ツェさんにはすまないと思ってる。
でも、やるならやってやれってきもけ――Caved!!!!
シャッターチャンス勝手に後日談
れいむが大好きで写真好きのこの男、最近「ぶろぐ」というものが流行っていると聞いたので自分もやってみることにした。
ぶろぐの内容はもちろん、可愛い可愛いれいむの写真である。
先日の撮影会で撮りまくった画像もすでに公開済み。
これで、れいむ好きの人たちとの交流がさらに広がるといいな、とわくわくしていた。
撮影会の画像を公開した翌日に、早速感想のメールがきていたので読んでみることにした。
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subject:れいむちゃんの写真の感想です
from:れいむめでにぃ
写真好きおにいさん殿
はじめまして、れいむめでにぃと申します。
ぶろぐを拝見して、可愛いれいむちゃんの写真をいっぱい見せていただきました。
可愛いれいむちゃんの写真に癒されましたが、気になることがあるのでお伝えしたいと思います。
もし、既に知っていらっしゃるようであれば聞き流していただいてかまいません。
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「なななな、なんだろう? もしかして僕が気付いていないだけで、可愛いれいむに怪我でもあったのか!?」
と男は慌てて先を読み進んだ。
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れいむちゃんはリボンが無いようですが、これは生まれつきでしょうか?
私も詳しくは知らないのですが、ゆっくりにとって髪飾りにはとても大事な物みたいです。
先日、うちのれいむのリボンが破けてしまったので、新しいリボンを買うまでほどいていました。
その間ずっと、れいむは外に出ることを非常に嫌がっていました。
ゆっくりが髪飾りをしないということは、とても恥ずかしいことのようです。
稀に生まれる髪飾りのないゆっくりを他のゆっくりから離して育てると、そのことを知らずに育ってしまうことが有るそうです。
写真好きおにいさん殿のれいむちゃんは大丈夫でしょうか?
ぶろぐの写真を拝見すると、先日の撮影会のあとからの写真は、れいむちゃんが恥ずかしがっているような気がするのですが?
もしかしたら、撮影会の時に初めて他のゆっくりと会わせたのではないでしょうか?
もしよろしければ、れいむちゃんにリボンを付けてあげてみてください。
それでは失礼いたします。
From:れいむめでにぃ
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メールの内容に男は驚いた。
「な、なんだってーーーー!!」
そういえば最近れいむは、写真を撮ろうとすると逃げようとするようになった気がする。
僕に対しても微妙に目線をあわせようとしない気が……
これはいけない、早速確かめなければ!!
男は部屋の隅に鎮座した、猫ハウスならぬゆっくりハウスの前に腰を下ろした。
「おーい、れいむ! おにいさんはれいむに聞きたいことがあります」
と、ゆっくりハウスに引き篭もっているれいむに呼びかける。
「ゆっ、 おしゃしんとろうとするかられいむはでないよ!」
入り口を覗きこむと、れいむは奥で丸まって――もともと丸いが――出てこようとしない。
「れいむ、もしかしてさいきん機嫌がわるいのは、おリボンが無いからなのかい?」
「ゆゆっ! おにいさんやっとわかってくれたんだね!」
「そうだったらおリボンを買ってあげるから出ておいで。どんなのが良いか一緒に選ぼう」
「ゆ~ん、れいむはかわいいおりぼんがほしいよ!」
ゆっくりハウスから這い出したれいむは、ゆゆ~んと男の膝の上に飛び乗った。
「それじゃあ、どんなおリボンがれいむに似合うかみてみようか」
男はれいむを抱え上げると、パソコンの前に座ってブラウザを立ち上げた。
「えーと、”ゆっくり リボン”とかで検索すれば――っと、いっぱいあるな」
「ゆ~ん、きれいなおりぼんがいっぱいだよ!!」
「うーん、れいむにはこの白いリボンが……いや、それともこちらの黄色いリボンの方が……」
男が、マウスをくりっくすると画面に次々とリボンを表示されていく。
「ゆゆゆっ!! れいむこのおりぼんがいいよ! ひらひらでかわいいよ!」
れいむが身をのりだして「ゆっくり! ゆっくり!」と言い出したリボンは、黒のシルク生地に綺麗なレースが付いたリボンだった。
「れいむはこれがいいのかな? うん、黒いリボンもお嬢様って感じでれいむによく似合うあうな」
リボンの値段を確認すると少々値が張ったが、れいむの初めてのリボンになるのでこれぐらいなら良いだろうと購入することにした。
「――ん、これはゆっくり用じゃないな。」
どうやらゆっくり専門店ではなく一般の服飾店だったみたいだが、べつに問題ないだろうと男は購入ボタンを押した。
「よし、明後日には届くからな、たのしみにしてろよ!」
「ゆ~、まちどおしいよぉ~♪」
久しぶりの「ゆっくり~♪」の声とれいむの満面の笑顔に、男は思わずカメラに手を伸ばしシャッターを押していた。
パシャッ!
「おにいさぁああああああん!! なんでしゃしんとるのぉおおおおおおおお!!!!」
数日後、男が手に提げたゆっくり移動用のバスケットの中から、「ゆゆゆ~♪」というれいむの歌声が流れていた。
男にリボンをつけてもらったれいむはご機嫌だった。
今日は近所の公園というところで、この前会ったゆっくりたちと会えるらしい。
前のときと違って今度はしっかりとおリボンをつけているので、きっとみんなとゆっくりできるはずだ。
「ゆー! 今日はみんなといっぱいゆっくりするよ~♪」
男が公園に着くと、前回のメンバーが既に数人集まっていた。
自分のゆっくりたちを離して、目の届く範囲で思い思いに遊ばせている。
「すいません、遅くなりまして」
と挨拶をして、男はバスケットかられいむを取り出した。
「おや、今日はれいむちゃんはリボンをつけているんですね」
「ええ、どうやらリボンをしていないと恥ずかしいらしくって」
「いやぁ、よく似合ってますよ」
「ありがとうございます。――ほら、れいむ、遊んでおいで」
男がれいむをやさしく地面に下ろすと、れいむは他のゆっくりの所へと飛び跳ねていった。
「ゆっくりしていってね!!」
れいむは遊んでいるゆっくりたちの前に来ると元気に挨拶をした。
「・・・・・・」
「ゆゆっ、きょうはちゃんとおりぼんをつけてきたよ。みんなゆっくりれいむとあそんでね!!」
そう言って、れいむがぴょんと跳ねると、ゆっくりたちはれいむから一歩後ずさった。
「ゆゆっ、みんなどうしたの?」
「ゆっ、またあのゆっくりがきたよ」
「あんなえっちなかみかざりをつけてるなんて、はずかしいわ!」
「わかるよー! いんらんなんだねー!」
「むきゅ! まりさいったいどこをみているのかしら!!」
「まりさはなにもみていないんだぜ! ほんとだぜ!」
「おお、ひわいひわい」
「ゆうーっ!! どうしてそういうこというのぉおおおおおお!!!!」
れいむには皆の反応が理解できなかった。
自分はちゃんと綺麗なおリボンをつけているのに、なぜこんなことを言われるのだろうか?
実は、赤ゆっくりのころから男に飼われていたれいむの感性は、ゆっくりの感性とは少しずれていた。
男と同じテレビをみて、人間の読む雑誌を読んで育ったれいむの感性は、ゆっくりよりも人間よりになっていたのである。
れいむが綺麗で可愛いと思った黒いシルクとレースのおリボンだが、ゆっくりの感性からするとまるで勝負下着のようなえっちな姿だったのだ。
れいむを見たゆっくりたちの目には、れいむはまるでコールガールのように映っていたのである。
「ゆぇえええええええん!! ゆっくりしてよぉおおおおお!!!!」
昼下がりの公園に、れいむの叫び声がむなしく響き渡るのだった。
「ゆゆぅぅうう……」
楽しそうに遊んでいるゆっくりたちから少しはなれたところに、れいむはポツリと佇んでいた。
その目じりにはうっすらと涙が浮かんでいる。
れいむの飼い主の男は、サークル仲間とのゆっくり談義に気をとられて気がついていない。
「ゆっくりしていってね」
「ゆっ?」
と、そのれいむに一匹のゆっくりありすが声をかけてきた。
ありすはれいむより年上で、手入れの行き届いた綺麗な金髪でゆっくり目にみてもかなりの美ありすだった。
その様子を見た他のゆっくりたちは「またありすのびょうきがでたんだぜ!」とひそひそ話していたが、れいむは気がつかなかった。
「どうしたのれいむ、ゆっくりできてる?」
「ゆうぅう、ゆっくりできないよぉ。せっかくおりぼんつけてきたのに……みんなゆっくりしてくれないのぉおおおお!」
「あらあら、そんなことなわよ。とってもとかいはなおりぼんですてきよ ――ハァハァ」
「ゆっ! ほんとう? ありすおねえさん……」
「ええ、だからないていないでいっしょにゆっくりしましょう」
「ゆ~ん、れいむはありすおねえさんとゆっくりするよ!!」
れいむはうれしくなって、ありすに頬を摺り寄せた。
「ゆ~♪ ゆっくり~♪」
「かわいいわよれいむ、ありすおねえさんとす~りす~りしましょうね ――ハァハァ」
「ゆ~ん♪ す~りす~り♪」
「ありすおねえさんがやさしくしてあげるわ。 す~りす~りす~りす~り ――ハァハァ」
「ゆゆぅ~? れいむなんかへんなきぶんになってきたよ?」
「とかいはなりぼんのれいむかわいいわぁ ――ハァハァハァハァ」
「ゆゆっ! ありすおねえさんちょっとす~りす~りとめてね!!」
「そんなこといっても、あんこはしょうじきよぉ~ ――ハァハァハァハァ」
「ゆぅうううううううう!! もうやめてぇええええええええ!!」
「こわくないからだいじょうぶよぉ、いっしょにすっきりしましょうねぇ!! す~りす~り ――ハァハァハァハァハァ」
「どしてやめてくれないのぉおおおおお!! おにいさぁあああああああん、たすけてぇえええええええええ!!!!」
ゆっくり談義を楽しんでいた男は、今日はまだ写真を撮っていないことに気がついた。
「写真を撮るのを忘れてましたよ。僕のれいむはどこかな?」
「あそこでうちのありすとじゃれ合ってるみたいですね」
男が目を向けた先には、話し相手の飼いゆっくりありすと、頬をよせあっているれいむがいた。
ゆっくり主観では、年上のお姉さんありすがまだ若い蕾のれいむを手篭めにしている真っ最中である。
だが、男の目には二匹が仲むつまじくじゃれあっているようにしか見えなかった。
「おおっ! これはシャッターチャンスですね! れいむー、こっちむいてー!」
と男がカメラを構える。
「ゆぇえええええん!! おにいさんたすけでよぉおおおおお!!!」
パシャッ!
「どぉしてしゃしんとるのぉおおおおおお!!!」
パシャッ!
「いやあああああああああ!! れいむのはずかしいしゃしんとらないでえええええええ!!!!」
「みられたほうがよいなんて、れいむはいけないゆっくりね!! す~りす~り」
「ゆぁああああああ!! ちがうのぉおおおおおおおおおお!!!!!!」
昼下がりの公園に、再びれいむの叫び声がむなしく響き渡るのだった。
最終更新:2008年12月08日 09:10