その他 ゆっくり小ネタ

「ゆっくりしていってね!」
「…………あー」

家に帰ったらゆっくりがいた。
胡椒切らして往復5分だからと鍵かけて行かなかったのが悪かったのか。
家を空けていた時間が短かったせいか、幸い家は荒らされていないようだ。

「おにいさん、ここはまりさのゆっくりぷれいすだよ!はやく「はいはいゆっくりゆっくり」ゆっなにするの!ゆっくりはなしてね!」

生憎透明な箱なんてもんはないので畳んでいなかった段ボール箱に放り込む。
すぐに潰そうかとも思ったが今はまず飯を作る方が先だ。
段ボールの中でゆっくりが騒いでいるが無視だ無視。

もやしを洗ってハムとキャベツと人参を適当な大きさに切ってフライパンに油をひく。
後はフライパンが十分に温まったら硬い物から入れて炒めるだけだ。
ふとゆっくりを見るとこちらを見て涎を垂らしていた……それを見てむくむくと悪戯心が沸く。

「おいゆっくり、これ食べたいか?」
「ゆゆっ、ゆっくりたべさせてね!」

ゆっくりの前に切ったハムを一枚ぷらぷらと摘まんで差し出す。
左右に動かすとゆっくりが動いてそれを必死に食べようとする。
ねこじゃらしを目の前に出された猫みたいで面白い……やっべ、テンション上がってきた!

「それそれそれ!」
「ゆっゆっゆっ!」
「そーらっ!」
「ゆーっ!!」

散々じらした末に、思わずハムを摘まんでいた手を思いっきり上に上げる。
それに応じて何とゆっくりも段ボール箱から飛び跳ねて大きく跳躍し……ってあれ?

「ゆがぁぁぁぁぁぁっ!?」
「うぉぉぉぉぉぉぉっ!? 水っ!水っ!!」

限界を超えたゆっくりは俺の腕を越えてその後ろに位置していたフライパンの上に着地。
既に煙が出る程に熱されていたフライパンはいともあっさりとゆっくりの底を焼き、髪と帽子にまで引火した。
その惨状に慌てて水を汲んでゆっくりに目掛けてぶっかける……って、あ。

「ゆごごぉぉぉぉぉっぉぉっぉっぉっ!?」
「あづぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!?」

そりゃ十分に熱した油に水ぶっかければ跳ねまくるよなぁ、とパニックになった自分を何処か冷静に見ている俺がいる。
そして耐え切れなくなったゆっくりは最後の力を使ってフライパンの上から跳躍し……まとめて置いてあった調味料に激突した。
胡椒、七味、塩……様々な瓶が宙を舞い、そしてゆっくりに向かってその中身をぶちまけ、火傷した饅頭肌に致命傷を与える!

「ゆ゛っ゛がらっいだいぃぃっ゛!?」
「だ、大丈夫か!?」
「ゆ゛っ゛おに゛いざんだずげでね゛ゆっぐりでぎな゛……ゆ゛っ!?」
「お、おいどうした!?」
「ゆ゛っ゛、ゆ゛っ゛、ゆ゛っ゛っ゛ぐしょぉぉぉぉぉぉん!」
「うぉぉぉぉぉぉっ!?」

クシャミだ。ゆっくりに降りかかった胡椒がクシャミを誘発し、そのクシャミと共に多量の餡子が吐き出されてくる。
手で口を抑えずにクシャミをすると鼻水や唾が飛ぶのと同じ要領で、ゆっくりの口から餡子が吐き出されたのだ!

「もっ゛どゆ゛っ゛ぐり……じだがっだよぉ゛……」

それが致命量の餡子を吐き出したゆっくりの、最後の言葉となった。




「………………」

俺はゆっくりが息絶えた後も呆然としていた。
ぶちまけられた調味料、餡子まみれの野菜とハム、いまだバチバチいってるフライパン、そして息絶えたゆっくりの死骸。

「……クシャミで死ぬって、ゆっくりはホント難儀な生き物なんだなぁ」

混乱した思考の中で俺は、そんな言葉をゆっくりと吐き出したのだった。


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なんかゆっくりが勢い良くくしゃみしたら餡子吐き出しそうだなぁ、と思ったのでついかっとなって書いた。

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最終更新:2008年10月28日 16:09
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