群のリーダーである
ゆっくりまりさは捕食種のゆっくりれみりゃやゆっくりフランまで撃退できるほどの強く。
ゆっくりパチュリーやゆっくりアリスの力を借り、今日までしっかりと群をまとめあげてきた。
森に人間が多くなってくると、まりさたちの群は竹林に移動した。
人間と関わってはゆっくりしていられなくなる。ゆっくり達はあくせく働く人間が嫌いだった。
しかし、人間の方がよっぽどマシだ。彼らは勤勉で、それ故に暇つぶしなどという言葉は持ち合わせない。
同じ森にいても仕事の邪魔さえしなければ、彼らからゆっくりに関わろうとする人は少ない。
もし出会ってしまったとしても、少量のきのこを渡され、巣に帰るように促されるだけだ。
ゆっくりを虐待して遊ぶなんて人はそうはいない。
「ここまでくれば、ゆっくりできるね」
呑気に辺りの草を食べ始めるゆっくりれいむ。
しかし、リーダーであるゆっくりまりさは警戒を怠らない。
若い衆が絶えず周りの状況を報告してくる。
二匹で偵察に行かせれば、一匹は無事に帰ってくる。
ツーマンセルのアイデアを出したのはゆっくりパチュリーだった。
それにより素早く確実に周りの情報が得られるようになったこの群は、
こういった住処を変えるという大仕事を何度も成功させてきている。
それも今回限りだが、
「ちぇんとまりさのペアがもどってこない」
その報告を受けてゆっくりまりさは不安だった。
そのペアのゆっくりちぇんは群の中で一番足が速く、自分と長く苦楽を共にした歴戦の猛者だ。
そして、そのゆっくりちぇんとペアを組むのは立派に育ち、いずれはこの群の新しいリーダーとなるはずの自分の娘だった。
だから、余計に不安だった。リーダーとして苦渋の選択が迫られる。
彼らを待って竹林に残るか、彼らを置いて森に戻るか、
他の偵察に出たゆっくりはみんな帰ってきているし、誰も危険だという報告はしていない。
「どこかでゆっくりしてるんだよ。れいむたちもゆっくりしようよ」
ゆっくりまりさはゆっくりれいむを侮蔑した。何も考えずただ現状を享受しているだけのこいつを。
「うおー!!」
竹林から一匹の暇な兎が駆けてくる。
因幡てゐは久しぶりに休暇にやる事がなさ過ぎて困っていた。
そこにゆっくりの群を見つけたもんだから、酷い暇つぶしが始まってしまった。
大声を上げて、ゆっくり立ちの前にやってくるてゐ。
「危ないぞ、伏せろ」
ゆっくり達にそう言う。群れの連中はポカン口を開け、頭に疑問符を浮かべている。
「私は兎銀河パトロールのてゐ・イナバだ。君達、ここは危ないぞ」
「ゆゆ?おねえさんほんと?」
群のリーダーのゆっくりまりさが尋ねる。
「ああ、ここは既にグレゴリン星人の異次元竹林の中だ。君達はどうやら異次元竹林に迷い込んでしまったらしい」
わざと大げさな声でてゐは言う。
「まりさがいいだしたんだよ。れいむはこんなところきたくなかったよ!!」
今までゆっくりしていたのに手のひらを返したかのような批判。
「待て!!仲違は止すんだ。そうか、ここは既にグレゴリン星人のテリトリー、君は精神攻撃を受けておかしくなってしまったんだな!!」
てゐはビシッとゆっくりれいむを指差す。
「ゆゆ?おかしくなったの?」「れいむ、ゆっくりできないの」「どうすればいいの?」
「グレゴリン星人の精神攻撃は強力だ。残念だが、このゆっくりれいむはもう元には戻れないだろう」
とても残念そうにてゐは言う。
「れいむ、かわいそう!」「ぐれごりんせいじんめ。よくもれいむを」「おねえさん、れいむをたすけて」
「いいや、無理だ。グレゴリン星人の精神攻撃は兎銀河の技術を使っても直ることはない」
「れいむはゆっくりしてるよ。びょうきじゃないうよ!!」
今まで黙っていたゆっくりれいむが反論する。
「ほら見ろ。これが奴らの精神攻撃の卑怯な所だ。奴らの攻撃を受けたものは絶対に自分が攻撃されたとは思っていない素振りをするんだ」
「ゆゆ、ほんとだ。れいむ・・・」「こんなのれいむじゃないよ。ゆっくりしね」「そうだよ。ぐれごりんせいじんのてさきはしんでね」
「仕方ない。兎銀河パンチ!!」
ゆっくりれいむは殴り飛ばされ、地面にめり込む。
「ゆゆ?なにするの?」
ゆっくりまりさは抗議する。
「悲しいが、君もグレゴリン星人に操られたゆっくりれいむを見ているのは辛いだろう。彼女の死は無駄にしないよ」
「ゆ・・・れいむ、まりさたちかならずいきてゆっくりプレイスにもどるからね」
「す、少し回りの様子を見てくる。兎銀河バリアを張ったからこの場に待機していてくれたまえ」
「おねえさん、ありがとう。がんばってね!!」
ゆっくり達から見えない位置まで来るとてゐは笑い転げた。
「危なかった。もう少しで噴出すところだった。何だよグレゴリン星人の異次元竹林って、ぷふふふ」
一頻り笑い転げた後、まじめな顔を作り、それを維持しながらてゐはゆっくりまりさ達の群の所に帰ってくる。
「大丈夫だったかい?」
「うん、おねーさんのばりあのおかげでたすかったよ」
「しかし、兎銀河バリアもそう長くは使えない」
「ゆゆ?どうすればいいの?」
「私が。私がグレゴリン星人を倒すしかない」
「むきゅ・・・それでパチュリーたちはここからぬけだせるの?」
「安心しなさい。グレゴリン星人を倒せば異次元竹林も消滅する。時空の歪みが元にもどり君達も元いた場所にもどれる」
「じゃあ、ぐれごりんせいじんをたおしてきてね」
そう言われた瞬間、てゐは危ないとゆっくりパチュリーを抱え、横に跳ねる。
「むきゅ?どうしたの?」
「グレゴリン星人の原子破壊光線だ。あれを喰らったら死んでしまうぞ」
「ゆゆ、ここもあぶないの?」
「皆、落ち着け。私について来るんだ。安全な場所に行こう」
「みんな、おねーさんについていこうね!!」
ゆっくりまりさが号令をかけると、群の皆がてゐについてくる。
「いやだよ。ここでゆっくちしたい」「まりさもここでゆっくりするよ」
そう言って、動かない連中は片っ端から精神攻撃を受けたと言われ、その場で処刑された。
「ぐれごりんせいじんめ、ゆっくりしね」「ほんとだよ。ぐれごりんせいじんはゆっくりできないんだね」
群の皆は存在しない敵に憤怒していた。
「ここだ。ここに隠れるんだ」洞窟の中にゆっくりまりさの群を誘導する。
その頃には群れは半分ほどになっていた。
「くそ、半分しか救えなかった」
てゐは力いっぱい地面を殴り、自分の無力さを嘆くふりをした。
「おねーさんのせいじゃないよ。ぐれごりんせいじんがわるいんだよ」
てゐを慰めるゆっくりまりさ。自分も辛いけどお姉さんも辛いんだと思っていた。
「グレゴリン星人、奴は強い。今の私では勝てるかどうか・・・」
「ゆ?よわきにならないで、まりさもぐれごりんせいじんとたたかうよ」
「むきゅん、まりさはゆっくりふらんにもかっちゃうぐらいつよいのよ」
「それは頼もしい。他にも私と戦ってくれる子はいないか?」
「れいむもいく!」「むきゅん、どこまでいけるかわからないけど」「とかいはのたたかいかたをみせてあげるわ」
「みんな・・・ありがとう」
てゐの見事な嘘泣きにその場にいる皆が感動していた。
「泣いてばかりもいられない。この先に池がある。そこがグレゴリン星人の巣だ」
「ゆ?まりさはへいきだけど、ほかのこはいけにはいれないよ」
「そうさ、池に見せかけているんだ。グレゴリン星人は君達が巣に入ってこれないように池に見せかけているだけなのさ」
「ゆゆ?ひきょうだね」「むきゅー、ゆるせない」「れいむ、ぐれごりんせいじんをやっつけるよ」
「でも、あかちゃんはここでまっててね」
ゆっくりアリスがそう言う。逃げてきた何匹かの中にはゆっくりの赤ちゃんもいた。
「まりちゃ、がんばってぐれごりんせいじんをたおしてきちぇね」「うん、まりさたちがんばるからね」「ゆっくちまってるね」
熱い頬ずりを交わした後、てゐと大人のゆっくり達はグレゴリン星人の巣に突撃した。
「・・・グレゴリン星人なんているわけないじゃん」
池で苦しみもだえているゆっくり達にてゐが言い放つ。
「だっで、おねーざん、ぐれごりん」
「作り話」
「うぞずいだの?!」「むぎゅ・・・だまざれだ」「あやまっでね」
「ゴメンね」
悪気もなくそう言ってのける。
「まりざだぢをだずげて!!」「もっどゆっぎりじだがっだ」「どがいはの、どがいばのありずが」
「いい暇つぶしになったよ。じゃーねー」
そう言ってグレゴリン星人より凶悪な兎は去っていった。
その帰り道、ゆっくりちぇんとゆっくりまりさを見かけた。
「おねーさん、このへんにゆっくりのむれはいなかった?」
「あー、いたよ」
「どこへいったかわかる?」
「異次元竹林じゃない」
そう言うとてゐは永遠亭に帰っていった。
それから数日後、
「師匠、この竹林ってた私達以外に宇宙人って住んでましたっけ?」
「え?そんな話聞いたことないわよ」
「ゆっくりの赤ちゃんから聞いたんですよ。ぐれごりんせいじんとかいうのがいるって」
ぶっと、てゐは珈琲を噴出す。
「わ、汚い。ちょっと、てゐ。早く雑巾で床を拭いて」
てゐはしばらくその場で笑い転げていた。
by118
最終更新:2008年09月19日 21:06