「ゆ゛っぐり゛じだい゛よ゛お゛ぉ゛ぉ゛!!ゆ゛っぐり゛ざぜでえ゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!」
山菜取りから帰る途中、茂みからそんな声が聞こえてきた。
何事かと思い覗き込むと、そこには罠にかかって動けなくなっているゆっくりがいた。
大方ハンターが仕掛けた物だろう。ゆっくりは高く売れるからな。
犬猫ならともかく、ゆっくりなんぞ助けても仕方が無いのでそのまま行こうとする。すると
「お゛に゛い゛ざん゛!!だずげでぐださい゛い゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!」
お兄さんじゃあ、しょうがないな。
小さな頃から老け顔で、十五にして父親からも『親父』と呼ばれていた俺の憧れの呼ばれ方ベスト5だし。
「そら、もうかかるんじゃないぞ…って無理だよな。ゆっくりブレインだし」
「ゆっくりできる!ゆっくりできるよ!おにいさんありがとう!!!」
「はいはい。じゃあな饅頭」
「まんじゅうじゃないよ!れいむだよ!ゆっくりおぼえてね!!」
「へーへー」
あまりこんな所を人に見られたくはないので早足でその場から離れる。
ゆっくりはまだ何か叫んでいたが、どうでもいい。どうせいつものあれだろう。
家に着いて早速至高の山菜料理を作っていると、戸を叩く音が聞こえた。誰だろう。
「はいはい今開けますよー」
「「ゆっくりしていってね!!!」」
なんと客はゆっくりだった。それも二匹。
「何だお前ら、一体何の用だ」
「ゆっくりさせていってね!!ゆっくりさせていってね!!」
「何言ってやがる帰れ帰れ。うちにはお前らみたいな饅頭に食わすタンメンはねえぞ」
「まんじゅうじゃないよ!れいむだよ!ゆっくりおぼえていってね!!」
「あん?何だそりゃ。ひょっとしてお前さっき会ったゆっくりか?」
「そうだよおにいさん!ゆっくりさせていってね!!」
「じゃあそっちの黒いのは何だ」
「れいむのおともだちだよ!まりさっていうんだよ!!」
「よろしくねおにいさん!まりさもゆっくりさせていってね!!」
一体どういうつもりだろう。まさか親切なカモがいるからと、仲間共々たかりに来たのだろうか。
「ちょっと親切にした位で調子に乗るんじゃねえぞ饅頭。お前らなんかにゃ水一滴だってやらん!」
「いらないよ!ごはんいらないよ!だからゆっくりさせていってね!!」
「おねがいします!ゆっくりさせていって!!」
なんと飯はいらんときた。一体何事だ?油断させてつけこもうなんて知恵がある訳も無いし……
ま、いらんと言うなら別に上げてやっても構わんか?
今晩居座るなら明日加工所に売りに行けばいいんだし。
「ああ分かったよ。大人しくするなら入れてやる」
「ゆっくりするよ!ありがとうおにいさん!!」
「ありがとう!!」
ぴょんぴょん飛び跳ねながら家の中に上がりこむ。何を嬉しそうにしてるんだこいつらは。
「お前らはその隅っこで大人しくしてろ。何も食わせてはやらんし、暴れたりしたら食うからな」
「わかったよ!ゆっくりじっとしてるね!!」
「ゆっくりたべないでね!!」
「ああそうしてろ」
何とも妙な話だ。ひょっとして狐にでも騙されているのか?
首を傾げつつ料理を作り、一人で食う。その間物欲しそうにこちらを見ていたが、当然分けてなどやらん。
「おいお前ら涎を垂らすな汚らしい。踏み潰すぞ」
「ゆ!ごめんなさい!!ゆっくりふいておくね!!」
「ゆっくりふまないでね!!」
益々おかしい。本当にこいつらゆっくりなのか…まあどうでもいいか。
その後風呂に入ったり布団を敷いたりしている間も奴らは大人しかった。不気味だ。
「お前ら帰らんでいいのか?俺はもう寝るが」
「ゆっくりとまっていくよ!ゆっくりねていってね!!」
「ゆっくりおやすみ!!」
「ああおやすみ。寝てる間に暴れたり盗み食いなんかしたら八つ裂きにするからな」
そう言ってさっさと寝る。まあ、仮に寝てる間に盗み食いなんかされても所詮二匹だけだ。
二匹とも売れば十分プラスになるだろう。

翌朝。妙な騒がしさで目が覚めると同時に、昨夜の考えは間違っていたと思い知らされた。
こ、こいつらまさかこんな方法で俺に嫌がらせをしやがるとは……!ゆっくりって奴は悪知恵は働くんだな畜生!!
「あ、おにいさんがおきたよ!!ゆっくりおはよう!!」
「ゆっくりおきてね!!」
「「「「「「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」」」」」」
どうやらあの二匹、俺が寝ている間に交尾しやがったらしい。ミニマムサイズのちびゆっくりが十匹もいる。
当然家の中は荒れ放題、食い物はほぼ全て食い尽くされている。
「お前ら、荒らすなって言ったよな?そこまで八つ裂きにされたいのか。そうかそうか」
「れいむとまりさのあかちゃんだよ!!ゆっくりかわいがってね!!!」
「ゆっくりかわいいでしょう!!!」
「んな訳あるかこの糞饅頭が!!てめえら一匹たりとも生かして返さんぞ覚悟しろ!!!」
怒鳴った瞬間、それまでの喧騒が嘘のように静かになった。
親ゆっくりれいむが、涙目になってこちらを見ている。
「ひどい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!ぜっがぐお゛ん゛がえ゛じじであ゛げだの゛に゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!」
「あやまってね!!ゆっくりあやまってね!!」
「「「「「「「「「「ゆっくりあやまってね!!!」」」」」」」」」」
「恩返し、だぁ?一体どういう事だ。説明しろ糞饅頭」
どうにかこうにか聞き出した所によると、罠から助けてくれた俺に恩返しがしたかったらしい。
だが恩返しの方法なんて分からない。
そこで友人のゆっくりまりさに相談したら、可愛い赤ちゃんを見せてあげれば喜ぶに違いないという結論に達したとの事。
ゆっくりに恩なんて概念があった事に驚きだ。加工所の人に話してもきっと信じないだろうな。
「そうか。事情は分かった」
そう、悪気は無い事は分かった。だが、それだけだ。
悪気があろうが無かろうが起きた現実には何の違いも無い。俺は家中をメチャメチャに荒らされ、食い物を全て奪われた。
その代償はきっちりと払ってもらわなければならない。というか、恩返しなのに恩着せがましい物言いをするのが気に食わん。
「じゃあお前らとゆっくり遊んでやる。そうだな、かくれんぼをしようじゃないか。鬼は俺だ」
「ほんとう!?ほんとうにあそんでくれるの!!!」
「おにいさんありがとう!!ゆっくりかくれてるね!!」
「「「「「「「「「「わー!ゆっくりかくれようね!!!」」」」」」」」」」
「おっと。お前は俺と一緒に探すんだよ」
「ゆっ!だっこだ!だっこきもちいい!!!」
親ゆっくりれいむを抱きかかえて座る。こいつにはせいぜい楽しませてもらわんとな。
しばらく待ってもういいかーい。あちこちからもういいよー、と聞こえたのでゆっくりれいむを抱えたまま捜索開始。
「……ゆっくりまりさ、見つけた」
信じられん、あれで隠れているつもりか。頭隠して尻隠さずとは言うが、こいつは顔しか隠れていない。
「みつかっちゃった!!おにいさんすごい!!」
「れいむはわからなかったよ!!おにいさんすごい!!!」
これがゆっくりブレインか……よく生きていられるな。
「じゃあ見つかったまりさも俺がだっこしていてやろう」
「ゆっくりだっこしてね!!!」
「おそろい!おそろい!!」
片腕で何とか抱えて残りのちびゆっくりを探す。
奴らは体が小さい分難易度が高いが、所詮はゆっくり。簡単に次のを見つけた。
「ちびゆっくりれいむ、見ぃつけた」
そう言ってゴミ箱に隠れていたちびゆっくりを空いた手で掴む。
「ゆっくりみつかっちゃった!!!」
「おにいさんほんとうにすごいね!!!」
「ゆっくりかくれんぼのめいじんだね!!!」
「それじゃ、見つかったちびゆっくりちゃんは罰ゲームだ」
「ゆ?」
ちびゆっくりを口の中に放り込む。途端、ゆっくりれいむが物凄い形相で叫ぶ。
「なにするの!!おじさんやめて!!ゆっくりはなしてあげて!!」
おじさん、だと…?一瞬このまま殺してやろうとも思ったが、思いとどまって口の中を見せる。
「ゆっくりあったかいよ!」
「何勘違いしてやがるんだお前は」
「ゆっくりまちがえちゃったよ!!」
口の中でちびがもぞもぞ動く感覚が面白い。舌で転がしてやると喜んでいるようだ。
そんな風に舌で弄びながらちびゆっくりを探し、見つける度に口の中へ放り込む。
あっという間に十匹とも口の中へ。何てチョロいんだ。
「あっというまだったね!!!」
「ゆっくりするまもなかったね!!!」
そんな風に賞賛する親ゆっくり二匹。愚かな奴らだ。ゆっくりするのはこれからだというのに。
「じゃあ、ゆっくりあかちゃんをはきだしてね!!!」
ああ、吐き出してやるとも。頷いて、床に文々。新聞を広げ、二匹を両手でがっちりホールドする。
そして、口の中できゃっきゃと遊ぶちび共を一気に噛み砕く。プチプチという感触が気持ちいい。
口の中から物凄い悲鳴が聞こえる。ククク痛かろう怖かろう。
「お゛じざん゛や゛め゛でよ゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!どうじでごん゛な゛ごどずる゛の゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!」
「はや゛ぐだじであ゛げでね゛!!さっさとだずげであ゛げでね゛!!!」
そうかそうか吐き出して欲しいか。じゃあそうしてやろう。
新聞紙の上に噛み砕いたちび共を吐き出す。先程まで賑やかだった連中は、今や苦しみの声を上げるだけの醜い塊だ。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!れ゛い゛む゛の゛あ゛がぢゃん゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
「うわ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!ゆ゛っぐ!!ゆ゛っぐり゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」
大変喜んでいただけたようで満足です。その後もねっとり言葉責めして反応を楽しむ。
やっぱゆっくりの活用法は食用じゃなくて愛玩用がベストだよな。
気の済むまで言葉責めする頃には、親二匹は廃人、いや廃饅頭になっていた。目は空ろで口をぱくぱくさせている。金魚みたいだ。
「じゃあこれを片付けないとな」
「ゆ゛ぶふぅっ!!?」
「ぐお゛え゛ぇ゛!!」
まだ半数くらいは息があるちびゆっくりの塊を二匹の口の中に押し込み、口を塞ぐ。
「「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!!」」
二匹とも物凄い勢いでもがく。さっきまでの様子が嘘みたいだ。ああ楽しい。もっと鳴いてくれ。
しばらくすると二匹ともしっかりちびゆっくり共を嚥下した。これでやる事は大体やったな。
「それじゃあ行こうか糞饅頭共」
「ゆ゛っ……ゆ゛っぐ……?」
「どごに゛…どごに゛い゛ぐの゛……?」
「勿論ゆっくり加工所さ。お前らゆっくりしたいんだろ?好きなだけゆっくりさせてやるよ」
「い゛や゛だあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!がごお゛じょはい゛や゛だあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
「も゛う゛い゛や゛だ!!ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛がら゛お゛う゛ぢがえ゛る゛!!!がえ゛る゛よ゛お゛お゛お゛お゛!!!」
「そんなに嬉しそうに鳴くなよ、興奮するなぁ。何か良い事でもあったのかい?」
軽薄な感じで話しかけるが、もうこちらの声など聞いていないようだ。
肩をすくめ、山菜取り用のかごに二匹を詰めて蓋をして出かける。
道中、何やらゆっくりまりさがゆっくりれいむを攻め立てていたようだ。ひどい奴だ。俺からすれば同罪なのに。
日が高くなりつつある空を見上げて、かごの中のやりとりを楽しみながらゆっくりと加工所に歩いていった。

"Repaying the kindness" is COMPLETE!!


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最終更新:2023年09月05日 10:53