「「ゆゆゆんゆんゆん♪ ゆゆゆんゆんゆん♪」」
木の中にある巣で楽しく歌っているのは、プチトマト程の大きさの赤ちゃん
ゆっくり。
まりさ種とれいむ種が一匹ずつだ。
それを幸せそうな表情で見つめる父まりさと母れいむ、一家は幸せなひと時を過ごしていた。
「ゆ~ん。ふたりともすごくゆっくりしているね、まりさ...」
「そうだね、れいむ...」
二匹ともごく普通の家庭に生まれ、ごく普通に育ちごく普通に結ばれた。
そしてごく普通の妊娠、出産...の筈だったのだが授かったのは普通よりちょっと少なめの二人だった。
本当はもう少し子供が欲しかったのだが、この子達の笑顔を見ているとそんな不満も吹っ飛んだ。
人数が少ない分沢山の愛情を注いでやろう、と二匹の親は誓うのであった。
「おちびちゃんたち、もうおそいからゆっくりねようね!」
と親れいむ
「ゆ~、もうちょっとあしょびたいよ...」
「まりしゃはまだねみゅくないよ!!」
駄々をこねる子ゆっくり達、まだまだ元気いっぱいだ。
「きちんとねないとおおきくなれないよ! めっ!!」
そんな子供達を嗜める親まりさ。
「「ゆ~~~」」
さすがに父親には逆らえないのか、二匹は渋々と寝床についた。
「ゆっ、さすがまりさ!! もうりっぱなおとうさんだね!!」
「ゆっへん!!」
立派な夫を褒め称えるれいむ、少し頬が染まっているようにも見えるが。
「れいむはあかちゃんたちにおやすみのちゅっちゅをしてくるね!!」
「ゆっ、いってらっしゃい!!」
れいむを見送るまりさ、子供達が寝た後は夫婦水入らずでゆっくりできる。
そんな事を考えていると
「ゆっくりしていってね!!!」
「「「「ゆっくりしていってね(しちぇいっちぇにぇ)!!!」」」」
思わず返事をしてしまう一家、玄関には一匹の赤ちゃんゆっくり。
緑色の髪、頭には触覚が生えていて背中にはマントのようなものをつけている。
うちのおちびちゃん達より一回り大きいくらい、はじめて見るゆっくりだ。
親まりさが近づき、尋ねる。
「おちびちゃん、なまえはなんていうの?」
「りぐる!!」
「りぐるっていうの?」
「りぐるー!!」
ぴょこぴょこ跳ねながら答えるゆっくりりぐる。
「まりさ、そのこはだぁれ?」
「ゆっくちできりゅの?」
「ゆっくち~!!」
安全だと判断したのか、皆が寄ってくる。
りぐるにじゃれ付く赤ゆっくり達。
ピカッ ピカッ ピカッ
「「「「ゆうぅっ?」」」」
突然りぐるのお尻が光りだす。
突然の出来事に驚く一家。
ゆっくりのお尻が光るなんて聞いたことが無い。
「にゃにこりぇ?」
「おちりがひかっちぇりゅよ!!」
「きゃっこいい~!!」
「りぐりぐ~!!」
はじめて見る光景にもかかわらず大喜びの赤ゆっくり達。
一方親ゆっくりはというと...
「おかあさんたちがいないけどどうしたんだろうね、まりさ...」
「ゆ~ん、よるそとにでるなんてあぶないのに...」
「「ゆ~ん...」」
二匹は考えた。
恐らく家族はふらんやれみりゃに襲われてしまったのだろう、それでたまたまうちに迷い込んできたのだ。
二匹は都合よく解釈した。
「まりさたちでこのこをそだてようよ!!」
「ゆっ!!いいかんがえだね、まりさ!!」
親まりさによる唐突なうちの子宣言、れいむも嬉々としてそれに乗っかる。
子供が増える、それは二匹にとって魅力的なことだった。
実際、孤児となった子ゆっくりを他の家族が引き取って育てるのは良くあることだ。
それにりぐるは珍しいゆっくり、この子を家族にしたら皆に自慢が出来る。
そんな事を話しながらまりさは、これから家族になる子供に目をやった。
あれ?
さっきまで元気に跳ね回っていた赤ちゃん達がやけに大人しい。
「どうしたの? 赤ちゃん...」
まりさは子供達の異変に気づいた。
どちらの子供も全く動かず、だらしなく開いた口からは(元からだらしないが)よだれが垂れている。
「あがぢゃん!? どうじだのあがぢゃん!?」
「まりざだぢのあがぢゃんがぁぁぁぁぁぁ!!」
「だいじょうぶ? ゆっぐりじでね!?」
「ゆっぐりうごいでね!!」
必死になって語りかける。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「れいむっ!?」
突然の悲鳴に振り向くまりさ。
目の前には真っ黒になった妻の姿。
虫!? いやこれは―
「りぐる...なの?」
沢山のりぐるがれいむに張り付き蠢いている。
どうしてこんなに沢山のりぐるがいるのか。
でも今はそんな事を言っている場合ではない。
「なにしてるの!!はやくはなれてね!!」
蜘蛛の子を散らすように離れるりぐる。
「れいむっ!!れい...」
れいむが、いない。
地面の上に、リボンがひとつ。
まりさは理解した。
れいむは、しんだ。
「どうじでなのぉぉぉぉぉぉぉ!!」
訳が分からない、さっきまで一緒にゆっくりしていたのに。
ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
突然りぐる達がマントのような物を振るわせ始めた。
れいむだったものを咥えて巣の外に飛び立つ、その中にはまりさ達の赤ちゃんもいた。
「あがぢゃんっっっ!?」
そうだ、赤ちゃんだけでも助けないと。
まだ生きてる、きっと生きてる。
まりさが助けないと。
「ま゛でぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」
りぐるの群れを必死になって追いかける。
何度も足がもつれ転びそうになった。
色んなところに体を引っ掛け傷だらけになった、どれだけ走っただろうか。
「ゆぅーはぁー、ゆぅーはぁー」
まりさの前方に直径一メートル程の洞窟、そこに入ってゆくりぐる。
まりさも飛び込む。
「あかちゃん!!」
必死に目を凝らし辺りを見回す、奥の方から何かの気配を感じる。
「あかちゃん!? あかちゃんなんだね!?」
赤ちゃんがいた
たくさんいた
どの子も生きている様だが話すことが出来ず、涙を流しながらまりさを見詰めてくる。
この子達も我が子の様に攫われてきたのだろう、まず此処から連れ出して―
「まっててね、みんなたすけてあげるからね!!」
不安を感じさせまいと赤ちゃん達に語りかける。
ふと、まりさは気づいた。
皆が自分の目と頭上を交互に見ているのだ。
上?
頭上に目をやる。
「!!??」
赤ちゃんを攫った犯人がいた
お尻を点滅させながら
ゆっくりりぐるが
たくさん
天井に
壁に
「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」
気付いた時にはまりさは全力で走り出していた。
こんな所には居たくない、少しでも早く逃げ出したい。
もう赤ちゃんのことは頭の中から消え去っていた。
ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
まりさの視界が黒く染まる
「やめてね!!あっちいってね!!」
「くりぐるくりぐる!!」
「りぐる~!!」
振り解こうとするが、全くの無意味。
まりさの体に張り付くりぐる。
あちこちに鋭い痛みが走る。
「いたいよ!!かまないで!!」
少しでも逃れようと体を動かすが...
「なんでうごかないのぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
うごかない
なんで?
うごいて、うごいてよ
いたい まりさをたべないて
まりさはおいしくないよ
いたいいたいいあいいあいあ
も
と
ゆく
した
ゆっくりりぐる
多種と比べてとても小さい、成体でも赤ちゃんゆっくりと同じサイズである。
同種でコミュニティを作ることが多い
小さい分すばやく動き回ることが出来、背中の羽で飛行が可能。
さらにお尻を蛍のように光らせ、離れた仲間と意思の疎通をする。
基本的に雑食だが、他のゆっくり種を好んで食べるようだ。
狩がしやすく、栄養価も高いためと思われる。
唾液にはゆっくりの運動神経を麻痺させ、餡子の腐敗を防ぐ効果がある。
赤ちゃんゆっくりはそのまま持ち帰り、保存食にする。
大人のゆっくりの場合集団で襲い麻痺させた後、体を適当な大きさの団子にした後巣に持ち帰る。
リグルは蛍なのに蜂みたいになってしまった...
ゆっくりりぐるってもっとバリエーションが広がりそう
読んでくれた人、ありがとう
~書いたもの~
『究極お兄さん』
『改造お兄さん』
『きめぇ丸といっしょ』
『きめぇ丸といっしょ2 ハロウィンゆっくり』
『ゆっくりりぐる』
by.きめぇ丸大好きっ子
最終更新:2008年09月27日 15:19