※俺設定をひたすら綴りたくなったので、やってみました
※渡まりさとか、絵師さんやSS作家さんの設定を流用させて貰ってます
※うんうんとかする
ゆっくりが出てきます
たんなる害獣だった
ゆっくりがペット産業のメインストリームにのし上がったのは、体サイズを固定させる技術が確立されたからだ。
ゆっくりは大食で、餌を摂取すればするほど生長が促進される。
現在記録されている最大級のサイズ(ドスを除く)は、直径90センチサイズだ。
しかし、生命維持に必要な栄養素を最小限の量で一定期間与えると、赤
ゆっくり〜子
ゆっくりサイズで固定できるのだ。
赤
ゆっくりがプチトマト程で、子
ゆっくりが軟式ボール程のサイズである。
この程度のサイズであれば、六畳アパートでも飼うことができるとあって、
ゆっくりペットブームが起こった。
特に人気のある飼い方は、「水上まりさ」だ。
大きい水槽に半分ほど水を張り、そこにフロート
ゆっくりハウスと餌場をそれぞれ端に、真ん中にもフロートを設置し、そこでプチトマトサイズのまりさを飼うのである。
フロート
ゆっくりハウスから、まりさが出てきた。
「ゆっきゅり かりに いきゅよ!」
赤
ゆっくりサイズで固定されているので、発声器官が未発達のままだ。
「ゆっくち わたりゅよ!」
お辞儀するように頭(?)を傾けておぼうしを水面に落とし、その上にぽよんと乗っかる。
そして器用におぼうしの中から小さいオールを取りだして口にくわえ、漕ぎ始めた。
対岸の餌場にたどり着くと、
ゆっくりフードが置いてある。
「むーちゃ、むーちゃ、ちあわちぇ〜♪」
もちろん餌の量は体サイズを維持させる分だけだ。
「たべちゃら うんうん しゅりゅよ!」
水面にあにゃるを向け、米粒ほどのうんうんを放出し、そのうんうんを水中の小型観賞魚がぱくんと食べる。
「しゅっきりちたら、おひるね しゅるよ!」
中央に浮かべられたフロートは、人工芝や模型の樹木が設置してある、
ゆっくりスペースになっていた。
そこは天井から
ゆっくり光線に近い波長を出す人工灯の光が当たるようになっているのだ。
「ゆっくち あしょぶよ!」
中央フロートや水上に浮かんだボールで遊ぶ。
水中の観賞魚と水上のまりさの組み合わせは、実に
ゆっくりしていると評判になり、大ヒット商品になった。
大型の水槽を設置し、複数のまりさを飼う家庭もあった。
ゆっくりの流通量が増加すると、飼い主達は差別化を求めるようになってきた。
れいむ種、まりさ種と入った違いではなく、れいむ間でも差があってしかるべきだと。
そこでブリーダーは、もみあげやおりぼんの特徴の違いに付加価値を加える事を考えた。
もみあげについての事例を挙げてみよう。
標準的なもみあげの長さを規定し、それより長い個体を「ロングモミアゲ」、その逆を「ショートモミアゲ」と名付けた。
もみあげの太さも同様に規定し、さらにぴこぴこ動かせるかどうかでも規定した。
例えば、もみあげが長くて太くてぴこぴこ動かせれば「ロング・シック・ピコピコ・モミアゲ」に分類される。
逆に、もみあげが短くて細くてぴこぴこ動かない「ショート・シン・ノンピコ・モミアゲ」は希少であるため高価で取引された。
それでもまりさ種に比べれば不人気なれいむ種、値段は1万円を超えることはなかった。
だが、れいむ種の中にも数百万円を超える値段を付けた個体もいた。
もみあげ分類では「ロング・シック・ノンピコ・モミアゲ」と一般的だが、その髪留めに価値があった。
れいむ種のもみあげは赤地に白い模様の入った髪留めのようなものでまとめられているが、その白い模様が梵字になっている、というのだ。
しかもそれを読み解くと、有り難いお経になっているという。
偶然それを発見したブリーダーは早速「梵字れいむ」をオークションにかけた。
宗教団体が挙って参加し値段が高騰、結局 某有力宗教団体が落札した。
このれいむは丁寧に祭壇にでも鎮座させられるのかと思いきや、そうでもなかった。
片方のもみあげを掴まれ、ぐるぐる回転させられていた。
宗教団体広報によれば、お経の書かれたもみあげを持って回転させることで読経したことになるとのこと。
さらにその際れいむが有り難いお経を唱えるというのだ。
「いじゃああああぁぁぁぁあぁあぁいいいいぃいぃぃぃ!!!やべじぇぇええぇぇぇ!!!!」
虐待されて絶叫しているだけに聞こえるが、分かる人にはこれが真言であることが分かるらしい。
これだけ回されれば、いくらもみあげの太いれいむでも千切れてしまうのではないだろうか。
疑問に思ったフリーライターが取材した結果、千切れたのを補修しているだけでなく、れいむ本体も入れ替わっている可能性が出てきた。
証拠写真として写真週刊誌に掲載されたれいむの写真には、おりぼんの模様や形が違っていたり、もみあげの根元が補修・移植された跡等が指摘されていた。
宗教団体は当然否定し、後日この写真週刊誌の(当時)編集長は交通事故死、フリーライターは謎の投身自殺をした。
「梵字れいむ」は
ゆっくりブリーディング熱をさらにヒートアップさせた。
ただ同然の
ゆっくりが数百万円の札束に成ることを示したからだ。
ブリーダーの間では暗黙の了解となっているが、
ゆっくりには法則性が全くない。
通常、交配した両親の特徴を何らかの形で遺伝すると思われがちだが、
ゆっくりにはそれがない。
前述した「水上まりさ」専門業者で起こった事件だが、まりさ種ばかりを交配し、美
ゆっくりで渡り上手なまりさを作ろうとしていたブリーダーがいた。
まりさ種ばかりをケージ内で飼育し、まりさ種同士を交配させていた。
いずれは究極まりさが完成すると思われていたが、ある日突然、全てのにんっしんっ!した親が全て他種を孕んだのである。
まりさ種ばかりを交配させていたことが鍵になったかどうかは分からないが、以前からこういった変質は指摘されていた。
ゆっくりは、系統をたどることが不可能である、と。
しかし、一般の愛好家はそんな真実は知らないので、血統書ビジネスも成立した。
つまり変質著しい
ゆっくりは大手ブリーダーが優良種を独占することを不可能にしていたのである。
ブリーダーの腕次第で大金をせしめることが可能となれば、大衆がこの投機ビジネスに進出するのに時間を要しなかった。
かつてオランダで起こった事と同じく、「
ゆっくりバブル」が一気に膨らんだのである。
バブルの破裂はあっさりしたものだった。
簡単に生産・廃棄・選別ができるものとの認識が一気に広がり、
ゆっくりの価値が超下落した。
視覚的に面白い「水上まりさ」は、価格は下がったものの健在だったが、派生産業が連鎖倒産したので、一部の愛好家の娯楽となった。
ゆっくりを飼う人も、少数派になった。
結局、
ゆっくりは人間の一方的な都合で弄ばれて、一方的に捨てられた。
彼女らが最初から最後まで、そして今後も守り続けていくものだけを残して。
それは、名前だ。
人間がどんなに捨てさせようとしても、残ったもの。
まりさはまりさであり、れいむはれいむだった。
あとがき
自分が飼うなら、やっぱりプチトマトサイズから大きくならない
ゆっくりだろうな。
そんな願望をSSにしようと思って書いてみました。
水上まりさは、マジで飼ってみたい。
最終更新:2022年01月31日 03:24