ゆっくりいじめ系1781 ゆーてぃんぐレンジ 前編

#現代設定・改正銃刀法後・赤ゆ
※エアガンはルールを守って遊びましょう。



ゆーてぃんぐレンジ 前編


 『ここで天気予報です。関東地方に昨晩から降り続いている雨は、今日も夜まで降り続け――』

 テレビから流れてくるお天気お姉さんの声が、今日は一日中雨だということを告げていた。
 天気が晴れていれば、月に一、二回ほど開催される仲間内でのサバイバルゲームに参加する予定だったのだが、メールチェックをしたところ本日のゲームは中止にすると連絡が来ていた。
 そのため、不本意ながら今日は一日中暇になってしまった。装備を一式準備して銃の整備までしたのに、何もしないのは何か損したような気分になる。

「ゆーてぃんぐにでもいくかな」

 そう呟くと、男は荷物を車に積み込んだ。


 男の自宅から車まで十五分ほど走ったところに『ゆーてぃんぐ』はあった。
 以前はバッティングセンターか何かが在ったと思うのだが、今はプレハブのそれなりにしっかりした建物が建っている。
 駐車場には『ゆーてぃんぐ(ゆっくり シューティングレンジ)』の看板が立っていた。『ゆーてぃんぐ』とは、『ゆっくりシューティング』の略称であり、店の名前でもあるのだ。

 男は大きめのバッグと一メートル強のキャリングケースをトランクから出すと、担いで受付へと向かった。

「あら、ひさしぶりですね」

 受付には何度か利用して顔なじみになった受付嬢がいた。一度だけ、彼女とゆーてぃんぐをしたことがあるのだが、射撃中の表情が非常に危なかった覚えがある。いわゆる『虐姉』というやつなのかもしれない。

「きょうは雨でゲームが流れちゃったからね」

 男は会員証を掲示して、レンジの空きを訊いた。

「そうですね、ショートとロングのどちらも空いてますね」

 シューティングレンジはハンドガン用に五メートルのショートレンジと、長物用に十メートルのロングレンジが用意されている。ロングレンジには幅が普通の倍あるワイドレンジも少数用意されている。
 使用料はショートレンジが安いが、ロングレンジならハンドガンでも長物でもどちらでも遊ぶことができる。

「ありすとぱちゅりー用の新しいレンジを造ったんですけど、試してみます?」

 一般的にゆーてぃんぐでは、ターゲットにまりさ種とれいむ種の二種類が使用されている。何故かと言うと、ありす種やぱちゅりー種などの内容物がクリームのゆっくりだと、ゲーム後の清掃が大変だからである。
 説明を聞いてみると、この二種類用に水洗いできるレンジを新しく造ったらしい。防水加工やシャワーの設置費用の分、普通のレンジより料金は少々高くなっている。

「いや、今日はロングレンジでいいよ。時間は二時間かな」
「はい、それじゃ二番のレンジでお願いしますね」

 料金を払ってカードキーを受け取ると、男は荷物を持ってレンジへと移動した。
 カードキーでロックを解除してドアを開ける。レンジは幅一.五メートル奥行きが十五メートルほどの長方形の部屋になっている。
 手前の二メートルが射撃ブースとなり、テーブルや椅子などが置いてある。テーブルの上にはモニターとスピーカ、マイクなどの機器が設置してあった。
 その十メートルほど先に高さ一メートル奥行き一.五メートルほどの射撃台があり、ここがターゲットフィールドとなる。台の手前五十センチは、ターゲットとなるゆっくりが逃げないように突起の生えたゆっくり避けシートが敷いてある。

 一番のレンジでは既に先客が遊んでいるようだが、隣のレンジの音が聞こえるようなことは無い。
 ターゲットに隣の音が聞こえないように、防音はしっかり考慮されているのだ。

 男はキャリーケースから愛用の銃を取り出すと、バッテリーとスコープをつけてテーブルの上に置いた。
 多弾装マガジンには既に満タンまで弾が入れてあるため、ゼンマイだけ巻き上る。
 続けて、ハンドガンのマガジンをにガスを入れて弾を込める。

 一通りの準備を終えた男は、内線電話を使用してフロントに弾速チェックを依頼した。
 試し撃ちをしながら待っていると、店員が弾速計を持ってやってきた。
 ライフルとハンドガンの弾側をそれぞれチェックして問題ないことを確認する。
 目安としては、0.2グラムのBB弾を使用した場合の初速が98m/s以内でないといけない。
 今回の測定ではライフルが93m/s、ハンドガンが64m/sだったので問題は無かった。
 店員に弾速チェックに合格した印として銃にシールを貼ってもらった。
 レンジで使用する銃は全て弾速チェックをしなければいけないため、今回使用する銃はこの二丁になる。


 弾速チェックを終えた男はハンドガンのマガジンを引き抜いて再度ガスと弾を込めると保温器へと放り込んだ。
 バッグから財布を取り出すと、ターゲットのゆっくりを買うためにラウンジへと向った。
 レンジの外に設置されたラウンジには、ターゲット用のゆっくりとユーティ―グレンジ用のBB弾、障害物などの小物類の自動販売機が置いてある。
 男は千円札を取り出して、一パック六匹入りのターゲットゆっくりを購入した。ターゲットゆっくりは、ピンポン玉より一回り大きくなるまで育てた赤ゆっくりを冷蔵庫で冬眠させたものだ。それが卵のパックのようなものに六匹入っている。
 改正銃刀法の施行前は子ゆっくりの販売もしていたのだが、現在は銃の威力不足のために子ゆっくりはターゲットとして使いづらくなっている。そのため、このゆーてぃんぐレンジでは子ゆっくりの販売を中止していた。
 ターゲットの次はフィールドに設置する障害物を買うことにする。男は障害物用の自動販売機の前で少し考えた後に、特殊なデンプン質素材を使用した障害物を三種類ほど購入した。


 レンジに戻った男は、冷蔵ゆっくりのパックを冬眠から覚ますため、保温器に放り込んだ。大体二分ほど温めれば目を覚ますはずだ。
 その間にターゲットフィールドを準備する事にして、先ほど購入した障害物を持って射撃台へと向った。
 購入した障害物は、U字のトンネル型の掩体壕と、赤ゆっくりがちょうど隠れるぐらいの石と衝立である。
 どちらも特殊な素材でできていて、掩体壕の方は弾が当っても簡単には貫通せずに、少しずひびが入り最後に穴があくようになっている。石の障害物は軽石のような素材になっていて、弾が当たると少しずつ削れて行く。
 掩体壕をフィールドの右側に石を左側に設置し、底面の両面テープで固定してやる。その手前に衝立型の障害物を固定せずに数個設置した。
 中央には射撃台に付属してるハード素材の掩体を設置する。
 この掩体は円錐の上部を切り取った平べったい台形になっていて、中心に赤ゆっくりが一匹隠れることができる穴が開いている。
 しかし、穴の深さは浅く、赤ゆっくりが隠れても頭頂部が外に出るようになっている。

 男はターゲットフィールドのセッティングを終えると、射撃ブースに戻って保温器からゆっくりのパックをとりだした。
 パックは程よく温まっているが、赤ゆっくりはまだ目は覚ましていないようである。
 もしかしたら、一度目を覚ましたのだが、暖かくて心地よいために眠ってしまったのかもしれない。

 男はパックを持って再度射撃台へと向かうと、パックをあけて赤ゆっくりをフィールドに置いてやる。赤ゆっくりは、まりさ種三匹とれいむ種三匹である。
 ゆっくりをフィールドに置いたら、その脇にパックに付属しているゆっくりフードを置いてやる。冬眠から覚めたばかりのゆっくりはお腹をすかせていることが多いため、食事をさせて生きを良くするためである。
 男は射撃ブースに戻ると、テーブルの上に置かれた機器のスイッチを入れた。射撃台には高性能マイクとスピーカーが設置されているため、射撃ブースからフィールドの赤ゆっくりの声を聞いたり、話しかけたりすることができるのだ。モニターにはCCDカメラで撮影したフィールドの横からの映像を映すことができる。

 男は銃の安全装置を単発にセットすると、スコープを覗き込んだ。
 そして、マイクに向かって「ゆっくりしていってね!!」と声をかけた。

「ゆ!? ゆっくちしちぇいっちぇね!!」
「ゆゆっ、ゆっくちしちぇいっちぇね!!」

 男の声を聞いて、ゆぅゆぅと寝ていた赤ゆっくりたちが一斉に目を覚ました。

「ゆゆっ? ここはどこにゃの?」
「ゆっ! おきゃぁしゃんがいにゃいよ?」
「ゆぇ〜ん!! おきゃあしゃんどこにゃの〜!!」

 赤ゆっくりたちは知らない場所で目を覚まして困惑していた。親ゆっくりがいないことに混乱して泣き出すゆっくりもいる。
 このターゲット用ゆっくりは、ターゲットとして適当な大きさに育つまで、親ゆっくりと一緒にとてもゆっくりさせて育てている。
 何故かというと、ゆっくりとした幸せを知ったゆっくりの方が、ターゲットとして面白い反応を楽しむことができるからだ。
 不満があるとすれば赤ちゃん言葉しか話せないことだが、受付嬢が赤ゆっくりの大きさの子ゆっくりを品種改良中だと言っていたので今後に期待したい。


「ゆぅ、まりしゃはおにゃかがすいちゃよ!!」
「ゆ、れいみゅもおにゃがかすいちゃよ?」
「ゆゆっ、おいちちょうなものがあるにぇ!!」
「むーちゃ、むーちゃ……ちあわちぇ〜♪」
「ゆゆっ、まりしゃもたべるよ! むーちゃ、むーちゃ、ちあわちぇ〜♪」

 しばらくすると、お腹がすいた赤ゆっくりたちが、傍らのゆっくりフードに気がついて、む〜しゃむ〜しゃし始めた。
 このフードは通常のゆっくりフードより甘みが強くしてある。ターゲットとしての耐久性の向上と、ゆっくりした後の恐怖との落差を楽しむためである。

「ゆ〜ん、おいしかっちゃにぇ!」
「ゆゆ〜、とってもゆっきゅりしちぇるにぇ」
「ゆゆっ、れいみゅのほっぺがよごれてりゅにぇ! おねぇちゃんがぺーろぺーろしてあげりゅにぇ!!」
「ゆゆ〜ん、くしゅぐっちゃいよ!!」

 ゆっくりフードを食べ終えた赤ゆっくりたちは、お互いの口の周りについた汚れを舐め合ったりし始めた。

「ゆ? なにかおもしろちょうなものがあるよ?」

 周りにある面白そうなものに気が付いた一匹の赤まりさが、フィールドの真ん中に置かれた台形の掩体へと近づいていった。

「ゆゆ〜ん、ころころすりゅよ!!」

 赤まりさは上まで跳ね上ると、緩やかな斜面を転がり降りた。

「ゆ、まりしゃもころころすりゅよ!!」

 二匹の赤まりさが転がって遊んでいると、別の赤れいむ二匹がU字型の掩体壕に潜りこんだ。

「そりょ〜り、そりょ〜り……ゆん! ここはゆっくちしちぇるにぇ!!」
「ゆゆん! ここをれいみゅたちのゆっくちぷれいしゅにするよ!!」

 残りの赤れいむと赤まりさはフィールドの手前に並べられた遮蔽物で遊んでいた。

「ゆゆん、れいみゅはかくれりゅよ!!」
「ゆっ!! れいみゅがいなくなっちゃったよ!?」

 射撃ブースに設置されたスピーカーからは、楽しそうに遊ぶ赤ゆっくりたちの声が聞こえている。
 これだけゆっくりすれば、きっと面白い反応をしてくれるに違いない。

 男は軽く息を止めて銃身を安定させると、ゆっくりと引き金に力を込めた。




 目を覚ますと赤れいむは知らない場所にいた。
 周りをみると、一緒の茎から生まれた姉妹たちも何人かいるみたいだった。
 いったいどうして自分はここにいるのだろうかと、赤ゆっくは少ない餡子でおもいだそうとする。
 たしかお母さんや姉妹たちとゆっくりしていたら、突然狭いところに閉じ込められたのだった。
 その後、急に寒くなってきて、あまりの寒さにゆっくりできずに眠ってしまったはずだった。

 みんなでお母さんを呼びながら泣いていたが、まりさがゆっくりできる御飯をみつけたのでむーしゃむーしゃした。
 とってもゆっくりしたあまあまで、すごくゆっくりした気持ちになれた。
 お腹が一杯になったので周りを見てみると、ゆっくりと楽しそうなものがあった。
 れいむは仲の良いまりさと一緒に遊ぶことにした。
 お母さんがいないのは寂しいけど、ご飯の時間になったらきっと帰ってくるに違いないとれいむは思った。


「ゆーん、まりしゃこっちだよ!」
「ゆーっ、れいみゅをみつけちゃよ!」

 赤れいむと赤まりさは、所々に立っている衝立の周りを跳ねながら隠れんぼをしていた。

「ゆゆっ、こんどはまりしゃがかくれるにぇ!!」

 赤れいむと遊んでいた赤まりさが衝立の向こう側へと跳ねていく。

「――ゆぴゃ!!」

 赤れいむが追いかけようとしたときに、赤まりさが隠れた衝立の向こう側から変な声が聞こえた。

「ゆゆ? なんかへんにゃこえがきこえちゃよ?」

 恐る恐る赤れいむが衝立を覗き込むと、そこには見たことの無いゆっくりがいた。

「ゆぴぃいい!! まりぴゃのあちゃまがいちゃいよ……にゃんでにゃの……」
「ゆゆっ、へんにゃこがいるよ!! ゆっくちできないゆっくちはあっちいっちぇにぇ!!」

 れいむの目の前には髪飾りのないへんなゆっくりがいた。
 へんなゆっくりは頭の天辺から餡子がこぼれていて、そのためか上手く発音できないようだった。

「ゆぴゅ!! まりぴゃだよ!! れいぴゅはゆっくちあやまっちぇね!!」
「ゆっ!! まりしゃじゃないよ!! まりしゃにはおぼうしがあるよ!!」

 赤れいむの指摘されて赤まりさが視線を上に上げると、そこにはあるはずの素敵なお帽子の姿が無かった

「ゆぴっっ!! まりぴゃのおぼうしがにゃいぴょ!! 

 あわてて周りを見回すと、少し離れたところにお帽子が落っこちていた。

「ゆっ、まりぴゃのおぼうしどこにもいきゃないでにぇ!! しょろ〜り、しょろ〜り」

 頭が痛くて跳ねることができないために、赤まりさはゆっくりと這ってお帽子にたどり着いた。

「ゆぴゅぴゅ!! にゃんでまりぴゃのおぼうしにあにゃがあいちぇるのぉおおお!!」

 赤まりさの帽子には、ちょうどリボンが巻かれている部分を貫通するように大きな穴が開いていた。
 少しはなれたところには、千切れてしまったリボンが転がっている。

「ゆゆっ!? まりしゃがいたよ!!」

 赤まりさが帽子のそばに移動したことで、赤れいむはへんなゆっくりが赤まりさだと気が付いた。

「ゆっ、まりしゃ、けがしちぇるよ!!」

 赤まりさのところへと跳ね寄ると、赤れいむは赤まりさが頭を怪我している事に気がついた。

「ぺーろ、ぺーろ、しちぇあげるにぇ!!」

 そう言って、赤まりさの頭の傷を舐めてあげようとする。

「ゆぴゃぁ!! いちゃい、いちゃいぴょ!! やめちぇね、れいみゅぴゃゆっくちやめちぇね!!」

 直接餡子を舐められる激痛に、赤まりさが悲鳴を上げた。
 しかし、赤れいむは赤まりさを押さえつけて、さらに餡子を舐め続けた。

「ゆぅうう、ぺーろぺーろしにゃいとよくならないよ!! ぺーろぺーろ……あまあま〜♪」
「ゆ゛ぴぇえええええ!! れいみゅやめちぇええええ――えびゅぁ!!!!!」

「――ゆ?」

 赤れいむには何が起こったのかわからなかった。
 赤まりさの怪我をぺーろぺーろしてあげていたら、目の前の赤まりさの顔がなくなって、自分の顔になにか温かいものが飛び散っていた。

「――ゆ゛ぇえええええええええ!!」

 そして、何が起こったのか理解した赤れいむは悲鳴を上げた。

「あんきょ!! まりしゃのあんきょ!! ゆぴぴぴぴぴぴぴぴ!!」

 体の上半分が吹き飛んで動かなくなった赤まりさの前で、赤れいむは白目を剥いて気絶してしまった。




「ゆ? どうしちゃの?」
「ゆゆっ? れいみゅがないてるにぇ!!」

 中央の掩体を滑り台にして遊んでいた二匹の赤まりさが、赤れいむの悲鳴に気がついた。

「ゆぅ、まりしゃはれいむをみてくるにぇ!!」
「ゆっ! まりしゃもいっしょにいくよ!!」

 二匹が赤れいむの声のした方に行こうとした時、突然大きな音を立てて衝立が一つ吹き飛んできた。

「ゆっ!!」
「ゆゆゆっ!!」

 いきなり目の前に飛んできた衝立に驚いていると、再度大きな音を立てて衝立が二匹の方に跳ね飛んできた。

「ゆぴゃ!! いちゃいよぉおおおお!!」

 運悪く飛んできた衝立に衝突した姉赤まりさが泣き声を上げる。
 その様子を見た妹赤まりさも泣き出してしまった。

「ゆぇーん!! きょわいよぉおおお!!!!」

 赤まりさたちたちが突然の出来事に泣き声をあげていると、何かが弾けるような鋭い音が二匹の周りで鳴り響いた。

「ゆぅううう!! きょわいよ! ゆっくちにげるよ!!」
「ゆぇええ!! おねぇちゃんまっちぇね!!」

 二匹はゆっくりできない音に追い立てられるように、急いで掩体の斜面を跳ね登る。

「ゆゆっ、まりしゃはあなしゃんのなかにかくれるよ!!」

 掩体の上にたどり着いた姉赤まりさは、そのまま穴の中へと逃げ込んだ。

「ゆーっ!! おねえしゃん、まりしゃもいれちぇね!!」

 追いついた妹赤まりさが穴に入れてもらおうとするが、穴の大きさは赤ゆっくり一匹分しかない。

「ゆゆっ、ここはもうまりしゃでいっぱいだよ!! まりしゃほかのところにいっちぇね!!」
「ゆーーっ!! どうしちぇそういうこちょいうにょーー!!」

 妹赤まりさが穴に入ろうとするが、下から姉赤まりさに押されて斜面を転がり落ちてしまった。

「ゆっ、あなしゃんのなかならゆっくちできるにぇ!!」

 姉赤まりさは穴に隠れて安心しているが、この穴は赤ゆっくりが隠れるには深さが足りなかった。
 そのため、帽子と頭の天辺が穴の外に出てしまっている。


「ゆっ、ゆっ――ゆびゃ!!」

 一方、妹赤まりさが再び斜面を登っていると、突然お尻に激痛を感じた。
 床で跳ねたBB弾が妹赤まりさのお尻を直撃したのである。

「いちゃいいいいいいいい!!!!!」

 跳弾だったために饅頭肌に穴を開ける威力は無かったが、妹赤まりさには生まれて初めて経験した激痛だった。
 妹赤まりさは激痛のため斜面から転がり落ち、床を転がりまわった。

「いちゃいよぉおおおおお!! ――ゆぴぇ!!」

 転がり回る妹赤まりさが何かにぶつかっった。
 何にぶつかったか見ると、そこにはちょうど赤ゆっくりが隠れることができるぐらいの石があった。

「ゆっ!! いしさんのうしろにかくれるにぇ!!」

 妹赤まりさが急いで石の後ろに回りこむと、それを追いかけるようにゆっくりできない音が近づいてきた。

「ゆぅぅ、いしさんゆっくりまりしゃをたしゅけてにぇ!!」

 ゆっくりできない音がするたびに、妹赤まりさが身を寄せている石から振動が伝わってくる。

「ゆゆっ、いししゃんがんばっちぇ!!」

 妹赤まりさは石の影に蹲って耐えていたが、何回目かの衝撃とともに目の前にあった石の上部が砕け散ってしまった。
 この石は特殊な素材をを軽石のように加工してあり、BB弾が当ると少しずつ砕けてしまうのだ。

「ゆえぇええ!! どうしちぇいしさんのむこうがみえるにょ!?」

 石の向こうから何かが飛んできて、目の前一杯意広がって見えた――次の瞬間、赤まりさは右目に激痛を感じた。

「ゆ゛あぁああああ!! いちゃい、いちゃよぉおおおおおお!!」

 あまりの痛さに石の影から転がり出て泣き叫ぶ。

「どおしちぇまりしゃのおめめがいちゃいのぉおおおお!!
 おかぁしゃんたちゅけちぇええ!! まりしゃきょわい――っぴぁ!!」

 泣き叫ぶ赤まりさの、残った左目を中心に顔の四分の一ほどが吹き飛んだ。

「ゆ……もっと……ゆっくちしちゃ――」

 続けて打ち込まれたBB弾に顔の上半分を吹き飛ばされ、最後の言葉を言い終わる前に赤まりさは動かなくなった。




「ゆゆっ、まりしゃはあんぜんだよ!! あなさんはゆっくちすぽっとだにぇ!!」

 先ほどまで聞こえていた妹の悲鳴が聞こえなくなったが、きっとゆっくりしたところに逃げることができたのだろう。
 このままここに隠れていれば、お母さんがやってきて助けてくれるに違いない。姉赤まりさはそう思っていた。

「――ゆ?」

 何かが弾けるような音がして、視界が明るくなった。
 どうしたのだろうと視線を上に向けると、そこにあるべき帽子の姿がなかった

「ゆっ!! まりしゃのおぼうしどこいっちゃの!?」

 大事なお帽子がないとゆっくりできなくなってしまうため、慌てて穴から顔をだしてお帽子を探す。
 すると、後ろの少し離れた所にお帽子が転がっているのを見つけた。

「ゆゆっ!! おぼうししゃんかってにどっかにいかにゃいでね!! まりしゃおこるよ!!」

 姉赤まりさは穴から這い出ると、斜面を這って帽子を取りに行こうとした。

「しょろーり、しょろーり――ゆゆっ!!」

 自分の横を何かが通り過ぎて、前のほうで大きな音がした。

「ゆっ、なんにゃの?」

 立ち止まって周りをみまわしたが何も無い。

「ゆっ、おぼうしさんまってね――ぴっ!!」

 再び帽子に向って進もうとすると、突然頭に鋭い痛みが走り、目の前になにかきらきらした物が舞い散った。
 姉赤まりさの即頭部にBB弾がグレイズして、髪の毛を撒き散らしたのだ。
 それに続いて前方の帽子のある付近から何かがぶつかる音がする。

「ゆぇえええええ!! きょわいよぉおお!!」

 姉赤まりさは、何故先ほどまで自分が穴の中にいたのか思い出した。
 自分たちを苛める怖い何かから隠れるために穴の中に逃げこんだのだった。
 姉赤まりさは慌てて斜面を戻ると穴の中に逃げ込んだ。

「ゆぅ、おぼうししゃん、あとでとりにいくからにぇ……」

 穴の中でゆっくりしていると、帽子のあった辺りから何かを弾くような音が聞こえてきた。

「ゆゆっ、にゃんにゃの?」

 穴の外が危ないことは解っているのだが、好奇心に勝てずに姉赤まりさはゆっくりと穴の外に顔をだした。

「しょーっとのぞいちぇみるよ――ゆぁああああ!! まりしゃのおぼうしがぁああ!!」

 姉赤まりさの目に映ったのは、先ほど聞こえた音がするたびに、跳ね上がって穴が開く自分の帽子だった。

「まりしゃのおぼうしいじめないでにぇええええ!!」

 姉赤まりさは帽子に駆け寄ろうとしたが、穴から出ようとすると回りで何かを弾くような大きな音がするため、外に出ることができなかった。
 ここまでくると、さすがに赤ゆっくりの餡子脳でも何かが飛んできて自分を苛めていることに気が付いていた。
 しばらく音がしなくなると、姉赤まりさは意を決して穴から出ようとするのだが、その度に回りに何かが飛んできて再び穴に舞い戻るしかなかった。

「ゆうぅううう……まりしゃをいじめないでね、きょわいよ!!」

 姉赤まりさが成すすべもなく見つめる先で、帽子は何度も跳ね上がりぼろぼろに成っていった。
 すでに三角帽子の先端は千切れて無くなり、本体も穴だらけになっている。帽子に飾られていたリボンも吹き飛んでしまっていた。
 ゆっくりの髪飾りは破損したとしても、身に着けてさえいればゆっくりと修復していく。しかし、ここまでぼろぼろに成ってしまうと、自然環境での修復は難しいだろう。
 こうなってしまってはたとえ帽子被っていても、ゆっくりできないゆっくりとして苛められることは明らかだった。

「ゆっく……ゆっく……、まりしゃのおぼうしが……ゆっくちできにゃいよ……」

 姉赤まりさは涙を浮かべながら、傷ついていく帽子を見つめていた。
 帽子の周りには小さな丸いもの転がっている。その丸いものが飛んできて帽子を苛めていることに姉赤まりさは気が付いた。
 今すぐにでも帽子を取りに行きたかったが、穴の外に出ようとするたびに自分の周りで丸いものが跳ねて、その音が怖くて外に出れなかった。
 きっとあの丸いものが体に当ると、先ほどのようにゆっくりできない痛みを感じることになるのだ。

「ゆっく……おきゃあしゃんはやくかえっちぇきちぇね……」

 やがてぼろぼろになった帽子を見ていられなくなり、姉赤まりさは涙を流しながら穴の底に蹲ってしまった。
 母親が帰ってくれば、何かか怖いものをやっつけて助けてくれると思い込んで。

「――ぴゃ!!」

 突然、頭の天辺に激しい痛みを感じた。

「いちゃぃいいい!! ――ぃぴゅ!!」

 頭の天辺がじくじくする、何でだろう? まりさは穴さんの中に隠れているのに。

「――ぴっ!! ――ぴゃ!! ――いちゃぴゅ!!」

 BB弾が当るたびに、姉赤まりさの頭頂部が削り飛ばされていく。
 掩体の穴は浅いため、赤ゆっくりの頭頂部がはみ出してしまっているのだ。

「ゆっ……いぴゃいよ……おきゃあしゃん……きょぴゃいよ……」

 額から上を吹き飛ばされた姉赤まりさが穴の中で震えている。
 最後に、むき出しの餡子に斜め上からの銃撃を受けると、餡子を飛び散らせて姉赤まりさは動かなくなった。



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最終更新:2008年12月26日 07:55
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