日本のどこか。
ゆっくり達の家が立ち並ぶこの森に、ある問題を抱えた一家がいました。
まりさ家
築30年(木の年齢)の家に住むまりさとれいむ。
この一家が抱える問題、それは……
「ゆゆぅー……おちびちゃんたちがそだっておうちがせまくなってきたよぉ……」
「ひっこしするにもちかくにいいばしょなんてないよぉ……」
「ゆっきゅち!ゆっきゅち!」
「ゆっきゅりしちぇいってね!」
「ゆーきゃんのっとえちゅけーぷ! ひゃいぱーびょむ!」
「さいきんみずもれもひどくなったよ……」
「ゆっくりしたいね……」
『手狭になった家をゆっくりできる家に」
そんな依頼人の願いを受け、一人の男が立ち上がりました。
「ゆ?だれかきたよ?」
「だれだろうね?」
リフォームの匠。鬼意山。
ゆっくりの事を一切考えない、贅沢かつエコロジーな家づくり。
人は彼を『天国と地獄の造形師』と呼びます。
「ゆ? ゆっくりしていってねおにーさん!」
「ゆっきゅりしちぇいってね!!!」
謎の来訪者に対して、とりあえずゆっくりできるかの確認を込めての挨拶。
その礼儀正しい挨拶に驚きつつ、匠は話を進めました。
「ちょっくらこの家を改築するからよ。完成するまでお前ら外の小屋に居てくれないか?」
「「ゆぅ……ゆ゛!」」
突然の提案に目を丸くする二匹。しかし元来物事を深く考えないのがゆっくり、すぐに答えは帰ってきました。
「「ありがとうおにーさん!」」
こうして、匠によるまりさ家大改造計画が始まりました。
「みんな!ゆっくりにもつをはこんでね!」
「ゆーしょ!ゆーしょ!」
ゆっくり達が引っ越ししてる間、男は図面を見ていました。
そして、うむむと顔を強張らせながら何かを考えています。
まりさ達はあまりゆっくりしてない表情だと思いましたが、邪魔するのも悪いとそおっとしておきました。
それから5日後。
まりさ家は犬小屋の中でゆっくりしていました。
最初の頃は一応、心配なので毎日家を見に行っていたが、そろそろ工事するから危ないといわれ
完成するまでは近寄らないことにしました。
そして、数週間後、遂にまりさ家は生まれ変わった我が家と対面したのです。
「……すごいおうちだね。」
「……すっごく、ゆっくりしてるね。」
「ゆわぁーん! しゅごいおうちだね!」
なんということでしょう。
あのたった一本の木の下にあったまりさ家が、今や70坪の大豪邸に生まれ変わったのです。
れみりゃやふらんも絶対に入れないほど堅固な玄関のドア。120mm滑腔砲にも耐えきる窓ガラス。
日の光がたっぷりと入るよう工夫された吹き抜けのリビング。
子ども用の部屋は一人一人に専用のベット。主婦にも優しい最新のシステムキッチン。
狩りで疲れた体を癒す温泉。そして元おうちだった木の下、地下はプレイルームに大変身。
今までの思い出を残しつつ、家族の憩いの場となったのです。
ただただ茫然してるゆっくり達に、匠は一つの鍵を渡した。
「家の鍵だからな。」
「ゆ! まりさがもつよ!」
まりさに鍵を渡した匠は、まりさ家を家の中に入れると
そのままどこかへ歩きだしていきました。
「ありがとうおにーーーーさぁああああああん!!!」
「こんどきたときはぜんりょくでゆっくりしてねえええええええ!!!」
「ありきゃちょおおおおおおおおおお!!!!」
まりさ家は盛大に男を見送りました。
それからどうなったかと言うと。
「れいぞうこさんあけられないよぉおおおおおおおお!!!」
「ゆ゛ぅー! どあさんがあけられないからおんせんにいけないよぉおおおおおおお!!!」
「ぎっぢんひろすぎるでしょおおおおおおおおお!!!」
「にきゃいのおひぇやにいきぇないんだじぇええええええええええ!!!」
「いえがらでられないよぉおおおおおおおおおおおおお!!!」
「ちょいれどきょなのぉおおおおおおおおおおおお!!!」
「まどさんおねがいだからひらいてねぇえええええええええええええ!!!」
「すみずらくでゆっぐじでぎなぁあああああああああいいいい!!!」
【あとがき】
人間の家ってゆっくりには普通に住みづらいよねきっと。
ドアとか届かないだろうし開けられないだろうし。
手が生えてるうでまりささんマジパネっす。
そして途中で投げた。これはひどい
誰か拾って。
最終更新:2009年05月30日 23:41