紅魔館×ゆっくり系14 れみりゃは一日しか生きれない

 太陽がそろそろ真上に上る頃。
 紅魔館のれみりゃの終わる事のない一日が始まった。
「う~~♪ さくやだっこだどぉ~~♪」
「さくや~~? どぉこだどぉ~~~!!!」
 自慢のベッドで起きたれみりゃは、いつも直ぐに抱きかかえてくれる咲夜がいないことを不審がり、そのふっくらとした首周りを動かして、周りの様子を観察しだした。
「う~~~♪ いじょ~~はないどぉ~~~♪ れみりゃのこ~まがんだどぉ~~~♪」
 自分の屋敷に異常がない事を確認したれみりゃは、
「うんしょ~~~♪ だどぉ~~♪」
 と声をかけて布団から飛び出し、咲夜の捜索に取り掛かった。
「う~~~♪ どこだどぉ~~~♪」
「う~~~!! みつけたど~~~♪」
 彼方此方を飛び回り、数分としないうちに咲夜を見つけたれみりゃ。
 実際には、一番初めに来そうな食堂に咲夜が先回りしていただけであったが。
「うっう~~~♪ さぐや~~~♪ すぐにぷっでぃ~~んをもってくるんだどぉ~~~♪」
「……」
「うーーー!! はやくするんだどぉーーー!! こーまかんのあるじのめいれいだどぉーーー!!!」
「……」
「う?」
 咲夜は、声を出す代わりに、懐から取り出したナイフをれみりゃ目掛けて振り下ろした。
「うーーー!!! いだいどーーー!!! なにするんだどーーー!!」
「……」
「さぐやーー!! どこだどーーー!! すぐにたすけるんだどぉーー!!!」
 泣き叫ぶれみりゃと、黙ってそれを見つめる咲夜。
 その均衡を崩したのは、真の主の声だった。
「咲夜~そろそろ神社に行きたいんだけど~」
「はい。それではご一緒させて頂きます」
「うーー!! まつんだどーーー!! こうまかんのあるじはそいつじゃないどーーー!!!」
「うっさい!!!」
「うぎゃ!!!」
 連れて行かせまいと、必死に咲夜に抱きつくれみりゃをなぎ払う。
「うーーー!!! まっでーーーー!!!」
 何度も何度も、懲りずに追いかけ続けるが正面玄関が締められた所で、その追いかけっこも終わりを迎えた。
 「う~~!! う~~~!!」
 その場に腰を下ろし、グズグズと泣いていたれみりゃだったが、次第に泣きつかれてきたのか段々と寝息が混ざり始めた。
「う~~!! ……ZZZ ……Z!!! んぎゃ!!!!」
 突然の衝撃に何事かと顔を上げる。
 そこには、数人のメイド達が、楽しそうにれみりゃを見下ろしていた。
「う? うっう~~~♪ れみ☆りゃ☆う~~♪ にぱ~~~♪」
 段々と頭が冴えてくると、自分の大好きなダンスを見せ始める。
「う~~~♪ ぷっでぃ~~んほしいんだどぉ~~~♪」
 最後にはお約束のプリンコール、今までと同じ手順を踏んでいた。
「……クスクス」
「うーー!! いたいどーーー!!!」
 しかし、今は違う。
 プリンをくれるどころか、れみりゃを蹴り出したのだ。
「いいいいだいどーー!! こうまがんのれでーになにするんだどぉーーーー!!!!」
 その煩い口に、渾身の蹴りが飛ぶ。
「うががが!!! あああああああ!!!!」
 口を押さえて蹲るれみりゃ。
 それを確認して、メイド達は何処かへと消えていった。
「うーーー!! うーーー!!!」
 大粒の涙を上げて泣き叫ぶれみりゃだが、時間と共に痛みがひいていくのか、それとも忘れてしまうのか段々と涙の量が減っていく。
「ぐず!! うーー!! うーー!!」
 そして先ほどと同様、段々と寝息が混じり出す。
「うーー!! ……ZZZZZ んぎゃーーー!!!!」
 今度は、思い切り壁まで飛ばされた衝撃で跳ね起きた。
「うううう!! いだいーー!! ざぐやーー!! ざぐやーーー?!!」
「咲夜さんならいませんよ?」
 声をかけたのは小悪魔。
 そして、れみりゃを吹き飛ばした張本人である。
「うーー!! おまえなんがあっじいげーーー!!!!」
「あらあら。ツンデレってやつですか?」
 自身の渾身の脅しにも怯まずにツカツカと近づいてくる小悪魔に、れみりゃのほうが後ろに下がる。
「うーーー!!! ごないでーーーー!!! ごないでーーーー!!!」
「残念ですね。私は肉まんに好意を向けられたくないんです。……えい♪」
「んべぼ!!!!」
 至近距離で鳩尾にけりが入る。
 当然、れみりゃは壁に向かって一直線に飛んでいく。
「んぎゃらっぱ!!!!!」
 そして同様に壁にあたる。
 あまりの衝撃に声もでないようだ。
「まだまだ。お楽しみはこれからですよ? ブッ細工な肉まんさん♪」
「……かは。!!! やだーーー!! ざぐやーーー!! ざぐやーーー!!!」

 ――

「それじゃあ。私はパチュリー様に飛び切り辛い紅茶を淹れなければならないので、失礼しますね」
「う……あがが!! うわーーー!! うわーーーー!!!!!」
 日も落ちかけてきた頃、漸く開放されたれみりゃは、堰が切れたように泣き出した。
「うわーーーー!!! ざぐやーーーー!!! ざぐやーーーーー!!!!!」
 本日三度目の大泣き。
 当然、それだけ泣けば疲れもどっと溜まる。
「うー……ZZZZ。 ZZZZZZ~♪」
 すんなりと眠りに落ちたれみりゃ。
 きっと素敵な夢を見ることだろう。
「!!! んびゃらってぃ!!!!」
 しかしながら、それは叶わない。
 今しがた帰ってきた咲夜が、れみりゃの背中にナイフを突き立てたからだ。
「う? ざぐやーーー!! ざぐやえおやっつげでーーー!!!!!!」
「何を言ってるんですか?」
「うあーーーー!! うあーーーーー!!!」
 今日、自分がいけた事を上手く言葉にできないれみりゃが呟いた事等気にせずに、れみりゃを食堂まで運んでいく。
「皆、良く聞いて!! きょうはデザートに大きなプリンを付けるわ」
 既に食堂に来ていたレミリアが、集まったモノに声をかける。
「う~~~~!!!! ぷっでぃ~~~~~ん!!! れみりゃもたべる~~~~♪ ほかはいらにゃいからぽいするのぉ~~~~♪」
 プリンの言葉で覚醒したれみりゃは、一目散に手近なテーブルに走って行き蹴り返された。
「んびゃ!!! うーーー!!! ぷっでぃ~~~~ん♪」
 それにもめげず、今度は咲夜たちがいるテーブルへ。
「う~~♪ んぎゃ!!!!!」
 こんどは美鈴のけりでまたけり返される。
「ほら~~~♪ 肉まんさん~~♪ ぷりんをあげますよ~~~♪」
「うーー!! ぷりんじゃなぐでぷっでぃ~~んなの~~~♪」
 小悪魔から差し出された皿に載っているプリン目掛け、勢い良く飛んでいくれみりゃ。
 対する、小悪魔は後一歩の所で皿を引っ込め、代わりに突き出していた手にフォークを突き刺した。
「うあーーーー!!!!! いだいーーーー!!! いだいーーーー!!!!」
「うるさい!!!」
「あああーーーーー!!!! あああーーーーー!!!!!」
 フランドールに弾き飛ばされたのを皮切りに、彼方此方に飛ばされ蹴られ殴られていく。
 漸く終わったのは、最後のグループが食事を終えた時だった。
「うーーー!! ……もうねむいどーーー……」
 痛さと泣き疲れで、極限まで体力を削られているれみりゃは、泣きもせずに寝入った。
「……ZZZZZ!!! あああぎゃはぁーーーーーーー!!!!!」
 しかし、寝る事はできない。
 名も知らぬメイドに蹴られ飛び起きる。
「うあーーー!!! ……ZZZZ!!! あがやーーーー!!!!!!!」
 更にもう一人。
「いだいーーー!! ざぐやーーー!! うーー!! ……ZZZZ !!! うあーーーーー!!!!」
 もう一人。
「うあーーー!! いだいどーーーー!! つがれだーーーー!!! ああああああーーーー!!!!」
 ここは吸血鬼の住む館、紅魔館。
「ああああーーー!! だずげでーーーー!!! れみりゃをだずげでーーー!!!」
 生活リズムも様々なこの屋敷では、何時でも誰かが起きている。
「うーーー!!! うーーーーー!!!!」
 もう、れみりゃに明日は来ない。

 これが壊れても、庭にはまだまだ我侭に育ったれみりゃが沢山いるのだ。


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最終更新:2011年07月27日 23:38
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