妹紅×ゆっくり系3 妹紅のゆっくりいじめ in 川辺



 ある昼下がり。
 川沿いを歩きながら妹紅は暇を潰していた。

 いつもならば、こういう時はバ輝夜との殺し合いか慧音と会うか家事に勤しんで過ごしている。
 しかし今日に限って輝夜はなんの動きもなく、慧音も忙しくて会えない。家事も終わってすることもなく、じっとしているのも退屈だった妹紅は外へ散歩に出ていた。

 竹林から少し離れた所に川がある。自然のあふれるこの光景も、長い年月の果てに緑が育ち、枯れ果て、川が荒れ、水が引いて、様々な形で変化している。
 妹紅は昔の風景を一つ一つ噛みしめるように思い出しながら歩いていた。

「ゆっ!」
「ゆゆっ!」
「ゆっくりしていってね!」
ゆっくり! ゆっくり!」
「ゆっくりしてだって」
「おお、めでたいめでたい」
「……」

 台無しだった。

 川辺で水でも飲んでいるのか、妹紅の目の前ではゆっくりれいむの家族達がしきりに騒いでいる。情緒もへったくれもないその光景に思わず妹紅はため息をついた。

「お姉さんどうしたの?」
「ゆっくりしていってね!」
「ゆっ! ゆっ!」

 妹紅に気づいたゆっくりが妹紅の側へ寄ってくる。
 頭を抱える妹紅。しかし嫌がってるわけではない。別に暇とはいえゆっくりと過ごす気なんてなかった妹紅としては微妙な状況だが、他にやることもなく、ちょっとはゆっくりしていくのも有りかと思っていた。

「ゆっ!」
「ゆゆっ! ゆっくりっ!」
「ゆっくりちていってね!」
「……」

 なんだか、やたらと声が多いな……。
 疑問に思った妹紅は、あらためて妹紅はゆっくり達の数を数え始める。

 普通のゆっくりれいむが1匹、お母さんゆっくりが1匹、なんかうざいのが2匹。
 そして今、草をかけ分けながら妹紅の側へ来ようとしているちびゆっくり達が。

「……うおっ」

 草が邪魔で数え間違えているかもしれないが、適当に数えても20匹以上いた。産んだばかりなのだろうか、もしそこにいるお母さんれいむだけで産んだなら随分珍しい出産数だろう。

 そのちびゆっくりの多さに驚きながら、妹紅の頭の中にふとある考えが浮かんだ。

 ……これだけ数がいるなら楽しめそうだ。

「あんたら、まだここにいるの?」
「ここはれいむ達のあそびばだよ!」
「あそびばだよ! あそびば!」

 妹紅の言葉にぴょんぴょん飛び跳ねるれいむ達。この川辺は自分たちのものだと主張しているらしい。

「別にここを奪ったりはしないよ。私はこれから行くところがあるけど、その後で一緒にゆっくりしてもいいか?」
「いいよ! れいむ達しばらくいるよ!」
「お姉さん一緒にゆっくりしようね!」

 「ああ」と返事をして立ち去っていく妹紅。

 まずは準備のために、自分の家へと戻っていった。




 妹紅が用意したのは、まずその辺でゆっくりしすぎた結果がこれだよ!と倒れているゆっくりちるの。ゆっくりちるのは、たとえ倒れていても体温は冷たいので上手く炎を調節し、ちるのが溶けないように、手が凍結しないようにして運んでいく。

 次に用意したのが細身の竹。太い竹ならいくらでも生えているが、脆すぎず、固すぎない竹を探すのは意外に手間がかかった。

 最後に家から小刀などを持ち出すと、妹紅は元の場所まで戻ってきた。

「あ! お姉さん!」
「ゆっくりしていってくれるの!」
「たくさんゆっくりしていってね!」

 約束通り現れた妹紅に飛び跳ねながら喜びをあらわにするゆっくり達。まだ飛び跳ねられないちびゆっくりは、体をぷるぷる震わせながら喜んでいた。

 妹紅は持ってきたゆっくりちるのを地面に置く。

「お姉さん! この子とはゆっくりできないよ!」
「冷たいよ! 凍えるよ!」

 さらに持ってきた風呂敷を広げ、ちびゆっくりたちを集めていく。

「ゆっ! ゆゆっ!」
「お、お姉さん!」
「早く離してね! すぐに離してね!」

 しかし妹紅は手を止めず、そのまま20匹いたゆっくり達は風呂敷に包まれてしまった。

「ゆゆっ!」
「くるぢひよ! ゆっくりできないよ!」
「早く離してね! すぐに離してね!」

 残された普通のれいむが足下にまとわりついて離れないが、妹紅は気にした様子もなく、そのままうざいゆっくり達の側へいく。

「ゆっくり離してだって」
「おお、こわいこわい」

 何か言っていたが気にすることもなく、うざいそれを蹴り飛ばした。

「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆっ!」
「おおおぉおぉおおおぉおぉっ!」

 地面に当たって二度三度跳ねながら、川へと落ちていった。
 何か叫んでいるようだが、川の底で叫んでも聞こえない。水を含んで体が膨張していく。

「酷いよ! お姉さんとはゆっくりできないよ! 早くどこかへ行ってね!」

 妹紅の足に体当たりをするれいむ。さすがに歩いている最中に体当たりされて転けかけるも、踏ん張る妹紅。

 このまま体当たりを続けられたら敵わないと、妹紅はゆっくりを踏みつけておいた。

「ゆ゛っ!」

 体が少し潰れ、痙攣するゆっくり。すぐに動く事はできないだろう。

 妹紅はそのままお母さんゆっくりへと近づいていく。一瞬の出来事でどんどんいなくなる子供達にお母さんゆっくりは状況が理解できず、川辺で固まったままだった。

「よっと」

 お母さんゆっくりを持ち上げて、そのまま運んでいく。途中で「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁあ゛あ゛ぁあ゛っ!」「がえ゛じでぇえ゛え゛ぇえ゛え゛ぇえ゛ぇっ!」と暴れ始めるが、妹紅の手が緩む事はなかった。

 ゆっくりちるのの側まで戻ると、妹紅はお母さんゆっくりをその上に乗せる。

「ひ゛ぃぃい゛い゛ぃあ゛あ゛あ゛あ゛ぁあ゛ぁあ゛ぁぁぁあ゛ぁっ!」

 徐々に冷たくなっていくお母さんゆっくり。ほどよい冷たさになったところで持ってきていた小刀を取り出すと、妹紅はお母さんゆっくりの頭の上の部分を横に切り取り、あんこを露出させた。

「あ゛あ゛ぁあ゛ぁあ゛っ! あ゛だま゛! あ゛だま゛がぁあ゛あ゛がぁあ゛あ゛っ!」
「よし、準備できたっと」

 満足げに呟く。先ほど踏みつぶしておいたゆっくりが、また妹紅の足下にやってきた。

「お、お゛があ゛ざんっ、お゛があ゛ざん、がえじでぇええぇぇえっ!」
「ああ、ちょうど良いところに来た」

 そう言うと、先ほどよりも強めに力を込めて踏みつける!

「ゆ゛っ!」

 地面にゆっくりが軽くめり込んだのを確認すると、妹紅はその上に腰を下ろした。

「ゆゆうい゛い゛い゛ぢあ゛ぁあ゛ぁおあ゛あ゛あ゛ぁっ!」

 椅子にされたゆっくりの絶叫が響く中、持ってきた竹の先に糸を括り始める。
 括り終わると、結んだ風呂敷に手をいれ、ちびゆっくりを取り出した。
 窮屈さから解放され、顔に花を咲かせるちびゆっくり。

「おねえさんありが──」

 ぶすりと、釣り針を刺した。

「いだい゛ぃい゛い゛ぃい゛い゛っ!!」
「さて、なにが釣れるかな」

 竹をしならせ、餌のちびゆっくりを川へ投げ込む。
 穏やかな気候の中、妹紅の釣りが始まった。

「ゆっぐり゛り゛ぃい゛い゛いぃいい゛ぃいっ!」




 竿を通じて当たりが来る。なかなか強い引きが大物を予感させる。

「よっし来たっ!」

 竿を引っ張り上げる。釣り糸の先には、ちびゆっくりとその餌に噛みついて離れない魚の姿があった。

「う゛う゛う゛う゛ぅう゛う゛う゛っ!」

 水を含んで脆くなった体に、食いついた魚の重さで引き千切られそうになるちびゆっくり。

 妹紅としてみればちびゆっくりを丸呑みできるような大物に期待しているのだが、さすがになかなか食べてはくれず、釣れては半端に欠けるちびゆっくり達をさらに川へ戻して釣りを続けている。

 しかし今のちびゆっくりほど脆くなったらもう無理だろうと思ったのか、魚を外すと、そのままちびゆっくりを針から外して川へ放り投げた。

「あ゛ぁぁぁあ゛あ゛ぁぁぁっ!」

 川に落ち、分解していくちびゆっくり。巻き餌代わりにはなるだろう。
 最初に落としたうざい奴らは、もう全部食べられてしまったのか、川を見てもそれらしい跡は見あたらなかった。

 釣った魚を手に持ち、お母さんゆっくりの元へ行く。

「ゆ゛っぐり゛……ゆ゛っぐり゛ぃいいぃい……」

 何匹か投げ飛ばされていったちびゆっくり達の末路に悲しむお母さんゆっくり。そのゆっくりの頭に魚をのせ、あんこを穿っていく。

「ゆ゛っ! ゆ゛っぐり゛っ!」

 冷たくなったあんこが妹紅の手を急激に冷やすが気にせず、開いた穴に魚を入れ、そのまま埋めていった。

「あ゛あ゛あ゛ぁあ゛ぁぁぁあ゛あ゛ぁぁ……っ」

 瞳孔が開き、僅かに痙攣するお母さんゆっくり。

 そんなお母さんゆっくりの横に、もはや絶命して動かなくなったちびゆっくりの姿がある。風呂敷から取り出し、先ほどちるのの上に置いておいたちびゆっくりだ。

 妹紅はしっかり冷やされたちびゆっくりを手にすると、また釣りを再開するために戻っていく。

 れいむに腰を下ろすと、そのままちるのの冷気で冷やされたちびゆっくりを口にいれる。
 しゃりっとした感触とちびゆっくりのあんこの甘みが、妹紅を笑顔にした。

「そろそろ、もうちょっと大きめの大物が釣りたいな~」

 風呂敷から新たなちびゆっくりを取り出す。外に出されたらどうなるか既に理解しているちびゆっくりは、既に震えながら泣き叫んでいた。
 変わらずちびゆっくりに釣り針を刺し、そのまま川へと放り投げる。

 しかし今回はいつもと違っていた。

「えっ?」

 水音がしない。妹紅の竿にも、ちびゆっくりが落ちた感触がなかった。

「うー♪ うー♪」
「ゆ゛っく゛り゛ぃい゛いい゛ぃいいぃっ!」
「……」

 どこからともかくやって来たゆっくりれみりゃに、空中で受け止められ、そのまま齧られていた。

 思いもしなかった獲物に言葉を失う妹紅。

「……まぁ、大物かな?」
「うまうま♪」

 すぐにちびゆっくりを平らげるゆっくりゃ。その口には釣り針が引っかかっているが、場所が良かったのか痛みに耐える様子はない。

 妹紅は側に寄せようと、釣り竿を大きく引っ張る。
 ゆっくりゃの体が大きく横に伸びた。

「うっ! う゛ぁあ゛あ゛あっ!」

 激しい痛みと力に、羽ばたいて抵抗するが、ゆっくりゃの力は人に逆らえるほどはない。
 ほどなくゆっくりゃは釣り上げられ、妹紅の手の中に収まった。

「うー……!」

 引っかかった針が痛むのだろう、涙を浮かべたまま妹紅に怒りを向けるゆっくりゃ。肉まんなその頬が膨れている。
 しかし妹紅は気にすることなく羽をもぎ取る。

「い゛ぎぃあ゛あ゛ぁぁあぁぁっ!!」

 邪魔なものがなくなったとばかりに、そのままゆっくりゃに齧りついた。

「ごめ゛んな゛ざいいいいいいい!!」

 謝られても、美味しいし。妹紅に止める気はまるでない。
 ものの5分もしない内に、ゆっくりゃは妹紅のお腹の中に収まった。

 残った羽は、一端燃やし、ほどよく火が通ったところで齧る。
 噛めば噛むほど味が出てくる、魚の干物のようなそれは酒のつまみに持ってこいで、妹紅もお気に入りの一品だ。

 羽を咥えたまま、新たに餌をつけ、釣りを再開する妹紅。思わぬところでつまみも手に入り、魚も入れ食いで気分は上々だ。ゆっくりに散歩を邪魔された時はどうなるかと思っていたが、これはこれでいい暇つぶしになっていた。

 竿にまた当たりが出る。先ほどよりも強い引きに、妹紅の期待は高まった。

「よぃ……しょっと!」

 両手に力を込めて引き上げる。

「ケロケロ! ケロケロ!」
「カッパ! キュウリ!」
「……」

 釣れたのは、外道だった。

「……」
「ケロケロ!」
「にとりー!」

 ちびゆっくりに食いついて離れないゆっくりケロちゃんとにとり。

 もうお腹いっぱいになっていた妹紅に食欲はなく、ちびゆっくりから針を外すと、そのまま3匹とも地面へ落とし、燃やしていった。

「ゲロゲロゲロ!」
「み゛、み゛どり゛ぃぃい゛いっ!」
「……ゆっ、ゆ゛っく゛り゛……」

 ゆっくりの臭いに、焼ける蛙の臭いを思い出す妹紅だった。




 妹紅が腰を上げる。気づけば日は夕暮れ。そろそろ用事も終わり、慧音が訪ねてくるかもしれない。バ輝夜は居留守で充分だけど、慧音に無駄足を踏ませるのは可愛そうだ。せっかく大漁だったのだから、慧音にも分けてあげよう。

 釣り自体気まぐれであり、普段もしているわけではない妹紅に取って釣り竿はただ荷物になるだけだ。竿を真ん中でおり、糸を外して置いていく。

 座られ続けたれいむは数時間前からピクリとも動かない。体は完全に硬直し、今やただのオブジェと化していた。

 ゆっくりちるのの上に乗せていたお母さんれいむを、炎で解凍していく妹紅。氷が溶けきり、どうにかちるのから外れそうだ。
 両手で抱え、そのまま膝を使って持ち上げた。

「……うっ……ゆっ……」

 かすかに聞こえてきた声に、思わず妹紅は抱えているものの顔を見た。

「……ゆっ……」
「まだ生きていたんだ」

 子供の多さからタフそうだと思っていたが、それにしてもその生命力の高さは妹紅を随分驚かせた。

 元来た道を戻っていく妹紅。その間にも、お母さんれいむは希に声を上げる。生きてはいるものの、あんこを魚に陵辱され、ちるのの冷気で冷凍されている、このまま放っておけば死んでしまうだろう。

 妹紅はずっと考えていた。

 こんな生命力のあるゆっくりでデザートを作れば、バ輝夜はとても喜んでくれるだろう。

 いつか輝夜に食べさせるため、魚臭いあんこでなんのデザート作るか考える妹紅だった。



 End





妹紅       → もこたん釣りしたお!
お母さんゆっくり → クーラーボックス
ふつうのゆっくり → 椅子
うざいの     → 撒き餌
ちびゆっくり   → デザート 兼 餌
ゆっくりゃ    → 昼ご飯とつまみ
チルノフ     → ゆっくりした結果がこれだよ!



■話を書く前の気持ち

実際ゆっくり餌にしたら何が釣れるだろうな


ゆっくりゃが釣れるんじゃね?


それじゃゆっくり餌にゆっくりゃ釣って虐待しようぜ!



■書き終わった後

もうれいむでいいや……。



by 762



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最終更新:2008年09月14日 05:33
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