*警告*

  • ゆっくりは何も悪いことをしていませんが、ゆっくりできません。
  • 80字改行です。その辺案配していただけると読みやすいです。
  • このSSにゲスは出てきません。



↓以下本文

 ゲス発見器。それはゆっくりに混ざっている、ゲスゆっくりを判別する夢の機械である。
瞬時にゲスゆっくりを発見することができるため、主な用途として、バッジテストやペッ
ト用に出荷されるゆっくりの調査、そして飼いゆっくりの定期検診等が期待されている。
 今日も一匹のれいむの頭に、ゲス発見器がかぶせられた。一見、裸電球やカラフルな
コードでデコレーションされた金属のザルに見えるが、これこそが近代科学の粋を集めた
ゲス発見器。市販の食用ゆっくりMサイズれいむ(¥1,500)が、拘束ベルトで台にくくりつ
られていく。

「このおぼうしさんとってもゆっくりしてるね!」

 発見器の調査スイッチが押下された瞬間、れいむは激痛にまん丸の目を白目にし、歯を
剥き出しに、びくっ、と身を震わせた。ゆっくりのおつむをぐるっと囲む発見器の縁部分
から伸展した探査針が、皮を突き破り、あんこを深々と刺し貫いたのだ。しかし、れいむ
の苦痛は刺突だけでは済まされない。機器のモニタを確認しながら、つまみを小刻みにひ
ねる。熟練の操作に、針は適切なポイントへ、あんこをかき混ぜながら少しずつ位置を微
調整していく。もしこれが生物であれば、即座に脳への致命傷となったことだろう。だが
生物ではないゆっくりれいむは、中身をミリ単位でかき混ぜられていく苦痛に、ラジオの
チューニングのように金切り声をあげる。

「ゆ゙ぴ! ゆ゙ぎっ、ゆ゙ぴぃ゙い゙!」

 更に責め苦は続く。次のスイッチが押しこまれると探査針があんこを電磁パルスで刺激
し、ゆっくりが思考し、活動する際に発生するあんこの変動を拾いはじめた。ゲス行為の
導入部分をあんこに発生させ、反射を拾うことで、そのゆっくりが続きを行うか、あるい
はそれを抑制するかを電気的に検証することができる。
 あんこに火花のように閃いては消えていく、連続性のない思考の断片。人為的に流し込
まれるでたらめな情報の奔流に、れいむは砂糖水の涙を垂れ流し、苦痛に歪む頬を逆流し
そうなあんこで膨らませ、もみあげをぴこぴこ暴れさせる。そしてそれは拘束具を引きち
ぎる程度の効力も、ゲス発見器を引き剥がす程度の威力もない。

「オーザーフト!」

 息を飲んで見守る中、探知レベルが強すぎたのか、れいむは痙攣を始めた。あんこを吐
いて使い物にならなくなる前に鋭い声が上がる。それに応え、れいむの頬にチューブが差
し込まれ、パックのオレンジジュースが流し込まれていく。

「ごっぶ、ごっぶ! ゆ゙っ、ゆ゙っ!」

 オレンジジュースと電気ショックの刺激で昏倒と蘇生を繰り返すうちに、れいむの痙攣
は激しさを増し、ふき出す粘液でステンレス台まで、べっとりと濡れていく。

「ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙ゆ゙」

 ぼむっ。鈍い音を立て、れいむは爆ぜ飛んだ。ステンレス台にはあんこにまみれたゲス
発見器と、おりぼんの残骸だけが残っていた。





「と言うような事もありましたが、改良したのがこちらです」
「まりさのすてきなおぼうし、ゆっくりかえしてね!」

 ステンレス台に、帽子のかわりに金属ざるをかぶった業務用Lサイズまりさ(¥2,300)が
載っていた。帽子が無くてゆっくりできないようで、傍らに置かれたおぼうしをしきりに
気にしている。

「ではさっそく実験してみましょう」

 機器のタッチパネルを指先がなぞると、まりさはあんこを貫く電流にカッと目を見開い
た。技術革新と研究の成果は、探査針を挿入することもなく、あんこに直接電磁パルスを
打ち込み、拾った反応を即座にパターンマッチングすることを可能にした。画面にあんこ
反応のチェックリストが滝のように流れ落ちていく。

「ゆ゙! ゆ゙?! ゆ゙ぜぜぜぜぜ!?」

 びー。

 小さなビープ音と同時に、白目を剥いて痙攣していたまりさは、ぽてりと横に転がった。
半開きの口からもくもく煙を吐き、永遠にゆっくりしていた。

「ご覧の通り、あれはゲスまりさではありません」

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最終更新:2022年05月03日 19:01