虐待成分全くなし
なので、虐待を期待している方は読まれないほうがいいです。
最近、家に新しいゆっくりが住み着き始めた。
短い金色の髪に赤い小さなリボン、あまり見る事のできないるーみあ種の子供だ。
今は花に留まっている蝶に狙いを定めている。が、飛び付こうとしたるーみあを嘲笑うかの様にフワフワ蝶は跳んで行った。
結果、るーみあはそのまま蝶の止まっていた葉に突っ込んで動かなくなった。
「…だめなのかー」
切羽詰ってるんだかないんだか、うつ伏せのままるーみあは呟く。
こいつも一応捕食種に分類されている筈なんだが、狩りが凄い下手なのだ。
初めて会った時も、こいつは庭の柵の前で寝転んでいた。
理由は、呆れる事に腹が減っていたからだ。
まりさはともかく、のんびり屋のれいむにだって食える蝶をいまだに食べれないで追っかけまわしているゆっくりなんてこいつくらいだろう。
家の中にいるめーりんに教えを請えばこいつの狩りも上達するんだろうが、こいつは夜行性。めーりんは夜遅くに起きている所を見たことがないから無理だ。
じゃあゆふらんを呼べばいいだろうがと友人は言ったが、ふらんは手足があるのでるーみあの参考にはならない。それに今は散歩に出かけていないし…
結局、こいつは一人で頑張るしかないのだ。
「ほれ、どうせ獲れないんだから飯やるよ」
俺は帰り道に買ってきたチーかまの封を開けて一本取り出し、先っぽを鋏で切り落としてビニールを剥いて差し出す。
だが、るーみあは寄ってこない。
「どうしたんだ?」
るーみあに声を掛けると、のんびりとした返事が帰って来た。
「るーみあだっておにいさんにたよらないでごはんをとるのだ~」
そういって再び蝶に飛び掛る。
でも、結果はさっきと変わらない。
けれど、るーみあが頑張ろうとしているんだから見守ろうと思い黙って見る。
「ちょうさんまつのだ~」
捕食種らしくないのんびりとした声。
これがゆふらんだったりすればもっと迫力もあるのだろうが、るーみあのそれは小さい子供が蝶を追いかけるそれと変わらない。
結局いつまで経っても捕まえられず、蝶はどこかへ行ってしまった。
後には、色々な所に突っ込んだせいで土で汚れたるーみあが残された。
「ほら、もう意地になってないでこいつを食えよ」
るーみあを持ち上げて隣に移動させ、剥いたままだったチーかまを差し出す。
でも、るーみあは食べようとしなかった。
それどころか泣いているではないか。
「そんなに蝶を捕まえられなかったのがショックなのか?」
俺の言葉にるーみあは体を横に振る。
「ちがうのだ… るーみあはこのままじゃいけないのだ…」
「いけないって、何がだ?」
聞き返すと、るーみあはポツリポツリと答え始めた。
「るーみあは… このままおにいさんにあまえていたらだめなのだ…」
「なんでだ? これからゆっくり餌を獲れるようになれば良いじゃないか」
「おにいさんのめいわくになるから… じぶんでごはんとれるようにならなきゃだめなのだ… おにいさんにすてられたら… ごはんとれなきゃいきていけないのだ…」
「俺は捨てたりなんかしないぞ? それとも、お前は誰かに捨てられたのか?」
俺の問いにるーみあは体を縦に振る。
「本当なのか? お前、親に捨てられたのか?」
「ちがうのだ… るーみあはおかあさんのことよくおぼえてないけど… そだててくれたおかあさんがいるのだ…」
「それで?」
「るーみあはまりさとれいむのおかあさんにひろわれたけど、おいだされたのだ…」
「追い出された?」
「そうなのだ… るーみあはおかあさんたちに『せっかくひろってやったのにぜんぜんごはんとれないんじゃいらないよ』って、そういわれたのだ…」
言われた時の事を思い出したのか、るーみあはポロポロ涙を流している。
おそらく捕食種だからって理由でそのれいむとまりさはるーみあを利用しようとした。
れいむやまりさ等の普通のゆっくりにとって、捕食種は絶対的な存在だからだ。
きっと捕食種であるるーみあさえ居ればもっと簡単に餌を集められると二匹は考え、るーみあを拾ったのだ。
しかし、るーみあは普通のゆっくりよりもどんくさい種である。
満足に餌も集める事ができないと理解した二匹は、食い扶持が増えるだけと判断して追い出した。
大方こんなところだろう。全く、大人のゆっくりが子供を利用しようとするなよ…
「なあ、るーみあ」
「うぅ…」
泣いているから声は小さいが、気にせず俺は言葉を続ける。
「確かにお前は駄目な奴だよ」
「わかっているのだ…」
「れいむにだって簡単に獲れる蝶を自分じゃ獲れないどんくさい奴だし、野生にこのまま出たら間違いなく飢え死にだろうな」
「ごめんなのだ…」
俺の言葉によって涙の零れる量が増えていく。
落ち込ませるのはここまでだ。
「でもな、育ての親のゆっくりはお前を捨てたかもしれないけど、俺は捨てないよ」
「でも、でも…」
「お前はまだ子供だから今は全然獲れないだけで、いずれ大きくなればきっと獲れるさ」
「ほ、ほんとうなのか?」
たった一言で涙声から段々元の声に戻ってきている。元気が出てきてなによりだ。
「ああ、お前はまだそんなにたくさん跳ねれないだろ? でも、体が大きくなれば勢いよく跳ねれるようになる。だから、さっきの蝶だって簡単に捕まえられるようになるさ」
「そーなのかー!!」
俺の言葉に希望を見出したのか、るーみあは嬉しそうに口癖の『そーなのかー』を口に出した。
さて、喜んでくれたんなら飯をやるか。
「さあ、今はとにかく一杯食べて大きくなれよ」
「わかったのだ!!」
差し出してやったチーかまをバクバク食い始めたので、二本目のチーかまを出してやる。
ああ言ったけれど、俺にはこいつが本当に立派な捕食種になれるとは思えなかった。
でも、どこかで化けるかもしれないとも心の隅で思っている。
「おにいさんもういっぽんほしいのだ~」
俺の考えてる事なんて全く分かってないるーみあに三本目を渡してやる。
まあ、今は見守ってやろう。
暗い森の中、飛んでいた私はれみりゃに追われている二匹のゆっくりを見つけた。
跳ねながら口論をしている器用なれいむとまりさだ。
興味があったので、ちょっとだけ高度を下げて耳を傾ける。
「まりさがるーみあをおいだすからおとりがいないんでしょ!! どおしておいだしちゃったの!!」
「そんなのしらないんだぜ!! えさをとれないあいつがわるいんだから!!」
「そもそもるーみあをつれてきたのだってまりさでしょ!! 『こいつがいればらくできるぜ』なんていってたのにるーみあはぜんぜんやくにたたないし!!」
「まりさはれいむをらくさせるためにつれてきたのにそんなこというのはひどいんだぜ!!」
「らくできないのはまりさがえさとるのがへただからでしょ!! やくたたずなまりさがれみりゃにくわれてね!!」
「いやなんだぜ!! そんなこというれいむがしねばいいんだぜ!!」
醜い言い争いを繰り広げていた二匹は、後ろにれみりゃがいるのに体当たりを仕掛け始めた。
後は追いつかれて食われるだけだろう…
話の内容を聞く限りあいつらは碌な奴じゃない。
ああいう奴がお母さんに意地悪するんだから、助けなくてもいいだろう。
私は羽を動かして高度を上げる。
今日の夜の散歩はもう終わりだ。
後ろからゆっくり二匹の悲鳴が聴こえてきたが、興味がないので無視する。
そういえば、今日あの子は自分で虫を獲れただろうか?
最近住み着いたるーみあの子供。自分に妹ができたみたいで正直嬉しい。
今はまだ小さいから無理だけど、いつか一緒に夜の散歩を楽しみたいな…
終
こんな駄文を最後まで読んでいただきありがとうございます!!
Takataさんの
ゆっくりいじめ系58 ゆっくりるーみあを読んでから、どうしても書きたかったるーみあをやっと書けました!!
勝手に書かせてもらいTakataさんごめんないさい。
今回書いたの切欠は、落ち込んでる子に追い討ち掛けてから励ましてやって、それで元気になったら可愛くないだろうか?という単純な理由です。
皆さんはどうでしょう?
自分は可愛いと思います。
個人的にるーみあの中身はチーズドックの中身のチーズです。
だから男がるーみあにあげた餌もチーかまにしました。
ちなみに、今度から某所で名前を頂いたので名乗らせていただきます。
名前は『大貫さん』です。
最初は音声変更の人でしたが、後書きをカタカナで書かなければならないので『大貫さん』にしました。
これからもよろしくお願いします!!
最後に、本当に読んでくださりありがとうございます!! 御目汚し失礼!!
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最終更新:2022年05月03日 15:25