに顔を赤らめるような満面の笑顔で言った。
「いいですか?暴力を振るって良い相手は、妖怪共とゆっくり共だけです。」

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最終更新:2008年09月14日 11:06
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