ゆっくりいじめ系2141 ゆンプリンティング

名前ないんださんからのお題『ぱちゅりーとありすが主役』

作者:名も無き埴輪


「むきゅ、あかちゃんゆっくりうまれてくるのよ」

ゆっくりたちが住む森の一角にあるひとつの巣
そこににんっしんっしたぱちゅりーは住んでいた。
ぱちゅりーとずっとゆっくりすることを約束したありすはもういない。
ありすはにんっしんっしたぱちゅりーのために
ご飯を集めている最中にれみりゃに襲われてしまった。

傷ついた身体でおうちに帰ってきたありすは自分の子たちを
“とかいは”に育ててほしいと言い残すと
それまで集めていたごはんだけでは到底出産・子育てするまで
知識はあっても狩りをする体力のないぱちゅりーには足りないだろうと
「さあ、おたべなさい」をしてしまった。

愛する伴侶だったありすを食べることは抵抗があったが
身体が弱い代わりに知識があったぱちゅりーに対して
『とても“とかいは”だ』と言ってつがいになってくれた
ありすの気持ちを無碍にすることはできなかった。

ちなみににんっしん形態は胎生型にんっしんっだ。
一度に大量の赤ゆっくりが生まれてくる植物型にんっしんっでは
餡子を吸われすぎて母体となるぱちゅりーが耐え切れないとの判断からだ。

おうちの中には綺麗な石やどこから持ってきたのか
人間の子供が遊ぶぬいぐるみまで置いてある。
ありすが拾ってきて今や形見となってしまったそれらとともに
ぱちゅりーはゆっくり時を過ごしていた。


「ゆっゆっふー! ゆっゆっふー!」

それからさらに月日が流れ、ぱちゅりーはついに出産の時を迎えた。
母体に負担をかけないようにと親から教わったゆマーズ法でいきむ。

「ゆっゆっふー! むきゅーっ!!」

『すぽーん』という音と共に赤ありすが拡大したまむまむから飛び出した。
早く赤ありすに『ゆっくりしていってね!!』と声をかけてあげたいが
出産直後で衰弱の激しい身体がなかなか鎮まらない。

必死で呼吸を整えていると赤ありすの
『ゆっきゅりしちぇいってね!』という声が聞こえてきた。
それからさらに時間をかけてようやく赤ゆっくりの方に向いて
『ゆっくりしていってね!!』と言いかけたぱちゅりーは
信じられない光景を見てしまった。

「むきゅー、むきゅー……ゆっくりしていtt……むきゅ?」
「しゅーり、しゅーり♪」

ぱちゅりーが見たものはありすの遺したぬいぐるみと
『すーりすーり』をしている赤ゆっくりの姿だった。

「むきゅ! あかちゃん、おかーさんはこっちよ!
 はやくいっしょに“すーりすーりしようね!!」
「ゆ? おばしゃんもゆっきゅりしちぇいってね!」
「むきゅああああああ!?」

それから何度もぱちゅりーは自分がおかーさんだと赤ありすに教えようとしたが
赤ありすは頑としてぱちゅりーを『おばしゃん』と呼び続けた。


そしてまた月日が流れた。
赤ありすはぱちゅりーの世話を受けて子ゆっくりサイズにまで成長していた。
当初は身体の弱いぱちゅりーが一所懸命に餌を集めてきていたが
この頃になると成体であるぱちゅりーよりもぱちゅりーの教えを受けて
子ありすが狩りに出かける方がたくさん餌を集められるようになっていた。

子ありすはぱちゅりーの教える知識はどんどん吸収していった。
教えられた知識をその健康な身体で発揮できる子ありすは
知識を溜め込むだけのぱちゅりーより優秀かもしれない。

「おかーさん、またごはんたべてないの? すこしはたべないとからだにどくよ」
「すごいじゃないありす、きょうのかりもだいせいこうみたいね」
「ゆゆっ、ありがとうぱちゅりーおばさん
 でもありすはおかーさんにほめてほしいわ」
「むきゅぅ……」

子ありすは決してぱちゅりーを疎んじたりしない。
ぱちゅりーの分のごはんも取ってきてくれるし
ぱちゅりーが発作を起こせば寝ずに看病してくれる。
しかし、決してぱちゅりーを『おかーさん』と呼ぶことはなかった。


「ありすはぱちゅりーとありすのあかちゃんよ。
 なのにどうしてぱちゅりーを“おかーさん”とよんでくれないの?」

子ありすはすでに狩りに出かけている。
誰もいないおうちの中に向かってぱちゅりーは独りごちた。

「そう、そうね……ぜんぶこいつがわるいのね」

いつしかぱちゅりーの怒りは親ありすの遺したぬいぐるみへと向けられていた。

「こいつさえ……こいつさえいなければぱちゅりーは
 ありすのおかーさんになれたのに……」

そしてふとぱちゅりーの頭の中にひとつの考えが浮かんだ。

「そうか……こいつがいなくなればいいのね! そうすればきっと
 ありすはぱちゅりーのことを“おかーさん”とよんでくれるのね!!」

思い立ったが吉日、ぱちゅりーはさっそくぬいぐるみを外に運び出し始めた。
他のゆっくりなら多少の力で運べる物でも体力の無いぱちゅりーには重労働だ。
それでもぱちゅりーは渾身の力を籠めてぬいぐるみを運んでいった。


おうちから少し離れた小川まで来るとぱちゅりーはぬいぐるみの上でジャンプを始めた。
川に流してしまえば誰にも見つけられなくなるだろうが、そのまま流すと岩などに
引っかかってしまうことを危惧して潰すことにしたのだ。

「むきゅ! むきゅ! ぱちゅりーにありすをかえしてね!!」

執拗に。
何度も何度も。
親の仇のように踏みつける。
やがてぱちゅりーの息が上がる頃には
ぬいぐるみはすっかりぺちゃんこになっていた。

「むきゅん、ありすがかえってくるまえにはやくおうちにかえらないと」

ぬいぐるみを始末し終えたぱちゅりーは家路を急いでいた。
滅多に外出することのないぱちゅりーの外出と無くなったぬいぐるみの
関連性を結びつけることは今の子ありすになら造作の無いことだろう。

ぱちゅりーはおうちに帰るとずっと寝ていたかのように装って子ありすの帰りを待った。


「ただいまー! おかーさん、きょうもたくさんごはんをあつめてきたわ
 ありすすごいでしょ?……ゆ、おかーさん?」

どうやら子ありすが帰ってきたようだ。
ぬいぐるみはいつも同じ場所にあるので無くなったことにすぐ気付いたらしい。

「ねえ、ぱちゅりーおばさん!おかーさんはどこ!?」
「ありす、よくきいてちょうだい」
「ゆ?」

ここからがぱちゅりーの頭脳の見せ所だ。

「あなたのおかーさんはありすがりっぱになったのをみとどけてでていってしまったわ」
「ゆがーん!? ぱぢゅりぃぃぃ! どおじでどべでぐれながったのおおおおお!?」
「ぱちゅりーだってひきとめたわ。ありすにはまだおかーさんが
 ひつようなんだ、って……でもだめだったの」
「おがーざぁああああん!!」

いつもは自認する“とかいは”らしく優雅に振舞う子ありすが恥も外聞も無く泣き喚く。
その悲しみの対象が自分ではないことに悔しさを感じつつも
ぱちゅりーはありすを慰み始める。

「ぺーろぺーろ、ありす……ぱちゅりーのことをおかーさんだと思ってもいいのよ?」
「ゆ? でもありすのおかーさんはおかーさんだけだよ」
「ええ、わかってるわ。だからぱちゅりーはふたりめのおかーさんになってあげる」
「ふたりめ……?」
「そうよ、ありすにはありすをうんでくれたおかーさんと
 ありすをそだててくれたおかーさんのふたりのおかーさんがいるの」
「ゆゆ! とってもとかいはね!」

産んだのも育てたのもぱちゅりーだがありすに『おかーさん』と
呼ばれるためにはこう言うしかないとぱちゅりーは判断していた。

「じゃあ、おかー……さん?」
「むきゅ、ゆっくりしていってね!」

ぱちゅりーの言葉にありすは顔を輝かせて返事をする。

「ゆゆ! おかーさん、ゆっくりしていってね!!」


月日が流れた。
子ありすは成ゆっくりとなり、つがいの相手も見つけた。
ぱちゅりーは遠慮したがありすとつがいのゆっくりのおうちに
ぱちゅりーも一緒に住まわせてもらった。

可愛い孫たちに囲まれぱちゅりーはとても幸せだった。
ありすのつがいのゆっくりもぱちゅりーにとてもよくしてくれた。

そして今ぱちゅりーは永遠にゆっくりしようとしている。

「むきゅ……むきゅ……ぱちゅりーは……とってもゆっくりできたよ……」
「……みんな、おわかれはありすとぱちゅりーだけでさせてちょうだい」
「ゆっくりりかいしたよ……」

ありすは家族をおうちへと残し、命が残り少ないぱちゅりーを連れて外へと出て行った。
永遠にゆっくりする前にどうしてもぱちゅりーに見せたいものがあると言って……。

「むきゅ……ありす、みせたいものってなに?」
「………」
「あり……す……? どうしてなにもはなしてくれないの?」

おうちから離れた途端に無言になったありすに不信感を抱くが
ぱちゅりーのなめくじのような移動速度に合わせてくれる
ありすを信じてついていく。

(むきゅ? たしかこっちは……)

忘れもしない。
今ありすとぱちゅりーが向かっているのは
昔ぱちゅりーがぬいぐるみを捨てた小川だ。

(そんな……まさか、ね……)
「ぱちゅりー、ありすね」
「むきゅ!?」

ひとりで考え込んでいた矢先に突然話しかけられてぱちゅりーは驚く。

「ありすね、あのひぱちゅりーがしてたことみてたの」
「む、むきゅ……?」

ぱちゅりーは今自分が聞いた言葉が信じられなかった。
ありすがおかーさんと慕っていたぬいぐるみを捨てたことを知っていた?
そしてふと気付く。ありすのぱちゅりーへの呼び名が今までの『おかーさん』でもなく
『おばさん』でもなく『ぱちゅりー』となっていることに。

「ありすだってしんじられなかった。でもぱちゅりーがいなくなったあとに
 のこされたぺちゃんこになったおかーさんをみてうそじゃないってわかった」
「あ、ありす……?」

ありすは独白を続ける。

「だからね、ありすおもったの。ぱちゅりーをいっぱいゆっくりさせてあげて
 それからおかーさんとおなじめにあわせたらどんなにゆっくりできるか」
「ちがうのあれは……」
「うるさい!」

何とか言い訳しようと口を開いたぱちゅりーを大声で遮る。

「おかーさんをころしたゆっくりはゆっくりしないでしねぇぇぇ!!」
「むぎゅ!? やべっ! むぎゅあああああ!?」

ありすはぱちゅりーを踏みつける。
執拗に。
何度も何度も。
親の仇のように踏みつける。
当然だ。ありすの中ではまさしくぱちゅりーは親の仇なのだから。

「むぎゅ……もっど……ゆっぐりじだがっだ……」

ただでさえ寿命間近だったぱちゅりーが耐えられるはずもない。
ついにぱちゅりーは口から餡子を吐いてしまう。
そしてそのままぱちゅりーはそのゆん生を終えた。

「ゆふふふふ……ねえ、ありすはおかーさんのかたきとったよ!
 おかーさん、こんどこそほめてくれる!? ゆふふふふふふ……」

残されたのはいつかのぬいぐるみのようにぺちゃんこになったぱちゅりーと
その上で壊れた笑いを上げるありすの姿だけだった。



あとがき
なんかもうゆっくりじゃないですね、ごめんなさい。

なかなかお題が進まないので諦めてたら産まれた赤ゆっくりが人形を親だと
思い込んで親ゆっくりに懐かないので怒った親ゆっくりがその人形を
竈の中に放り込んで焼き捨てたらそれを見ていた赤ゆっくりが
親ゆっくりたちを自分たちを殺しに来た強盗だと思い込んで
親ゆっくりたちも竈の中に放り込むという夢を見たのでお題に合わせて書いてみました。

ゆっくりが竈を使える理由が飼いゆっくりでまだ火が残ってた竈に放り込んだ
というくらいしか思いつかなかったのでそしたら飼い主の立ち位置が
考え付かなかったため今回のようになりました。

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最終更新:2009年02月13日 01:13
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