ありすは群の中でも嫌われ者だった。
理由は簡単だ、醜いからである。
ろくに手入れされていない髪はばさばさで酷い臭いがして
色は金髪どころかくすんでオウド色といった方が正しい。
体だって酷い有様だった。
顔には普段洗ってないためか小さなぶつぶつが無数に浮かび上がっている。
まぶたは腫れぼったく膨らんでいて目はいつだって半開きだ。
肌はべたべたしていていつだって気持ち悪い。
こんなありすのことを好きになるゆっくりなんて居るはずが無かった。

それでも、ありすは気にしてはいなかった。
それなりに今の生活に満足していた。
こんなありすだが狩はそれなりに、というかゆっくりの中では一流の域だし
自尊心も周りの方こそ田舎モノなんだと言い聞かせれば保てる。
他のゆっくりが何を言おうと気にはならなかった。
そして何より愛するゆっくりが傍に居た。
彼女さえ居れば他に何もいらないとさえありすは思っていた。
本当になんの問題も無く生活していた。

まりさとの出会いはとても運命的で都会派な出会いだった。
あれはしとしとと雨が降っている日のことだった。
「ゆ、あなたどうしたの!?
ひどいかっこう、いなかもの?」
その日、外に出しっぱなしにしていたゴミが、雨に濡れて悪臭を発していると隣のゆっくりから苦情が出て
仕方なくゴミをどこか適当なところに捨ててこようとうろついていて
ありすはゴミクズのようにボロボロで倒れているまりさを見つけた。
「ぁ……ぅ……」
「もう、しかたないわね……わたしのとかいはなおうちにしょうたいしてあげるわ
べ、べつにたすけてあげるってわけじゃないんだからね!」
酷い怪我を負い意気も絶え絶えのまりさを見てありすはゴミをその場に捨ててまりさを巣に運び込んだ。
別に助ける義理も無いが、強いて言うならなんとなく、といったところだ。
「ようこそ!ありすのおうちへ!ゆっくりしていってもいいわよ!」
「ゅ……ゅっくりしてい……ゆ!?」
謂れの無い好意に困惑しているのだろうまりさは困ったような表情を浮かべ部屋を見回した。
その仕草を見てありすは都会派として不覚にもまりさのことにきゅん、としてしまった。

べ、べつにすきでもなんでもないんだからと自分に言い訳しつつ
ありすは雨が止んだらとっとと追い出そうかと考えていたが
とりあえず怪我が治るまでは住まわせてやろうと思った。

それからは加速度的にありすはまりさに惹かれて行った。
最初は寝顔だった。
まりさの顔には醜くむごたらしい火傷の跡が残っていた。
それにも関わらず、まりさの寝顔はとてもゆっくりしていて
狩りから帰ってきて疲れたありすのことを癒してくれた。

それからまりさは多少動けるようになると
まだ怪我が治りきっていないにも関わらず
甲斐甲斐しくありすの部屋を片付けてくれた。

まだ休んでいればいいのにと思ったが
せっかく頑張ってくれているのに止めるのもなんだし
それに、辛い目にあったのに前向きに出来ることをしようとするまりさの姿は
孤独で荒んだ生活をありすには眩しいほどに素敵に感じられた。
その輝きに触れるたびにありすの胸は熱く高鳴った。
それが恋心だと気付くのには時間はかからなかった。

どうすればまりさにこの想いを伝えられるか頭から湯気が出るほどありすは悩んだ。
ろくに眠れず、毎晩のようにまりさの寝顔を見て悶々とする日々が続いた。
そんな状態が一週間は続いただろうか。
ありすは気が狂いそうになりながら巣で横たわって、今は亡き両親のことを思い出した。
あんな素敵で都会派な夫婦になって暮らしたいと小さい頃は願っていたのを思い出す。
両親は野犬に襲われて死んでしまったが本当に鴛鴦夫婦という言葉の相応しいゆっくりした夫婦だった。
ゆっくりありすの母とゆっくりまりさの父に、どうしてそんなに仲がいいのか聞いたことがあった。

「ゆー、ぱぱ、まま
どうしてふたりはそんなにとかいはでなかよしさんなの?」
父と母は答えた。
「ゆ!ちゃんとふたりのきもちをつたえあってるからよ!」
「ちっちゃいありすもおおきくなったら
すきなゆっくりにはちゃんとあいらぶゆーっていってあげるんだぜ!」
二人はありすにウィンクしながらそう言った。


ああ、どうしてこんな簡単で大切なことを忘れていたのだろう。
ありすはもう迷わずにその晩行動に移った。

最初は突然のことに驚いていたまりさも、ありすの熱烈な求愛に絆されて
ついに二匹はその晩めでたく結ばれた。

ありすにとってその生涯で最も幸せな晩となった。

ありすとまりさの愛の営みはそれから毎晩のように続いた。
普通体力的にそんなことをしていたらもたない。
だがありすが生来の絶倫だったことと、ありすによって充分な蓄えが有り
その上まりさはちょっとした家事さえすればよかった。

キツイ家事はありすが何かと理由をつけてやらせなかった、後遺症が残っているのにさらに怪我をされたら目も当てられない。
故に後は性交以外殆どすることが無いためその問題はクリアーされた。


そんな二匹の生活は別にありすは言いふらしたりしない、というかそもそもゆっくり付き合いが無いので言いふらしようが無いのだが
ありすとまりさが一緒に暮らしていることはそれとなく近所に知れていった。

まあ別にそれはありすにとってどうでもいいことだった。
ただ周りから聞かれたら優しくて素敵なまりさのことを答えてやろうくらいには考えていた。


狩から家に帰っている道中で、ありすはありす種と若いまりさ種のアベックと視線が合った。
確か若いまりさの方はひもで生計を立てているとか聞いたことがあったかもしれない。
普段はそんなこと考えたことも無いが、最近気分がいいせいか挨拶の一つでもしておこうかと思って軽く頭を下げた。
若いまりさの口が憎ったらしい笑みと共に開かれたのはそれと同時だったか。

「まりさしってるんだぜ!ありすといっしょにいるまりさはすごいぶさいくなんだぜ!!
このまえみたんだぜ!!」
「あらやだ、とかいはのありすにはかんがえられないわ……
あのいなかもの、すっきりできるのならだれたっていいのね」
若いまりさは嘲りの笑みを、アベックの片割れのありすは汚いものでも見るかのように心底蔑んだ表情でありすを見ていた。

ありすは会釈するために表情を伏せた姿勢のままでかつかつとアベックの方へと近寄っていった。

「お、なんだぜ?やるんだぜ?」
若いまりさがニヒルな視線を送りつつ鼻で笑った。
「わたしのまりさにけんかをうるなんてばかないなかも」
そのありすが言い終わるよりもずっと、若いまりさが頬を変形させてゴロゴロと彼方へと転がっていったことの方がずっと早かった。
「ゆぼるぶっ!?」
「ま、まりさ!?まりさああああああ!!!」
ありすの体当たりで吹っ飛んだ若いまりさを追いかけて、アベックの片割れのありすはそのまま慌てふためきながら跳ねていった。

その二匹のことはそれきり一瞥さえくれずにありすは地面に唾を吐いて、険しい表情で巣へと帰っていった。


それからまた数日経った頃のこと。

狩からの帰り、巣の入り口に特徴的な黒いとんがり帽子をありすは見た。
まりさが外に出て何かしてるのかと思い、少し驚かしてやろうとそっと近づいていった。
いつも仏頂面をしている癖にそういった悪戯をするのはありすは結構好きなのだ。
後もう少し近づいたら声を出して驚かせてやろうか、と思った時ありすは違和感を感じて立ち止まる。

左頬にあるはずの火傷の跡が、無い。

「だれ!?なにしてるの!?」


「ゆげ!にげるんだぜ!!」
あの時の若いまりさだった。
一体何をしていたのかその場で黙考し、巣の入り口を見て息を呑んだ。
元々余り上等ではなかった木の葉を繋いで作った扉が切り裂かれている。
「まりさ!!」
撃ち放たれた矢のようにありすは巣の中に飛び込んだ。
「まりさ!!」
左頬に火傷の痕のあることを確認して巣の奥で横たわるまりさに駆け寄った。
「……よかっ、……た」
愛らしい寝顔ですうすうと寝息を立てているのを確認してありすは涙ぐんだ。
安心すると、今度は腹の奥底から沸々とあの若いまりさへの怒りが湧き上がる。
「よくも……よくもぉ!!」
思わず声を荒げて壁に体当たりする。
「……ひぃっ」
その音に起こされて怯えて巣の隅で縮こまるまりさの姿に心が痛んだが
どうにも抑えきれそうになかった。
これ以上巣の中に居ても良くないと思いありすはあの若いまりさを探しに巣の外へと飛び出した。

あの若いまりさがどこの誰だかは良く知らない、多分近所に住んでいるとは思うのだが。

少し怒りが冷めて、ありすの胸のうちに今度は背筋の凍るような恐れが降りてきた。
もし、もしも自分が間に合っていなかったらまりさは一体どうなっていたのだろう。
そう考えると胸の奥が凍り付いてひび割れそうになる。
ありすに恨みを持っていそうなゆっくりなら何匹か心当たりがあった。
元来ゆっくり付き合いは悪いのだ。

唾がうまく飲み込めない。

ありすはきびすを返して巣に戻るとじっと切り裂かれた扉を見つめた。



それからだった。
ありすが出かけるたびに大きな石で巣の入り口を塞ぐようになったのは。
入り口だけではなく光と空気を取り入れるための小穴も枝と葉っぱで他のものが入ってこないようにきちんと塞いだ。
ありすはまりさを護るために巣の守りを固めるのに躍起になった。

ありすのゆっくり付き合いはさらに悪くなった。
周りもありすの行動を煙たがりさらに距離を置くようになった。
ありすもそれに合わせて周りをどんどん信じなくなる悪循環。
今まで以上にどんどんありすは嫌われていった。
ありすも周りに嫌われていることを深く自覚し、それどころか恨まれていると半ば信じた。
殆ど疑心暗鬼だったが確かにそういう輩も居た。

ありすのまりさとの生活は、内へ内へと閉じこもるようなものへとなっていった。

それでもありすは満足だった。
むしろまりさとの愛を育み合う生活にこれ以上無いほど幸せを感じていた。
他のものは異物だ、いっそ関係を断ったほうが危害を加えられる心配が無い分ありがたい。

そんなある日のこと、ありすは狩場に向かう最中に、一匹の若いまりさに出逢った。
あの時のまりさだった。
あの時の借りを今ここで返してやろうかとありすは思ったがそれは止めておく。
まりさと一緒に幸せならそれで構わないのだから無闇にことを荒立てる必要は無い。
「なにかよう?ないんだったらこっちみないで」
だから冷たくあしらおうとそう吐き捨てた。
「ゆっへっへっへ、そうやっておおきなかおをしてられるのもいまのうちなんだぜ」
若いまりさはニヤニヤと下卑た笑いを浮かべた。
「?どういういみかしら、ありすがあなたみたいないなかものにどうにかされるとはとてもおもえないんだけど?」
不快に思い眉を顰めながらもありすは気になって尋ねた。
どうにも座りの悪い、顔のできものがうずうずとした。
「まりさはなにもするひつようなんてないんだぜ、なんたってむれのみんながやってくれるんだぜ!」
「……ちょっと、それどういうこと?」

「ぷっぷー!じょーじゃくのありすがあわれすぎるからおしえてあげるんだぜ!
じきにありすのりんちがけっこーされるんだぜ!
そしたらありすはおしまいなんだぜ!ぷっぷー!」
「な、なんですって……!?」
「ゆ!せいぜいおびえながらゆっくりしていくんだぜ!ぷっぷー!」
愕然とするありすを尻目に若いまりさはスタコラさっさと逃げ出して言った。
苦し紛れの捨て台詞だと信じたい、信じたいが


それからありすは食べ物などの私財を持って、ゲスと呼ばれるような類のアウトローナゆっくりがやっている情報屋に駆け込み、その真偽を尋ねた。
ウソだとは思うが念のためだ。
安心を得られるならその程度の出費は痛くない。
情報屋は、ありすの願いとは裏腹にあっさりと頷いた。

理由としてはありすの群の和を乱す傍若無人な行為。
子飼いにしてるまりさに行われていると思われる性的暴行。
その他もろもろのゆっくりしていないという理由から近日中に決行予定。
首謀者は、群の中に居る過激派のゆっくりだと思われるが群の長のゆっくりゆかりんの関与も否定できない。

「ま、こっからさきどうするかはじぶんでかんがえてね!」
下卑た笑いを浮かべながらそのゲスはありすに告げた。

否定しようにもとうとうと詳しい計画まで聞かされてありすは背筋が凍る思いだった。
参加者として挙がった名前にはどれもありすには心当たりがあった。
狩りの最中に同じ獲物にかちあって、すっとろかったので後ろから蹴倒したら坂を転がっていったまりさ。
狩場が被ったのでいい狩場だと騙して別の危険な狩場を教えて死ぬような目にあわせたれいむ。
まりさのことでいちゃもんをつけてきたので尻尾を引き裂いて追い返したちぇん。

どれもありすのことを殺そうと思っていてもおかしくない面子ばかりだった。

もはや疑う余地は無い。
ありすは自分とまりさの幸せな生活を守り抜くためにすぐに行動を開始した。
そのためなら何を犠牲にしたって構わない、そんな気持ちだった。


ある時から、ゆっくりの間でこんな噂が広まった。
『魔法の森の奥深くに
 おいしい花が美しく咲き乱れ
 太陽は燦燦と降り注ぎ
 小川はその光を照り返してやさしくせせらぐ
 緑に溢れ夜もやさしい空気が安らかな眠りに誘う
 そこには争う者はおらず誰であろうともゆっくりできる
 そんなゆっくりプレイスがあるという
 その場所の名は
 何度夜が来てもずっとゆっくりしていられる
 という意味を込めて
 永夜緩居(えいやゆるい)
 と呼ばれていた』

この物語は永夜緩居を目指したゆっくりしてないゆっくり三匹の物語である。




森の奥のゆっくりの群の住まいの奥深く。
その中でももっとも大きい巣の一番奥の部屋にありすはやってきていた。
部屋の前には『やっくもん・ゆっくり・ゆかりん13世執務室』と書かれた葉っぱが立てかけてあった。
書かれた文字は人間のものでありすには読めない、というかほんの一握りのゆっくりにしか読むことは出来ないのだが。



部屋の中は執務室と言う割には仕事道具より寝床や食べ物などの生活に必要な道具の方が多く見られた。
しっかり使い込まれたそれらの様子からこの部屋の主が殆どここで生活していることが伺える。
そのさらに奥に詰まれたやわらかそうな干草のベッドで一匹のゆっくりゆかりんは横になって眠っていた。

「ゆ……あらあら都会派のありすがこんな夜中に何の用かし」
ゆかりんが言い終わるのを待たずにありすはゆかりんに歩み寄り肉薄すると
口の中に隠していたよく尖った小石を吐き出し舌に絡めてゆかりんに突きつけた。

「ら、ゆ……え……?え……?ゆっく」
「これからありすのしつもんにだけこたえて」
ソレを見て困惑の表情を浮かべるゆかりんに対してありすは冷ややかに告げた。
「ななななにをしてるのあり」
「だまれっていってるの」
チクリと尖った石の先がゆかりんの饅頭皮に軽くめりこみ、ゆかりんは息を呑んで硬直した。
「ひ……」
「さいしょにきいておくわね、ありすをりんちするっていうやばんなけいかくについてなにかしってる?」
「あ、ゆゆゆゆかりんは止めようと」
「ふぅん」
知ってたんだ。
ただそう思った。
ありすはゆかりんの言葉を皆まで聞かずに不快さを感じて眉を顰めながら
一ミリ程持っている小石をゆかりんの方に押し進めた。
「や、やめっ、やめ」
「いたいおもいをしたくなければだまってしつもんにだけこたえるのよ」
「……ぃっ……!」
静かに凄むありすの顔を見てゆかりんは目に涙を浮かべながら黙りこくった。
「じゃあつぎ、そのとかいはにはほどとおいゆっくりたちをとめるてだては?」
「む、無理よ……群の長っていってもできることなんてそんなに無いの……
あの子達は群の中でも勢力がおおきくなってるからゆかりんにももうとめられないのぉ……!」
憐れっぽく、というか本当に憐れなまでに怯えきった表情で頬に涙を伝わせてゆかりんが告げる。
それを聞いてありすはゆかりんに冷ややかな失望と軽蔑の視線を送った。
恐らく嘘ではあるまい。
自分の命をこちらが握っているのだからハッタリでも嘘八百でも出来ると言ってこの場を切り抜けてしまえば
あとはのらりくらりと言葉巧みにかわしていればいい。

まあありすにはそう簡単にハッタリで逃がしてしまう気は毛頭無かったが
ここでそのカードを切らないということはそんなハッタリを言う材料さえ見つからないほど本当にどうしようも無いのだろう。

「つぎ、ありすがどこかべつのむれへすみうつるてびきは?」
「あ、ああ、あの子達は相当ありすのこと恨んでるからきっととなりの群に移っても追ってくるわ」
ありすは次から次へと出てくる期待はずれの答えに舌打ちした。
「これでさいご、ゆかりんにありすをたすけるてだてはある?」
常に半眼の冷酷な瞳でゆかりんを睨み末ながらありすは尋ねた。
「あ、ありますっ!」
ここでそう答えなければ殺されると思ったのだろう。
ゆかりんは声を裏返らせながら言った。
「ふぅん、どんなほうほう?」
今度こそ本当か、それとも苦し紛れのハッタリか。
それを見抜くためにありすは射抜くかのようにゆかりんの顔を見据える。
「え、永夜緩居よ」
今にも心臓が止まるのではないかとありすが心配するほど声を上ずらせながらゆかりんは告げた。
「えいや……うわさはけっこうきいたことあるわね」
「そ、そうなの?じゃあ説明の手間が省けたわね、そこにいけば」
怪訝な顔のありすとは対称的にゆかりんは引き攣った笑いを浮かべた。
「……かくしょうもなにもなしにそんなうさんくさいおはなしでとかいはのありすがなっとくするとおもう?」
咥えていた小石がゆかりんの皮につぷりと刺さり、一ミリほど抉りこんだ。
「ずぎま゛ぁ゛ぃいいいいいいいい!?」
別に叫ぶほど痛いわけではないだろうが恐怖のためかガタガタ振るえながら涙を零し叫んだ。
「あああああ゛る゛のおぢゃんど確証あ゛る゛の゛ぉおお……!」
苦し紛れなのか本当に何かあるのか判断できずにありすは嘆息した。
「じゃあそれをさきにいってよ……」
「……あなたはむかしむかし、あるところにゆっくりれいむがいました……っておとぎ話知ってる?」
恐る恐るといった様子でゆかりんは口を開いた。
呆れながらありすは告げる。
「こどものころになんどもきいたおとぎばなしをはなしてありすをおねむにしようっていうんならむだよ
とかいはありすはよるがたなの」
「知ってるのね、なら話は早いわ」
ありすの予想とは裏腹にすっかり落ち着いた様子でゆかりんは続けた。
「あのおとぎばなしは実話をもとにしてるの」

ゆかりんの言っている御伽噺というのは、「あるところにゆっくりれいむがいました」で始まる
この群では有名な御伽噺だ。

話の筋は、確かゆっくりれいむが苦労の果てにゆっくりぷれいすを見つけて仲間達と幸せに暮らしました
という話と、幸せに暮らしていたゆっくりれいむがやってきた悪い奴等をやっつけて幸せに暮らしました
という話の二つ。
ありすは二つめの話の最後の言葉だけは何故か覚えていた。
確か「もりさん、ゆっくりしていってね!」だ
どちらもどうということの無い子ども騙しな話だった。

「それがどうつながるのかよくわからないわ」
不快そうに眉を顰めてありすが言った。

「そのゆっくりれいむの話に出てくるのが永夜緩居なのよ」
子どもに御伽噺でも聴かせるように穏やかな口調でゆかりんは話し始めた。
「あのお話はかなり真実が含まれてる……というか歴史の口伝みたいなものね
簡単にまとめると、あのお話のゆっくりれいむはゆっくりぷれいすを見つけて
そこに住んでいた外敵をやっつけてそこに住んだの」
「だいぶありすのしってるおはなしのすじとはちがってるけど……それが永夜緩居……っていうこと?」
「そう、そしてあのおはなしのさいごのせりふはおぼえてる?」
「ええ、まあ」
半信半疑で困惑の表情を浮かべながらありすはゆかりんの話を聴いた。
「あれはつまりやせてしまった土地を休ませるということ
そのためにれいむは自分の弟子達を永夜緩居の周りに住まわせたわ」
そこまで言って自慢げに顎を膨らませてゆかりんは高らかに続けた。
「その弟子の子孫がゆかりん、やっくもん・ゆっくり・ゆかりん13世よ!」
半眼で、といってもいつも半眼なのだがより強調された半眼とでも言おうか
疑わしく思いながらもそういえば群の長のゆかりんは
伝説のゆっくりれいむの弟子の子孫だのなんだのという与太話は噂に聞いていたことを思い出した。
ゆかりんと同じようなその弟子の子孫とやらの群はいくつかあるらしいという話も聞いている。
確か東のおされいむと西のおさまりさと南のおさありすと北の…とここまで考えてからありすは
伝説のゆっくりれいむの弟子の子孫云々はあまり疑わなくてもいいかもしれないと思った。
そして

「うん……ゆむ……だいたいわかったけど……
でもそんなものがほんとにあるのがわかってるなら、なんでむれのみんなをつれていかないの?」
「永夜緩居までの道のりはとても険しいの
それなりに経験を積んだゆっくりでもまずたどり着けないわ
私も腕の立つゆっくりを集めて調べに行ってもらったけど彼らも大分被害を出したわ
それでやっと永夜緩居のことはわかったの。
もちろん、完全な楽園とは言えないわ。
それでもあなたとまりさが幸せに暮らすには充分な場所よ
でも群を引き連れればかならず老いたゆっくりや子ども、弱いゆっくりは二度とゆっくり出来ない事になるわ
だから群の長としてゆかりんは永夜緩居を目指すことは出来ないわ」
なるほど、とありすは頷く。
「できれば永夜緩居の噂も流れて欲しくはなかったの
でも、お耳にドアは立てられないって言うし流れてしまったものは仕方ないわ」
そういってゆかりんは残念そうに嘆息した。
なんだか毒気を抜かれてしまってありすは居心地が悪そうに口元で尖った小石を遊ばせている。

ありすは顔にたっぷりと皺を寄せて悩んだ。
しかしゆかりんの言うとおり群から群へ復讐に燃えるゆっくり達から逃げ続けるよりは
危険を冒してでも永夜緩居を目指す方が勝算はあるように思えた。
第一ありすには体を怪我したまりさが居るのだ。
体力も無く顔も特徴的なあのまりさを連れて逃げ続けるのはどう考えても不可能に近い。
いっそありすをリンチしようとするゆっくり達をやっつけようと考えたが
群の長のゆかりんが手を出せないほど大きな勢力と結びついているようでとてもありすだけではどうにもならない。
実質、永夜緩居を目指すしか無い。

ただ、それにはゆかりんの言葉を信じることが必要だった。
その最後の一歩がありすには踏み出せず、頭を抱えた。

「そうね、なにかしょうこになるようなものがあればしんじるわ」
「しょ、しょうこって……?ゆっ!?」
ありすは気を取り直して強めに尖った小石を突きつける。
「永夜緩居のそんざいをしめすしょ・う・こ
いまのがホラばなしでないならしょうこがないとはいわせないわ」
「そ、そうだわ!ちず!永夜緩居のちずがあるの!」
「ちず……ね、なるほど」
地図というと、ある一帯の地形を示した絵のはずだ。
基本的に文字文化を持たないゆっくりにはそういったものは縁の無いものだが描ける奴も中に入る。
稀に器用なぱちゅりー種が自分の知識と生命を総動員して地図や図鑑を書くことがある。
識字率が0に近いのでほとんど誰の役にも立たず殆ど巣の中で埋もれていくのが常だが。
地図はまあある程度感覚的に読むことが出来るからまだ日の目を見られる方だが
ぱちゅりー種がその半生をかけて書き記したような知識の宝庫ともいえる書物は
殆どが誰にも内容を理解されず日の目も見ることなく埋もれて虫の餌になる。

なるほど、適当なゆっくりを騙すのならこれは中々良い言い訳だとありすは感心した。
だが生憎とそんなものに騙されるありすでは無い。
実は地図なら何度か見て、読み方もかなり詳しく知っているのだ。
父方のまりさの知り合いにぱちゅりー種が居て、そういう地図を譲り受けて狩の仕方を教わるついでに地図の読み方も教わった。
その辺のゆっくりならだまくらかせるくらいよく出来たものでも
適当にでっち上げた地図なら一発で見抜ける。

知識を総動員すればこれからゆかりんが出す地図が本当に永夜緩居への地図なのかもほぼ判別がつく。
まあ流石にこのために永夜緩居の地図を完全にでっち上げておいたのなら話は別だが
この事態を予想してそれ用の地図を用意しておくなど予知能力者でもなければ出来るはずが無い。
永夜緩居を目指すのに、ゆかりんの所に押し入るほどの胆力のあるゆっくりも
そして口惜しいが今のありすほど切羽詰っているゆっくりもそうそう居るはずが無いのだ。
ゆっくりにとって地図とはそんな簡単に作れるものではないのだ。
もし本当にそんなものがあるのなら、まあ信じてもいいだろう。
「こ、これです!」
ゆかりんは白い帽子の中から一枚の紙切れを取り出してありすに渡した。
「これが証拠……」
「だまっててゆかりん」
ありすはマジマジとその紙切れに描かれている図形とにらめっこをした。
その内容を見てごくりと唾を呑む。
この辺りの地理についてありすは熟知している。
狩りを通してそういった知識を貯えることが出来た。
その知識と照らし合わせてもこの地図には特に間違っているようなところは無く
細かい注訳も、殆ど読めないが図形などと照らし合わせても恐らく正しい。
そしてこの地図に記されている場所ならば、ゆかりんの言う
そして噂でまことしめやかにささやかれている永夜緩居があるとしてもおかしくは無い。
さっきのゆかりんの話した昔話と照らし合わせても矛盾は無い。
「なるほど……ね」
かなり確信を持っていえる。
この地図に記された場所には確かに何かある。
他に打開策も無い、もうこれに決定してしまっても構わないだろう。
「それじゃ、これはありすがいただいていくわね」
「ゆゆっ!?そ、それはちょっとこまるわ!もしそれが外にもれズギマっ!?」
縋りつくゆかりんを流石に殺すのは躊躇して体当たりで黙らせる。
そんな仏心を咥えたのがまずかった。
ガシャリと家具が崩れて物音を立ててしまう。
「ゆゆ!?ゆかりんどうかしたの!?」
やっと眠っていた近所のゆっくりが異変に気付いて巣を覗き込んだ。

もうここから脱出しなくては。
ありすは巣の中を覗き込もうとしていたゆっくりを体当たりで突き飛ばしそのまま闇夜に紛れて逃亡した。



次の日、哨戒するゆかりんの手勢のゆっくりの合間を縫って自分の巣に帰ったありすは
すぐに旅立ちの準備に取り掛かった。
流石にもう一刻たりともこの巣に住んでいるわけには行かない。

あの日和見主義者のゆかりんも、流石に追手を放つことだろう。
そうなればありすは愚か、まりさの身だって危ない。

まりさを一緒に連れて行くのは一苦労だろうが
それだけの価値がまりさにはあるとありすは思っていた。
その思いは既に信念に近い。
「ゆっくりするならひとりよりふたりよね」

永夜緩居についたらまりさとふたりでアレをしよう、これもしよう、そうだ、あれもなくっちゃ
そんなことを考えてるうちに、蔦と葉っぱで作った大きな荷物袋はパンパンに膨れ上がった。

そして夜が明ける前に眠たげなまりさの帽子につけた紐を引っ張りながら群を出て永夜緩居への道を急いだ。

それほどたくさん歩いたわけではないが流石にあの体で急ぐのはまりさには辛かったのか
まりさはすぐにへとへとになり息も絶え絶えになった。
これではいくらなんでも歩かせるわけにも行かないと思い
ありすはまりさを木陰に横たえると追手が来ていないか辺りを見回りに行った。
すると木の陰からありすの前に、見知らぬ一匹のゆっくりようむが現れた。
「こんなところでなにかようかしら、いなかものさん?」
ありすは距離を置いて警戒しながらそのゆっくりようむに話しかけた。
警戒した理由としてはゆかりんの追っ手であるかもしれないことと
もう一つ、自分をリンチしようとする一派の仲間であることを疑ったから。
その腰、というか左頬のやや下にヒモで結んだ木の枝のようなもの
ゆっくりの間で木剣と呼ばれる武器を挿していることからそのどちらかなのは想像に難くない。
木剣といっても人が使うような大層なものではなく、硬そうでまっすぐな木の枝を少し磨いで鋭くしたようなものである。
それでも殆ど丸腰で家を飛び出してきたありすにとっては脅威となりうる武器だった。
狩りの道具ぐらいは荷物袋に詰めてあるが、ゆっくり同士での殺し合いで使えるものとなるとそんな武器は流石に無い。

「まあだいだいわかってるみたいだからかくさずにいうみょんが……いのちがおしければちずをわたすみょん」
機械の様に淡々とそのようむは言う。
ありすはふん、と鼻で笑うとこう言ってやった。
「そのちずならかくしておいたわ、わたしをころしたらもうどこにあるかわからなく……」
「それはそれでかまわない、っていったらどうするみょん?」
「……ゆっ!?」
事も無げにそう言ってのけたようむにありすは驚き言葉を失う。
「どうせあれのいみがわかるゆっくりなんてそんなにいないみょん
だったらここでありすをころしちゃえば、ゆかりんにとってなんのもんだいもないみょん」
そう言ってようむはペロリと唇を舐めた。
あの目は多分、本当にそれを出来る目だ。
張ったりなんかじゃないとありすは直感的に理解した。
もうここでコイツを倒すしかない。
ありすはそう決意して体を震わせ歯を食いしばった。

「……と、いいたいところみょんが」

ようむはすっ、と体の力を抜き殺気立った目線をやめてとぼけた表情で言う。
「みょんはてきじゃないみょん、みょんも永夜緩居をめざしてるなかまだみょん」
「……はぁ?」
ありすはぽかんと口を開けた。
「ゆかりんのしたについててもぜんぜんごはんはたべれないし、やるのはよごれしごとばっかりだし
それならいっそ永夜緩居をめざしたほうがましだみょん」
「あなたなんなの?ばかなの?
そんなこといわれてはいそーですっていうとおもってるの?」
「みょんにとっていちばんあんぜんなのはここでありすをころしてゆかりんのとこにかえることだみょん」
「……!?」
あっさりと殺すのが一番楽だと言ってのけるそのゆっくりが自分と同じゆっくりだとはとても思えずありすは慄いた。
饅頭皮が粟立つ。
「ゆかりんのしたっぱでまんぞくするならありすをおよがせるいみなんてないみょん
ここでまとめてにひきともやっちゃうみょん
みょんならぜったいににがしたりすることはないみょん」
「……」
何も言い返せずゴクリと唾を飲み込む。
多分、本当にそれを出来るだけの実力をこのようむは持っている。
ゆっくり同士の殺し合いではないが、それなりに修羅場を経験したありすにはわかる。
「でも永夜緩居をめざすんならありすをころすめりっとなんてぜんぜんないみょん
ちからをあわせてがんばるみょん」

どうにも、とても断れる状況では無いのは確かなようだ。
「……おどしってわけね、ほっんといなかものはやばんね!」
ありすは俯き深く溜息をついた。
「こころあたりがありすぎてこまるみょん」
本当にそう感じたのかようむは座りが悪そうにその辺の草をむしゃむしゃとし始めた。
「わかったわよわかったわよ!はいはいなかよくゆっくりしましょうね!」

「じゃあなかよしのしるしにちずみせてほしいみょん」

ちょっとこちらが歩み寄るとすぐこれか、本当にそうしたらここでありすたちを斬り捨てて一匹で行くくせに。
とぼけた顔でとんでもない食わせ物らしいこのようむを憎々しげに睨んでから
ありすは思いっきり舌をだして口の中を見せてやった。
「……?」
「たべちゃったわ」
「なるほどみょん」
お互い、相手を切るに切れない立場にあることを確認して、二匹はまりさの下に戻った。



「ただいま」
ありすはみょんを引き連れて、まりさの所へと戻った。
まりさはみょんのことを見て少し恐れを覚えているのかジッと目を離さなかった。
「このこはこれから永夜緩居をめざすための……なかま、でいいのかしら?」
「もちろんだみょん」
図々しくも淀みなくようむは頷いた。

そしてさらに恥知らずなことにずけずけとまりさに近づくと優しさとぶっきら棒を取り違えてしまったような声音でこう言った。
「そんなにおびえなくてもいいみょん
べつにゆっくりゆゆこじゃあるまいしとってくったりしないみょん」

どこかこちらを見くびった偉そうな顔で
少なくともありすにはそう見えるようにみょんは嘆息して言った。

「で、こっちのありすはもういくきまんまんみょんけど
そっちのまりさはどうなのみょんか?」
ありすは絶句した。
当然ではないか。
恋人の雰囲気満開の愛し合っている二人の姿が見えないのだろうかと疑問に思った。
そして見えないのかもしれないと結論を出す。
こんなゆっくりしていないゆっくりにありすとまりさの都会派でトレンディな関係はわからないのかもしれない。
ならばちゃんと伝えてやらねばとありすは思った。
「ゆ!まりさはもちろんいっしょにくるのよ!」
何故ならありすたちはステディな関係だから!と続けようとしたのをようむの言葉が断ち切る。
「ありすにはきいてないみょん」
ありすはようむのばっさり切り捨てるような言い草に
思わずカチンと来て体当たりの一つも食らわせてやりたくなった。
しかし辛うじてそれをガマンする。
永夜緩居を確実に目指すためには、こいつの力は必要になるはずなのだ。
まりさという、ある意味重荷となるものを連れて行くのなら確実にだ。

まったく、まりさの所為だからねなどと心中で愚痴りながら
ありすは恨みがましそうにまりさのことを睨んだ。
「まりさは……い、いやじゃないです
ありすといっしょにゆるいにいきたいですようむさん」
まりさから当然の答えがようむに言い渡された。
どうだ、思い知ったかと心の中で言いながらありすはほくそえんだ。


「しかたないみょん、そこまでいうならみょんがむこうまでごえいするみょん」
遂に観念したようむにありすは心中で『ざまあみろ』という言葉をかけた。
しかし護衛などとよくいけしゃあしゃあと言えたものだ。
今に見ていろ、その内出し抜いてやる。


「ようむのことはみょんてよんでくれればいいみょん」
改めて自己紹介がてらにようむ、もといみょんは言った。
変な名前、とありすは鼻で笑った。


「そのにもつ、ちょっとみせてもらうみょん」
「?まあいいわ、とかいはなありすのもちものをみてもびっくりしないでね」
自己紹介を終えるとありすの荷物袋に近寄ってきたみょんの申し出に対して
ありすは何事かと思いながらも快く承諾した。
どうせ本当に地図が入って無いか調べようというのだろう。
妙な闇討ちをしてから調べられるよりは今調べさせて
自分はありすの情報に頼るしかないのだということを理解させた方がいい。
中身はありすが永夜緩居についたら何をしようかと
一生懸命考えて入れてきた素晴らしくゆっくりしたものばかりだ。

このみょんもそれを見ればきっと驚くに違いないとありすは思った。

「これはいらないみょん……これも……これもむだみょん」
最初は何が起こったのかよくわからなかった。
いや、わかっても餡子が拒否したのかもしれない。

たっぷりと時間をかけて、ありすは何が起こったのかを理解し悲鳴をあげた。
「あ、ありすのとかいはではいせんすなたからものになにをするのおおおおおおお!?」
ありすが持ってきた荷物が、次々とみょんの舌に絡めとられは投げ飛ばされて地面に当たって砕けていた。
「こんなもの、もっていってもじゃまになるだけだみょん
永夜緩居をめざすならなるべくてがるに、ひつようなものだけをもっていくみょん」
そういって次にみょんが取り出したのはありすが大事にとっていた
小さい頃に両親に見せて褒められたとても綺麗な石だった。
ありすはハッと息を呑んだ。
それだけはやめてくれ、そう言おうとしたが息が詰まってうまく言葉が出ない。
「いしがいるんだったらむこうでひろうみょん」
ありすが躊躇した次の瞬間
ありすの宝物だった石はみょんの舌に投げ飛ばされて地面に埋もれてた別の石に当たって砕けた。

「あ゛り゛す゛のお゛と゛っとき゛があああああああああああ!!!」
絶叫、ありすの悲鳴と泣き顔を見てみょんは不思議そうな顔をした。
『とってもゆっくりしてとかいはなあいてむね!』
そう言ってありすの頭を舌で撫でてくれた両親の顔がありすの脳裏に浮かんで、消えた。

余りのショックに怒るのも忘れてありすは泣き続けた。


中編

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最終更新:2022年05月18日 22:47