ゆっくりいじめ系2662 ある挑戦者の話2

とある挑戦者の話2


「わふ!!わふん!!」
「おお、ぶざまぶざま。惨めな犬が地面に這いつくばっていますね」

天を仰ぎ鳴き声を響かせるもみじ。
その声には甘えるような、悲しいような。様々な色が見え隠れする。
きめぇ丸はふわふわと浮かび、見下したような、からかうような視線を投げつける。

「わふうぅぅぅ・・・きゅうん、きゅうん」
「おお、あざとい あざとい。泣けば済むと考えるなど、どれだけ愚かなんでしょう」
「何もそこまで言わなくても・・・」

しょんぼりと耳を垂らす もみじを撫でながら、男も口の悪い饅頭を見上げる。

「馬鹿には はっきり言わないと解からないんですよ。付きまとわれる身にもなってください」
「そっかぁ・・・迷惑なんだってさー、もみもみ」
「きゅぅぅぅぅん・・・」
「うーん・・・それじゃあ家の子になるか?」
「わふぅ?」
「・・・・・」
「どこぞのきめぇのと違って俺は優しいぞー。ほれほれ~」

モミモミモミ・・・

「わ、わふぅん!!」
「・・・・・ギリ」

シュバ、ザッッザザッ!!

「わふ!? わふぅん!!」

地面に降りたつや否や、華麗且つうぜぇステップで駆け抜けるきめぇ丸。

ヒュッ

「わふう!!?」
「フフフ・・・残像です」

そうして、もみじが触れる寸前でまたも空高く舞い上がっていく。
慌てふためく もみじ。その様子を見下ろし、ふぅと熱っぽい息を吐く。

「・・・ツンデレめ」
「何か仰いました?」
「いんえ~、べぇっつに~」
「わふぅ・・・?」

まぁ小首を傾げパタパタと尻尾を振る もみじを見ると、意地悪したくなる気も解らなくはない。
だが、もみじの空へのコンプレックスは並々ならないものとなっていた。

「くぅん・・・・・」

「・・・よし決めた。俺がもみーに空を飛ばせてやろう」
「なんと」
「わふ?」

「お前だって もみもみと一緒に飛べたら楽しいだろうよ?」
「私は別に・・・そもそも羽もないワンコロに、空など夢のまた夢。何か考えがあるのです?」
「いんやー、何にもないけどねー・・・ん?」
「おや?」

ザーザーと言う水音に混じって何かが聞こえる。
それは少しずつ近づいてくる。

「・・・しゅけべぇ・・・たしゅけっぺぇ・・・!!」
「おお、やくい やくい」
「おにゃんこ!?」
「わふん!?」

川の中を1匹のちぇんが、どんぶらっこーどんぶらっこーと流れている。

「何て言ってんだ・・・すけべぇだっぺぇ? 方言ってイイヨネモエルヨネ」
「なにテンパってるんですか、早く助けますよ?」

構えるきめぇ丸の横を、猛スピードの何者かが駆け抜ける。
風を巻き、木の葉蹴散らし、愛しき者へと飛んでいく。

「ちぇええええええええええええええええええええん!!」
「ぶはぁ!!・・・ごわがっだよー!!らんしゃまー!!」
「ちぇえええん!! ごめんよおおおお!!」

その正体はらん、尻尾を回転させ稲妻の如くスピードでちぇんを咥え上げたのだ。

プルルルル・・・

「ゴクリ・・・こいつぁすげぇ、稲荷コプターとは・・・!!」
「知っているんですか、雷電」
「・・・・・ううん」
「わふーん?」


「らんしゃまー、あのひとたち、わからないよー?」
「こら!!みちゃいけません!!」


「まぁなんだ・・・気にすんな・・・」
「照れるくらいなら変な事言わないでください」
「うん、ごめん。でもオカゲでいい事思いついた」

ピップッペポーイ



「うぃー」
「へいどうも」
「集まってもらってスマンね。電話で話した通りなんだが」

友人を招いて、再度計画を確認する。

「つまり・・・そっちのカワイコちゃんを空に飛ばそう、と」
「んだんだ。その名も『プロジェクト青雲~あの夏のおもひで from ジパング~』」
「話は大体解かったが・・・本気か?」
「ああ、理論上は可能だ」


作戦はこう

1.風車を用意します
2.ゆっくりの おちりに刺します(挿すじゃないよ)
3.そのとき、風が吹いた
4.あばよ青春 ~紙ヒコーキ、曇り空割って~
5.世界平和


「我が軍は完璧じゃないか!! あたいったら パーペキね!!」
「いやぁ・・・流石にゆっくりでも どうだろう・・・」
「じゃあやってみればいいじゃない。オ、ナイスレイム」

ブスリ
「ゆゆ? ゆっくりしていってーねええええええん!!?」
「オーケー、覚悟完了」

れいむの おちりに一本挿し。
ヤシチのお仕事には再放送見るたびに感服するばかりである。

「ゆぐぅぅぅ・・・れいむ、もうおよめにいけないよ・・・」
「ここか、ここがええのんか? フーフーぞなもし~」

カタカタ・・・

「ゆあ!?ふーふーしないでね!!?」
「ウタマーロ!!じゃ、フーーーッ!!!」

カタカタカタカタカタ・・・

「ゆあああああ!!?しないでっていってるでしょおおおお!!?」
「フジヤマ、ニンジャ、キタナイブーン」

カタタタタタタタターン!!

「んああああああ!!?おぞら、おぞらどんぢゃうううううぅぅぅ・・・ゆべ!!」

「すげぇ!! 浮いた!! 今浮いた!!」
「天狗じゃ!! 天狗の仕業じゃ!!」
「おお、えんざい えんざい」


結果、ゆっくりは尻に風車を刺すと浮く。


「これもっと大きくすると行けるんじゃないかな」
「尻尾で舵が取れれば操作も効きそうだな」
「ちょっと扇風機取って来るわ」




一匹のゆっくりが居た――――

彼女に翼は無く、毎日大地を駆けていた―――――
あの澄み切った、どこまでも青い青い空―――――
その最も深い場所、あの人の居る場所へ―――――
今、忘れられない夏が始まる――――――――――




「キャッチコピーこれでいいかな?」
「いいんじゃね? 厨二ぽいけど」
「いいんじゃね? エロゲぽいけど」

潮風に打たれ、男たちは立つ。
その目には頑なな決意が宿り、一点の曇りも見られない。
飛沫に打たれ、促されるよう れいむを降ろす。

「いいか、れいむ。君はゆっくりの新たな可能性を見た」
「いってることがわからないよ・・・」
「聞くんだ!! 君は歴史を動かす、その餡子に刻まれたフロンティアスピリットを呼び覚ますんだ」
「ゆ・・・」
「ほら・・・アナタハ、ダンダン、トリニナルー」
「れいむは・・・れいむは とりさんだよ!! ぴーよぴーよぷぴー!!」
「掛かったな、阿呆が!! パイルダーオン!!」

ブスリッ

「ゆあっー!! まりさ・・・れいむ、がばがばに なっちゃったよ・・・」

「よし、ロケットに繋げ!!モタモタするな!!」
「水量、気圧共に正常、いつでも行けます」
「風向き、風速良し。コースに乗れるぞ」

「カウントォ!! 5!!」

夢を乗せ

「4!!」

希望を乗せ

「3!!」

人類と

「2!!」

ゆっくりの

「1!!」

未来のために


「ファイヤー!!!」

バシュウウウゥゥッ!!

「ゆむううううううう!!!」

様々な思いを乗せ、真っ直ぐに飛んでいくロケット。
汗と涙、あの子を思ってオナニーしちゃったしょっぱく苦い黒歴史と共に


「「「いけえええぇぇぇぇ!!!」」」

「ゆうううぅぅぅ・・・ぅぅぅぅううううう!!!??」
「イジェークトゥッ!!」
「ヤッサー!!」

バスンッ・・・カタ

「まわれ!!」

カタカタ・・・

「まわれぇ!!」

カタカタカタ・・・

「まわれえぇぁぁぁああああ!!!」

カタタタタタ・・・ブーン!!!

「にゃーーーん!!!」


「すごい!!れいむ おそらを とんでるみたい!!」
「見たいじゃない!! 飛んでるんだ、飛んでるんだよぉ!!」

キラキラと輝く海面、遠く沈む太陽と赤く伸びる影。
昼と夜、大地と海、そして空の入り混じった世界。


全てがれいむの物だった。


「行けー!! 俺達の思いを乗せて行くんだー!!」
「道は前にある!! 振り向かずに飛ぶんだ!!」
「お前のこと、絶対に忘れないからなぁ!!」
「ゆゆー!! さようならおにいさん!! れいむ、ずっとわすれないよ!!」


「「「ゆっくりしていってね!!」」」


そうして彼女は太陽に背を向け、水平線の彼方へ消えていった。
やがて日は沈み、星と波音だけの世界が訪れる。



誰も何も言わない。

そう、言葉などいらないのだ。

今日のことを、いつか必ず思い出すだろう。

そして、こう思うのだ。



「「「何故誰も止めないし」」」

「あれはどこまで飛ぶのですか」
「んー・・・アメリカ?」
「おお、それはそれは・・・」
「まさかマジで気流にのるとはな」
「予想外のポテンシャル秘めてたね」


「ともかく!! これで夢に一歩近づいたぞ!! もみもみが空を飛ぶ日はもうすぐだぁい!!」
「わふ~ん!!」

モミモミモミ・・・

「・・・だけど、今回のプロジェクト青雲は凍結しよう」
「へぇあ!? どうしてまた!?」
「これを見ろ・・・」
「わふん?」
「俺には・・・俺にはこの、ふるもっふるなプリケツにinなんて・・・とても出来ないお・・・」
「たしかに・・・」

ザザーン・・・ザザーン・・・

波音がやたら大きく聞こえる。
糸が切れたように座り込む。もはや立つ力も無い。

「・・・なりました」
「・・・ん?」

ヒュンヒュン

「私も・・・空を飛ぶ犬が見たくなりました」
「わふん!!」
「お前ら・・・」



そう、俺達の挑戦は始まったばかり。
いつか彼女が、彼女達が共に雲を掴むその時まで。




青雲、それは君が見た光
僕が見た希望
青雲、それは触れ合いの心
幸せの青い雲

青雲




「お゛な゛がずいだー!! も゛うやだ、お゛う゛ち゛がえ゛る゛うううう!!」




終わり

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最終更新:2011年07月28日 00:02
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