ゆっくりいじめ系1255 ゆっくりと小学校(前)

※登場する人間達に名前があります。嫌な人は注意。
※あまりいじめてません。
※世界観・設定の描写がだるいので斜め読み推奨です。
 要するに近代の田舎にゆっくりがいる設定です。



ゆっくりと小学校(前)

U市郊外に位置するこの町は多くの山と川に囲まれ、自然を色濃く残している。
都市に近く、閑静な住宅街と綺麗な空気に恵まれた土地は人間にとっても、
数年前から現れだした生物風にいえば「ゆっくりできる」場所であった。
だが、町の開発が進んだ為か、環境問題の影響か
近頃では麓でも大型の鳥獣を見かけることは無くなった。
代わりに山に棲み付いたのが、「ゆっくり」と呼ばれる生物(ナマモノ)である。

「ゆ?」
「ゆっくりしていってね!」

何の前触れも無く全国に現れたこの「ゆっくり」の生態は不可解極まる。
「ゆっくりしていってね!」に代表されるように、ある程度の人語を操る。
出来の悪い生首のような体を持ち、不思議な力で跳ねて移動するが運動能力は低い。
そして、驚くべきことにその体は饅頭で出来ている。
「ゆっくり」が現れて以来、様々な議論が飛び交ってはいるが
殆ど皮と餡子で構成された生物がどうして生きているのか、
そもそもナマモノではなくイキモノとして扱うべきかという問題すら解決していない。

「「ゆっくちしていってね!!!」」

が、普通のの人にとってはそんな難しい話はどうでもよかった。
最初こそ大騒ぎになったがゆっくりが珍しい存在ではないと分かり、
それぞれがそれぞれの付き合い方を見つけていった。
畑を荒らされ踏み潰す者、一緒に遊んだりゆっくりする者、
食料として扱う者、ペットとして飼う者、人には言えない趣味に使う者、
ゆっくりと関わる人向けのビジネスに携わる者など、多種多様である。

「うん、ゆっくりしていってね。やっぱりかわいいなぁ。でもそこにいると・・・」
「えっへん! おねえさんはゆっくりできるひとd

ゆっくりは主に自然が豊かな土地に棲む。
都市部はゆっくりにとってあまりにもゆっくりできない場所であった。
ゆっくり出来ない人や鉄の獣が飛び交い、潰されずにいるだけでも精一杯。
おいしい食べ物、きれいな水、ゆっくりできるおうち、どれも手に入らない。
全てが手にはいるゆっくりぷれいすを見つけたゆっくりは燃えるゴミと成り果てた。
自然豊かな土地に棲むというより都市で生き残れなかっただけかもしれない。

「ゆびゅっ!?」

そこに何も無かったかのように少女の目の前を車が通り過ぎて行った。
親れいむがいた所に残されているのは、親ゆっくり1匹分の餡子と皮。
ゆっくりが現れてからは珍しくない光景だ。
後に残されたのは子ゆっくり2匹と、登校中の少女が一人。
ソフトボール大の子れいむと子まりさは目の前の状況に頭が追いついていないようだ。
「「・・・ゆ?」」
「・・・」
いくら郊外とはいえ、道路の上に饅頭がおいてあればこうなる。
「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! おかあさんがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
「ゆうううう!!? どお゛ぢでえええええええええ゛え゛え゛え゛!!!!?」

「・・・・・・ごめんね、気づいてあげられなくて」
「ゆっぐ、ゆっぐ」
「ゆうぅうぅ・・・」


落ち着いたようなので、話を聞いてみることにした。
「どうして道路でゆっくりしてたの? 危ないよ?」
「どうろなんてしらないんだぜ! ・・・ゆっくりおやについてきただけなんだぜ・・・」
どうやらこの家族は車道についての知識がなかったらしい。
詳しく聞けば、以前は親まりさとたくさんの姉妹がいたが、
今日までに親れいむ1匹に子ゆっくり2匹の3人家族までに減ってしまったらしい。
あ、もう2匹か。
山でゆっくりできなかった家族が、ゆっくりを求めて降りてきたといった所か。
ゆっくりという生物は人間は元より、同サイズの野生動物と比べても脆弱であり、
子ゆっくり2匹がこの先生きのこるのは絶望的といえた。


「まりさ・・・。これからどうしよう?」
「ゆ・・・。ごはんのとりかたもわからないんだぜ・・・」

状況を察した少女が声を掛ける。彼女には当てがあった。
「ねね」
「「ゆ?」」
「良かったら私たちの学校に住まない? クラスで2匹、ゆっくりを飼う予定なの
 君たちが来てくれれば、ちょうどいいんだけどな~」
「かうってなんなのぜ?」
「ゆっくりできる?」
少女が通う学校では命の尊さを学ぶため、学級毎に動物を飼うことが推奨されている。
彼女の学級では担任の愛子先生の強い希望で、近々ゆっくりを飼う事になっていた。
「うーん、毎日いっぱいご飯もらえて、みんなにかわいがってもらえると思うよー」
「「ゆゆ!!」」
途端に目を輝かせる子ゆっくり達。
明日からどうやってエサを確保すればいいのかも分からないゆっくりにとって、
これ以上ないほどゆっくり出来る条件に思えた。となれば乗らない手は無い。
「「ゆっくりつれていってね!!」」
「うん、任せて」
この子たちだけはゆっくりさせてあげよう。
そう思って少女は子ゆっくり達を力いっぱい抱きかかえた。
あの車のような理不尽な暴力から守ってあげる、と言わんばかりにきつく・・・。
「・・・!」
「・・・!」
「・・・・・・!!」
「・・・・・・!!」
「愛子先生なんていうかな~?」


「愛で子先生っ!おはようございますー!」
「おはよう。早いわね梨香さん。でも、メデコじゃなくてアイコ先生って呼びなさい」
「えー、でもその方が愛で派っぽくて先生らしいですよ~」
「・・・・・・出目金みたいでかわいくないじゃない(ボソ)」
「? なにかいいました?」
「なんでもないわ。ところで、さっきから抱えてるのって・・・」
「あ、はい! 実は・・・ってわあ!青くなってる!?」
慌ててホールドを解く少女。
「お゛ね゛え゛ざん゛の゛ゆ゛っぐり゛ごろじい゛い゛い゛ぃぃぃ!!!!」
「どぼじでごんなごどじだの゛お゛お゛お゛お゛!!?」
「ゆ゛っぐり゛あ゛や゛ま゛っでね゛ええ゛え゛え゛え゛!!!?」
「ご、ごめん、ごめんね? わざとじゃないの、ごめんなさいっ」
理不尽な暴力から開放されたゆっくりは梨香に罵詈雑言を浴びせ
少女・・・梨香はひたすら謝った。

「なるほど、それで拾ってきたのね」
「はい、ちょうど2匹ですし、他に家族もいないみたいで・・・」
「分かった。そういう事情なら野良ゆっくりを捕まえるより良いわよね」
「ありがとうございます!」
「じゃ、予定通りとりあえずはウサギ小屋に連れて行きましょう」
「あれ? 教室には連れて行かないんですか?」
「教室でおうち宣言されると困るからね。ウサギ小屋じゃ満足出来なくなるわ」
「なるほど。さすが元ブリーダーですね!」
これからのゆっくりライフに思いを馳せる2匹は、
頭上の会話などこれっぽっちも耳に入っていなかった。

「はい、ここが今日からあなたたちのおうちでーす」
「ゆー! ひろいね! ゆっくりできそう!」
「ゆゆ! わらさんがいっぱいあるよ!」
「まだ夜は寒いから寝るときはそれを使ってね。水のみ場はこっち」
「「ゆっくりりかいしたよ!!」」
「気に入ってくれたみたいね」
「ええ、よかったです」
「ゆっ? ごはんがないよ? ごはんがないとゆっくりできないよ!」
「おねえさん! まりさたちにごはんをもってくるんだぜ!!」
「後で係りになった子が持ってきてくれるから、その時にね」
「「ゆぐぐ・・・ゆっくりりかいしたよ!」」
「じゃあ、それまで3人で仲良くね!」
そう言って教師と生徒は去って行った。

「ゆゆ? さん? れいむたちはふたりだよ? おねえさんばかなの?」
「れいむ! おねえさんはいのちのおんじんなんだぜ! ばかなんていうなだぜ!」
「ゆゆっ! れいむがわるかったよ!」
「わかればいいんだぜ! れいむはゆっくりした子なんだぜ! すーりすーり♪」
「ゆゆー♪ おかあさんのぶんまでゆっくりしようねぇ! すりすりー♪」
すりすりする2匹の背後で、藁の山が、音を立てた。

「・・・そういうわけで、今日予定していたゆっくり取りは中止して、・・・」
子ゆっくりが最初に会った人間が梨香だったことは、幸運だった。
この町に限らず、山間の町村では愛で派の人間は少ない。
特に農家の人間には嫌われている。
現在でこそそれなりに対策されているが、
かつては田畑や「おうち宣言」の被害が数多くあった。
もしゆっくりが出会ったのがその被害者であったなら、最悪潰されていたかもしれない。
「梨香も物好きね~。わざわざゆっくりを拾ってくるなんて」
「久美ちゃんはゆっくり嫌いだっけ?」
「別に嫌いじゃないけど・・・。轢かれたのが猫とかじゃなくて良かったわ」

今月のゆっくり飼育係は、先生の話を聞いていなかった2名に決まった。

がさがさっ
「「ゆ!」」
「・・・」
白い体に赤い目を持った生き物が、こちらを見つめていた。
「ゆゆ? どこから入ってきたの!?」
「ここはれいむとまりさのおうちだよ!!」
「ゆっくりでていってね!」
「でていってね!!」

白い生き物-この小屋の先住民であるウサギは、だまってゆっくりを観察していた。
ひくひくひくひく
「きいてるの!! ゆっく・・・ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛!?」
「どうしたのまりさ! ・・・ゆああああああ゛あ゛あ゛!?」
ウサギの鼻は結構高速で動く。
ゆっくりからしてみれば、とてもゆっくりしていない。
直視に耐えられる光景ではなかった。
ひくひくひくひくひくひく...
「ゆっくりしてね! ゆっくりしていってね!!」
「ゆっくりやめていってね!! もっとゆっくりうごいてね!!」
ヒクヒクヒクヒクヒクヒクヒクヒクヒク...
「「どぼじてゆ゛っぐりじでぐれない゛の゛お゛お゛お゛お゛!?」」
ウサギにゆっくりの言葉が通じるはずもない。
目を逸らせば良さそうなものだが、全く気づいていないようだった。

「ゆっくりー、どうしたの?」
「ゆっくりしてないなー」
心配そうにウサギ小屋を覗き込む少女と、どうでもいいと言わんばかりの態度の少女。
「お゛ね゛え゛ざん゛ん゛ん゛!! どういうごとな゛の゛おおおお!?」
「しろいのがいでゆっくりできないよお゛お゛お゛お゛!!!」
「ここからだして!! おうちかえる!!」
「あれ、言ってなかったっけ。ゆっくりを飼える大きい部屋がここしかないの」
ここから出ても生きていけないことを知っている少女達はゆっくりをなだめる。
「落ち着いて、ウサギさんは怖くないよ」
「ほら、エサ持ってきたよ」
「ゆ! やさいさんだ!!」
嘘泣きをしている子供よりも切り替えが早い。
「すごくゆっくりできるたべものだよー!!」
どうやら野菜の味を知っているらしい。
他の家族が全滅した理由と関係があるのだろうか。

「はい、どうぞ」
金網越しに、小屋の中へ細長く切った野菜を差し入れられる。
「ゆー! ゆっくりたべりゅぶっ!?」
「れいぶう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!?」
野菜の前で待機していたれいむを踏み台に、ウサギが野菜にかじりついた。
「あ、ウサギさんにたべられちゃった」
「どおしでごんなことする゛の゛おおおおお!?」
「いや、もともとウサギのえさだし。喧嘩すんなよ」
「ごめんね、でも大丈夫。いっぱいもってきたから」
「ゆぐぐ・・・。おねえさん! つぎはまりさたちにちょうだいね!!」
「ゆ゛・・・はやくおりてええぇえ゛ぇ!」

「うさぎさんはあっちいってね!!」
「まりさのごはんとらないでね!! とらねいでねえええ!?」
「ゆぎゃ!!」
「いつまでたべてるの゛お゛お゛お゛お゛お゛!!?」
それから、何度えさを差し入れても、全てウサギが食べてしまうのであった。

「えさ、なくなったね」
「うー、こんなはずじゃなかったんだけどな。ごめんね?」
「ゆっぐりでぎな゛い゛い゛い゛い゛い゛!!」
「たべさせてよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!」
「次から小屋の中で直接あげよっか」
「そうする・・・」
元ブリーダーの先生がいれば、もっとうまく面倒を見ることが出来る。
しかし、これは生徒達が命の尊さを学ぶ為に与えられた機会。
生徒達が試行錯誤し、自ら成長することこそが重要で
結果的に生き物が死んでしまったとしても、有意義な経験になる。
そのため、愛子先生を含めた職員達は、基本的に手を出さないことになっているのだ。

「じゃあ、また放課後に来るね」
「ゆ゛!? おいでがないでね゛え゛え゛え゛え゛!?」
「ほんとにうるさいなー。あんなののどこが好きなの?」
「まだごはんたべでないよお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!?」
「んーとねー・・・」

「「ゆ゛っぐりざせでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!」」
2匹の叫びを聞くものは同居人のウサギだけだった。





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最終更新:2022年01月31日 03:15
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