「「「ゆっくりしていってね!!!」」」
「!?」俺は聞きなれない大きな声で驚き、目を覚ました。
目の前には奇妙な生き物達・・・だが、俺はこいつらを知っている。
こいつらは最近、幻想郷で大量発生している「ゆっくり」と呼ばれる物である。
誰が始めにそう呼んだかは知らないが、それがこいつらの呼称として広く定着している。
そのゆっくりがなぜ俺の家に?
その疑問はすぐに解消された。俺の家の扉が開け放たれていたのだ。
「ゆ?」「おにいさんゆっくりできるひと?」「ゆっくりしようよ!!」等とゆっくりどもは口々にしゃべり出す
見たところすべて霊夢種で、母親らしき大きなのが一匹、子供と思われるのが三匹、まだ小さな赤ん坊みたいなのが二匹。
さっさと追い出すか・・・俺はそう思いながら立ち上がった・・・そして、見てしまった。
「・・・?」
「あれ?・・・・・水槽の中の金魚たちが・・・・い・・な・・・・・い?」
「たしか・・・昨日の夜はいた・・・よな?」
俺の混乱をよそに、一匹のゆっくりが言い放った
「おにいさん、おさかなもっとちょうだい!!」
次の瞬間そのゆっくり霊夢は宙を待っていた
「ゆ”」短いうめき声が聞こえた
「おにいさんひどい!!」「はやくあやまってね!!」ゆっくりどもが俺を罵る
俺はそんな事は意に介さず、無言で入り口を閉め・・・鍵をかける
────────あの金魚たちは、まだ親父とお袋が生きていたころ博麗神社の祭りでとってきたもの
いわば親父達の形見と言っても過言ではない────────
それを、よりにもよってこのゆっくりどもは、一匹も残らず、食らい尽くしやがった!!これは到底許されることではない!!!
俺は先ほど蹴られ、まだ呼吸を乱しているゆっくりのそばに近寄り
踏む!「ゆ”」踏む!「ゆ”」踏む!「ゆ”」踏む!「ゆ”」・・・
「も”う”や”め”て”ぇ”ぇ”ぇ”ぇ”」母霊夢が絶叫しながら体当たりをしてきた
俺はその攻撃を難なく避け、カウンターで蹴りを入れる
一撃、そう、たった一撃で母霊夢は倒れた。
「お”か”あ”さ”ぁ”ぁ”ん”」「と”う”し”て”こ”ん”な”こ”と”す”る”の”ぉ”ぉ”」
子ゆっくりどもの慟哭、だがそんなもので俺の怒りが静まるわけがない。
俺は踏み付けを再開する。
踏む!「ゆ”」踏む!「ゆ”」踏む!「ゆ”」踏む!「ゆ”」・・・・・・
もろちん全力ではない。こんなクズは楽には死なせない。じわじわと苦しみながら死ね!
およそ百回ほど踏んだだろうか、止めに思いっきり踏みつける!
「ゆ”ぶーーーー」
汚い断末魔とともに大量の餡子が飛び散り、俺の脚、部屋の壁、他のゆっくり達の頬を汚した
次に俺はゆっくりを一匹つかむ「はやくはなしてね!!」「おうちかえる!!」抗議の声を上げるゆっくり
そのままそいつを水槽に突っ込み、ふたをする。
「はやくだしてね!」ゆっくりが懇願する、「そこでゆっくりしててね」俺は笑顔で答える。
こいつらの生命力は思いのほか高い。この程度ではすぐには死なないのでじわじわと死の恐怖を与えることができる。
さらに俺は赤ちゃんゆっくりを手に取る。
「ゅー、おねえちゃんたすけてー」「い”も”う”どを”だずげでぐだざい”い”!!」
妹の助けを呼ぶ声に姉が涙ながらに訴えた。
ここで名案が浮かんだ。
「そうだ、君がこの子を食べたら君を、食べなかったらこの子を、どちらかだけおうちに帰してあげるよ」
妹饅頭を姉饅頭に差し出しながら言った。
「ゆ?」予想外の提案に混乱している。だから俺はもう一度だけ言ってやった。
「君がこの子を食べたら君を、食べなかったらこの子を、どちらかだけおうちに帰してあげるよ」
「ゆぅうぅううう?」どうやら理解したらしい。そして、葛藤が始まった。
「ゆゆゆ、ゆゆゆーゆっゆっゆゆゆゆゆゆゅううゆゆ・・・・・・・・」
奇妙な声をあげている。これがこいつらが考え事をするときの癖なのだろうか?そう思いながら二十分がたった。
「ゆ?ゆゆーゆ?ゆ、ゆ、ゆーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」
どうやら答えが出たらしい。
「どうするのかな?」俺が優しく尋ねると、
「わたしだけゆっくりするね!!」それだけ言い妹を、まだ赤ん坊である妹を口に含んだ!
「い”や”あ”あ”あ”ぁ”ぁ”ーーーー!!!」赤ちゃん霊夢の悲痛な叫びが響く
こいつ、食べちゃったよ(笑)
妹を、幼い妹を食べちゃったよ(笑)
「むーしゃむーしゃ、これでゆっくりできるよー、しあわせー」ゆっくりはそういいながら実にうれしそうに食べる。
「おにいさん、ちゃんとたべたよ!」
「これでれいむをおうちにかえしてね!」食べ終わったゆっくりは俺にあいさつをする。
俺はにっこりとほほえみ、ゆっくりを抱きかかえる。
「だっこー、しあわせー」「かわいくてごめーん」
自分が助かると安心し、抱きかかえられたことで自分は愛されているとかんじたゆっくりは調子に乗っていた。
だから、俺の考えに気付くことは無かった(もっとも、切迫した状態でも気付かないだろうが)
「おにいsゆぐっ!!」ゆっくりの頬を両側から掴む。
「どほひてほんなほほすふほー?」ゆっくりが疑問に思い訊ねる。
そんな質問に答えてやる義理は無いが、答えてやる。
「君がいけないんだよ、家族を見捨てて自分だけ助かろうとするから」
「ゆ”ゆ”ゆ”」ゆっくりがガタガタと震えだす。
「や”た”よ”お”ぉ”ぉ”」
「や”く”そ”く”し”た”の”に”い”い”い”い”」ゆっくりの振動が激しさを増す。
俺は頬を掴んでいる手を強く握り締め・・・
思いっきり左右に引っ張った!!!!
「あ”あああ”ああ”あああ”あ”!!!!」
雄叫びとともにゆっくりの皮は二つに裂け、そこから餡子がボトボトと床に落ちる。
俺は水槽に視線を移す。先ほどまでの行為を見せ付けていた水槽の中のゆっくりの方に!
「?」しかし、水槽の中にそれはいなかった。
逃げられた?否、ふたは閉まっている。
俺は水槽をじっと観る。なるほど、実に簡単なことだった。
汚水を捨て、水槽を洗いながら最後の一匹をどうやって虐待しようか考えていたとき、背後から
「ゆっ・・・ゆっ・・・」と低い声が聞こえてきた。
振り返ると母ゆっくりが起き上がっていた。
そう、生きていたのである。しかし意識はハッキリしない様子だ。
そこで、包丁を手に取り、後頭部を、切り開くッ!
そして、握り拳ほどの餡子を、取り出すッ!
「んががあああ”あ”あ」「ママー!」
母親の悲鳴を聞いた赤ん坊が飛び出してきた。
そいつを手に取り、母親の中に突っ込み、切り口を縫い付ける!
「ゆー?ここからだして!」「くらいよー、せまいよー!」赤ん坊が叫ぶ。
だがその声もしだいに聞こえなくなり、終いには寝息が聞こえてきた。
「か、かっは・・・」数時間後母ゆっくりが意識を取り戻した。
「?」「?」どうやら、何があったかを覚えていないようである。
取りあえず水槽(水は張ってない)に入れ、餌を与えることにした。餌はもちろん娘達の成れの果てである。
「うっめ、これうっめ、めっちゃうっめ」ガツガツと娘だったものを頬張る、気付いていないようだ。
「ゆ”っ!」突然ゆっくりがビクッと動き、食べるスピードをさらに上げた。
(やっとか)と思い俺はほくそ笑む。
母ゆっくりに何が起こったかは以下の通りである。
1、餌を食べた母ゆっくりは減った分の餡子を回復させる
2、すると中のわずかな空間にいた赤ちゃんゆっくりが圧迫され目を覚ます
3、このままでは死んでしまうとおもった赤ちゃんゆっくりは、周りの餡子を食べだす
4、体内の餡子が減り生命の危機を感じた母ゆっくりは、さらに餌を食べ進める
5、3と4を繰り返す
そう、この二匹は己の生存本能のため、唯一残された肉親の命を危険に晒しているのである!!
この母と子の命をかけた戦いの結末はどうなるか予想がつかない。
母の死か、子の圧死か、はたまた内部で成長した子が母親を突き破ってでてくるか、それとも、それとも・・・
俺は、その結末が知りたくてこいつらを飼うことにした。
PETEND
最終更新:2022年05月08日 20:44