ゆっくりいじめ系2430 ~ゆっくりありす生涯『取り替え子編』(裏-1)~

 ~ゆっくりありす生涯『取り替え子編』(裏-1)~

 注意:この作品は上記題名(表)の後に読むことをオススメします。
    (表)と同時間軸の場面では、同じセリフが述べられている箇所があります。 


 因果応報その1 ~ゆっくり一家~

「れ、れいむ! まりさとずっといっしょにゆっくりしてほしいよ! 」
「ゆゆ~ん♪ まりさありがとう! れいむもいっしょにゆっくりしたいよ! 」

「「す~り、す~り、しあわせ~♪ 」」

 今この瞬間1組のナマモノ同士のつがいが誕生した。
 5分ほど互いの絆を確かめ合うとれいむが口を開いた。
「そうだまりさ! れいむたちのあたらしいおうちをさがそうよ! 」
「ゆゆ? あたらしいおうち? いまのおうちでもいっしょにゆっくりできるよ! 」
 まりさの巣は親から譲り受けた木にできた洞であり、2匹が暮らすには十分な広さであった。
 しかし、れいむは頬を赤らめ恥ずかしそうに次の言葉を口にする。
「あ、あのねまりさ。れいむかわいいおちびちゃんがほしいよ! 」
「ゆゆゆ! ! ! 」
 れいむの言葉を聞いた瞬間、まりさの頭の中にはかわいいプチゆっくり達と楽しく過ごす日常が思い描かれた。
「まりさもかわいいおちびちゃんたちとゆっくりしたいよ! 」
「ゆゆ~♪ ありがと~まりさ! 」
 かわいいおちびちゃんがほしい、互いの気持ちが一つになった2匹は新居を探して森の中を跳ねていった。


「ゆゆ! なかなかゆっくりできるばしょだね! 」
「ゆゆ~ん♪ ここならおちびちゃんがいてもじゅうぶんなひろさだね! 」

「きょうからここはれいむ(まりさ)たちのおうちだよ! 」

 ゆっくりお決まりのおうち宣言を済ませた2匹は新居でゆっくりくつろいでいる。
 ちなみにこの新居はそこそこ大きな木にできた洞であり、2匹が旅立って3日目にしてようやく見つけたおうちである。
 見知らぬ場所で新たなゆっくりプレイスを見つけられるゆっくりは極僅かであるため、この2匹は幸運であったと言えよう。

 その日の夜、2匹は互いの頬をすり合わせながら小刻みに振動を相手に与え合っている。・・・・・そして

「「んほおおおぉ おおぉ ぉ おおおぉ おおぉ ぉ ぉ ぉ お! ! ! すっきりー! 」」

 2匹はついに待望の我子を授かった。


「ゆゆ~ん♪ おちびちゃんゆっくりうまれてね~♪ 」
「おちびちゃんたちのしたにはっぱさんをおいておくよ! 」
 れいむの頭には緑色の蔓が生え、先端にはプチゆっくり達がかわいらしい顔で生まれ落ちる瞬間を待っている。
 今この瞬間、2匹のゆん生は幸せの絶頂を迎えていた。
 しかし、まりさは1匹のプチゆっくりを見つめ不思議そうな表情を浮かべる。
「ゆゆ? このおちびちゃん・・・・・。」

 カサ・・・・・カサ・・・・・カサカサカサ

「ゆゆ~~~ん♪ まりさ! おちびちゃんが! おちびちゃんがうまれるよ! 」
 まりさが見つめるのとは違うプチゆっくりが動き出した。
 その動きはさらに強まり・・・・・。

 カサカサカサ・・・・・プチ!

 新たなナマモノ誕生の瞬間である。
「ゆっくりしちぇいっちぇね! 」
 最初に葉っぱの上に着地したのはプチれいむであった。
 プチれいむは満面の笑みで目の前の両親に向けて産声を上げた。
 その産声に反応して次々とプチ達が落下を始める。

「「「「「「ゆっくりしちぇいっちぇね! 」」」」」」

 れいむ種3匹、まりさ種4匹が誕生した。
「とってもゆっくりしてるおちびちゃんたちだよ~♪ 」
「がんばったねれいむ! まりさたちのおちびちゃんだよ♪ 」
 2匹の意識が完全に生まれたプチ達に向いているその時、蔓に残った最後の1匹が静かに動き始める。

 カサ・・・・・カサカサカサ・・・・・プチ!

「ゆっくりちていっちぇにぇ! みゃみゃ~♪ 」

 着地と同時にそのゆっくりは元気のよい産声を上げた。
 しかし、れいむとまりさはそのゆっくりを見ると一瞬にして表情を変えた。・・・・・驚きと困惑の表情に。

「「どおじでありすがうまれるのおお ぉ おおお ぉ ぉ おおおおおお! ? ! ? ! ? 」」

 2匹の悲鳴は巣穴中に木霊した。

 2匹は抜け落ちた蔓をプチ達に与えると、おうちの隅でヒソヒソ話を始める。
「まりさ、どうしてありすがうまれるの? れいむはうわきなんてしてないよ! 」
「ゆぅ・・・・・それはわかってるよれいむ。れいむはまりさとずっといっしょにいたからね。」
 2匹はなぜ自分達の子供の中にありすがいるのか理解できなかった。

 通常種達はありす種を敬遠する事が多い。
 ありす種はとてもおしとやかで利口なゆっくりである。
 しかし一部のありす種がレイパーと化し、周囲のゆっくりを襲う為ありす種のイメージが悪くなっているのだ。

「まりさぁ、れいむはありすをそだてたくないよぉ・・・・・。」
 母性の強いれいむ種としては珍しい言葉であった。
「それはだめだよれいむ。おちびちゃんはひとりじゃいきていけないよ!
 もしおちびちゃんをすてたらまりさたちはゆっくりできないゆっくりになっちゃうよ。」

 ゆっくりは同属殺しを極端に嫌う。
 たとえ望まぬ子供であっても安易に捨てたりする事は滅多にしない。
 もしその禁忌を破ってしまったら、自分はゆっくりできないゆっくりになってしまうと恐れているのだ。

「れいむは、れいむはかわいいおちびちゃんたちとゆっくりしたいよ。
 あんなゆっくりできないありすとがいっしょじゃぜんぜんゆっくりできないよ。」
 れいむは目に涙を浮かべながらまりさに訴えた。
 れいむの訴えを聞いたまりさはある決断を下した。・・・・・それは。
「・・・・・れいむ、まりさにはおちびちゃんをころすこともすてることもできないよ。
 でも、まりさはれいむにゆっくりしてもらいたいしありすもきらいだよ。だから・・・・・・・・・・。」


 翌日かられいむが育児、まりさが狩りという役割分担のもと一家の新しい生活が始まった。
「おちびちゃんたち! ごはんをとってきたよ、ゆっくりたべてね! 」 
 狩から帰ったまりさが帽子いっぱいに詰めたごはんをプチ達の前に広げる。
 プチ達は目を輝かせながら勢いよく飛びついていく。
 そんな中、あのプチありすが母れいむにつかまれ壁にぶつけられていた。
「なにおちびちゃんたちとおなじごはんをたべようとしてるの? ばかなの? しぬの? おまえのごはんはこれだよ! 」
 いつの間にかれいむの横にやってきていたまりさの口からどう見てもおいしく無さそうな雑草が吐き出された。

「「「「「「「む~ちゃ♪ む~ちゃ♪ ちあわちぇ~♪ 」」」」」」」

「「ゆゆ~♪ とってもゆっくりしてるおちびちゃんたちだね~♪ 」」

「・・・・・む~ちゃ・・・・・む~ちゃ・・・・・まじゅいよ・・・・・。」

 れいむとまりさの目にはもはやありすは映ってはいなかった。
 2匹の出した結論、それは他の子供と差別してありすを育てると言うものであった。
 おいしくないごはんを与えて栄養失調で死ねばそれでよし、がまんできなくて家出してもよしと考えたのだ。 
 捨てたり直接潰すことはせず成長の過程で自然に家族の中から消えてしまえば同属殺しにはならないと餡子脳が都合のいいように判断
 したのだ。


 ~数日後~

「・・・・・・・・・・zzzzz・・・・・もうだべられないよ~・・・・・。」
 育児に疲れたれいむは口から涎を垂らし眠っている。
「ゆ・・ん。あ・が・・~れい・・・。」
(ゆ~? ありすのこえ~? )
 眠っているれいむの意識の中にゆっくりできないありすの声が届きゆっくりと意識が戻る。
 そして目を開けたれいむの見たものは・・・・・。

「なにやってるの! このくそありすがあああぁ ぁ あああぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! ! ! 」」

 れいむの目にはかわいい我が子がレイパーありすに無理やりすっきりさせられそうになっているように映っていた。
 その瞬間、れいむのボルテージは一瞬でMAXになり鬼の形相でありすに迫っていく。
「おか~しゃん、ありしゅはなにもちてないよ、れいみゅとあそんでただけだよ。」
 プチれいむが鬼の形相のれいむに必死に弁明する。
 しかし、れいむの餡子脳は“ありすがかわいいおちびちゃんをおそった”と強く思い込んでしまっていた。
「いいんだよおちびちゃん。ありすにおどされてそんなこといってるんだね。おかあさんがまもってあげるよ! 」
 優しい笑顔に戻りプチれいむをなだめたれいむは再び鬼の形相に戻ると容赦なくプチありすをくわえ上げた。
「やめちぇー、みゃみゃー! ごめんなしゃい、ごめんなしゃい、いちゃいよおぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! 」 
 れいむはそのままおうちの入り口目掛けて思いっ切り投げ飛ばした。
「ぴぎゃあああぁ ぁ あああぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! ! ! 」
 れいむはおうちの入り口に立つとプクーと膨れありすを威嚇する。
「もうがまんできないよ! おなさけでそだててやったのにれいむのおちびちゃんにてをだすなんてゆるさないよ! 」
「・・・・・みゃ・・・・・みゃみゃ・・・・・。」
「なにがままなの? ばかなの? しんでね! おまえをれいむのこどもだとおもったことなんていっかいもないよ!
 にどとおうちにはいれないからね! さっさとどこかにいってね! つぎにみかけたらころすからね! ! ! 」
 ありすにこれでもかと罵声を浴びせたれいむはお家の中へ戻っていった。

 おうちの中に戻ると必死に弁明したれいむを除き皆隅で固まり震えていた。
「こ、こわいよ。」
「ゆわ~ん! ゆわ~ん! 」
「あれはほんちょうのおかあしゃんじゃにゃいよぉ。」
 れいむの怒り狂った姿を見たプチ達は自分達の見たものはお母さんに化けた悪者だと思い込むことにより、なんとか正気を保っていた。
「おちびちゃんたちあんしんしていいよ、やさしいおかあさんだよ。」 
 自分がプチ達に恐い思いをさせてしまったと気付いたれいむは優しい笑顔を作りプチ達に語りかけた。
「ほんちょ? 」
「おかあしゃんにゃの? 」
「ゆわ~ん、やしゃしいおかあしゃんにもどっちゃよぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! 」
 プチ達はれいむに泣きながら一斉に飛びついた。
「もうなかないでいいよおちびちゃん、す~り♪ す~り♪ 」
 れいむが泣いているプチ達をあやしている中、ありすをかばったプチれいむは寂しそうにおうちの入り口を見つめていた。
「ありしゅ・・・・・・・・・・。」


 日が落ちる前に狩から帰ったまりさはおうちの中にありすがいないことに気が付いたが、特に言及することはしなかった。
 むしろ“これでれいむとゆっくりできる”くらいに思っていた。
「れいむ、おそらがまっくらになってたからもうすぐあめがふるかもしれないよ! 」
「ゆゆ! それはたいへんだよ。あめだとかりができなくてごはんがてにはいらないよ。」

 雨はゆっくりが恐れる自然現象の一つである。
 ゆっくりは長時間水に触れていると体が溶けて死んでしまうのだ。
 狩りの途中で通り雨にあい、そのまま帰らぬゆっくりになるものも少なくない。

「だいじょうぶだよれいむ。きょうはたいりょうだからぜんぶたべないでのこしておけばいいよ。」
「ゆゆ! さすがれいむじまんのまりさだね! 」
 まりさは帽子の中から半分ほどごはんを広げると皆で食事を開始した。

「「む~しゃ♪ む~しゃ♪ しあわせ~♪ 」」
「「「「「「「む~ちゃ♪ む~ちゃ♪ ちあわせ~♪ 」」」」」」」

 計9匹の幸せそうな声がおうち中に木霊した。
 その日の夕方、まりさの言った通り雨が降り出した。


 翌日雨は降り続いていた。
「ゆぅ、あめがやんでないからかりにいけないよぉ・・・・・。」
 おうちの入り口で外を見つめているまりさは残念そうにつぶやいていた。
 そんなまりさの姿を見たれいむが後ろから声をかける。
「まりさ、きょうはおちびちゃんたちといっしょにゆっくりしようね! 」
 2匹がおうちの中に戻るとプチ達は皆と飛び跳ねてはしゃいでいる。
「ゆゆ♪ きょうはおと~しゃんといっしょにゆっくりしゅるよ! 」
「ゆゆ! じゅるいよ、まりしゃもいっしょだよ! 」
「れいみょも~、れいみゅも~。」
 普段は狩りでおうちにいない父親と一緒にゆっくりできるということでプチ達は皆喜んでいるのだ。
「ゆゆ~ん♪ さすがれいむとまりさのおちびちゃんたちだね、とってもゆっくりしてるよ~♪ 」
 初めは気が沈んでいたまりさであったが、かわいいプチ達を見てあっという間に元気を取り戻した。
 その後、まりさはプチ達を帽子に乗せ“たかいたか~い”をしてあげ、プチ達は“おしょらをちょんでるみちゃ~い”と楽しんだ。

 日が沈む頃、雨はまだ降り続いていた。
 かわいいプチ達と遊び、少し疲れたまりさはおうちの隅で休んでいる。しかし・・・・・。
「ゆゆ? ? ? 」
 まりさは何やら足が冷たいのに気がついた。
 そして足元を見ると・・・・・。
「どおじでおみずがはいっでぎでるのおぉ ぉ ぉ おおぉ おおぉ ぉ おおぉ ぉ ぉ ! ! ! 」
 雨が長続きした事が原因でおうちの中に雨水が入り込んできてしまったのだ。
 まりさの悲鳴を発端におうちの中は一瞬にしてパニック状態に陥ってしまう。
「ばりざあああぁ ぁ ああぁ あああ! ! ! なんどがじでよおぉ ぉ ぉ おぉ ぉ ぉ おおぉ ! ! ! 」
「「「「「「「ぴぎゃあぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ! おみじゅこわいよおぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! 」」」」」」」
 れいむは一瞬にして餡子脳の全てが水への恐怖で埋め尽くされ、プチ達も不安に駆られ一斉に泣き出してしまった。
 おうちの中はまさに阿鼻叫喚な光景が広がっていた。
 一家が錯乱している間にも入り口からはどんどん雨水が浸入し、おうちの中は浸水していく。
 そんな中、れいむが母性愛故か背丈の低いプチ達がこのままでは溺れてしまうと気付き錯乱状態から抜け出した。
「おちびちゃん、いそいでおかあさんのおくちのなかにはいってね! 」
 母親の言葉を聞いたプチ達は一斉に大きく開けられたれいむの口の中へ飛び込んでいく。
「おひひはふはひはへひふははほふほ! (おちびちゃんたちはれいむがまもるよ!) 」
 れいむがプチ達を避難させている中、まりさはというと・・・・・。

「そろ~り・・・・・。」

 ピチャ

「・・・・・そろ~り・・・・・。」

 ピチャ!

「ばひばあぁ ぁ ああぁ ぁ ぁ あああ! ! ! (ばりざあぁ ぁ ああぁ ぁ ぁ あああ! ! ! )」
「ゆゆゆ゛! 」
 まりさは帽子を水に浮かべ家族を捨てて1匹でおうちを脱出しようとしていた。
 れいむの叫び声にびっくりしたまりさは水を漕ぐのに使っていた木の枝を落としてしまう。
「なにひとりでにげようとしてるのおお ぉ おおおお ぉ ぉ おおお! ! ! 」

 ブチ! ブチャ! 「ぴぎゃ! 」

 れいむの口の中では悲鳴と何かが潰れた音がしていたが、ボルテージMAXのれいむは気が付いていなかった。
 まりさの怯んだ隙をつき、れいむは帽子を引っ張りまりさを帽子の上から引きずり降ろした。
 引きずり降ろされたまりさも自分の帽子を取り戻そうと帽子をくわえるれいむの側にすぐさま駆け寄る。

「かえしてね! それはまりさのぼうしだよ! まりさはもっとゆっくりしたいんだよ! 」
「かぞくをみすてるばりざはしんでね! れいむがおちびちゃんたちとゆっくりするよ! 」

 2匹は互いに罵倒し合い、ついには帽子を互いにくわえ引っ張り合いになってしまう。

「ゆぐぐぐぐぐ! 」
「ゆぎぎぎぎぎ! 」

 互いの力は均衡し、勝負はなかなかつかなかった。
 しかし、両端から引っ張られる帽子の形は段々伸びてゆき・・・・・。

 ビリッ!

「「ゆぎゃ! 」」

 バチャーン!

「ぴぎゃああぁ ああぁ あぁ ぁ ぁ ぁ ! 」

 ついに帽子は真っ二つに破れてしまい、その反動で2匹は派手に水しぶきを立て転んでしまった。
 そしてれいむの口の中からは転んだ反動で1匹のプチれいむが外に放り出されてしまった。
「おちびちゃん! 」
「ばりざのずでぎなぼうじがあ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」
 れいむはプチれいむを助けようと、まりさは真っ二つになり水に浮かぶ帽子を自分のもとへ手繰り寄せようとした。
 しかし・・・・・。

 2匹の体は動かなかった。

 2匹が帽子をめぐって争っている間にも雨水はおうちの中に侵入し、既に体の3分の1が水に浸かってしまっていたのだ。
 そしてゆっくりの足と言われる底部がふやけてしまい2匹は移動手段を完全に失ってしまっていた。
 争っていた2匹はまったく動けなくなってようやく自分達が置かれている状態を理解する事になる。
 しかし時既に遅し・・・・・。

「いやあ゛あ゛あ゛ぁ あ゛あ゛あ゛あ゛! でいぶまだじにだぐないよおおおぉ ぉ おおおぉ お!
 おぢびぢゃんだぢどもっど、もっどゆっぐりじだいよおおおおぉ ぉ ぉ ぉ おおおおおぉ ぉ ! ! ! 」

 れいむは気が付いていなかった。・・・・・既に口の中のプチ達はこの世にいないという事を。
 まりさの裏切りに我を忘れた時、口の中のプチ達を叫びながら噛み潰してしまっていたのだ。
 先程れいむの口から放り出されたプチれいむが生き残った最後の1匹だったのだ。

「ゆがあああ ぁ あああ ぁ ぁ あ! ぜんぶでいぶのせいだ! でいぶがじゃましなければ!
 もっとゆっくりしたい! ばりざはまだまだゆっぐりじだいよおぉ ぉ おおぉ ぉ おおおお! ! ! 」

 まりさはただひたすられいむに恨みをぶつけていた。
 自分1匹で逃げようとせずに一家揃って協力していればあるいは違う結末を迎えることが出来たかもしれないのに・・・・・。

 2匹は間近に迫る死に恐怖しながらもはや泣き、叫び、罵倒し合いうことしかできなかった。
 そして皮が溶け中身が流出し、激痛、恐怖に覆われる中、絶望の表情を浮かべながらゆっくりと水に溶けていった。


 翌朝、雨が過ぎ去った森には日の光が降り注いでいる。
 ゆっくり一家のおうちの中は赤黒く濁った水で完全に水没してしまっていた。
 しかし、おうちの入り口にまりさの帽子の切れ端が流れ着いていた。

「・・・・・・・・・・ゅ・・・・・・・・・・。」

 帽子の切れ端の中にはプチれいむが包み込まれていた。
 このゆっくりこそ一家最後の生き残り、れいむの口から放り出されたプチれいむであった。
 口から放り出された後、運よく水に落ちることなくまりさの帽子の上に落ち、そのままおうちの入り口まで運ばれたのだ。

「・・・・・おか・しゃ・・・・・おと・しゃ・・・・・け・かは・・・・・・や・ちぇ・・・・・。」

 プチれいむは朦朧とする意識の中、必死に両親の喧嘩を止めようとしていた。
 その時、近くの草むらが急に揺れだした。 

 カサカサッ・・・・・「むきゅ! 」

 草むらから顔を出したのはぱちゅりーであった。
 ぱちゅりーは急いで漂着した帽子に駆け寄り中を覗き込んだ。
「むきゅ! しっかりしておちびちゃん! ぺ~ろ、ぺ~ろ。」
 ぱちゅりーはプチれいむが傷つかないように丁寧に舐め、体の汚れを取ってあげた。
 プチれいむも幸い体がふやけてはいるものの、乾けば命には別状はない状態であった。

 日の光で体が乾き、プチれいむはようやく動けるようになった。
「むきゅ・・・・・あなたのりょうしんは・・・・・このおうちでくらしてたの?」
「・・・・・しょう・・・・・だよ。」
 プチれいむはおうちが水没しているのを見て優しかったお母さんれいむとお父さんまりさがもう戻ってこない事をうすうす感じていた。
「ここはね、とってもゆっくりできるおうちにみえるけどとってもゆっくりできないおうちなのよ。」
「ゆ?」
「このおうちはね、あめがながつづきするとみずのなかにしずんじゃうのよ。だからぱちぇがときどきみにきてたの。
 でもぱちぇのしらないうちにおちびちゃんのかぞくが・・・・・・・・・・むきゅ ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ! ごめんなさい。」
 ぱちゅりーは自分を責め涙を流した。 
 そんなぱちゅりーにプチれいむは擦り寄り・・・・・。
「す~り♪ す~り♪ おねえちゃんなかにゃいで。れいみゅがみんなのぶんもゆっくりしゅるよ! 」
「おちびちゃん・・・・・ありがとう。」
 その後、ぱちゅりーにプチれいむを引き取られ、幸せな生活を送ったのであった。 

 こうしてゆっくり一家はプチれいむを残してその生涯を閉じたのであった。
 そしてこのプチれいむこそ、プチありすに“す~り♪ す~り♪ ”しようと声をかけた優しいプチれいむであったのだ。

 因果応報その1 ~ゆっくり一家~ (終)

 裏-2へ続く

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最終更新:2011年07月28日 03:46
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