注意書き
ぬるめです。
笛吹き男とゆっくり
あるところにとても不思議な笛を持った男がおりました。
その男が笛を吹けば病人はたちまち元気になり、罪人は改心し、動物はみな争うことをやめました。
今日も男は皆を幸せにするためいろんなところを旅します。
そんな男の前に一匹の傷ついたゆっくりが出てきました。男は聞きました
『いったいどうしたんだい?』
するとゆっくりは答えました。
「おにぃぃざぁぁぁん!!でいぶの、でいぶのおぢびぢゃんだぢが、まりざがぁぁぁぁ!!
ねずみざんにだべられぢゃっだのぉぉぉぉぉぉぉ!!ゆぅぅぅぅぅ!!」
このれいむの話よると最近れいむの所属する群にネズミがやってくるようになったそうな。
最初はネズミも少数だったし群にはドスもいるので何とかなったが、やってくるネズミの数はだんだん増えていき、ついにはドスでも対処が仕切れないほどになった。
今群のゆっくりにできることは硬く入り口を固め、ぶるぶる震えながらネズミが去るのを待つことのみなのだとか。
そして昨夜、ついにこのれいむとその番まりさのおうちにネズミが侵入した。
おうちにはこの2匹と5匹の赤ゆっくりが居たそうだがれいむ、まりさの善戦むなしく赤ゆっくりは全滅。その後 なんとかまりさが囮になってれいむは逃げ出すことに成功したのだとか。
そして朝になっておうちに戻ってみるとそこには無残に食い殺されたまりさの皮と帽子。そして赤ゆっくりのものと思われるリボンと帽子が転がっていた。
れいむはドスに仇を討って欲しいと頼んだが小さく、強い歯を持ち、大群で襲ってくるネズミには力はあっても動きの遅いドスでは太刀打ちできない。
なので悲しいだろうが耐えて欲しいとの事だった。しかし納得できないれいむは群を飛び出した。
しかし飛び出したはいいが一匹でどうにでもなるものでもないことはいかなれいむにでも理解できたらしい。
そして途方にくれているところにこの男が現れたということだった。
ゆっくりがこういったことで滅ぶことは自然界では珍しくない。
力も弱く、足も遅い、しかし栄養価は高いゆっくりは雑食性の動物にとっては格好の獲物なのである。
「おにいさん、おねがいします!!れいむの、れいむのおちびちゃんたちとまりさのこどもたちのかたきをとってください!!」
男はれいむの言葉にいたく感動しました。子を思う親の心、それは男にとって何物にも変えがたい美しいものだったのです。
しかし、心の優しいこの男にネズミを殺すことはできません。なので殺すことはせず少し遠いところに移動してもらうことにしました。
その日の深夜、男は群のドスに許可を貰い群で一番大きな洞窟の中で息を潜めていました。
ネズミは大変用心深い生き物です。すこしでも群に変わった様子があってはいけないのです。
ガサガサッ・・・ガサガサッ・・・
なにかが動く音が聞こえます。
「ゆ!ねずみさんだよ!!」
どこかのゆっくりが叫びました。
男は岩の陰から様子を伺います。するといるわいるわ、何百匹というネズミがひしめき合ってまるで黒いじゅうたんのようです。
男は急いで笛を取り出すと精神を集中させ、曲を吹き始めました。
♪~~♪~♪~~♪♪~♪~
なんともいえない美しい音色が森に響き渡ります。
その音につられネズミ達も行進を止め笛の音を聞き入っています。無論ゆっくりたちも。
そして男はそのまま歩き始めます。するとネズミ達も音に釣られて歩き始めました。
しかし、どういう仕組みなのかわかりませんがゆっくりたちはそのまま眠ってしまいました。
そしてだんだんとゆっくりたちの群からネズミ達を遠ざけていきついにはネズミ達を他の森につれていってしまいました。
朝になって男が森に戻りゆっくりたちにそのことを伝えるとゆっくりは男に深く感謝した。
「おにいさんありがとうね!!これでれいむもゆっくりできるよ!!ところでれいむはおなかがへってるよ!!おかしちょうだいね!!」
「おにいさんはすごいんだぜ!まりささまのこぶんにしてあげてもいいんだぜ!!」
「おにいさんはとってもとかいはね!!とかいはなありすがともだちになってあげても・・・い、いいわよ!!」
次々とお礼の言葉を述べるゆっくりたち。
そのなかには当然あのれいむいた。
「おにいさん、おにいさんのおかげでゆっくりすることができるよ・・・まりさもおちびちゃんたちもかえってこないけどれいむはまりさたちのぶんもゆっくりするよ・・・ゆぅぅぅぅ!!」
ドスも男に感謝の言葉を述べ、しばらくここにいてほしいと男を誘った。
しかし男は元々の目的地に行かねばならなかったので丁重にお断りした。
『ゆ、それはとてもざんねんだよ。またちかくにくることがあったらあそびにきてね!!ドスはおにいさんをかんげいするよ!!』
「「「「「ゆっくりまってるよ!!!」」」」」
男はとてもいい気分で群を去った。
森から少し行くと男は町に着いた。どうやらここが困りごとの有る町のようだ。
町に入るとさっそく町長が男を出迎えた。男は尋ねる。
『いったいなにがあったんですか?』
すると町長は歯切れ悪くこう答えました。
「ええ、笛吹きさん。実は困ったことがあるにはあったんですが最近ではめっきりその被害が収まりまして。それで~その~・・・」
なんと、笛吹きの男が町に来るまでに困りごとは解決していたのです!
ああ、なんということでしょう!ここまで何日も歩いてきたのに!!
しかし優しい男はここまでの苦労などなかったかのような笑顔を浮かべ
『町長さん、お気になさらないでください。僕はみなさんが幸せならそれでいいんです。それが幸せなんです。』
と言った。
町長もつられて笑顔になりこう言った。
「笛吹きさん、ありがとうございます。せっかくここまできていただいたのでささやかですが宴会を用意しております。
今日は楽しんでいってください。」
その日は村中で大賑わいだった。ご馳走とまではいえないまでも心の篭った料理、陽気な男、そして女達の踊り。
そしてなにより男の笛が場を盛り上げていった。その日は皆多いに飲み、そして食べた。
そして次の日。
男が用意された宿の寝床から起きるとすでに日は高く上っていた。どうやら昨日飲みすぎたようだ。
宿の窓から外を見ると町の人もなにやら忙しそうに動き回っている。
- いや、何かおかしい。どうにも皆いつもの仕事風景と言うよりはなにか不測の事態が起きたような慌てっぷりである。
コレは何かあると男は素早く着替えた。
すると調度いいタイミングで町長がやってきた。
「笛吹きさん、大変です。すぐ町の入り口までお越しください。」
どうやらかなりの大事のようだ。一体なにがあったのでしょうか。
男が町の入り口に着くとそこにはたくさんのゆっくりがおりました。大きなドスもいます。
男は言います。
『君たち、ここは人間の町だよ。早く森にお帰りなさい。』
しかしゆっくりたちは
「ゆふん、そんなのしらないよ!ばかなにんげんさんはさっさとまりさたちにごはんをもってきてね!!」
と、聞く耳を持ちません。
そこに町長が男に声をかけます。
「笛吹きさん、こいつらは悪いゆっくりです。最近は見かけなくなったとおもったのにまたあらわれたのです。
力づくで食べ物を持っていこうとするんです。どうか退治して下さい。」
そう、町の人が笛吹き男に頼もうとしていたのはゆっくりの駆除だったのです。
しかし、優しい男は何とかゆっくりを説得しようと頑張ります。
『君たち、町の人が困っているじゃないか。今すぐに森へ戻りなさい。そうすれば私もこの人たちも酷いことはしないから。』
しかしそんな優しい男の言葉などゆっくりにはどこ吹く風。
「うるさいんだぜ!!それにひどいめにあうのはにんげんさんなんだぜ!!それがいやならはやくごはんをだすんだぜ!!」
どうやら酷いゲスの群だったようです。いくら説得しても言うことを聞いてくれません。
仕方ないので男はいつものように遠くに連れて行くために笛を構ました。
すると、
「ゆ、そのふえさんは・・・あのときのおにいさん?」
「「「「「ゆゆゆっ!!」」」」
なんとこのゆっくりたちは昨日男が助けたゆっくりたちだったのです。
そのなかにはあのれいむもおりました。
「おにいさん、ちょうどよかったよ!!このじゃまなにんげんさんたちをきのうのねずみさんみたいにどっかにやっちゃってね!!」
男はショックでした。
やさしい家族思いのれいむだと思っていたのにまさかこんなゲスだったとは。
しかし男は話しかけます。
『君たち、他の人を傷つけるというのはとても悲しいものなんだよ。君たちだってネズミに子供や仲間を殺されて悲しかっただろう?』
しかしれいむはこう言います
「ゆぎぃぃぃ!!れいむたちをあんなゆっくりできないねずみさんといっしょにしないでね!!
それにかわいそうなれいむをたすけるのはとうぜんだよ!!そんなこともわからないの?ばかなの?しぬの?」
ヤレヤレ、
男はため息をつき笛をかまえました。
「ゆ、おにいさんやっとれいむたちのいうことがわかったんだね!!さっさとそふえさんでにんげんさんをどっかにつれていってね!!」
れいむがなにかいっていますが男は気にもせず笛を吹き始めます。
♪~~♪♪~♪~♪~~♪~
男の自慢の笛は今日もすばらしい音色です。
「ゆふぅ~・・・おにいさんのふえさんはとってもゆっくりできるよぉぉぉ・・・」
ゆっくりも人間もとても満たされた表情です。
そして男はおもむろに森のほうへ歩き始めました。すると続いてゆっくりたちも男に続いて跳ね始めます。
それに気づいたれいむや他のゆっくりは慌て始めます。
「ゆ!おにいさんちがうよ!!れいむたちじゃなくてにんげんさんをどっかにつれていってね!!」
「やめるんだぜ!!さっさとまりささまたちをまちにもどすんだぜ!!」
「こんなのぜんぜんとかいはじゃないわ!!さっさともどしてね!!」
『ドスもおこるよ!!にんげんさん!!早くもどさないとドスパークをおみまいするよ!!』
それを聞いた男は急に曲を変えました。
♪ーー!!♪♪!!♪ー!!♪♪♪!!
それは今までのゆっくりとした曲ではなく、まるで臓腑がシェイクされるような錯覚をおぼえるほど大音量の激しい曲でした。
「ゆぎゃぁぁぁっぁぁっっ!!おっおにいざん!!や、やめっ!!ゆぶげぇぇぇぇ!!」
「ゆびょびょびょびょびょびょびょびょびょびょびょびょ!!」
「はげじずぎるわぁっぁっぁぁぁ!!どがいはじゃなぃぃっぃいぃぃ!!」
『どすもぎもぢわるぃっぃぃぃぃぃい!!エレエレエレエレエレエレエレレレレレレ!!』
あまりの衝撃にゆっくり達は次々に中身を吐き出し始めます。
しかしその足はいっこうに止まることはありません。
ほとんど皮になったゆっくりもぺらぺらになりながらもおにいさんの後を着いて来ます。
そしてそのまましばらく歩くとふと男は立ち止まりました。
その頃にはまともに話せるようなゆっくりはほとんどいませんでした。
死んでこそいないもののほぼ虫の息です。
「なんでごごんなごどぉ・・・」
「ゆっぐりでぎないおにいざんはざっざどじねぇ・・・」
「どがいはじゃないぃ・・・ごのいながもの・・・」
『むれのみんながぁ・・・ドスがゆっぐりざぜるはずだっだのにぃ・・・』
おとこは言います。
『君たちは自分がゆっくりすることしか考えていない。昨日は家族思いのれいむのため貪欲なネズミから君たちを救った。
しかしそれは間違いだった。だからここに連れて来た。後は君たちの好きにするといい。』
そういって男は立ち去りました。
『ゆっぐ・・・みんなぁ・・・だいじょうぶぅ・・・』
なんとか動くことのできるドスが他のゆっくりに話しかけます。
「どずぅ・・・だずげでぇ・・・」
「どずぅ・・・あでぃずのとがいはなかみのげがぁ・・・」
どうやらしんではいないようだ。
『みんな、いまはゆっくりしていてね・・・そのうちみんながげんぎになっだらあのまちをおそっでみんなでおいしいものをたべようね・・・』
「そうだねどず・・・あのにんげんざんもごろじでね・・・」
「どずぱーぐでやぎづぐぢでやってほじいんだぜ・・・」
『そうだね・・・だからみんなはやぐげんぎになっで・・・ゆ"っ!?』
ここになってドスが自分達を見つめるなにかの視線に気づいた。
良くは見えないが何か黒くて小さいものがたくさんいるように見える。
一体なんなんだろう?ドスの疑問はすぐ解決することになる。
ガサガサッ・・・ガサガサッ・・・
「「「「「「「ゆ!ゆぎゃあああああああああ!!ねずみざんだぁぁぁぁっぁぁぁ!!」」」」」」」
そう、ここは昨晩男がネズミを連れて来た場所なのである。
『みんなにげでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』
ドスは叫びます。
しかしここまで傷つきながら跳ねてきたゆっくりにそんなことができるわけがありません。
あっというまにネズミたかられたゆっくりたちはただ食べつくされるのみだった。
「ゆぅぅっぅぅぅぅ!!やべでぇぇええええええ!!れいむはおいしくないぃぃっぃぃぃいい!!」
「やめるんだぜ!!まりささまはおいしくないからあっちのれいむをたべてね・・・ああああどうじでごっぢぐるのぉぉぉぉ!!」
「やめてね!!しんのとかいはならこんなことはしないのよ!!やめでっでいっで・・・ゆぎょぉぉぉぉぉぉぉお!!」
『れいむぅぅぅ!!まりざぁぁぁぁ!!あでぃずぅぅぅぅぅ!!やべろぉぉぉぉ!!
はやぐあっぢいげぇぇぇぇ!!』
ドスがドスパークを大きく口を開けます。しかしそこに大量のネズミが押し寄せてしまいドスパークどころか口を閉じることすらできなくなってしまいました。
『ふっ、ふがふが!!ふがふがふっがふがふが!!(やっ、やめてね!!ドスはおこってるんだよ!!)』
そしてねずみたちはそのままドスの体を食い尽くしてしまいました。
『ふぎぅあぁぁぎぎぎぃぃぃぁぁぁあああゆぐぁっ!!ふぎっぎいやぁぁあぁぁ!!』
どうやら他の森の動物達も甘いにおいにつられて集まってきたようです。
これで一匹たりともゆっくりが逃げることは無いでしょう。
しばらくするとたくさんのゆっくりたちがいたそこには少しばかりの黒いシミと大きくてぼろぼろの帽子。
そして様々な色と形のちいさな飾りしかありませんでした。
男は町にもどりゆっくりを退治したことを伝えました。
町の人は大喜び。あらためて笛吹きの男に感謝の言葉を伝えたのでした。
そして後日男が再び出ることになると皆悲しみ沢山のお土産を持たせてくれたのでした。
男はかばんをはちきらせんがばかりにぎゅうぎゅうにして町の人に感謝しながら町をあとにしました。
男はとてもいい気分でした。
そして少し歩くと茂みから何かが飛び出してきました。
「ゆっくりしていってね!!!」
それはゆっくりれいむでした。
男はなにもいわず笛を構えます。そしてまた曲を吹きます。
♪~~♪♪~♪~♪~~♪~
「ゆぅ~なんだかゆっくりできるよぉ~・・・」
そのままれいむは群のほうまで跳ねてきてしまいました。そして男の笛につられ沢山のゆっくりが出てきます。
「ゆ~とってもゆっくりできるね~・・・」
「ゆ~ゆ~ゆゆ~♪」
そしてそのまま男は歩き始めます。
「ゆゆ!おにいさんまってね!!ゆっくりついていくよ!!」
「ゆ~おにいさんゆっくりうごいてね~♪」
そしてしばらく男が歩くとそこでぴたりと歩を止めました。
しかしゆっくりたちの足はとまりません。
「ゆ?あしがとまらないよ。」
「ゆ!ほんとだよ!!おにいさんふえをとめてね!!ゆっくりできないよ!!」
そしてその先にはそこそこ大きな池があります。
「ゆああああ!!とめてえええええええ!!れいむがとけちゃううううう!!」
「いけにおちたらゆっくりできないいいいいいい!!はやくとめてねぇぇぇぇ!!」
しかし男の笛は止まりません。そしてゆっくりたちは次々と池に落ちていきました。
「やだぁっぁぁぁぁ!!でいぶのがらだがぁぁぁぁぁ!!もっ・・・ゆっぐり・・・じだがっだよぉぉぉぉ!!」
「だ、だずげ!!おにいざんはやくそっちにあげ・・・ぶくぶくぶく。」
全てのゆっくりが池に落ちたのを見届けると男は演奏をやめました。
その時の笛吹き男はとてもいい笑顔をしていました。
あとがき
童話風の話を書きたかったんですがまだまだですね。
楽しんでくれた方がいれば嬉しいです。
ところでどうでもいい話なんですがドスの放つ光線ってドスパークなんですかね?それともドススパーク?
SS見てると両方あるので少し気になったんですが・・・まあどうでもいいですね。
今まで書いたもの
- ゆっくりコールドスリープ
- ゆっくりを効率的に全滅させるには。
- ユマンジュゥ
- きれいなゆっくりの作り方
- ゆっくり達のバザール
- ゆっクエ
- あるゆっくり達の冬篭りと甘い罠
- ラジコンうーぱっく
最終更新:2009年03月05日 01:57