悲劇がとまらない!(前編)
*舞台は現代です。
ある土曜日の早朝。
天気がいいのでお布団を干そうと窓を開けてみると…
「「ゆっくりしていってね!!」」
ベランダにゆっくりがいた。
窓を開けてもらえるのを待っていたように、キラキラした目で私を見上げている。
私は思わず窓を閉めた。
「ゆゆっ!? しめないでね!! ここをあけてね!!」
「おねえさん!! れいむのはなしをゆっくりきいてね!!」
…ウチはアパートの1階だから、ベランダで野良猫が昼寝をしていることもしばしば。
でもまさか野良ゆっくりまで来るなんて。
「おねがいだからゆっくりあけてねっ!!」
「おねえさん! ゆっくりさせてよーーーっ!!」
もう! そんな大声出されたら私がこのアパートにいられなくなっちゃう!
仕方ないから用件だけ聞いてあげようと思って窓を開けると、今の今まで泣き叫んでいた2匹はすぐに笑顔になった。
…切り替え早すぎない?
「ゆ、おねえさんありがとう! まりさはゆっくりなかにはいるよ!」
「ゆゆ! まりさ、あたらしいゆっくりぷれいすがみつかってよかったね!」
「ち…ちょっ!?」
その2匹……ゆっくりまりさとゆっくりれいむは、あれよあれよという間に私の足を押しのけて侵入してきた。
そしてコタツ布団の上に陣取って「ゆっくりできるね!」と喜びあっている。
2匹が通った床の上は、点々と黒く汚れてしまっていた。
「ちょっと! どうして勝手に入るの!?」
と、言ってから後悔した。
このシチュエーションで次にくるのはおうち宣言だ。
こうなったら、「ここはまりさたちのゆっくりぷれいすだよ!」とか言った瞬間に外に放り投げてしまおうと思い、私は身構えた。
しかし、返ってきたのは意外な答えだった。
「おもいだしたよ! まりさたちはおねえさんにおねがいがあるんだよ!」
「ゆ! そうだよ! おねえさんはゆっくりきいていってね!」
ゆっくりのお願いっていったら「おいしい食べ物をちょうだいね」かな? などと考えていると…
「まりさたちを、ちょっとだけこのおうちでゆっくりさせてね!」
「…ちょっとだけ?」
「ゆ、そうだよ! おねえさんにはめいわくをかけないから、まりさたちをちょっとだけゆっくりさせてね!」
「れいむたちはいいゆっくりだよ! れいむたちといっしょなら、おねえさんもゆっくりできるよ!」
「結構です!」
「「どぼじでぇ!?」」
「ゆっくりしたいなら自分の家ですればいいでしょ?」
「ゆぅぅ…それが…」
まりさの話によると、こうだった。
2匹は最近このあたりに来て、ウチの道路反対側にあるリンゴ畑におうちをつくったそうだ。
ところが昨日の夕方、突然大きなスィー(たぶんトラクター)が畑をウロウロしたせいで、貯めこんだ食料ごとおうちが埋められてしまったという。
2匹は命からがら逃げ出したが、行くあてもないのでひとまずウチのベランダで一晩を過ごした…というのだった。
「でも、ここにいても行くあてが出来るわけじゃないでしょ? ほかにおうちを作れる場所を探したほうがいいんじゃない?」
「ゆ…ゆ…でも……」
まりさはまごまごしながら口ごもっている。
すると、隣のれいむが力強い声で言った。
「れいむのおなかにかわいいあかちゃんがいるんだよ!」
赤ちゃん!? ……なるほど、それであんまり遠くには行けないわけね。
私が納得していると、まりさが怒りはじめた。
「どおしてあかちゃんのことをいっちゃうの!? ないしょのはずでしょ!?」
「ゆ? まりさはばかだね! れいむがにんぷさんだってしったら、おねえさんだってここにおいてくれるよ!」
「なにいってるのお!? あかちゃんをむーしゃむーしゃされたら、ゆっくりできないでしょおおお!!?」
「ゆゆ!? まりさこそなにいってるの!? れいむのかわいいあかちゃんをみたら、みんなゆっくりできるにきまってるでしょ!!」
…夫婦喧嘩がはじまる。
どうやらまりさのほうは、れいむとおなかの赤ちゃんに危険が及ばないように内緒のままここにおいてもらおうと思ったらしい。
一方のれいむは、にんっしんっしてるんだから優しくされるのが当然だし、赤ちゃんも可愛がってもらえるのが当然だと思ってるみたい。
ああ…2匹とも、ここが怖いお兄さんの家じゃなくてよかったね…。
結論からいうと、赤ちゃんが無事に産まれるまでおいてあげることにした。
こうして1Kのアパートで、私と2匹のゆっくりの共同生活がはじまった。
「そういえば、どうして私のウチに来たの?」
「ゆ? おねえさんのおうちからいつもおうたがきこえたから、れいむがここにしようっていったんだよ」
…これからはスピーカーのボリューム下げよっと。
さて、私はお風呂場でまりさとれいむのホコリまみれの体を洗ってあげた。
シャワーを出すと、まりさは相当喉が渇いていたらしく、水道に口をつけて「ごっきゅ! ごっきゅ!」と飲んだ。
はじめてのボディソープの泡を見たれいむは「あわあわー!」と突撃し、泡が目に入ってゴロゴロ転がったりした。
いろいろ手間がかかったが、お風呂から出た2匹はなかなかの美ゆっくりになった。
「ゆっくりかわかそうね!」
「ゆっくりころころするよ!」
大きなバスタオルの上でコロコロ~コロコロ~と転がるまりさとれいむ。
「ね、おなかの子供は平気なの?」
「「ゆ゙っ!?」」
れいむは目を見開いて凍りつき、まりさはあわててれいむのプックリ膨らんだおなかを舐めはじめた。
「まりさたちのあかちゃん! ごめんね、ゆっくりしていってね! ぺーろぺーろ、ぺーろぺーろ…」
その微笑ましい様子を見ながら、私は遅い朝食を済ませた。
まりさは、れいむの分と合わせて自分で狩りをしてくるからいい、とのことだった。
「じゃ、ちょっと出かけてくるわね」
「ゆ? おねえさんはどこにいくの?」
「アルバイト。夕ご飯の前には帰ってくるから」
「ゆゆ? あるばいと? それってゆっくりできるもの?」
「ゆっくりはできないわね~」
私は笑いながら「行ってきます」と家を出てドアの鍵をかけた。
「「ゆっくりいってらっしゃい!」」という声が、ドアの向こうから聞こえた。
帰宅した私を待っていたのは衝撃的な光景だった。
「なにこれ…」
メチャクチャに散らかった廊下。
最初に浮かんだのは"泥棒"の二文字だった。
私は勇気をふりしぼって包丁をかまえると、足音をしのばせて部屋につづくドアを開けた。
「「ゆっくりおかえりなさい!」」
振り向いたまりさたちの笑顔に、緊張が解けてヘナヘナと床に座りこんでしまった。
「みてみて! まりさたちおうちをつくったよ!」
「あったかくて、とってもゆっくりできるおうちだよ!」
「おう…ち…?」
まりさがボヨンボヨンと跳ねているところを見ると、めくられたコタツ布団、こまかく千切られた新聞紙、そしてウニョウニョ動いてるなにか。
近づいて見てみるとそれは…
「虫はいやーーーーーっ!!!!」
ダンゴムシ! ムカデ! クモ! その他よくわからない虫! 虫!! 虫!!!
「ゆゆ!? おねえさん、これはまりさたちのごはんだよ!」
「とってもゆっくりできるよ!」
「ゆっくりできないぃぃぃ!!!」
私はまりさたちをお風呂場に閉じこめると、コタツを徹底的に掃除して片付けしまった。
「もぉ寝る! おやすみなさい!」
「ゆ! まりさもふかふかでねるよ!」
「れいむもふかふかでねるよ! おねえさん、れいむをゆっくりだきあげてね!」
夜、コタツを失ったまりさがベッドに乱入してきてフカフカ(お布団)で眠らせろと言ってきかない。
身重のれいむも、しきりにベッドに抱き上げろと要求してくる。
「はいはい。もぉ疲れたょ…」
アルバイトとゆっくりの騒動でヘロヘロになった私は、一刻も早く意識を飛ばしたくてベッドに乗せてあげた。
「ゆっゆっ! ふっかふっかー! ゆっくりー!」
「おなかのあかちゃんにおうたをきかせるよ! ゆ~ゆゆ~~~ゆ~ゆ~♪」
その夜、寝ついたのは午前3時だった。
* * *
「ゆ?」
カーテンからこぼれる光に、まりさは目を覚ました。
むっくりと起き上がって帽子をかぶり直すと、お決まりの挨拶を叫ぶ。
「ゆっくりしていってね!!」
「ゆ…? ゆっくりしていってね!!」
「ゆっゆっ! おねえさん! ゆっくりおきてね!」
「おねえさんはおねぼうさんだね!」
……遠くで誰かが叫んでる。
夜遅くまで安眠妨害を受けていたので意識がはっきりしない。
だが次の瞬間、
「おねえさんはゆっくりしないでさっさとおきてね!」
ドボォッ!
「ぐっはー!!」
バスケットボール・サイズの饅頭によるみぞおちへの体当たりが、今朝のモーニングコールになった。
「ゆっゆ~ん! おねえさん、ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね! まりさのおかげでおきられてよかったね!」
「ゔ……ぐ……」
そんな最悪の目覚めを体験させられた私に、追い討ちをかけるような会話が飛び込んでくる。
「ゆ、おなかすいたね! まりさは"かり"にいってくるよ!」
「ゆゆん! おいしいたべものをとってきてね!」
「……ぢょっどタンマ゙」
また変な虫を持ってこられたらタマラナイ…。
結局、2匹のご飯は私が担当することになった。
「うっほうっめ! これめっちゃうっめ! はふはふっ!」
「あまあま! れいむへぶんじょうたいっ!」
2匹が食べ散らかしているお皿のものはパイナップルの缶詰。
母体を気づかって、ゆっくりの大好きな甘いものを出してあげたのだ。
「おねえさん! これありがとう! もっとちょうだいね!」
「れいむもたりないよ! ゆっくりしないでさっさともってきてね!」
お皿をベロンベロン舐めまわしながら、まりさとれいむが催促してくる。
「ごめんね、ひと缶しか無いのよね」
「ゆぅ…ざんねんだよ」
と諦めたまりさはいいが、
「こんなんじゃぜんぜんたりないよ! れいむはあかちゃんのぶんまでたべなきゃいけないんだよ!? わからないの!? ばかなの!?」
ガーン!!
「れ、れいむ! おねえさんにそんなこといったらいけないよ!」
「だってれいむはにんぷさんなんだよ!? おなかにきゅーとなあかちゃんがいるんだよ!? もっとたべないとあかちゃんしんじゃうでしょお!?」
「……買ってくるね」
私は近くのスーパーにパイナップル缶を買いに行った。
せっかくバイトのない日曜日だというのに、どこにも出かける気力がない。
ベッドでぐったりしていると、まりさがボヨンと乗ってきた。
「おねえさん、まりさたちはおうちがほしいよ!」
「おうちはダメ!」
「ゆぐっ、ちがうよ! おうちができればまりさたちはそこでゆっくりするから、おねえさんにもめいわくをかけないよ!」
まりさは私を気づかってくれているらしく、ちょっと嬉しかった。
もう変な虫を集めてこないように約束すると、私はおうちを作ってあげることにした。
「ちょっと待ってね、これなんかどうかな?」
納戸から大きなダンボールを出して組み立てると、上も下もガムテープで閉じる。
そして片方の側面をカッターナイフでアーチ型に切りとって出入り口にして、その上にコピー用紙を暖簾のように貼りつける。
寒くないように、中にはタオルケットを敷いてあげた。
こうして、ダンボール製の犬小屋みたいなものができあがった。
「どぉ? 入ってみて!」
「ゆ! ゆっくりはいるよ! そろーり、そろーり!」
「れいむもはいるよ! そろーり…そろーり…」
2匹はズリズリと体を這わせてダンボールのおうちに入っていく。
そうして完全に入ると、姿の見えなくなった箱の中から「「ゆっくりー!!」」という歓声があがった。
「ちょっとくらいけど、やねもついててとってもゆっくりできるよ! おねえさんありがとう!」
「まりさ、ここならゆっくりあかちゃんをうめるね!」
「うふふっ、そんなにゆっくりできるの? 見せて見せて!」
中の様子を見ようと、入口から顔を入れたときだった。
ペチッ
「いたっ」
まりさに顔に体当たりされた…。
「ここはまりさたちのゆっくりぷれいすだよ!」
「れいむたちのおうちなんだから、おねえさんははいらないでね! ぷんぷん!」
「えっ? えっ?」
私は2匹の豹変に戸惑った。自分の巣を持った野生のゆっくりって、こういうものなのかしら…?
それ以来、身重のれいむはもちろん、まりさまでもがダンボールのおうちから出てくることは滅多になくなった。
そんなにおうちを気に入ってくれたんだ…と嬉しく思ったが、その反面、なんだか複雑な気分だった。
「まりさ、れいむ。お昼ごはんが…」
「ゆ? ごはんはいりぐちにおいてね! おうちにははいらないでね!」
「れいむ、体の具合はどう?」
「ゆ!? れいむがおひるねしてるときにはなしかけないでね!!」
「ふたりとも、たまには外で遊ん…」
「まりさたちはゆっくりしてるんだよ! ほっといてね!」
お産が近づいてナーバスになっているのか、日に日に邪険になっていくまりさたち。
早く子供産んで帰ってくれないかな…と思っていたある日のことだった。
「あれ、携帯…?」
お風呂から上がってみると、机の上の携帯電話が無いことに気づいた。
まりさたちに聞いてみると、
「しらないよ! まりさたちがしってるわけないでしょ!」
と、相変わらずの調子。
たしかにゆっくりが携帯電話なんて持ってても意味ないもんね…と思い、また探してみたがどうしても見つからない。
「ね。ちょっと公衆電話から私の携帯鳴らすから、帰ったらどこから聞こえたか教えてね?」
「………………」
近くのコンビニから自分の番号にかけると、電源も切れておらず呼出し音も鳴っている。
あの2匹の様子だとちゃんと聞いてくれてないかも…と思い、2分近く鳴らしてから家に戻った。
すると、
「やべでえ゙え゙え゙!!! あがぢゃんがつぶれぢゃゔゔゔゔゔっ!!!!」
れいむのくぐもった悲鳴がダンボールのおうちから漏れてくる。
「れいむ!?」
ハンドタオルをめくって中を見ると、まりさが背後から押し潰すようにれいむに乗って体を振っている。
「ちょっとまりさ!? れいむはあかちゃんがいるのに!」
最初は喧嘩でもしているのかと思ったが、どうも様子が違うことに気づいた。
これはどう見ても18禁だ。
とにかくれいむの体を引っ張って助け出してあげると、なんだかヌルヌルしている。
「おでえざんありがどおぉ!!!」
れいむが泣きながら私の手に頬を擦りつけてくる。
…涎とかヌルヌルした液体とかが気持ち悪い。
次はまりさだ。
「まりさ? どうしてれいむを虐めてたの?」
「んっほお!! でいぶぅ!! ばじざとずっきりじようよぉぉぉ!!」
「れいむ、まりさはどうしたの?」
「わがらないよぉ!! とつぜんぷるぷる~ってしてから、れいむですっきりしようとしたんだよぉぉぉ!!」
「突然ぷるぷる~してすっきりしようとした?」
ゆっくりの言うことは時々わからない。
念のためれいむを避難させてから、まりさを引っ張り出してみた。
「うわっ、こっちはもっとネチョネチョしてる」
「ゆふぅ、ゆふっ、ゆふぅぅ……でいぶぅぅぅ……」
「まりさ! 聞こえてる? まりさ!」
呼びかけても、まりさはだらしない顔のままデロデロと涎を垂らすだけで、どっかに飛んでしまっている。
しかたない。ちょっと痛いかもだけど許してね? せーのっ!
パチン!
「ゆぎゃっ!?」
こっちの世界に呼び戻すべく、右手でちょっと強めに引っぱたいた。
「ゆ? ゆおっ? お…おろろろろ…ゆれれれれろれれれ…」
「ゆああ!! まりさがへんになっちゃったよぉ!!」
まりさは一瞬だけ正常な顔に戻った後、呂律のまわらない舌で変な声を発しながら、ビンタされた頬とは反対のほうへと体が傾いてゆく。
あ、もしかして餡子が偏っちゃったのかも!
どうしよ…。 ……うん、もう一度やるっきゃない!
パチン!
「ゆげぇ!?」
今度は左手で頬を引っぱたく。
まりさのほっぺにもみじ饅頭。
「ゆら…ゆらりれれれれれ…れろろろろろろろ…」
あ、あれ…また反対のほうに…。
パン!
「ゆぼぉっ!!」
その後、少しずつ力を弱めて引っぱたきながら、シーソーゲームのようにまりさの餡子を正常な位置に戻していった。
「ゆひぃ…ゆひぃ…まりひゃのひょっぺたがいたいよぉ…」
「ゆっくりがまんしてね! れいむがすーりすーりしてあげるからね!」
「ゆぐっ、いひゃいよ! でーびゅはまりひゃにしゃわらないでね!」
「どぼぢでぞんなごどいうのおおお!!?」
両方のほっぺが真っ赤に腫れあがってマトモにしゃべることもできず、ゆぐゆぐと泣いているまりさ。
すーりすーりを拒否されたれいむも「どぼぢで!?」と泣いている。
私は冷凍庫から氷嚢を持ってきて、まりさの頬にあててあげた。
「ゆ…おねえひゃん…ひゅめたくてきもちいいよぉ…」
「ゆう!? ゆぐぐぐぐぐぐぐ……」
愛するまりさにすーりすーりを拒否され、更にそのまりさが私の手当てを受けて喜んでいる姿を見て、れいむはギリギリと歯を噛み鳴らしはじめた。
後が怖いなぁ…。
れいむの歯軋りの音を聞きながら、ちょっと腫れの治まってきたまりさに問いただす。
「まりさ、さっきはどうしてれいむにあんなことしたの?」
「ゆぅ…わからないよ…。きゅうにぷるぷる~ってして、すっきりしたくなったよ…」
「きゅうにぷるぷる~ってして、すっきり?」
…やっぱりゆっくりの言うことはよくわからない。
「ゆ、そうだよ。まりさのあんよのしたで、まりさのたからものがぷるぷる~ってしたんだよ…」
「?? ……………………あああっ!!」
「ゆっ!?」
「ゆぎぃ!?」
2匹は私の声に驚いて飛びあがった。
ピンときた私はダンボールのおうちの中を覗きこむと、例のモノを探しはじめた。
「ゆゆゆ!? おねえさん!! まりさのおうちをあらさないでね!?」
「れいむのおうちになにするのぉっ!? ゆっくりやめ…」
「あった!」
ついに見つけた! まりさの餡子汁でベチョベチョの私のキラキラ・デコ携帯!(涙)
たぶんバイブ設定になってたから、公衆電話からかけた時に、その上にいて直接振動を受けたまりさが発情してしまったに違いない。
一応モードを確認しようとしたが、あれ? 電源が入らない…? そんなぁ……
「ゆっ! おねえさん! それはまりさのたからものだよ!」
「れいむたちのたからものをゆっくりかえしてね!」
「変なこと言わないで! これは私の携帯電話よ! うわあーんっ!!」
まりさの餡子汁に水没して壊れたデコ携帯。
それをまりさの顔面に投げつけると、私はベッドにうっ伏した。
最終更新:2009年02月14日 03:13