※饅頭だけどね
※巻き込まれたか何かで規制くらってうp宣言できません。
 誰か代理宣言をお願いします。



【一斉射撃】



草木もゆっくりも眠る丑三つ時。
ある村のある家に、男達が集まっていた。
集められたのは虐待お兄さん7人。
中には猟犬役のれみりゃを連れたお兄さんもいる。
男達は囲炉裏を囲い、汁粉を食べながら会合を始めた。


「遅い中集まってもらってすまない」
「なんでこんな時間に?」
「雰囲気だ」
「この時間に汁粉はないだろう…」
「雰囲気だ」
「…」
これぐらいのおちゃめはよくある話。


「さて、今日みんなに集まってもらったのは他でもない。俺の虐待を手伝ってもらいたい」
「「お安いご用」」
「標的は明日準備する。
 肝心の手段だが、これを使ってほしい」
そう言って発案人のお兄さんは、道具を配った。
取っ手の先は枝割れしていて、間にゴムが張ってある…
「パチンコ?」
「そう、それで弾はこれだ」
お兄さんは同じように弾を見せる。
「弾って…あぁ、そういうことか」
「なるほど、だからパチンコ」
「わかってくれたようでなにより。
 明日の昼前に、また集まってくれ。
 道具は人数分、俺が用意する」
「昼前だな。わかった」
「面白そうだな、れみりゃ」
「うー!うー!」


「朝ですよー!」
鶏の鳴き声に続く春妖精の声。
今朝は機嫌がいいらしい。
発案人のお兄さんは、本日の主役を捕まえに出かけた。


「幸先いいね」
目の前には1匹の子まりさ。
早起きしたか何かで、ひとり探検気分なのだろう。
容赦なく捕まえて、檻に入れ持ち帰る。
「ゆー!ゆっくりだしてね!」
「そういやまりさ大福説もあるが、どうなんだろうな…」
「ゆっくりできないおじさんはゆっくりしね!」
「饅頭なんだろうが、にしちゃ皮伸びるしな…」
「む゛じじな゛い゛でえ゛え゛え゛ぇぇぇ!!」
「ま、どっちでもいいか」


囲炉裏の火を消し板を敷く。
釣り金をどかして、板の上に檻ごと置いて準備完了。本日の主役である。
「ゆっくりだしてね!いまならゆるしてあげるよ!」
みんな揃うまで耐えねばならん。この時間が虐待精神に磨きをかけるというものだ。


やがてほどなくして、お兄さん全員が集合する。
「待たせた。れみりゃに手ぇかかっちまって」
「うー!」
「元気そうでなにより」
「ただしれみりゃは見学だけどな」
「構わんさ。な?」
「うー!うー!」
お兄さん勢ぞろい、ぐるりと部屋中央のまりさを取り囲む。
「あっちいってね!」


「みんないいか?」
「おう」
パチンコに指を構え、キリキリと引く。
静寂の一瞬。

「うー☆」

れみりゃの声を合図に、一斉に指を離す。
打ち合わせなしでこのコンビネーション、さすがお兄さん。
パチンコから放たれた黒い弾は、ゆっくりに撃ち込まれていく。
「ゆ゛っ!い゛ゆ゛っ!」
正面から、側面から、背面から。
飛来する弾は一発も外すことなく、まりさにめり込んでいく。
「い゛だい゛よ゛お゛お゛ぉぉ!!」


「帽子は取れないのか?」
「あぁ、今奪う」
「いや待て。俺がやる」
限界まで引き、勢いをつけ、放す。
弾は、まりさの帽子を貫いた。
「ま゛り゛ざの゛ぼう゛じがあ゛あ゛ぁぁ!!」
「マジかよ」
「不可能を可能に、これぞ虐待道」
「おーれもっ!」
次々に帽子に穴が空き、しばらくするとまりさの帽子は粉微塵になっていた。


「下から撃ちたいから吊していい?」
「あぁ、そこに釣り金あるから使ってくれ」
「はいはーい。よいしょっと」
「お゛じざんな゛に゛ずる゛の゛お゛お゛ぉぉ!!」
「何って、そりゃ撃つさ」
「ゆびゅっ!!」
「6面あるなら6面から撃たなくちゃ。ねぇ?」
「だな」
「うー!」

………

「うーし終了ー」
高揚したお兄さんに終了宣言。
「その綺麗な顔をふっとばしてやるぜ!」
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」
「終了だって」
「すまんすまん」
「悪い。テンション上がってた」
檻の中のまりさは原型を留めていない。
ありとあらゆる方向から弾を撃ち込まれ、皮は穴だらけで弾がちらほら見える。
檻を開けて、まりさを取り出す。
初めに捕まえた時よりずっと重い。
それでも虫の息で生かしておくあたり、虐待お兄さんの真骨頂である。
「……!…………!」
当然喋ることすらままならない状態。


「さて、それじゃ…」
みんなが息をのむ。このためだけに今日集まったのだ。
「いただきます」
後頭部からがぶりと、まりさにかぶりつく。
「……………………!!!」
悲鳴も上がらない、静かな時間。
ゴリッゴリッという食感、風味…


「ダメだ、失敗失敗。
 豆大福か豆饅頭って前にまず豆。
 豆の味しかしねぇよ。お前ら撃ちすぎ」



【あとがき】
タカアキです。
豆鉄砲を知らない世代の人間です。
ところでれいむもまりさも饅頭だっけ?

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最終更新:2022年05月03日 16:44