※現在の地球とは少しだけ軸がずれたパラレルワールドだと思ってください
※ゆる虐待は多少ありますが、愚鈍で高慢なゆっくりをボコボコにしたい方には合わないと思います。箸休めにどうぞ。
※お兄さんと劇中の飼われゆっくりは仲が良いです
※作品中に登場する会社名等は実在のものとは一切関係がありません
ゆっくりが出現して20年程、元々は野山に住んでいたゆっくりは徐々に人里に下りていき、街へも進出しだした。
当初はゴミを荒らし、住居に侵入したりとやりたい放題であったが、当然ながらそういったゆっくりは人間によって即処分される。
その結果、(ゆっくりにしては)頭がよく賢い、それでいて比較的気性の穏やかなゆっくりが残り、そして繁殖を繰り返した。
頭がが良く穏やかなゆっくりであれば当然人間に迷惑をかけることも少ない。となると殺されることも少なくなる。
街ゆっくりは今では人間の(それなりに)良きパートナーとして生き残っていた。
「ただいま」
男がそう言い玄関の戸を開けるとまりさが廊下をぴょんぴょん跳ねながらやってきた。
「ゆっくりおかえり!!」
このまりさはもう1年ほど前から男が飼っているゆっくりだ。野良犬に襲われていた横を通りがかっただけなのだが
なぜか犬がそのまま逃げてしまいまりさは男のおかげだと泣きながら感謝し、それから懐いてしまったのだ。
どうやら飼いゆっくりだったらしいのだが、飼い主の事情で捨てられてしまったらしい。
変に媚びることもなく淡々と語るまりさを見て最初は「まぁいいか」くらいの気持ちでペットにしたのだが、
実際は一人暮らしの寂しさを紛らわせたかったのだ。
今となってはペットというよりは居候といった感じだが。
「ゆっ!おつかれさま!おみやげは?おみやげは?」
「あ?別に出張でもないし特に何もないぞ。つうかおまえ毎日それだな!」
「ゆぐっ・・・だってまいにちひまだし・・・おにいさんおかねくれないからあそびにもいけないし・・・」
そう言ってまりさは口をとんがらせてすねていた。
人間の社会に入り込んだゆっくりは貨幣の概念を理解している。ゆっくり用のグッズを販売する店や
ゆっくり用のレジャー施設も存在し、ゆっくりだけで買い物に行っても極普通に対応してもらえるので
お小遣いを与えられたラッキーなゆっくりでいつもごった返していた。
「働かざるもの食うべからずという言葉を知っているか。」
「ゆぅ・・・おにーさんからなんどもきかされたからしってるよ・・・」
「ならそういうことだ。三食屋根付きなだけでもありがたいと思うように。」
この社会にも野良ゆっくりは存在する。昔に比べて賢いゆっくりが増えた分人間もそれ相応の対策はとってある。
ゴミ捨て場などもカラスはもとよりゆっくりにも破られないようにいろいろ改良がなされている。
となるとそこらの雑草や花を食べるしかない。だが賢くなったゆっくりは人間の所有する整備された花や植物を
勝手に食べるとどうなるかは知っていた。よほど危機的な状況ならば分からないが、まずそういった愚挙は犯さない。
まりさはそういった行為をしでかした野良ゆっくりが目の前で潰されたり保健所に連れて行かれた場面を何度か見ている。
そんな生活はごめんだった。
中には人通りの多い場所で物乞いをするゆっくりもいたが、同情を誘うためか酷く汚れていたり、自ら片目を潰したり
するゆっくりが大半だ。まりさにはとてもそんなことはできない。
家に置いてもらい食事まで頂戴していることはありがたいとは思っていたが、ゆっくりはゆっくりなりに欲もある。
雑誌を見たりテレビをつければゆっくり用おもちゃの広告やらなんやらでその欲求を無駄に刺激するのだった。
食事を済ませ風呂から上がりパンツ一丁の男はまりさと居間でテレビを見ながらゴロゴロしている。
おやつの笛ラムネを口にしたまりさはピープー音をたてていたので「うるさい」と言われ男に足で軽く蹴られた。
「ゆっくり王国」
まりさが一番好きな番組だ。色々なゆっくりやその生活を取り上げる番組だ。
オープニング
タイトルが消えた後スタジオには中に人間が入っている巨大れいむとまりさのきぐるみがドスンドスンと
飛び跳ねている。
その中のコーナーの一つ「ゆっくりお宅拝見!」が始まった。
さまざまなゆっくりが人間の家で暮らしている様子を映し出している。
「この貧乏芸人の家で飼われてるれいむは悲惨だなぁ・・・おい見ろよなんだあの尋常じゃない色の布団のしみは」
「ゆぐ・・・あんなところでねたらかゆいかゆいだね」
「このゆっくり腹話術ってれいむの下から手つっこんでないか?」
「かんぜんにいっちゃってるね!このれいむはもうはいじんだよ!おおこわいこわい」
どうでもいいような話をしながらだらだらする一人と一匹。まりさは笛ラムネを歯で縦に割りバリバリと食べていた。
ボフッ
男が寝たまま放った屁をまともにくらい、「ゆぎゃあ!」と叫び後ろにのけぞるまりさ。
バシンバシンとまりさが尻に体当たりを始める。
「ブーブーはむこうむいてしてっていったでしょ!!!」
ゆっへっへとふざけて笑った男が再びまりさが体当たりしてきたタイミングでブッともう一発おみまいした。
「ゆぎゃぎゃぎゃ!!!」
ごろんごろんと転がるまりさ。
「へこきれみりゃはしね!」
鉢植えの土に敷いていた小石を口に含み男の尻めがけて吹き付ける。さすがに尻への体当たりは危険度が大きいことに気づいたようだ
「こらー散らばすなー、って、おいそんなことよりこのまりさすごいぞ。見ろ見ろ。」
テレビでは既に違うゆっくりが紹介されている。
大金持ちに飼われているゆっくりだった。
お城のような家で飼われているまりさがそこにいた。髪の毛の艶もすばらしく、肌の張りもステキだ。
まりさはテレビを見ながらボーっとして咥えていた小石をぽとりと落としてしまう。
「すごいゆっくりだね・・・まりさのようなしょみんとはべつじげんだよ・・・」
「庶民で悪かったな」
男は貧しいわけではない。むしろ普通より多く稼いでいた。ただ、贅沢を好まない性格なので飾り立てたり
無駄遣いをしないだけだった。単にケチというだけかもしれないが。
ただそれでもまりさ専用の部屋を用意するなどしているあたり余裕がある証でもあるのだが。
テレビの中のまりさは贅沢な装飾品を身に着けたり、高そうな食事を与えられたりしていた。
特注で作らせたゆっくり用天蓋付ベッドでくつろぐ金持ちまりさは優雅に「ゆふふふ」と笑っていた。
「おにーさん!まりさもあんなべっどほしい!!ほしい!!」
まりさは屁のことなどすっかり忘れて飛び跳ねて男に懇願している。
「おまえのベッドで充分だろが、いつも気持ちよさそうに寝てるだろ」
「ゆぐぐぐ!あのくっしょんはおにーさんがすわってぶーぶーするからくさいよ!あんなべっどのほうがいいよ!」
「だめだだめだ、そんなに欲しかったら自分で稼いだ金で買え」
「ゆぎぎぎぎ!」
歯軋りするまりさを無視して男は尻をかきつつテレビを見ている。
お宅拝見のコーナーが終わり次のコーナーへと移っていた。どこかの会社のオフィスらしい。
仕事をしている社員の後ろをゆっくりが歩いていた。
『こちらの会社では社員の癒しを目的としてゆっくりを導入しているそうです。このゆっくりれいむのお仕事は
社員を和ませること。そして簡単な雑務ならこなしちゃうんですよ~すごいですね~広報としてパンフレットにも
登場しちゃったりしています』
レポーターがそう言うと穏やかな顔つきのれいむが
「れいむのおしごとはみんなをゆっくりさせることです!ゆっくりしていってね!」
そう元気よく叫んだ。
場面が変わって休息室でコーヒーを飲んでいる社員がゆっくりの頭をなでている場面が映る。
また別のゆっくりはゆっくり用の台に乗ってコピーまで取っているではないか。
更に別のゆっくりに至っては受付に鎮座し来客に「いらっしゃいませ!」と挨拶をしている。
プレゼン資料を客の数だけまとめてホチキスで留めているゆっくりまでいた。
ひらがなくらいしか読めないゆっくりだが、同じ図柄の紙をそれぞれまとめる程度は出来るようだ。
そのゆっくりはなぜか眼鏡をかけていた。
『なんと!このゆっくり達はこの会社の社員なんです!みてくださいこの社員証を』
リボンについた社員証がアップになり、そこには「れいむ025」と書かれていた。
「このゆっくりは偉いなぁ~ちゃんと働いてるんだね~」
男は少し意地悪くそう呟く。
『しかもこの社員ゆっくりにはちゃんとお給料も出るそうなんです。すごいですね~』
男の意地悪い発言に苦虫を噛み潰したような表情をしていたまりさは「お給料」という単語に反応し、
これだっ!という顔をして叫ぶ。
「ゆゆゆゆゆ!!!!まりさもはたらく!はたらいておかねもちになる!!!」
「おまえが働く?馬鹿言うんじゃないよ。おまえ働くってどういう事かわかってるのか?あ~ん?」
足の先でまりさの頭をぐりぐりしながらからかう男。
「しつれいだね!まりさははたらきたいんだよ!おかねをかせいでおにーさんをたべさせてあげるんだから!」
「ウヒャヒャヒャ!いいねぇ~ゆっくりのヒモかぁ~やれるもんならやってみな~」
相変わらずまりさをからかい続ける男はニヤニヤと笑っていた。
ぷくーっと膨れたまりさはこう続ける。
「やってみなっていったね!?まりさほんきだよ!ほんきなんだからね!!」
男はたわごとだろうと高を括りニヤニヤしたままだった。
「あとおにーさん!ぱんつのすきまからたまたまがまるみえだよ!ぷぷっ!」
まりさの顔に真正面から蹴りが入った。
翌朝
騒がしい音がして男が目を覚ます。
「なんだこんな朝早くから・・・うるせぇな・・・」
眠い目を擦り音のする方を見るとまりさが大量の新聞紙やらちらしを広げて何やらやっている。
「・・・おまえ何やってんだ?」
「ゆっ!おはようおにーさん!まりさはおしごとのれんしゅうしてるんだよ!」
見ると顔の中央に男の足型がうっすらと残ったままのまりさが回収に出そうと部屋の隅に積んでいた新聞とチラシの山を解き、
社会面、スポーツ面、経済面、そして同じような色合いのチラシごとにそれぞれまとめていた。
「きのうのてれびであのこがやってたのとおなじことできたよ!すごいでしょ!」
まりさは腹(?)を突き出すようにしながらフガフガと鼻息を荒くしている。
「ほっほー・・・おまえなかなかやるなぁ。つうか本気で働きたいのか?」
「ゆっきーーー!!ほんきだっていったでしょ!」
体を膨らませ抗議の意を表すまりさ。朝からかなりテンションが上がっている。
「ふうむ・・・よしわかった。そこまで言うなら試してみるか。ただしやるからには本気でやれよ」
まりさの熱意に男が折れた。あっさりと男が働くことを許可したせいかまりさは一瞬ぽかんと口を開けたままで
男を見つめていたが、その意味を理解し次の瞬間パァァと顔が明るくなり、体を縦に伸ばしてクネクネとねじり始める。
「ゆっきゃあああ!!これでまりさもおかねもちだね!!」
どうやら喜びの意思表示らしい。
その様子は少しキモかった。
「さて、んでどこで働くつもりなんだ?」
「ゆっ、きのうてれびでやってたところがいいよ!」
「昨日の?どこだっけ・・・ああ、日本ミラクルか。確か最近青山に自社ビル建てたんだっけかな・・・青山なら通勤途中だし
まぁいいか・・・どれどれ」
PCを起動しブラウザから会社のサイトを開き「採用情報」をクリックする。
新卒採用、中途採用、障がい者採用・・・・ゆっくり採用
思わず飲んでいたお茶をブッと噴出す。
わかっていて開いたページだが改めて「ゆっくり採用」などと書かれていると滑稽で仕方が無い。
「ゆっくり採用専用ページ」をクリックすると、微笑んだまりさとれいむが「ゆっくりはたらこうね!」という台詞と
共に表示された。
「ゆっーー!!!すごくゆっくりしてそうだよ!おにーさんはやくはやく!」
いつのまにか机の上に上り一緒にモニタを見ていたまりさが興奮気味に男をせかす。
【職務内容】
- 社員に対する福利厚生を目的とした活動全般
- 広報活動へのサポート
- 平易な雑務(能力による)
【応募資格】
年齢:成体ゆっくり
経験:問わず(労働経験あれば尚可)
その他:飼いゆっくり登録済み、穏やかな気性、協調性必須、ありす種は去勢済みであること
【語学力】
ひらがなの読解力(漢字、英語の読解力があれば尚可)
【勤務時間】
3日~5日/週
9:00-17:30
【待遇】
15,000円~/月(昇給あり)
契約社員
「うわぁ、割と本格的だな・・・ところで英語を話せるゆっくりはいるのだろうか・・・?」
「おにーさん!どうなの?まりさだいじょうぶ?」
モニタの横でぼよんぼよんと跳ねながらはしゃぐまりさ。
うるさいので頭を手でぎゅうと押し付けながら詳細を確認する。
「ふうむ・・・一応おまえは条件的にはクリアはしているな。おい、おまえ協調性あるのか?」
「ぐむむびゅ・・・ぎょーぢょーぜいでなあに」
押さえつけられたままのまりさが半分潰れたまま質問する。いつもならこんなことするとすぐに怒り出すまりさだったが
今は希望に満ちているのか気にもとめてないようだった。
「ああ、すまんすまん、ええと他のゆっくりや人間と一緒に仲良くしたり、いう事聞いたりできるのか?」
「もちろんだよ!まりさはともだちのれいむやぱちゅりーとなかよくしてるよ!それにおにーさんみたいな
いじめっこのいうこともちゃんときいて・・・」
再び手で押さえつけられてむぎゅうと言って黙る。
「まぁ確かにそうだな、おまえは他のゆっくりとも喧嘩しないし大丈夫かなぁ~って、あ・・・」
【今期のゆっくり採用の募集は終了しました】
「ハイ残念でした・・・・もう募集は終わったってさ。」
「ゆがーん・・・!!!」
ショックでそのまま机の上からぼたっと床に落ちる。
「ゆっくりした結果がこれだったな。」
落胆したまりさはしばらくふてくされて横になり、ぐでっと溶けたアイスクリームみたいになっていたが
のそりと起きると男に向かって口の端をゆがめてこう言った。
「・・・はたらいたらまけかなっておもってるよ・・・」
おしまい
続く(のか?)
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あとがき
虐待らしい虐待がありませんでしたが、まぁこういうのもいいかなと思いました。
斬新な虐待方法が浮かばなかったというのもありますが。
飛び散る餡子を望んでいた方々申し訳ない。
これまでに書いたもの
うんうんの報い
ゆっくり罠地獄その1
by ゆっくりジェントルマン
最終更新:2008年11月14日 04:28