ゆっくりいじめ系2076 飽きた

「「ゆゆっ!ゆっくりしていってね!」」

今、俺を見かけるなり満面の笑みを浮かべて挨拶してきた奴らはゆっくりと呼ばれるナマモノだ。
一見すると下膨れ顔の生首で、跳ね回って喋っているくせにふざけた事に実は饅頭。
子どもの頃から生物学大好きっ子だった俺は、こいつらが大嫌いである。

「れいむはれいむだよ!」
「まりさはまりさだよ!」

しかも、非常に無防備な奴らなので、人間を見かけるとこうやって挨拶をしてきやがる。
れいむと名乗るゆっくりは黒髪と赤いリボンをしている。
そして、まりさと名乗ったゆっくりは金髪で頭に黒いとんがり帽子を乗っけている。
まったく、こんなに無防備なのに自然界で生きていけるとか、ふざけるのも大概にしろよ?

「よお、ゆっくり達。ゆっくりしていってね」
「「ゆっくりしていってね!」」

が、こいつらを愛好するものも少なからずいるので野外で何かするようなことはしない。
ただ、単純かつ素直な性格を利用させてもらって、俺の家までついてきてもらう。
そう、こいつらはちょっと甘い言葉をかければ簡単に引っかかってしまうのだ。

「なあ、ゆっくり達。お兄さんのおうちに来ないか?美味しいお菓子も沢山あるぞ」
「ゆゆっ!れいむおかしさんたべたいよ!」
「まりさも!まりさも!」

いまどき子どもでも引っかからないような手段にあっさり引っかかりやがった。
本当に救いようのない低脳な饅頭だ。

「ゆぅ・・・でも、まりさ、おかあさんに“もりからでちゃだめ!”っていわれてるよ!」
「ゆぅ~・・・れいむもだよ。ゆっくりおもいだしたよ・・・」
「なあに、ばれなきゃ大丈夫さ。それにうちで飼っているぱちゅりーの友達になって欲しいんだよ」

ぱちゅりーを飼っていると言うのは嘘じゃない。もちろん、虐待用であるが。
ちなみに、ゆっくりぱちゅりーは紫の長い髪とナイトキャップ風の被り物が特徴の種族。
俺がぱちゅりー種を選んだのは他のゆっくりより脆弱なので長時間虐待できないからという理由だ。
こんな饅頭どもの為に日長1日虐待なんぞに現を抜かす気にはなれないからな。

「ゆゆっ!ぱちゅりーがいるの?」
「ああ、そうなんだ。でも最近お友達が欲しいって言うんでね」
「ゆっくりりかいしたよ!れいむおにいさんのおうちにいくね!」
「まりさも!まりさもいくよ!」

はい、任務完了。これで後は家まで連れて行くだけだ。
ちなみに一見仲間思いの優しい生き物ぶっているが、結局はお菓子目当てなので誤解しないように。
まったく、偽善まで振りかざすとは、実に唾棄すべき存在である。

「そうか、ありがとう。急ぐからお兄さんが抱えてあげるよ」

そう言って、警戒されないように出来るだけ優しく2匹を抱え上げると、自宅へと急いだ。
俺に抱えられているゆっくり共が「おそらをとんでるみた~い」と言い出したときには、思わず叩き潰しそうになったが。
何にせよ、道中に2匹が恋仲であるがまだ未すっきりである事などを聞き出しながら、無事自宅に到着した。



「さあ、ここが俺の家だ。ぱちゅりーは下の部屋にいるよ」
「ゆゆっ!すごくゆっくりしたおうちだよ!」
「ほんとうだよ!まりさたちのおうちよりゆっくりしてるよ!」

初めての人間の家に入るらしく、えらく興奮しているれいむとまりさ。
そんな2匹に構わず、さっさと下へと降りて行き、薄暗い地下室のドアを開き飼育用水槽が3つ置かれている部屋に入った。
この部屋は虐待用の部屋で、飼育用水槽3つの他に色んな虐待道具が置かれているが、それらの用途を知るのぱちゅりーのみ。
当のぱちゅりーは先日の虐待の疲労からかぐったりとしていていまだに夢の中にいる。
その様子を確認した俺はれいむとまりさを別々のケージに放り込んだ。

「ちょっと狭いけど危ないものもあるから我慢してくれ。あとぱちゅりー寝てるから静かにな?」
「「ゆっくりりかいしたよ」」
「良い子だ。今から俺は仕事で上に戻るけど、もしぱちゅりーが起きたら話し相手になってくれ?」
「あたりまえだよ。れいむたちそのためにきたんだよ」
「ぱちゅりーといっしょにゆっくりするよ」
「ああ、よろしく頼むよ」

そのやり取りから1時間後。
生ゴミ片手に地下室に降りてみると、2匹はケージの真ん中でぐっすり眠っていて、代わりにぱちゅりーが目を覚ましていた。
大方、決して広くはないケージの中で何もすることがない上に大声を出すことも出来なかったのでゆっくりしていたら眠ってしまったのだろう。
全く、何が「れいむたちそのためにきたんだよ」だか、虫唾が走る。
ちなみに真ん中で眠っているのは、このケージの壁面がかなり鋭角の波型になっていて、もたれかかると痛いからであろう。

「むきゅう・・・おにーさん、このこたちは?」
「俺の新しい玩具だ。言っとくけど余計なこと教えたらこいつらの死期が早まるからな」
「むきゅ~・・・・・・」

俺の言葉を聞いて俯くぱちゅりー。実に嗜虐心をそそる表情だ。
しかし、今はこいつに構っている暇はない。さっさとこいつらに仕込みを開始瀬粘らないのだ。
頬を寄せ合ってぐっすりと眠っている2匹の頭に手を乗せ、思いっきり揺すった。
これはゆっくりを発情させる方法であり、人工的に養殖する時に用いられる手法である。

「ゆゆっ!?なんだかからだがぽかぽかするよ!」
「ゆぅ~ん、きもちよくてゆっくりできるけどゆっくりできないよ!」

ようやく目を覚ました2匹は仕込みのせいで火照った体と欲望を持て余し始める。
だが、こいつらとてもう子ゆっくりというには大きすぎるサイズの個体であり、それの意味するところはおおよそ理解している。
そんな2匹が見えない壁越しに将来を誓った相手の姿を見つけ、欲望のままに跳ね寄って行くのは時間の問題だった。
そうして、あと一歩で互いの頬が触れ合うところまで距離を詰めるが・・・・・・

「ゆぎゅう!?」
「ゆがっ!?」

壁にぶつかった痛みで2匹は短い悲鳴を上げた。
本能に流されて身の回りにある危機すら失念するとは・・・なんと愚かしいのだろう。
しかし、それでも性欲をもてあました2匹は何度も何度も果敢に壁を飛び越えようと必死の跳躍を繰り返す。
が、結局、その壁を越えることは出来ず、すっきり出来ない気持ち悪さと、跳ねすぎた疲労感と顔の痛みのせいで凄まじい表情を浮かべていた。

「おにいいさああああん!ばりさずっぎりしたいよ!」
「れいぶもだよ!れいぶもすっきりしたいよ!」
「「いっしょにゆっくりさせてね!」」

ついに本性を現しやがったな、クソ饅頭ども!
しかし、まだ本格的に虐待をする段階ではないので、グッと堪えて適当な理由をでっち上げて断る。

「実はな、今台風が来ていて俺ですら家から出られないんだ。しかも、食料の残りが少ない」
「ゆゆっ!どういうことなの!」
「ゆっくりしないでおしえてね!」
「つまり、すっきりして子どもができるとご飯がなくなってゆっくり出来なくなるから一緒には出来ない」
「「ゆぐぅ・・・」」

その言葉を聞いた2匹はすっきりしたそうにむずむずと体を揺すりながらもしぶしぶ状況を把握した。
それから「ゆっくりりかいしたよ・・・」と力なく返事すると、水槽の中央で体へ戻っていった。

「多分1ヶ月もしたら台風もどこかに行くから、それまでは我慢してくれ」

3匹のケージに持って来た餌代わりの生ゴミを置いてから、そう言い残して地下室を後にした。
幸いにも、どんな台風だよというツッコミが飛んでくることはなかった。

2匹ともそれなりに良くできた個体ということもあってか、1日目は何とか耐えしのぐことができた。
やることがない地下室ではお喋りするか眠るかの2つしかなく、高度な会話の出来ないゆっくりではお喋りといってもたかが知れている。
よって、この暮らしに慣れているぱちゅりーはともかく、頻繁に睡眠を取っていたれいむ達は、その都度発情する羽目になった。

「ゆぅ・・・ぐっすりするとゆっくりできないよ・・・」
「でも・・・ぐっすりしないとゆっくりできないよぉ・・・」
「済まんな。すっきり出来ればそんな事なくなるんだろうけど」
「「ゆぅぅぅぅぅうううぅぅ・・・すっきりしたいよー!」」

2日目は堪え性のないゆっくりなりにあまり寝ないようにすることで何とか衝動を堪えきった。
しかし、3日目になる性欲と睡眠欲が満たされないことで軽い錯乱状態に陥り、訳の分からない言葉を口走るようになり始めた。
餌は生ゴミではあるがそれなりの量を与えているので不満を漏らすことはなかったし、すっきりに気をとられてお菓子のこともすっかり忘れてしまっていた。

「すっきりー!すっきりー!すっきりー!」
「すっきりしたいよー!ぱぴぷぺぽーーーっ!」

2匹とも先走り汁?のようなゆっくり同士ですっきりするときに分泌される粘液で体を湿らせながら叫びまくっている。
もちろん、常時こんな状態というわけではないが、目を覚ましてすぐの数分間はもはや完全に気が触れたような有様になっていた。
完全にダメになってしまわないのは恐らくゆっくりゆえの忘れっぽさのおかげだろう。

「やれやれ、水槽がべとべとじゃないか。・・・仕方ない、掃除するか」

と、棒読みしつつ、目を覚ましたばかりのまりさをぱちゅりーの水槽へ。
つまり、ぱちゅりーの水槽に3日間に渡って何十回とすっきりのお預けを喰らい続け、今も絶賛発情中のまりさがいると言うことだ。
とすればどうなるかはもう言うまでもない。

「ばぢゅりいっぃぃぃぃぃぃい!」
「む、むきゅううううううううう!?」

まりさはこの3日間でそれなりに親しくなっていたぱちゅりーを強引に押し倒した。
もちろん、れいむはその光景をしっかりと目の当たりにしている。しかし、まりさはそんな事全く気にしていない。
ただただ、本能のそして衝動の赴くままにぱちゅりーに圧し掛かり、唇を重ね合わせ、頬をこすりつけている。

「ゆっ・・・ぱちゅり~・・・しゅごく、きもち、よくて・・・ゆっくりぃ~・・・」
「むきゅ・・・まぢさ・・・やべ、やべでっ・・・!」

ぱちゅりーなりに必死に抵抗しているが、活発なまりさ種相手に体力のないぱちゅりー種では分が悪い。
あっという間にぱちゅりーも発情させられ、数分後には2匹揃ってすっきりーした。

「でいぶもずっぎぢーぢだいよおおぉぉぉぉぉぉ!」

一方のれいむは自分もお預けを喰らっているのにそんな光景を見せ付けられ、あまりの不条理に泣き叫んだ。
そして、我に帰った後にはぱちゅりーの額の茎を見て、愛するパートナーの背信行為に涙することになる。



更に3日後。

「「「「「「「ゆっきゅちちていっちぇね!」」」」」」」
「「ゆっくりしていってね!」」

ぱちゅりーとまりさの赤ちゃんは無事に、そして健康に誕生した。
余談だが、すっきりしたくなるように仕込むのは必要がなくなったのでもうやめた。
まりさ種が4匹と、ぱちゅりー種が3匹。みんな、とてもゆっくりした(当人達曰く)可愛らしい赤ちゃんだ。

「あかちゃんたち!これをたべてね!」
「ゆっくりしたつたさんだよ!」
「「「「「「「む~ちゃむ~ちゃ、ちあわちぇ~!」」」」」」」

赤ちゃん達の無邪気で愛らしい仕草を見ているだけで、思わず笑みがこぼれる。
しかし、まりさもぱちゅりーも非常に困っていた。
何故なら、こいつらは意外にも俺が初日に言った言葉を覚えていたのだ。
子どもができるとご飯がなくなってゆっくり出来なくなる・・・なのに、自分たちは子どもを作ってしまったのだ。

「ぱちゅりぃ・・・どうしよう」
「むきゅぅ・・・おにーさんはわたしたちのぶんしかあげられないっていってるわ・・・」
「「どーちたにょ、おきゃーしゃん?」」

真剣に悩む両親。ちなみに、現在2匹の水槽には自分と同じ種族の赤ちゃんが同居していたりする。
食べ盛りで育ち盛りの赤ちゃん。どんな経緯で産まれたとしても2匹にとってはとても大事なゆっくりした赤ちゃん。
しかし、ご飯を満足に食べられないと成長することが出来ないし、何より死んでしまうかもしれない。

「しかたないよ・・・まりさのごはんをわけてあげるよ!」
「そうね・・・あかちゃん、ぱちゅりーたちがゆっくりさせてあげるからね!」
「「「「「「「おきゃーしゃん、ありがちょー!ゆっきゅりしゅるよ!」」」」」」」

結局、自分たちが我慢をするという結論に落ち着いた2匹は、その事を赤ゆっくり達に告げた。
赤ゆっくり達は事情を良く飲み込めていないが、それでも親の気持ちを察したのかにっこりと微笑み、飛び跳ねた。
それから、みんなで仲良く、ゆっくりとす~りす~りをした。

「さあ、飯だぞ?」
「「「「ゆっきゅちたべりゅよ!」」」」
「「「たくしゃんたべりゅよ!」」」

お腹一杯食べて、いっぱい遊んで、お母さんと一緒にすやすや眠ろう、そんな風に考えていた赤ゆっくり達。
しかし、その夢は生後2時間にも満たないうちにかなわぬ望みであると思い知らされることになった。
期待に満ちた笑顔の彼女達の前におかれたのは、赤ゆっくりの舌ほどの大きさの野菜くずが2,3枚。
この年頃のゆっくりは1日に自分の体積と変わらないほど食べねばならない事を考えると、あまりに少なかった。

「おきゃーしゃん、もっちょほちいよ~・・・」
「まりしゃもっちょたべにゃいとげんきでにゃいよ!」
「きょれじゃゆっきゅちできにゃいよぉ・・・」

だが、まりさ達だって昨日までの半分しか食べることが出来ないのでどうすることも出来ない。
親に配慮出来るほど思考の成熟していない赤ゆっくり達は「おきゃーしゃんだけじゅるいよ!」と言うが、こればかりは上げるわけには行かなかった。
一度あげてしまえば今後も欲しがるようになるだろう。そして、自分たちだって飢え死になんてしたくないのだから。

「む~しゃむ~しゃ、しあわせ~!」
「ゆゆっ!れーみゅおにぇーしゃんのおうちはとってみょゆっきゅちちてるよ!」
「れーみゅおねーしゃんだけじゅるいよぉ~・・・」

食料の問題に悩むまりさ達を尻目に、たった一匹、それらの悩みとは無縁で幸せをかみ締めているものがいた。
言うまでも無く、恋ゆっくりに目の前で裏切られたれいむのことである。
もっとも、赤ゆっくり達にはこの家の食糧問題のことも、両親達の愛憎劇のことも知るはずがなく、ただただ「ずるい」の大合唱。

「まりしゃはれーみゅおにぇーしゃんのこどみょだよ!」

その均衡が崩れたのは翌朝の1匹の赤まりさのその一言だった。
その赤まりさはどうやら本来母まりさが母れいむと結ばれるはずだったことを聞いてしまったらしく、それがその妄言の根拠であった。
「まりしゃはほんちょーはえーみゅおにぇーしゃんのこどみょになりゅはじゅだったんだよ!」・・・だから、自分はれいむの水槽にいるべきだ。

「なるほど、その通りだ。まりさがゲスだったせいでぱちゅりーから産まれたけど、本当はれいむの子どもだもんな?」
「しょーだよ!だきゃられーみゅ“おきゃーしゃん”のおうちにつれてっちぇね!」

俺はその赤まりさの言葉に従って、そいつをれいむの水槽に放り込んでやった。
乱暴に放り込んだせいか、赤まりさはあんよが痛いと泣き喚き、母親の・・・れいむお母さんの名前を呼ぶ。
そして、それを聞いたぱちゅりーは・・・

「そんなごどいわないでええええええ!」

と、涙を垂れ流しにして我が子の非行?を咎めるが、水槽の向こうの赤まりさは全く動じない。
見るに見かねたまりさも、冷静に赤まりさを叱るが・・・

「おきゃーしゃんをゆっくちさせちぇあげなかっちゃおきゃーしゃんがわるいんでちょ!げちゅはまりしゃのおきゃーしゃんじゃにゃいよ!」

の一言であえなく涙目。なんて弱い親なんだろう。
しばらくその光景を面白おかしく見守った俺は、特に前触れもなく我に帰って、ゆっくり達に餌を配る。
もちろん、今までどおりに水槽ごとに、同じ量を配っていった。

「おきゃーしゃん!まりしゃにおっぱいちょーりゃいね!」
「え、やだよ、れいむ、まりさのおかーさんじゃないもん」
「ゆゆっ!ちぎゃうよ!まりしゃは・・・れーみゅおきゃーしゃんのきゃわいいあかちゃんだよ!」
「ちがうよ!れいむにあかちゃんなんていないよ!ゆっくりできないこといわないでね!」

まあ、当然そうなるだろうなぁ・・・。
もしかしたら母性の強いれいむ種ゆえに育ててくれる可能性もあったが、そうはならなかったらしい。
その後、赤まりさは何度もれいむに餌をねだったが、分けてもらうことは出来なかった。

「ゆぅ・・・おきゃーしゃん!まりしゃおきゃーしゃん!まりしゃにごひゃんを・・・」
「ゆっくりごめんね!そっちにいけないからあげられないよ!」
「それにゲスはお母さんじゃないって言ってたよなぁ?」
「「「いっちぇたよ!」」」

上手く出し抜いたつもりが形勢逆転。気がつけば自分だけがご飯にありつけずにひもじい思いをしていた。
俺に、まりさに、姉妹に容赦なく逃げ道をふさがれた赤まりさは今度はぱちゅりーにすがりつく。
が、帰ってきたのは「まりさはれいむとまりさのあかちゃんなんでしょ?」というつれないものだった。

「ゆえーん、どうちちぇまりしゃにいぢわりゅするの?」

結局、自分だけ何も食べられなかった赤まりさは泣きじゃくり、泣き疲れて眠ってしまった。
そして、次に様子を見に来たときには、小さな蔦を生やして黒ずみ、朽ち果てていた。
そういえば、れいむはすっきり出来ない状態を解消していなかったっけ?



そんなこんなで1週間後。
十分な食料を与えられ続けた、すっきりも済ましたれいむはとてもゆっくりとしていた。
一方、まりさとぱちゅりーは、れいむの半分以下の食料しか貰えず、しかも餌が少ないと喚く赤ゆっくり達のせいで全然ゆっくり出来ない日々を過ごしている。
しかも、その赤ゆっくり達も食料が少ないせいで成長出来ずにいた。いいざまではあるが、このままでは流石に死んでしまうかもしれない。

「ということで、赤ゆっくりを2匹だけれいむの水槽に移動させる」
「むきゅ!そんなことしたらあかちゃんがゆっくりできないわ!」
「そうだよ!れいむはゆっくりできないよ!」
「「「ゆっきゅちできにゃいよ!」」」
「「「ゆっきゅちちたいよー!」」」

その言葉を聞くや否や、俺に猛抗議する両親と赤ゆっくり達。
もっとも、まりさはれいむに睨まれ、彼女に対する負い目からかすぐに静かになったが。
それでも赤ゆっくり達はしばらくごねて何とか許してもらおうと浅ましい努力を続けている。
それから、それが無駄だと理解するや否や・・・・・・

「「まりしゃがいっちぇね!」」
「「ぱちぇがいいちょおみょうわ!」」
「「どほちちぇしゃんなこちょいうにょおおおお!?」」

水槽の中で一番立場の弱い姉妹が、ゆっくり柱に捧げられた。

「おきゃーしゃん!まりしゃ、おきゃーしゃんとゆっきゅちちたいよ・・・」
「むきゅ~・・・どうちて!おきゃーしゃん、ぱちぇがきりゃいにゃの?」

当然、差し出された赤ゆっくりは泣きじゃくり、母に助けを求めるが、両親は動かない。
まあ、当然だろう。自分で決断せずに済む上で、子ども達と違って誰がれいむの水槽に言っても結果は変わらないのだから。
そんな両親の事情も知らずに、損な役割を押し付けた赤ゆっくり達はぷくぅぅうぅ!と膨らみ、姉妹を威嚇する。

「おきゃーしゃんをきょまらせにゃいでね!ゆっきゅちできにゃいよ!」
「まりしゃはあっちのおうちでゆっきゅちちてね!」
「「ぷきゅぅぅぅぅうぅぅぅぅぅぅ!」」
「「ゆえーん、きょわいよー!」」

何処が怖いのか全く理解できないが、生贄も同然のまりさとぱちゅりーは一層激しく泣き出した。
両親に見捨てられ、姉妹に拒絶され、先日赤まりさを犯し殺したれいむの水槽に行かねばならないのだから仕方ない。

「さて、お引越しだ」
「「ゆぴぇええええ!おきゃーしゃあああん!?」」

いい加減、ゆっくりどもの三文芝居に飽きた俺はさっさと2匹の赤ゆっくり達をれいむの水槽に移住させた。
赤ゆっくりは水槽の鋭い波型の壁にもめげずに壁に顔を押し付けて母を呼び、泣き続けている。
一方、れいむは全く関心がない様子で赤ゆっくり2匹を一瞥していた。

「おい、れいむ?」
「ゆゆっ!なあに?」
「出来ればちゃんと面倒を見てやってくれ?ご飯も全部分けてやって欲しいんだ」
「ゆっ、どうしてれいむが・・・」
「その代わり、みんなが寝た後に美味しいお菓子を持ってきてやる」
「ゆっくりりかいしたよ!」

れいむは俺とそんな密約を交わしたれいむは、もう助けを求めるのを諦めたのか水槽の隅ですすり泣く赤ゆっくり達に微笑みかける。
そして、元気な声で挨拶をした。

「あかあちゃんたち、ゆっくりしていってね!」
「「ゆゆっ!ゆっきゅちちていっちぇね!」」

最初は赤まりさを犯し殺したことのあるれいむに警戒していた赤ゆっくり2匹だったが、すぐに打ち解け、す~りす~りをするようになった。
それを確認した俺は急いで餌を持ってきて、いつものように3つの水槽に均等に配ってゆく。

「これはおかーさんのぶんだよ!こっちがあかちゃんのぶんだよ!」
「ゆゆっ!いっぴゃいありゅよ!」
「やっちゃあ!ゆっきゅちでりゅー!」

もちろん、いっぱいある理由は1匹が別の水槽に移住したからである。
いつもより沢山の餌を貰って大喜びの赤ゆっくり達は得意げな笑みを浮かべてれいむの水槽に目をやる。
やはり姉妹を捨てたことが後ろめたいのか、それとも自慢してやろうと思ったのか・・・。
何にせよ、れいむの水槽を見たことでそこの赤ゆっくりに与えられた餌の量を見ることになり、愕然とさせられた。

「ゆゆゆっ!しゅごくたくしゃんだよ!」
「どうちちぇ!じゅるい!じゅりゅいよ!」
「ずるくない。アレはれいむが自分の分も子ども達に上げた結果だよ」
「「「「「「ゆゆっ!?」」」」」」

俺の言葉を聞いた、れいむの水槽以外の連中は目玉が飛び出すんじゃないかと思うほど驚き、飛び上がった。

「むきゅ~・・・しゅごいわ~・・・」
「おきゃーしゃん、まりしゃももっちょほちいよ!」
「しょーだよ!おきゃーしゃん、まりしゃにょこちょきりゃいにゃの?」
「ゆゆっ!だめだよ!おかーさんだっておなかぺこぺこなんだよ!」

昨日までは親ゆっくりが全体の半分を食べ、残りの半分を三等分していたから、1匹辺りの取り分は全体の16.6%だった。
それが全体の25%に増えて喜んでいたら、向こうの、それこそ昨日までは一番下っ端のような扱いを受けていた姉妹がその倍の量を食べているんだ。
赤ゆっくりとしてはとても納得出来るものではないだろう。今までとは比較にならない剣幕で親にえさの追加を要求している。
また、両親も困り果てていた。今までは「おかーさんもごはんをたべないとゆっくりできないよ!」で通してきた。
しかし、2匹の赤ゆっくりの親でもないれいむが、水槽にいる自分の子ども達にれいむの分を分け与えているのだ。

「れーみゅおにぇーしゃんはわけちぇあげちぇるんだよ!」
「しょーだよ!ほんちょーはたべにゃくてもゆっきゅちできりゅんでしょ!」
「むきゅ~・・・おきゃーしゃんはぱちぇがきりゃいなの?」
「おきゃーしゃんよりれーみゅおにぇーしゃんのほうがゆっきゅちできりゅの?」

それゆえ、今までと同じ言い分では赤ゆっくり達は今までどおりに納得してくれない。
醜い言い争いを繰り広げる傍らで、ゆっくりと餌を食べ終えたれいむ達は食後のす~りす~りをしてゆっくりしていた。



翌日、お腹が空いてゆっくり出来ない赤ゆっくりと、赤ゆっくりのせいでゆっくり出来なかったまりさ、ぱちゅりーのためにある提案をした。

「このままだと可哀相だから。お兄さんのお仕事を手伝ってくれた水槽にだけ、いつもより沢山ご飯をあげようと思う」
「ゆゆっ!おきゃーしゃん、きいちゃ!ごひゃんしゃんがいっぴゃいもらえりゅよ!」
「やっちゃー!こりぇでゆっきゅちできりゅよ!」
「ゆゆっ!よかったね、おちびちゃん!」
「「むっきゅ~・・・こりぇでゆっきゅちできりゅわ」」
「しかも、お仕事を手伝ってくれるのは1匹だけで良い」

この破格の条件にゆっくり達は色めきだった。
特に、昨日散々れいむ達がゆっくりしている姿を見せ付けられた赤ゆっくり達の喜びようは尋常じゃない。
こいつらが食事に求めるものは栄養と量と満足感の3つらしいから、当然だろう。
他のゆっくりがもっとゆっくりしているものを見ると相対的に満足感が下がってしまうのだ。
全くもって面倒臭いナマモノである。

「む、むきゅ~・・・・・・」

しかし、俺の言う「お仕事」の正体を唯一知っているぱちゅりーは怯え、竦んでいる。
娘達からは「おきゃーしゃん!ゆっきゅち、ゆっきゅち!」と期待に満ちた眼差しを送られるが、それでどうにかなるものではない。
そうこうしている内に、何も知らないまりさが名乗りをあげ、仕事のお手伝いをすることになった。

「よし!じゃあ、さくっと始めるぞ」
「ゆっくりりかいしたよ!」

水槽からまりさを取り出し、逆さにして地下室の冷たい床に置く。
「ゆぅ?」と首をかしげるまりさだったが、次の瞬間には苦痛で体同然の顔を歪めた。
俺が手にしているのは柄の長いディスポーサブルライター、いわゆるチャッカマンと呼ばれるものである。
それを火力最大の状態でまりさの底部に押し付けたのだ。

「ゆぎぃぃぃぃぃいいぃぃぃい!あぢゅ!あぢゅいいいいいいい!?」
「「ゆゆっ!?」」
「おきゃーしゃんににゃにしゅりゅにょ!ゆっきゅちできにゃいよ!」
「ゆっきゅちー!ゆっきゅちー!」

あまりに異常な光景を前にもはや泣き叫び、訳も分からず喚き散らす赤ゆっくり達。
それは虐待を受けているまりさ以外の水槽の赤ゆっくりも同様で、
熱と痛みと恐怖から、底部をうねうね動かして逃れようとするまりさ。
しかし、ゆっくりの頭は饅頭の柔らかさもあって非常に安定しており、また底部を動かしたくらいで重心が変わる筈もない。
つまり、こいつらはひっくり返ってしまうと亀よろしく自力で起き上がることが非常に困難なのだ。
が、まりさはそんなことに気付くはずもなく、必死になってさっきから底部を動かしている。じっと見ていると結構キモい。

「やべっ、やべでええええ!あんよ゛!あんよ゛があああ!ゆっぐぢー!ゆっぐぢいいい?!」
「まりさあああああ!ゆっくり!ゆっくりだよおおおおお!?」

そのあまりの凄惨さに最近はまりさと殆ど口を利かなかったれいむまで彼女を気遣う。
だが、今のまりさにそんなことを意識していられる余裕などあるはずもなく、狂ったように喚き散らすばかり。
目からは涙が、口からは涎が、それに人間で言うところの脂汗のようなものが全身から滴り落ちて、まりさの傍に小さな水溜りを作る。
そして、皮の焼けた匂いが室内に充満する頃には、まりさの底部の後ろ半分が焦げて使い物にならなくなってしまっていた。
全体を焼くと全く動けなくなるが、こうしてやると跳ねることは出来ないがゆっくり這いずることだけは出来るようになるらしい。

「ゆ゛っ・・・ゆ゛っ・・・・・・ゆびぃ・・・」
「さて、今日はおしまいだ。あ、そうそう、家族が1匹でも死んだら餌はやらんからな」

まりさを水槽に戻すと、念のため口頭でけん制してから、いつも通り餌を分配する。
ただし、まりさの水槽にだけいつもの1.5倍の量の餌を入れておいた。



更に1週間後。
地下室のゆっくり達は全くゆっくり出来ない有様になっていた。

まず、ぱちゅりーの水槽は空腹による非ゆっくりが蔓延していた。
虐待の恐怖を中身に刻み込まれている母ぱちゅりーは恐怖からか虐待を受けると宣言することが一度も出来なかった。
かと言って、初回からあんなものを見せ付けられた赤ぱちゅりーにそれを代行する勇気なんてあるはずもない。
その結果、今までどおりの量であるにもかかわらず、他のゆっくり達よりも圧倒的に少量であるという事実が彼女達から満足感を奪ってしまったのだ。
もっとも、もともと成長を止めることで何とか食いつないでいるような状況ではあったのだが。

「どうちちぇぱちぇだけこんにゃにしゅくにゃいの?」
「おきゃーしゃん・・・おにゃかしゅいたよぉ・・・」
「ごめんね・・・ゆっくりがまんしてね・・・」

結局、喋ったところで余計にお腹が空くだけだと諦めた赤ぱちゅりーは床に伏せって目を瞑った。

次に食料の面でも身の安全の面でもゆっくり出来ているはずのれいむの水槽だ。
この水槽は他の水槽よりははるかにマシな状況ではあったが、予想外の形で非ゆっくりを味わう羽目になった。

「れいむおねーちゃん!せまいよ!もっとはちっこでゆっくちしてね!」
「そうよ!ゆっくちしすぎよ!」
「ゆゆっ!むりだよ!すみっこはいたいいたいでゆっくりできないよ!」

そう、食糧問題が解決したことで、彼女達は生存に必要な分以上に食べ、3つの水槽の中で唯一成長することが出来たのだ。
結果、遊び盛りの元気な子ゆっくりが2匹と、俺がこっそり与える甘いものを沢山食べてでっぷりと肥えたれいむが1匹。
そんな3匹が一つの水槽の中にいるのだから、狭くなって当然だろう。

「ゆうぅぅぅ・・・せまくてゆっくりできないよ!」

最後に、一番悲惨な状況になっているのがまりさの水槽だろう。
親まりさは子どもにおだてられた事もあって最初の3日間は何とか頑張って俺の仕事を手伝った。
その結果、底部の後ろ半分に加えて、右頬を焼かれ、左頬も焼かれ、上手く喋ることも出来なくなっていた。

「ひゅう・・・ひゅっくりへひないよぉ・・・」
「ゆぅ・・・まりしゃのきりぇいなかみしゃん・・・はやきゅはえちぇきちぇね・・・」
「ぅー・・・ぅー・・・」

更に、親のふがいなさを嘆いたと言う訳ではなく、まりさに暴言を吐き、怒りを買った赤まりさ達にも虐待の跡が残っている。
1匹は足の前半分だけ焼かれ、更には髪を引き千切られて、とんがり帽子がなければまりさだとは分からない。
前半分を焼かれると動かせない前半分がつっかえて這いずれなくなると同時に跳ねた後、上手く着地出来なくなるそうだ。
つまり、こいつは今や狭い場所では殆ど移動すら出来ず、跳ねて移動しても普通のゆっくり以下で、しかも地面に顔面直撃してしまう。

「ゆぅ・・・いぢゃいよぉぉぉお・・・ゆっぐ、ぐすっ・・・」

そしてもう一匹の赤まりさは底部を右半分だけ焼かれた他、舌を引きちぎられてしまい全くと言って良いほど喋ることが出来なくなっていた。
ちなみに、左右の半分焼きはまっすぐ移動できなくなる、あまり勢いよく飛び跳ねると何故か頭頂部から落下して起き上がれなくなる、などの影響があるらしい。

「さて、今日は誰がお仕事を手伝ってくれるのかな?そうか、お母さんまりさか、わかったわかった」
「まふぁふぁひほひっへはいほ!」
「はいはい、分かってるから何も言わなくていいさ、はっはっは」

さて、今日のお仕事は・・・無難に髪の毛でも引きちぎるか。
その場で虐待内容を決定した俺は、さっさを足で挟み込むと、帽子を引っぺがして髪の毛に手をかけた。
泣きじゃくる顔饅頭の皮が引っ張られ、形が歪む。そして、更に少し引っ張ると髪の毛が根元から抜けてしまった。

「ひひゃあああ!あふぇふぇ!はふぇふぇへ!」

痛みを堪えながらふがふがと何か叫んでいるが、全く聞き取れないので無視してさっさと作業を続ける。
さっきと同じ要領で髪を人房引っ掴み、ゆっくりと引っ張ってゆく・・・するとぶちっ、という軽快な音を立ててまた髪が千切れた。
いや、髪の毛じゃない。皮ごと引き千切ってしまったらしく、残された皮の下に中身の餡子がうっすらと見えている。

「ふひいいいいいいいいいいいい!ひひゃ!ひぬう・・・はりひゃ、ひんひゃうううううう!?」

せっかくなので千切れたところを指でなぞってみる。
するとまりさは頬が顕在ならば「ゆびぃ!」に相当する悲鳴を上げながら、ぴくぴくと痙攣し始めた。
俺の指の動きの合わせて、びくんびくんと全身を揺らして生命の危機を俺に伝えてくる。
もっとも、直接餡子を攻撃されても多少なら死なないような連中だから大丈夫なのは分かりきっていることなのだが。

しばらくそうやって髪を引き千切ったり、傷口を弄っていると、まりさは気を失ってしまった。
こうなると反応がなくてつまらないので、さっさと全部引き千切ってから、二度と生えてこないように頭を焼いて、水槽に戻した。



んで、また1週間後。
1ヶ月が経ったし、飽きたので森に捨てた。
連中がどうなったかは知らん。



れいむは困惑していた。
理由は簡単。目が覚めたら、かつてれいむが住んでいた森にいたからだ。
懐かしい匂いと暖かい木漏れ日。
きょろきょろと辺りを見回して子まりさと子ぱちゅりーがいる事を確認したれいむは自分の巣へと急いだ。
しかし、何故か全然進んでいる気がしない。

「ゆぅ?」
「おねーしゃん!あんよがいたいよ!」
「むきゅ~・・・ぱちぇ、もうつかれたわ」

地下室でろくに運動もせずに1ヶ月を過ごしたれいむと、平らな水槽の底面しか踏みしめたことのない子ゆっくり達。
そんな3匹にとって、森の中を進んでいくのは想像を絶する苦労が伴うものだった。
それでも、進んでは休み、進んでは休みを繰り返し、なんとかおうちを目指す。
しかし・・・・・・

「ここはありすのとかいはなおうちよ!ゆっくりあっちいってね!」

れいむのおうちは既に別のゆっくりに占拠されてしまっていた。
力任せに追い払おうともしたが、肥え太ったれいむではありすに翻弄されるばかり。
挙句の果てにはれいむを助けるために加勢しようとした子ぱちゅりーがありすに潰されてしまった。
そして、残されたれいむとまりさは結局おうちを諦めた。

「どうちてまりさをゆっくちさせてくれないの!ぷんぷん!」
「おねーしゃん!おなかすいたよ!ゆっくりごはんにしようね!」
「まりさ、あんよがいたくてゆっくちできないよ!」

それでなくても唐突に人間の家を追い出され、かつてのおうちを奪われ機嫌が悪いのに、子まりさが煩わしい。
何かにつけて文句ばかり口にする、せっかく草をあげたら苦いと文句を言う・・・鬱陶しいことこの上ない。
その時、ふとすっかり忘れていた事を思い出した。

「うるさいよ!まりさはれいむのこどもじゃないんだよ!もんくいうんならかってにゆっくりしてね!」
「ゆっ・・・ゆゆっ!?」

そういえば、こいつは自分を裏切って、ぱちゅりーとすっきりしたまりさの子どもじゃなかったっけ?
なんで、れいむがこいつの面倒を見なくちゃならないの?
お兄さんがご飯をくれるから面倒を見てあげたけど、それがないんじゃ面倒を見る意味なんてないよ!

「れいむはひとりでゆっくりするよ!」
「ゆっ・・・ゆえーん、どうちてそんなこというのおおおおお!?」

数週間の間にれいむをすっかり信用しきってしまっていた子まりさは彼女の豹変に困惑し、泣き出してしまった。
しかし、れいむが足を止める気配は一向になく、子まりさがそのことに気付いた時には、れいむの姿がなくなってしまっていた。

「ゆっ!ついてきてないね!これでゆっくりできるよ!」

嬉しそうに飛び跳ねたれいむは、丸々と肥えた美味しそうな彼女の見つめる捕食種の影にまだ気付いていない。



「ぅー・・・ぅー・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」

全員揃って底部に後遺症を抱えてしまっているまりさ達の状況はあまりにも絶望的だった。
跳ねることもできずに非常に緩慢な速度で這いずることしか出来ない母まりさ。
跳ねることしかできないが、跳ねるたびに顔に生傷を増やす赤まりさ、そしてまっすぐ進めない赤まりさ。
いづれも捨てられる直前まで受け続けた虐待で心身ともに疲弊しきっていた。
しかも、全員頬を焼かれ、舌を引きぬかれ、髪の毛の大半を引き抜かれてしまっていた。

「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」

それでも何とか森の中を進み続けたまりさ達は、適当な洞穴を見つけて、そこで体を休める。
しかし、それでも彼女達がゆっくり出来ることはありえない。
喋ることも歌うことも出来ず、頬擦りをすることも膨らむことも出来ず、自由に跳ね回ることも出来ない彼女達に明日を生きる術などない。

「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」

きっと、彼女達がこれから口にすることの出来る食事は、苦い葉っぱだけだろう。
もっとも、舌がないから味を知る術がないのだが。
それでも、ある意味、彼女達は幸せだった。

「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」

喋ることが出来ないから、子ども達に罵られてゆっくり出来ない気分になることはない。
そして、まりさが怒りに任せて子ども達を踏み潰すこともない。
ただ、遠出も出来ずに近場の不味い草を食みながら、じっくりゆっくり疲弊し、冬には死ぬ。

「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」

それはそれでとてもゆっくりした生き方である。



ぱちゅりーは困り果てていた。
何故なら、彼女に自然の中で生きていくための知識が全くなかったからだ。
その上、人間の食事に慣れきったぱちゅりー達にとって、野草の苦味は刺激が強すぎる。

「おきゃーしゃん・・・きょれ、じぇんえんゆっきゅちできにゃいわ・・・」
「むきゅぅ・・・ケホッケホッ」
「あかちゃん、ゆっくりがまんしてたべるのよ・・・」

ぱちゅりーは俯き、涙目になりながらも我慢して苦い草を咀嚼する。
それに習って、幼いぱちゅりー達も草を食んだ。

「む~しゃむ~しゃ・・・ふしあわせ~・・・」
「「む~ちゃむ~ちゃ・・・ふちあわちぇ~・・・」」

ゆっくり出来ない草を飲み込んだその時、赤ぱちゅりーに異変が起きた。

「ゆ゛っ・・・・・・!?」
「むぎゅ・・・ゆ゛・・・!?」

急激に青ざめる赤ぱちゅりー達を前にぱちゅりーは理由が分からず右往左往するばかり。
何とか元気になってもらおうとぺ~ろぺ~ろやす~りす~りをするも、その甲斐なく、赤ぱちゅりーは中身を吐き出して息絶えた。
ぱちゅりーは気付いていないが、彼女達の食べた草は毒草だったのだ。

「むぎゅううううう!ばぢゅりいいいのあがぢゃああああああん!?」

右も左も分からぬ森の中。我が子の亡骸の傍らでぱちゅりーは力尽きるまで泣き続けた。


‐‐‐あとがき‐‐‐

後半の失速がひどいんだよー
飽きた、の一言で捨てられるのが実に切ないよ
損な理由でペットを捨ててはいけません

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最終更新:2009年01月31日 15:25
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