地霊殿ネタバレキャラ
ゆっくり有り
ほのぼのの為虐めなし
昼下がり、俺は一匹のゆっくりと向かい合っていた。
角を生やし、頭の上に盃を載せているゆっくり。名前はゆっくりゆーぎだ。
そして、勝負事が大好きなゆっくりである。
「きょうこそかつよ!!」
「頑張れよ~」
いつもと変わらない意気込み。見ててとても和んでくる。
あそこの木の側でめーりんと一緒に寝てるこまちも可愛いが、こういう風に楽しそうに体を弾ませてはしゃぐゆーぎの姿も十分可愛い。
考えてみれば、こいつと出会ってもう一週間も経った。本当に時が流れるのは早いものだ。
「勝負方法はいつもと同じ、相手が立てなくなるまでだな?」
「そうだよ!! きょうこそゆーぎはかつよ!!」
、
勝てない俺に毎日挑んでくるこいつが、俺は好きだった。
小さな子供が大人な父親に挑む姿というのもこんな感じかもしれないな…
「じゃあいくよ!!」
「おう、いつでもいいぞ~」
大きく宣言して跳ぶゆーぎ。ゆっくりの少ない攻撃方法である体当たりだ。
真っ直ぐしか飛べないため避けるのは容易いが、ゆーぎの体当たりは普通のゆっくりと違って当たればかなり痛い。
何しろ森に生えてる木すら折るのだ。身構えても間違いなく骨が折れるだろう。
でも、悲しい事に当たらねば意味は無い。
しかも体当たりした後はこちらを振り向くまで時間があるので、俺はこいつに後ろから触る事ができる。
「あっ!?」
後ろからゆーぎが頭に載せてる盃に触れ、地面に落っことす。
結果ゆーぎは角の重さによって前のめりに倒れ、うつ伏せになった。
何度か起き上がろうとはするものの、中々立てず次第に「たてないよぉ…」と泣き出してしまった。
「今回も俺の勝ちだな?」
「うん、たてないからゆーぎのまけ…」
まりさと違って潔く負けを認めてくれるが、声は小さい。
俺は立てないでいるゆーぎを手で起き上がらせ、頭の上に落っこちていた盃を載せてやる。
何度か跳ねてゆーぎは盃の位置を調整し、こっちへ寄ってきた。
「おにいさんにいつかてるのかな…」
今まで負け知らずだっただけあって、やっぱり人間の俺に負けるのはショックなのだろう。
「お前さんに弱点が無ければ俺も勝てないと思うんだがなぁ…」
「でも、ゆーぎつのきるのはやだよ…」
実際ゆーぎに角が無ければ自由自在に動けるのは間違いない筈だ。
でも、こいつは自分の角を気に入ってるし、俺も態々切らせるつもりは無い。
「ゆーぎは頑張って弱点を克服するしかないさ」
「うん、ゆーぎがんばるよ!!」
俺の言葉に元気良く返事をするゆーぎ。
そんなゆーぎの盃を持ち上げると、また前のめりに倒れた。
「おにいさんひどいよ…」
「弱点克服は当分先だな」
また泣く前に俺は苦笑しながら盃をゆーぎの頭に載せてやった。
終
自分の欠点を気にしてるゆっくりがいたら、その弱点を突いてみたい…
でも泣かせたくはない…
by大貫
最終更新:2008年09月28日 23:16