ゆっくりいじめ系151 ゆっくり魔理沙が極限までゆっくりできる話1

 とある講演会場。
 今日は、ある著名なゆっくり研究家が重大発表をするため、会場内は人で溢れかえっている。
 その多さは、ここに幻想郷中の全ての人間が集まっているのではないかと錯覚するほどであった。
 どんな発表なのか、どんな新しい説が飛び出すのかと推測する者、ただ研究家の説が聞きたい熱心な信者、有名な人だと言う事で見に来ただけの野次馬……。

――それでは、ゆっくり研究家、○○さんの入場です。

 そんな、多種多様な人々でざわめく会場内が、研究家の入場により水を打った様にシンと静まりかえった。

 研究家は、一つ咳払いをしてから、ゆっくりと語り始めた。

「ゆっくりできない。それは、ゆっくりにとって最も嫌な事です」
「彼らは、自分がゆっくりするためには同種を殺し、食べます。時には自分の親兄弟ですら」
「彼らにとって、それほどゆっくりする事が重要だという事から、私はある仮説を立てました」
「ゆっくりには、第四の本能ともいえる『ゆっくりしたい欲求』がある。それを満たすためならば、睡眠・食・性の他の三大欲求を犠牲にする事さえ厭わない」

 備え付けの水を一口飲み、話を続ける。
「ところで、皆さんはゆっくりはどうすれば死ぬかご存知ですか?」
「基本的に、中身を取り出すとゆっくりは死にます。餓死もありますが、この場合は中身が減った事による死亡なのでしょう」
「眠りもせず食べもせず生殖もせず……一見、すぐに死にそうではありますが、ゆっくりさえさせておけばゆっくりは死にません」

 そんな事が可能なのか、あの先生なら出来るんじゃないか……小声でそんな事を話し合い、ざわめく会場。
 そんな会場も、研究家が「お静かにお願いします」と言っただけで、一気に静かになった。

「ここからは映像と一緒に説明させていただきます」
 皆に見える様に大きく引き伸ばされた映像が、研究家の頭上に現れる。
「映像は、睡眠欲の抑制を試したものです。このゆっくりまりさは――」
 発表はまだまだ始まったばかり。人々は、固唾をのんで映像を見つめ、研究家の話に聞き入っていた。





 『ゆっくり魔理沙が極限までゆっくりできる話 その1:睡眠欲編』





「ゆっぐりやべろぉぉぉぉぉ!!!」
「ゆぎゅっ! ……なんでありすのあいをこばむの? まりざぁぁぁぁぁぁ」
 ゆっくりまりさが、ゆっくりアリスに体当たりをして吹き飛ばす。
 アリスが求愛をし、まりさがそれを拒む……ゆっくりの性質上、求愛を拒む事自体は良くあるのだが、この2匹は様子が違っていた。
 ゆっくりまりさは、ゆっくりアリスを本気で殺そうとしているのである。

「ゆっぐりじね! じね! じねぇぇぇぇぇぇ!!!」
「まりざ、まりざぁぁぁぁぁぁ! ありすのあいをうげいれでぇぇぇぇぇ!!!」
 ぼろぼろになったゆっくりアリスが、それでもまりさと生殖行為をしようとにじり寄る。
 まりさは、本気で嫌がっているのだろう。目は血走り、よだれを垂れ流し、基本的にのんびりとした性格のゆっくりとは思えないほど険しい表情を満面に浮かべている。

「じねぇぇぇぇぇ!!!」
「まぎゅっぶぁ! ま……ぃ……ぁ」
 ついに、ゆっくりアリスはクリームあんをぶちまけて死んだ。
 荒い息を整えつつ、ゆっくりまりさは険しい表情を崩さずに呟く。
 まりさをゆっくりさせないやつは、みんなしんでね……と。


 このゆっくりまりさは、元々は他のゆっくりと同じく充実したゆっくりライフを営んでいた。
 エサは毎日腹いっぱい食べてもあまるほどにあるし、雨を恐れる心配もない。
 誰もいないのは寂しいけど、ゆっくりれみりゃやフランなどもいないため、心の底からゆっくりする事ができていた。
 だが、ここ何日かは寝る間も休む間もなく連続してゆっくりアリスに襲われたために、凶暴化してしまったのである。

 最初は、ある程度の攻撃で追い払っていた。
 襲ってくるアリスは皆判を押した様にまりさより小さかったから、簡単に撃退できたのである。
 だが、追い払ったと思うとすぐにアリスが来る。追い払う、来る、追い払う、来る……10匹も撃退した頃、まりさはゆっくりする邪魔者のアリスを殺す事に、何のためらいもなかった。


 ゆっくりまりさは、アリスの死がいを引きちぎる事で完全にアリスが死んだのを確認した後、ようやく元のゆっくりした表情に戻った。
「やっとゆっくりできるよ……」
 心の底から安堵した響き。
 食事やその他の事は、もう明日で良い。まりさは充血した目を閉じ、そのまま眠りにつこうとした。


「ゆっくりしていってね!」
「ゆぐっ!?」
 まりさが眠ろうとした時、突然声が聞こえてきた。
 誰だろう、どこにいるんだろう……まりさは辺りを見回したが、誰もいない。
「だれ? どこにいるの? まりさはおねむだから、ゆっくりねさせてね……」
「だめだ! 眠ったらゆっくりできないだろう!」
「ゆっ!?」
 ゆっくりできない。それは絶対に嫌だ。
 本能に根付いたゆっくりしたい魂で、まりさは強引に起きようとした。だが、どうにもならない。
 数日眠れていない事に加えて、アリスとの攻防でへとへとになっているのだ。
 起きよう、起きようと思っても、自然と眠くなっていく。

 その後も、まりさが眠ろうとすると「ゆっくりしていってね!」と叫び、決して眠らせない声。
 ゆっくりまりさは、段々苛立ってきた。
 ゆっくり魂などとっくの昔に消し飛び、ただ眠りたくて眠りたくて仕方がなかった。
「いいかげんにしてよ! おねむなのにねさせてくれなきゃ、ゆっくりできないよ!」
「いーや、寝ていたらゆっくりできないぞ? ほら「まりざぁぁぁぁぁぁ!!!」」

 声が終らないうちに、ゆっくりアリスが凄まじい勢いでゆっくりまりさの元へ駆け込んでくる。
 まりさは、勢いのままに飛び込んでくるアリスを必死にかわした。
「ゆぎゅっ! ありす! ありすはゆっくりしね!」
「どーじでぞんなごどいうのぉぉぉぉぉ!!! ありずはまりざをごんなにあいじでるのにぃぃぃぃぃ!!!」
 泣きながら飛びかかるアリス。まりさの言う事、自分の愛を受け入れてくれない事が信じられないのだろう。
 一方のまりさは、もう何日も寝ていないのである。どうしても眠りたかった。
 そのため、このアリスも殺して眠ろうと試みたが、眠ろうとするとまた声が聞こえ、別のアリスが飛び掛ってくる。


 掛かってきては殺し、声が聞こえて掛かってきては殺しを繰り返し、5匹目のアリス。
 全く同じ軌道で飛び掛ってきたため、振り払おうとすれば出来るのだがあえてそうせず、まりさはされるがままになっていた。
「まっまりざ! ありずはうげいれでぐれるのね! うれじいぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
「……なんでもいいから、はやくやってはやくおわらせてね……」
 飛び掛ったアリスを拒む事なく、そのまま受け入れるまりさ。
「まりさ! まりさまりさまりさまりさまりさ!!!」
「ゆっ……はやくしてね……」
 アリスだけが動き、まりさは全く動かずに振動を受け続けている。


 アリスを殺す、声、アリスが飛び掛る、殺す、声、飛び掛る……何度も何度も繰り返した結果、まりさはついにある結論に達した。

――アリスを殺せば声がして眠れない。アリスに好きにさせれば、眠れる。

 アリスが好き放題にすれば確実にまりさは死ぬ。それに気付かない、あるいは気付いていてあえて無視していたまりさは、既にどこか狂っていたのだろう。

「まっまりさ! まりまりまりまりまりまりまりまりささささんんんんんんんんほおおおおおおおおおおすっきりー!」
「……ゆっ……ゆ……ゆぅ……ゆぅ……」
 絶頂に達するアリス。だが、まりさの方は全くの無反応どころか、穏やかな表情で眠りについていた。
 アリスがどれほど激しく動こうと、茎が何本生えようと、茎に養分が奪われ、刻一刻と生命の危機が迫っていようと、全く意に介さずに、まりさは数日ぶりの睡眠をただ貪っていた。



「まりさまりさまりさまりさ! すっきりしてるよ! すっきりできるよ!!! んほおおおおおおおおおおイグイグいぐぅぅぅぅぅぅ!!!」
「……」
「まりさまりさかわいいよかわいいよまりさぁぁぁぁぁ!!! ありすもすっきりまりさもすっきり! たっまんねぇぇぇぇぇ!!!」
「……」
「ままりりささ!? まりざもすっぎりじでるよねぇ!? ごだえでよぉ!!!」
 不自然過ぎるほどに何も言わないまりさの様子を、流石に不審に思ったアリスは動きを止めた。
「……まりさ? なんでなにもいわないの?」
 もはや茎なのか饅頭なのかの判別すら難しいまりさに、親愛の印であり、求愛のサインでもある頬のすりよせをして、何とか反応を引き出そうとするアリス。

 まりさはとっくの昔に死んでいた。死因は妊娠のし過ぎからくる栄養失調である。
 だが、茎を除けた中にあるその顔は、やっと眠れたという満足感からか、とても安らかなものだった。





 映像は、まりさが死んでいる事にようやくアリスが気付き、白目を剥いて叫び声をあげるところで終った。
「この時は、アリスをけしかけ、ゆっくり出来ない状況を作り出す事で睡眠欲をなくそうと試みました」
「ですが、このまりさはアリスに襲われる事より睡眠欲を優先したのです」
「ちなみにこの後、アリスは私が美味しくいただきましたw」
 研究家の下手な洒落に、一部の信者だけがどっと笑った。
 あまりウケなかった事が恥かしいのか、研究家は大多数の冷ややかな目から話をそらす様に一つ咳払いをした。
「ごほん……この失敗から、自然のゆっくりは睡眠欲がやや強いと学びました」


「次は成功例を見ていただきましょう。このゆっくりは、先ほどのまりさから取れたものですが――」
 気を取り直して、すらすらと説明していく研究家。
 今度は、病室の様に真っ白い部屋に、ぽつんとゆっくりまりさが一匹だけ鎮座している映像が映し出された。
 会場内の人々は、食い入る様に映像を見つめている。
 映像は、ゆっくりと動き出した。



「ゆっくりちていってね!」
 生まれたばかりのゆっくりまりさが、家族に挨拶した。
 だが、返事はない。ここにいるのは、ゆっくりまりさ一匹だけだからだ。
「ゆ……ゆー? みんなどこにいるのー? かくれんぼなら、まりちゃもまじぇてー」
 辺りを見回したが、誰も見当たらなかった。
 意地悪されているのかと思い、まだ上手く回らない口で、周囲に声をかけたが返事はない。
「いじわりゅやめてー。みんなでてきてー」
「なんでなにもいわないの? ゆっくりちてよー」
「おかーちゃーん、おねーちゃーん……どご、いっだの?」
「ゆ……ゆ……ゆ……ゆ”わ”あ”ぁぁぁぁぁん! み”ん”な”どごでぃい”る”の”ー!?」
 何度呼びかけても返事はない。這いずる様に少しだけ動いても、誰もいない。
 部屋の中に、ゆっくりまりさの泣き声が響き渡った。


 ひっくひっくとしゃくりあげる声だけが響く部屋。
 ゆっくりまりさは、食事も睡眠も取らずにただ泣き続けていた。だが、例え食事が目の前に置かれたとしても、食べるかどうかは分からない。
 まりさはまだ生まれたばかりなのだ。食事が必要な事なのかどうか、分かっていない可能性が高い。
「ゆ……ひっく、どご、いっだ、っく、のぉ……」
 泣き声が小さくなっていく。泣き疲れたのか、そのまま眠ってしまいそうだ。
 だが、この実験中に眠る事は許されない。

 半ば以上意識が闇に溶け込んでいたまりさの耳に、何者かの「声」が飛び込んできた。
「寝たらダメだ!」
「ゆっ!? だりぇ? どこにいるの!? ゆっくりちていってね! ゆっくりちていってね!」
「寝たらダメだ!」
「ゆっ……ふぁい! ゆっくりねまちぇん!」
「絶対に寝るなよ」
「ふぁい! でったいにねまちぇん!」
 声を聞いた瞬間、ゆっくりまりさは勢い良く飛び起きる。
 初めての声、初めての別の存在が嬉しくてたまらなかった。
 相手が自分の言う事に聞く耳を持たなくても、ただ話が出来る事が嬉しかった。
 だから、声の言う事を素直に受け入れ、絶対に眠らない事をそのアンコの奥に刻み付けた。


 声が聞こえてから数日。
 小さなゆっくりまりさは、食事を摂っていた。
 普通のゆっくりの様に「むーしゃ、むーしゃ」とも「うめぇ! めっちゃうめぇ!」とも言わない。
 言葉を発しながら食べたり、そこら中にカスを飛び散らせながら食べるなどの汚い食事の仕方は後天的なものである。
 そもそも、誰とも会った事がなく、声しか聞いた事のないゆっくりまりさには、一々そんな事をする理由もない。
 ただ静かに食事をし、満腹になったらゆっくりしているのである。
「ゆー……ゆっくり……」
「寝るなよ!」
「ふぁい! ねてまちぇん! まりちゃねてないよ!」
 嬉しそうに飛び跳ねるまりさにとって、食事の後の声は唯一の楽しみだった。
 「ネタラダメダ」「ゼッタイニネルナヨ」「ユックリシロ」「メシノジカンダ、クエ」この4つの言葉以外に聞こえるものは何もないが、だからこそ声が大切な存在になっていた。

――おかーちゃんってこんなかんじなのかな。

 眠らせない事だけを求めている声に対し、そこまで思い込む様になっていた。
 生まれてから一度も、誰とも会った事のないゆっくりまりさにとっては、それほどに声は重要な存在なのだ。
 欲を言えば、動いたりゆっくりしすぎた時以外にも聞きたいという程度か。
 だからゆっくりまりさは、たまにわざと動いたりゆっくりし過ぎたりしてみる。
 そして、大好きな声に返事をする。

 ゆっくりまりさは、端から見ると不幸だが、本人からするとこの上ない幸せなゆっくりライフを営んでいた。





 映像は、帽子を被っていない赤ちゃんゆっくりまりさが幸せそうにゆっくりしている場面で停止した。
「――以上の様に、声を聞かせ続ける事で睡眠を取らずにした例です」
「なお、このゆっくりまりさは判別のために帽子をとってあります」
「このゆっくりは現在も生きており、現在は50センチ程度にまで成長しました」
 映像が切り替わり、帽子を被っていない成体のゆっくりまりさが映し出される。
「それがこちらのゆっくりまりさです。このゆっくりは、まだ一度も眠ってはおりません」
 帽子を被っていない以外は、普通のゆっくりまりさがゆっくりしているだけの画像に切り替わる。
 生まれてから一度も眠っていないとは信じられないほどに血色が良いその姿は、普通のゆっくりと比べてもなんの遜色もないものだった。

「それでは、次の映像の準備などのため、これから四半刻の休憩を挟ませていただきます。少々お待ち下さい」
 一礼をして、脇に下がる研究家。ほどなく館内放送が響き渡る。

――これより、四半刻の休憩を挟ませていただきます。
――休憩中の出入りは自由となっております。厠などを済ませて下さい。

 館内放送が流れると同時に、次々に立ち上がり、厠に向かう人々。
 次の説明まで四半刻、厠は常に人が満杯になるだろう。






 9スレ>>382でナメた事ぬかした……もとい、お願いしていたまりさがいたので、極限までゆっくりさせてみました。
 限界までゆっくりしていってね!

 本来は1つになるはずでしたが、長すぎるため分けました。ゆっくり楽しんでね!

 by319



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最終更新:2009年02月08日 22:27
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