「に゙ゃあ゙!?」

畑の野菜を収穫に来ると俺の畑の野菜を齧っているゆっくりの姿を見つけた。
何時もと同じように後ろからゆっくり近づいて捕まえる。
何時もと違ったのはそれがゆっくりちぇんだったことだ。

「わるかったよー。おなかすいてたんだよー。」

ちぇんは所々傷だらけだ。
今年は豊作ではなかったし凶作でもなかったのだが、ゆっくりに取っては餌を集めることが厳しいらしい。
俺はガシガシと頭をかいて悩んだ。

「ごめんよー。もうしないよー。」

ちぇんは捕まれたままであったが逃げ出そうとはせず必死に謝っていた。
俺はちぇんを水遣りのために持ってきていた大き目の桶の中に放り込む。

「に゙ゃ!」

悲鳴が聞こえたが無視して桶の上に板を置いてちぇんを閉じ込めた。
ガタガタと桶が揺れる。
しかし、倒すほどではないようだった。
念のため板の上に重石を置き、俺は畑作業の続きを始めた。




作業が終わり、道具を片付けて家に帰る。
いまだ暴れるちぇんを閉じ込めた桶を除いた道具を手入れして物置に入れ、桶を縁側に運ぶ。
縁側に着くと桶を置き、台所から小麦粉を持ってくると、俺はゆっくりと桶に乗せた板を外した。
中ではちぇんが涙を浮かべて泣いていた。

「に゙ゃああああああ、ごわがっだよおおおおおおおお!」

泣き叫ぶちぇんをゆっくりと持ち上げ、傷ついている場所に小麦と水を混ぜたものを詰めていく。
最初は泣き叫んでいたちぇんも、傷が治っていくにつれだんだんと笑顔になっていた。

「わかるよー、いたくないよー!」
「おにいさんのおかげだねー!ありがとー!」

今までは傷によって動きを制限されていたのだろう。
俺の手の中でちぇんは元気よく暴れて、危うく落とすところだった。
なんとか傷に小麦粉を塗り終わった。
乾くまでちぇんを押さえつけていっしょにゆっくりとする。
ちぇんは嫌がるそぶりも見せず一緒にゆっくりしている。
傷を治した俺をいい人間だと勘違いしてるのだろう。
やがて、固まったのを確認した俺はちぇんをふたに使った板の上に乗せる。

「わかるよー、おもかったんだねー。」

ちぇんは勝手に動かされたことに文句も言わず、板の上で先ほどと同じようにゆっくりし始めた。
板の上ではちぇんに付いている二本のしっぽがゆらゆらと揺れていた。
俺はそのうちの一本をやさしくつかんだ。

「ゆゆっ、くすぐったいよー。」

尻尾を触られると痒くなるらしい。
しかし、ちぇんはどこか気持ちよさそうだ。
撫でるたびに震えている。
俺は一本の尻尾をゆっくりさすりながら、その先端に包丁を叩きつけた。

「にゃ?・・・いぢゃいいいいいいいい!」

ちぇんは最初何が起きたのか分からず、暫くしてから痛みが伝わったのか見たことないような表情で暴れ始めた。
俺はちぇんが逃げないように手で押さえつける。
そして、ちぇんの尻尾をどんどん輪切りにしていった。

「に゙ゃああああああああああああああ!」
「わがだないよおおおおおおおおおお!」
「やめでえええええええええ!」

尻尾を切るごとにちぇんはさまざまな悲鳴をあげる。
一本丸々と輪切りにした後は、残った一本を柱に釘で打ちつけてやった。

「ぎゃあああああああああああ!」
「わからなよー!はやくおろしてよおおおおおおおお!」
「い゙ぢゃい!じっぼがぢぎれぢゃうううううううう!」

一本の尻尾で全体重を抑えているので尻尾にあいた穴がだんだんと広がっていく。

「おにいさんたすけてほしいよ!このままじゃおちちゃうよ!」
「いだあああああちぎれるううううううう!」
「いし、そのいしをどけてえええええええええ!」

ちぇんは必死に俺に助けを求める。
石と連呼するのでちぇんの下を見ると、確かに尖った石が下にあった。
俺はちゃんとちぇんの下に石を移動させる。
上を見上げるとちぇんの顔が青くなっているのが分かった。



それから暫く待ってみたがなかなか落ちない。

「わがらないよおおおおおおおおお!」
「だれがだずげでほじいいよおおおおおおおおお!」

このままじゃ時間がもったいないな。
俺は手に持った包丁で尻尾を真ん中で切ってやった。

「にゃ?」

ちぇんは急に浮遊感を感じたのが不思議だったのだろう。
石がだんだんと近づいてくる。

「わかるよー。これはおちてるん・・・に゙ぎゃ!?」

ちぇんの下に移動させた石は俺の期待を超える働きをしてくれた。
尖った部分はちぇんの左目に食い込んでいる。
刺さったときに悲鳴を上げたちぇんも今はただびくびくと痙攣しているだけだ。
もしかして死んでしまったのだろうか。
中身でぐちょぐちょな体を持つ気にはならなかったので半分残った尻尾をつかんで持ち上げてみる。
ペシペシ。

「ゆぎゅ・・・わがら・・・ないよ・・・なにもみえないよ・・・」
「もうよるになっちゃったのかなー?」

ちぇんは強すぎる痛みによって混乱しているようだ。
顔を良く見ると中身によって残った右目も隠されているようだ。
俺は井戸から水を汲み、水の入った桶にちぇんを突っ込んだ。

「づべぢゃ!?」

突っ込んだときに暴れたので両手で押さえ込む。
暫くつけとくと動かなくなったので水から出してやった。
顔はきれいになったようだ。
これで目も見えるだろう。

「・・・」

どうやら気絶してしまったらしい。
このままでは死んでしまうので桶の水を勢いよくかける。

「ゆ゙・・・」

どうやら気がついたようだ。
ちぇんは水でぐちょぐちょだった。
俺はゆっくりを飼っている仲間の言っていたことを思い出す。
確か水でぬれたときは乾かさないとダメだったか・・・
俺はちぇんの尻尾を持ち、勢いよく振り回した。

「めがまわるよおおおおおお!やめてほしいよおおおおおお!」
「ゆぐっ、ぎもぢわるいよおおおおお!わがらないよおおおおおお!」

ちぇんは何かを言っているようだが聞く耳をもたない。
ぐるぐるぐるぐると何回も回す。
まわす度に水しぶきが飛んでいき、やがて水しぶきが飛ばなくなった。
もう乾いたか。
俺はそれを確認すると森の前まで行き、ちぇんを森の中に投げ入れた。
これに懲りてもう俺の畑の野菜を取ることはないだろう。
家にもどろうと桶を手に取ろうとした時、地面に落ちた帽子と輪切りの尻尾に気がついた。






「わがらないよ・・・どうしでごうなっだんだろ・・・」

ちぇんは男に投げられた後、木に体ごとぶつかった。
ずるずると木を滑り落ちた後、そこから動く気にもならずゆっくりとしていた。
体はどこが無事なのか分からない。
目も片方が潰れてしまい、これから生きていくことを考えるとちぇんは不安でいっぱいになる。

「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!」

いきなりかけられた声にちぇんは本能で返事をする。
傷ついたちぇんに声をかけたゆっくりが茂みから現れる。

「ら、らんしゃま・・・」
「ちぇえええええええん!」

それは9本の尻尾が特徴のゆっくりらんだった。
ちぇんの悲鳴を聞きつけここまでやってきたのだろう。
ちぇんの顔に先ほどまでの不安はなくなり、自然と笑顔が現れる。
らんはちぇんの傷を見ようと急いで近づき、そして気づいた。


帽子がない。


らんは木で休むちぇんを木から離すように弾き飛ばした。
完全な不意打ちを食らったちぇんはかおをこすりながら地面をすべる。

「ら、らんしゃまどうして・・・」
「ぼうしがないよ!ちぇんのにせものだな!」
「わ、わからないよおおおおおおおお!」

ちぇんは傷ついた体を無理やり動かし逃げた。
それをゆっくりらんが追う。
その顔は怒りに満ちていた。
らんはちぇんをちぇんのまねした小汚いゆっくりと認識していた。
ちぇんは逃げた。

「わからないよー!わからないよー!」
「ちぇえええええええええん!」

帽子、帽子はどこだ。
ちぇんは残り少ない中身を総動員して思い出す。
そして、先ほどの虐待を思い出した。

「わかるよー!あそこでおとしたんだよー!」

ちぇんは投げられた場所に戻った。
きっとそこに帽子があるはず。


ちぇんの予想は正しかった。
縁側にいる男の足元、ちぇんは帽子を見つけた。

「よかったよー!ぼうしはぶじだよー!」

ちぇんはこれでらんさまも分かってくれると思うとどこからか力がわいてきた。
力を込めて帽子に向かって跳ねていく。

その帽子が真っ赤に燃えた。

「にゃ?」

ちぇんには最初何が起こったのかわからなかった。
男が細い棒を小さな箱に擦ると火が起きた。
その火が帽子に近づくと、帽子は真っ赤に燃え上がった。
いつの間にか帽子の上には網があり、ちぇんの尻尾だったものが載っていた。

「わ、わからない・・・よ・・・」

跳ねるのをやめたちぇんの上に影が差す。
ちぇんにはそれがゆっくりらんであることが分かった。

「らんしゃま・・・」

らんしゃまは重かった。





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最終更新:2022年05月21日 23:49