「不可侵条約?なにそれ?おいしいの?」



私が住んでいた場所ではあまりゆっくりを見つけることが出来なくなったため、
ゆっくりがゆっくりしているらしい場所の噂を聞きつけこの地へとやって来た。
しかしこの村ではゆっくり達とある取り決めがあるらしい。
なんでも不可侵条約があるとか。
それにより村がゆっくりに対して被害をあわないようにしているらしい。
めんどくさいなぁなんて思ったがこの村の一員でなければそんな条約も無視できると考え、
村とは程遠い場所に掘っ立て小屋を造ることにした。
村から援助を期待できないがそれも仕方あるまい。

こうして森の中を歩いてみるといたるかしこでゆっくりを見ることが出来た。

「おにいさん、きのこさがしにきたの?
 それならばあっちのほうにおいしいのがあったよ。
 でもぜんぶとらないでね。
 むれのぶんがなくなっちゃうとこまるから。」

どうやら村の連中とこうしてきのこを取る仲らしい。
しかし私は関係ないとれいむを掴む。

「おにいさんどおしたの?ゆっくりはなしてね。
 こどもたちのために、いまごはんをあつめているさいちゅうなんだよ」
「そうかそうか。じゃあその子供達にもご飯をあげるから家に来ないか?ゆっくりできるぞ。」
「そうなの?じゃあこどもたちをよんでくるからそこでゆっくりまっててね。」

れいむを放すと勢いよく飛び跳ねていく。
どんだけ警戒心がないのかと思ったがそれだけ良好関係なんだろうと思うことにした。
前の場所じゃ姿が見られただけですぐさま逃げられていたから新鮮でこういうのも悪くはないな。
ゆっくりまっててねと言った割りにすぐにれいむは帰ってきた。
しかしのすがたは先ほどと変わらず1匹である。

「子供たちはどうしたんだい?」
「へいふほほふひほははひひふほ(れいむのおくちのなかにいるよ)。」
「それなら家へ行こうか。」

れいむを抱え家に戻ることにする。
家に着いて土間に置くと口の中から赤ゆっくりがわらわら出てくる。
ひぃふぅみぃ…全部で7匹か。
よく口の中に入ったな。
口の粘液でベトベトなのが気に触るが、大事の前の小事、気にするのも無粋さ。

「お腹が減っただろう。すぐにご飯の準備をするけどその前に綺麗になろうか。」

私はぬるま湯をバケツに入れ、赤ゆっくりを綺麗に洗ってやる。

「ゆぅ~ゆぅ~」
「すごきゅきもちいいよ」
「ゆっくり~」

全てを綺麗に洗い終わったので一匹の赤ゆっくりを手にする。

「ゆぅ~、おそらとんでりゅみちゃい」

そのまま一口で食べる。

「ゆぎゅううう。いちゃいー。」

がそのまま流しに直行する。
口に入れた赤ゆっくりを吐き出す。
なんだこのまずさは、今まで食べた中でも段違いにまずいぞ。
どうやったらここまでまずくなるんだ。
これはもう少し美味しくせねば食えた物じゃない。
部屋に戻ると親れいむが叫んでいた。

「べいぶのあがぢゃんがあああぁぁぁ。」
「れいみゅのいもうちょがぁぁぁ。」
「おねえぢゃんがああああぁぁぁぁ。」

いや、いいねこれ。
これがあるからやめられないんだよ。

「おじさん、ごばんぐれるんじゃながっだのおおおお。
 じがもぶがじんじょうやぐばどうじだのおおおお。」
「ご飯を上げようと思ったけど、私もお腹が減ったから食べたんだ。
 それに不可侵条約ってなんだい?そんなのお兄さんはしらないなぁ」
「じらないならおじえであげるぽおおおおぉぉぉぉ。
 むらのにんげんはれいむだじをいじめだりごろじだりじだらいげないんだよおおおおぉぉぉ」

なんとも煩いな。普通にしゃべれ、普通に。
しかし子供食っただけでもうおじさんか。
きちんと鍛えなおさなければな。
赤ゆっくりの声はこんなにも甘美な物なのに、大きくなると聞くに堪えないんだろう。

「おじさんじゃなくてお兄さんだろ。
 それにお兄さんは村の人間じゃないからそんなの関係ないね。
 だから君達がどうなろうと村は関係ないよ。
 それじゃあ、続きをやろうか。」
「いやぁぁぁ。あがぢゃんはおぐぢにばいっでねぇぇぇ」
「そうはさせるか。また洗わないと食えなくなるだろ。」

親れいむの口を縫い付ける。
これで騒音も聞こえなくなるし一石二鳥だな。
また赤れいむを捕まえると両手に振り回す。
遠心力に任されるまま餡子を吐き出そうとする。

「あんきょをぢゃしちゃうとゆっくりゅぢぇきなきゅにゃるよぉぉぉ。」
「やめぢぇえええ。」

十分に振り回したので食べてみると、口当たりはまろやかになりさっきとは似ても似つかない。
美味しく貪ると親れいむが足に体当たりをしてきた。
そんな攻撃は効かないので放っておいて、残りの赤れいむで遊ぼうと思う。

1匹の側頭部と後頭部をざっくりと切る。
それにより絶叫の顔をしたまま固まる赤れいむ。
残りは頭の真ん中辺りを切って、先ほど切った赤れいむにくっつけた。
これで四面饅頭のできあがり。
結合部に小麦粉を溶いたものを塗ってしばらくすればくっつくだろう。
これにより意識の結合もするっていうんだから面白い物だ。
最後に親れいむの頭頂部を切って四面饅頭の底部をくっつけると完成だ。
なんか観音様みたいなかっこだな。
とりあえずすっきりしたので野に帰してやる。
親れいむは口が開かないが頭に付いた赤ゆっくりの口は開くのでそこからなら食べられるだろうし、すぐに死ぬこともないだろう。



そんな毎日を送っていたがこの行為もすぐに群れに伝わってしまったようだ。
だって目の前にドスがいるんだもん。
やっぱり姿は見えないけど。

「おにいさん、どうしてこんなことするの?まりさたちはなにもわるいことはやってないのに。
 むらのほうにいってきたけど、おにいさんのことはしらないっていってたし。」
「なぜこんなことするかって? そこにゆっくりがいる。それで十分じゃないか。」
「おにいさんはゆっくりはんせいしてね。いまならころさないであげるからゆっくりくいあらためてね。」
「悔い改めることは何にもしてないからそんなこと言われてもなぁ。」
「おにいさんはどうしようもないくずやろうだね。」
「お褒め頂ありがとう。いかにも屑野郎だからな。」

お兄さんは自嘲する。

「はんせいするきはないんだね。だったらゆっくりこうかいしてね。」

そう言うや否や光線に身を包まれる。
これがドスパークとやらか。

ドスはこれで終わったと思っていた。人間相手に使いたくはなかったが反省の色なしと判断し、
村との条約でゆっくりを傷つける者は殺してもいいとなっていたためである。
もっともそんなことをするのはこれが始めてであった。
煙が晴れるとその中からぴんぴんとしたお兄さんが立っていた。

「ゆぎゅうぅぅぅぅぅぅぅ。なんでいきてるのおおおおお。」
「それはだね。お兄さんが不死身だからだよ。でももう一発食らうとさすがにまずいなぁ。」

にやにやしながらもドスがいるであろう辺りに話しかけるお兄さん。

「だったらもういっぱつあててきえてね。」

2度目のドスパークを放つ。
が今度は開けた口の中に長物が突き刺さる。

「ゆがあああああああああああ。」
「もっといい声で啼いてくれよ。そんなんじゃ興ざめだね。」

そこには中空に浮く奇妙な長い竹があった。
これでドスの居場所も分かりやすくなったことだ。
新たな竹を手にするお兄さん。そして今度は目があるであろう辺りを突く。

「ゆぎいいいいいいいいいいいいい」

上手く命中したみたいだ。
手ごたえ上々の中さらに甚振る。
一方ドスまりさは混乱していた。
ドスパークで岩穴を開けたりしていたため威力は分かっていたのにそれが全く通用しないなんて事があるとは信じられなかった。
そのせいで動きも鈍かった。
お兄さんはその鈍重な動きに心が次第に冷めていった。
ドスというぐらいだからもっとすごいものだろうと思っていたのに唯でかいだけの的でしかないドスとの遊びに飽きていた。
なので手っ取り早く針山にし終わらせることにした。

動けなくなったドスは今際の際にお兄さんの声が響く。

「いやぁ、最初にドスが来たときはびっくりしたがなんてこともなかったなぁ。
 不意打ちで圧し掛かられていたら死んでたであろうけど、博麗神社の巫女さんから御札を買っといて正解だった。
 もともとは妖怪たちの弾幕ごっこ? だったっけ? の護身用だけどドスパークも似たような性質だから無効化できたね。
 村の連中にもおしえてやらんと。」

こうしてドスが倒れ不可侵条約もなくなった。
正確にはドスのあとを継いだであろう餡子が村の畑を襲うようになったからである。
こうして村は今までと元通りになった。
もっとも条約を交わしたのもドスが恐かったから応じたらしいので感謝されていたがね。

この辺りのゆっくりを狩ったら今度はどこへ行こうかな。





あとがき

最近不可侵を結ぶ話を見るようになったけど
やっぱりそんなのかんけーね
でも他の人のSSを否定してるわけではないのであしからず

by しゃべらないゆっくり

今まで書いたもの

狭き門
ゴッドかなこ
ゆっくりとカビ




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最終更新:2022年05月04日 22:40