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ゆっくり達の生涯『加工場の日常編 プロローグ(B)』~
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B:時間がかかってもおいしい物が食べたい人はココ!
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「れいみゅはまりしゃといっちょにこのおへやににょこりちゃいなぁ。 」
「ゆゆ! わかっちゃよれいみゅ、まりしゃもいっしょにこのおへやににょこりゅよ! 」
「「しゅ~り♪ しゅ~り♪ 」」
お友達としての絆を確かめ合った2匹はお引越しをせずに産まれた部屋に残る事を選んだ。
引越しを決めたプチ達は続々と人間さんの前へ進み出ると、次々に箱の中へ入っていった。
「おしょらをちょんでるみちゃ~い♪ 」
人間さんに持ち上げられたプチ達は皆同じ様に高い目線に興奮気味に喜んでいた。
「ゆぅ、ちょっとうらやましいよぉ。」
部屋に残る事を選んだプチ達は少し羨ましいそうに引越し組みを見つめていた。
「それじゃ残った子達はいい子にしているんだよ。」
人間さんはそう言い残すとプチ達の入った箱を抱え部屋から出て行った。
部屋に残されたプチ達は昨日のようにドアの方をしばらく見つめていた。
「ゆゆ! れいみゅれいみゅ! かけっこしちぇあしょうぼうよ! おへやがとっちぇもひろいよ! 」
約半数のプチ達が引っ越したため、部屋はかなり広くなっていた。
「ゆゆ! れいみゅまけにゃいよ! あっちまでしょうぶだよ! 」
プチ達は広くなった部屋を目一杯使い、様々な遊びで楽しんでいる。
遊び盛りのプチ達とは言えまだまだ体力は少ない。
そのため、あれほどはしゃいでいたプチ達も1時間もしないうちに疲れてお昼寝モードに入ってしまっていた。
「ゆぴ~・・・・・z z z z z ・・・・・ゆぴ~・・・・・z z z z z ・・・・・。」
プチ達は身を寄せ合って気持ち良さそうに眠っている。
ガチャ!
「ゆっくりしていってね! 」
「「「「「「「「「「
ゆっくりちていっちぇね・・・・・むにゃ~。 」」」」」」」」」」
気持ちよく眠っていたプチ達であったが、種の本能から眠気眼で返事を返す。
「ごめんね起こしちゃったみたいだね。でもご飯の時間だよ、さぁ起きた起きた。」
「ゆゆ! れいみゅおにゃかしゅいたよ! 」
「まりしゃも! まりしゃもごはんほちいよぉ! 」
あれだけ眠たそうにしていたプチ達であったが、“ご飯”と言う単語を聞いたとたん目の色を変えて騒ぎ出した。
「ははははは、そうあせらなくても大丈夫だよ。たっぷり用意してあるから。」
人間さんは笑いながらプチ達の前に黒い塊を広げていった。
「ゆゆ?これにゃに?」
初めて見る物体にプチ達は興味津々ながらも、躊躇してなかなか口にしようとはしなかった。
「大丈夫だよ、これは餡子っていう甘くておいしいものだよ。」
人間さんの優しい言葉を聞き、1匹のプチまりさが恐る恐る餡子に口をつける。
パクッ!
「・・・・・む~ちゃ・・・・・む~ちゃ・・・・・ちあわせ~♪ 」
プチまりさは満面の笑みで次々と餡子を口の中へ運んでいく。
それを見ていた他のプチ達も次々に餡子に群がっていく。
「あみゃあみゃ~♪ 」
「とっちぇもおいちいよ♪ 」
プチ達は皆笑顔で餡子を口に運んでゆき、あっという間になくなってしまった。
「「「「「「「「「「 ちあわちぇ~♪ 」」」」」」」」」」
「れいみゅ、ぺ~ろぺ~ろしてあげりゅね。」
「ありがちょ~まりしゃ~♪ 」
プチ達は互いに体を舐めあって体に付いた餡子を取っていく。
「ゆぅ~にゃんだかれいみゅねむくなっちぇきたよぉ・・・・・z z z z z 。」
「まりしゃもおめめがかっちぇにとじて・・・・・すぴ~・・・・・z z z z z 。」
お腹がいっぱいになったプチ達は食後のお昼寝タイムに入っていく。
「・・・・・眠ったか。
ゆっくりしてないで早く大きくなれよ。」
男はそう言い残して部屋から出て行った。
それからプチ達は毎日優しい人間さんにご飯を貰い、人間さんのことがどんどん大好きになっていった。
~2週間後~
「ねぇねぇまりさ! にんげんさんはまだかな?」
「だいじょうぶだよれいむ、きっとにんげんさんはもうすぐくるよ! 」
プチ達の体は成長し、成体にはまだ遠いものの赤ちゃん言葉は抜け立派な
ゆっくりへと成長していた。
ガチャッ!
「ゆっく・・・・・。」
「「「「「「「「「「にんげんさん! ゆっくりしていってね!」」」」」」」」」」
人間さんが挨拶を終える前に
ゆっくり達は元気よく挨拶をした。
「ははははは、元気がいいな。」
人間さんは笑いながら近くに居たれいむの頭をなでている。
「今日はご飯の前に皆に大事なお知らせがあるんだよ。」
「「「「「「「「「「ゆゆ~???」」」」」」」」」」
いつもとは違う雰囲気の人間さんに
ゆっくり達は頭上に?マークを浮かべている。
「今日から1匹ずつこの部屋から出てもらって君達のお母さんに会ってもらいます。」
「「「「「「「「「「ゆゆゆ! ! ! 」」」」」」」」」」
あまりの突然の言葉に
ゆっくり達はびっくりしてフリーズしてしまう。そして・・・・・。
「れいむがいちばんにおか~さんにあうよ! 」
「ゆゆ! ずるいよ! まりさが、まりさがいちばんだよ! 」
「ゆゆ~ん♪ はやくおか~さんとす~り♪ す~り♪ したいな~♪ 」
ゆっくり達は喜びのあまりまだ会ってもいない“おか~さん”の姿を想像しはしゃいでいる。
「それじゃお母さんに会ってもらう順番は私が決めるからね。選ばれなくてもすねちゃいけないよ。」
人間さんは
ゆっくり達を品定めするかのように見回している。
ゆっくり達は目をキラキラさせ“自分を選んで”と心の中で叫びながら人間さんを見つめている。
人間さんの動きがピタっと止まる。そして・・・・・。
「よし、君にしよう。」
「ゆゆ~ん♪ れいむがさいしょにおか~さんにあえるんだね♪ 」
人間さんはれいむを両手で大事そうに持ち上げる。
その光景を見ていた他の
ゆっくり達は残念そうな顔をしている。
「大丈夫だよ、最後にはちゃんと皆がお母さんに会えるからがっかりしなくてもいいんだよ。」
人間さんはれいむを抱えドアに向かって歩き出す。
「おっと言い忘れるところだった。後でちゃんとご飯は届けるから安心しててね。」
「みんな! れいむはさきにおか~さんと
ゆっくりしてるよ! ゆっくりしていってね! 」
「「「「「「「「「ゆっくりしていってね! 」」」」」」」」」
ガチャ!
人間さんとれいむが居なくなった部屋の中はシーンと静まり返っていたが、1匹のまりさが口を開く。
「あしたはまりさがえらばれるよきっと! 」
「ゆゆ! ずるいよ! れいむがえらばれるよきっと! 」
“明日こそは自分が選ばれるに違いない”
ゆっくり達は皆がそう思っていた。
その日を境に
ゆっくり達は1匹ずつ生まれた部屋から人間さんに連れ出されていった。
~十数日後~
「・・・・・おへやひろくなったねまりさ。」
「そうだねれいむ。さみしいね・・・・・。」
部屋には2匹、あの仲良しのれいむとまりさが残されていた。
毎日人間さんに連れ出され、戻ってくる
ゆっくりは1匹もいなかった。
「みんなおか~さんと
ゆっくりしてるのかな?」
「まりさもはやくおか~さんと
ゆっくりしたよぉ。」
2匹が寄り添いながら寂しがっていたその時!
ガチャ!
「ゆっくりしていってね! 」
「「ゆ! ゆっくりしていってね! 」」
2匹は元気よく返事をし、笑顔で人間さんの足元へ跳ねていく。
「やぁ、2匹で寂しい思いをさせてごめんね。今日は・・・・・。」
人間さんの口元に2匹の視線が集まる。
(どきどき、れいむをえらんでね! )
(にんげんさん! まりさをえらんでね! )
「今日はれいむの番だよ。」
「
ゆっくり~~~♪ 」
「
ゆっくりぃ・・・・・。」
れいむの表情は満面の笑みに、まりさは落ち込んだ表情に、2匹は対照的な表情になる。
人間さんはれいむを抱えると足早にドアに向かって歩き出す。
「もっと
ゆっくりしていってよ~。」
まりさは人間さんとれいむを引きとめようと後を追い跳ねていく。
ガチャ!
「ゆぎゅ! 」
無機質な金属の扉にまりさはぶつかり跳ね返される。
「ゆぅ ぅ ぅ ぅ ぅ !いたいよおぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! 」
部屋には1匹となり、ぶつけた顔を赤くしているまりさの泣き声だけが響いていた。
「・・・・・すぴぃ・・・・・z z z z z ・・・・・れいむぅ・・・・・。」
翌日、まりさは目に涙を浮かべながら1匹寂しく眠っていた。
「・・・・・ゆ? ・・・・・ゆっくりしていってね! 」
寂しさからか自然と目が覚め、お決まりのセリフを元気よく叫ぶ。しかし・・・・・。
シ~ン・・・・・
部屋は静けさで包まれていた。
部屋に1匹だという現実にまりさは引きずり戻される。
「さみしいよぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ・・・・・れいむぅ ぅ ぅ ぅ ぅ 、おか~さぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ん・・・・・。」
ガチャ!
「ゆっくりしていってね! 」
「ゆゆゆゆゆ、ゆっくりしていってね! 」
突然の事にまりさは少し動揺してしまったものの元気よく返事を返した。
「さぁお母さんに会いに行こうかね、待たせてすまなかったね。」
「ゆっ! ゆっ!
ゆっくり~♪ 」
まりさは満面の笑みで喜びを表現する。
「それじゃ抱えるけど暴れたらダメだからね。」
「
ゆっくりりかいしたよ! 」
まりさは人間さんに抱えられ生まれた部屋を後にした。
外の世界はまりさにとってあらゆる物が興味の的であった。
まりさは人間さんに抱えられながら目を輝かせキョロキョロさせている。
「にんげんさん! にんげんさん! あれはなに? あっちにはなにがあるの? おか~さんはどこにいるの?」
「・・・・・。」
まりさは目線を上に向けながら質問するが人間さんは口を開く事はなかった。
人間さんはまりさを無視して着々と前へ進んでいく。
ある扉の前で人間さんが立ち止まる。
「にんげんさんどうしたの? きょうも
ゆっくりし・・・・・。」
ガチャッ!
ぽ~~~い
「ゆゆ! おそらをとんでるよ~♪ 」
まりさは綺麗な弧を描きながら宙を舞っていた。・・・・・正確には男によって部屋の中に投げ入れられた。
ぼよん!
「ゆ゛! 」
まりさの体はなにやら柔らかいもに当たって跳ね返り、地面をコロコロ転がっている。
「ゆゆ? ここはどこなの? おか~さ・・・・・あ゛っ! あ゛っ! あ゛っ! 」
まりさは目の前を見て硬直する。
まりさの目に映っていたものそれは・・・・・。
巨大な
ゆっくりがまりさに気付き
ゆっくりと向きを変える。
「ゆゆゆゆゆ! ゆっくりしていってね! ! ! 」
まりさは一目散に投げ入れられた扉に向かって跳ねていく。
扉の覗き窓からは男がまりさを見つめていた。
「にんげんさん! にんげんさん! はやくあけてね! 」
まりさは必死に扉に体当たりをし、そして大声を上げてこの部屋から出してくれとお願いする。
しかし・・・・・。
ズン! ズン! ZUN!
非情にもまりさの背後からは巨大な
ゆっくりの足音がどんどん近づいてくる。
「どほ゛じであげでぐれないのおぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! ? いやだあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛! 」
ズン! ズン! ZUN!
「おでがいでず! あげでえ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛! にんげんざあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ん! ! ! 」
「いや゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛! ! ! 」
巨大な
ゆっくりの口から出された舌にまりさは巻きつけられてしまう。
まりさの表情は数分前の好奇心一杯のキラキラと輝いた表情から一変し、恐怖に支配され絶え間なく涙がこぼ
れ続ける表情へと変わっていた。
「
ゆっくりしたけっかがこれだよおぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ! ! ! 」
そして舌に絡められたまりさは断末魔を残し巨大な
ゆっくりの口の中へ消えていった。
巨大
ゆっくりの口の中はまりさにとってまさに地獄絵図であった。
「・・・・・・・・・・。」
完全に意識を失い原型がわからないほど体が崩れてしまっている
ゆっくり。
「・・・・・ゆ゛あ゛っ・・・・・。」
体中が溶けているもののかろうじて意識のある
ゆっくり。そして・・・・・。
「・・・・・たすけて・・・・・まりさ・・・・・。」
まだ原形をとどめているものの、周囲の状況を見て絶望に打ちひしがれてただ涙を流し助けを請う
ゆっくり。
「れ! れれれれれ! れいむうぅ ぅ ぅ ぅ ぅ ! 」
まりさのすぐ横には昨日“おか~さん”に会うために部屋から出て行った1番仲良しのれいむの姿があった。
れいむの目は虚ろになり、ただ呪文のように仲良しのまりさを呼び続けていた。
まりさは気付く、ここにいるのはかつて同じ部屋で共に過ごした
ゆっくり達であると。
(それじゃぁまりさもみんなみ・・・み・・・み・・・た・・・い・・・に。)
まりさの顔から完全に血の気が引いていく。
そしてまだ僅かに開かれた巨大な
ゆっくりの口の中から優しい人間さんの姿がまりさの瞳に映る。
「だずげでえ゛え゛え゛え゛え゛! にんげんざあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ん! 」
まりさの叫びが男に届く事はなかった。
そして無慈悲にも巨大な
ゆっくりの口は
ゆっくりと閉じられ口の中は暗闇に支配される。
ゆっくり達は消化され意識が完全に無くなるまでの数日間、この絶望的な状況の中でひたすら号泣することし
かできないのであった。
「ふぅ、これで高級餡の仕込が一段落したか。甘味をまろやかにしてかつ品質が均一化されるなんて
ゆっくりれ
てぃは便利なものだな。」
プロローグ(B) END
最終更新:2022年01月31日 02:59