家に帰ったらゆっくりれみりゃがいた。
笑顔で「うー!うー!」と言いながらよってくる。
うるさいので蹴飛ばしたらみぞおちにヒットした。
吹っ飛ばされて部屋の壁に当たる。
こいつは笑顔を崩して「う”-!!う”-!!」と泣き喚く。
赤い目から涙が流れ出て鼻水らしき液体も駄々漏れ。
所々で「ふごっ」と鼻をすする。汚い豚だ。
せっかくのお洋服がぐしょぐしょになってしまった。
      • ?ぐしょぐしょ?そうか。
俺はいい事を思いついた。次の作業に移るためにれみりゃにやさしく声をかける。
「う”ぁー、うぁぅ・・・」
「よしよしごめんよれみりゃ、痛くなかったかい」
「がぉー!い~たかぁ~ったぞぉ~!」
れみりゃは蛸のようなぐねぐねした腕を精一杯伸ばしてずれた帽子を直す。
上目遣いのれみりゃは顔をぐずつかせてご機嫌斜めのようだ。
「ほんと~に勘違いしてたよ、ごめんな」
そう言ってよしよししてやる。
れみりゃは暫くふてぶてしい表情をしていたが、
やがて俺がもう危害を加え無いと判断したのかご機嫌を取り戻していく。
「うっう~うぁうぁ♪」
不可解な音頭を取り笑顔になるれみりゃを連れて浴室へ。
俺はれみりゃを脱がして服を洗濯機に入れる。
「うぁ~、えっち☆」とぶりっ子のポーズを取るれみりゃ。
殴り殺したくなる所を抑えて風呂でシャワーを浴びさせる。
そこで俺は観察した。


このゆっくりは一体何だろう。
肉まんと呼ぶには人間に限りなく近い。
3頭身程度だが体温も髪質も人並み。
人の言葉を解して拙くとも喋る。
手足は五本指で爪もある。人の犬歯よりやや長い牙を持つ。
何より帽子や服は本当の布でできていた。
誰の差し金で俺の所に来た?
そもそもこいつは生物なのか?
ゆっくりゃの目は赤く、頭は不自然に大きい。
顔のパーツは上よりになっていて、髪を引っ張ると痛がる。
「ぃたぃ、ぃたぃ、ぅー・・・がぉ!」
牙を向いて腕に噛み付くが全く痛くない。
俺はゆっくりの顎を無理やり残る手で開かせてゆっくりゃの体を洗う。
裸のゆっくりゃは肌色で人間の幼女と変わりない。
生殖器もついでに開いて見ると人間のそれと似ている。
「ゃぁ~だぁ。だめだぉぅ。がお~ぅ・・・」
ゆっくりゃは顔を赤くしてうつむく。
この不相応な大きさの頭を除けばこれは人間の幼女と同じだ。それなら・・・

仮説『適当なプロセスを選べばいくらでも人間の形に近づけることができるだろう』

俺はこいつのシャワーを終えると一人で良いアイデアがないか考えることにした。
ゆっくりゃは大きな頭をぶるんぶるん振って髪の水気を取ろうとしている。
「がぉー、水きらい!ざぐやぁ!ふげふけ!」
うるさいよこの豚。
俺は睨みを利かせて黙らせた。


リビングで乾いたゆっくりゃに服を着せずに放置しておく。
裸でも良いらしく相変わらずうぁうぁ踊っている。
俺は500ml紙カップ入りのコーヒー牛乳を飲みながら考えた。
あの顔には肉まんの中身が詰まっているのだろう。
噂ではゆっくり種は30%程度の中身を失うと死ぬらしい。
そして中身を他の部位に移し変えれば生きているそうだ。
だとすれば・・・・。
やるべきことが決まってきたので早速準備に取り掛かる。
肉まんを幼女に転生させるのだ。
しかし幼女にすることが目標ではない。
肉まんを審美眼に堪え得る存在に昇華させる事が目的なのだ。


準備品はは家にあるものだけで十分だった。
包丁、おたま、肌色の縫い糸と縫い針、接着剤、新聞紙、プリン、やさい、これが全てだ。
早速実行に移す。ゆっくりゃは退屈してきたのかテディベアのような姿勢で座り込んでいる。
顔からはよだれと涙が垂れており、食欲が湧いている。
「うぅ~、は~らぺ~こだぞぉ!」
俺の視線に気づくと床を叩いて
「さぐや!おやづ!」
とねだる。赤い眼は薄く濁り、ふてぶてしい表情を浮かべている。
俺は用意したプリンを見せる。
「よし、こっちおいで!プリンがあるよ!」
「ぷりん?ぷでぃんがあるの?う~!だべどぅ♪」
笑顔で転がりながらやって来る。
ごろごろしたゆっくりゃを片手で止める。
俺はプリンをすくってこいつの目の前までもっていく。
もう片手にはやさい(キャベツ)を隠しておく。
「あ~ん♪」
「これあげるっ」
隠しておいたキャベツを思いっきりゆっくりゃの口の中に押しこむ。
一瞬「ごぼっ」と音が聞こえ、ゆっくりゃはもがく。
「ん”-------!!!!!!!ん”ん”--------!!!!!」
手足をジタバタさせるゆっくりゃ。
俺は翼を手でもぎ取り、余った顎を包丁で開き、中の肉をお玉で一気にこそぎとる。
キャベツが芯になってやりやすい。
まるでケバブを調理する感覚だ。
キャベツを含んだ口の袋を残して肉といくつか皮を新聞紙の上に取り出す。
頭だけでこいつは40%の肉をもっているだろうから注意する。
「ぐっ!!!ん”ん”ん”!!!!ぶぅー!!!」
今度は胸を切開する。暴れるれみりゃ。
「暴れると余計痛いぞ」
そう言うと鼻息荒くもれみりゃはじっとしようと耐え始めた。
何もない胸にまず切り取った顎の皮を縫い付ける。
皮にゆとりができたのでさっきの肉を接着剤と混ぜて詰め込む。
この作業を二回繰り返して胸を作った。
そこそこ上手くできたのでさらに接着剤で胸のの手術跡を塞ぐ。
次は空きっぱなしだった顎を整形させる。
ゆっくりゃの頭の大きさを直すために頭を思いっきり押さえつける。
切り開かれた顎の下から肉がめきめき出てくる。
ゆっくりゃは前にも増してじたばたする。
「☆★♪!!!!!!!??!?!#$#”$%」
キャベツをそろそろ取り外してやる。
「ぎゃぁ”””””””!!!!ぶでぃんだべずるっふーげふ」
顎が塞がれていないので上手く喋ることができない。
大きな顎と頭のラインを整えるために出てきた肉と余った皮を切り取る。
喉を押さえつけて皮を思いっきり引っ張る。
頭が普通の人間位の大きさになってきたのでまとめて包丁で切除、縫合、接着。
「い”だぁあああああああああああああい”よぉおおおおおおおお!!!!!」
出来上がったゆっくりゃの顔は引っ張って作ったせいか垂れ目で口は鯉のようだ。
全体のシルエットは胸のある幼女といった所。
「ぷでぃんたべる!!!!!!」
幸い言語はちゃんと喋れるようだ。
しかし細かい所まで処置できなかったので所々おかしな箇所があるがそれはどうでもいい。
こうしてゆっくりゃの人間化は一つの節目を迎えた。
残った肉と皮は全体の15%程度で、どうするべきか悩んだが捨てることにした。
「すでないでぇええええええええええ」
ゆっくりゃが泣き付いてきたが食べさせるとまた元通りになりそうだったので無視した。
足元に抱きつきながらずるずる引っ張られるゆっくりゃ。
ああ、かわいい、かわいいよ。


数日後。
ゆっくりゃはそのまま変わった所も無くいつものようにうーうー踊っている。
たとえ形が変わっても精神が変わるには困難を要する。
あれからやさいしか与えていない。もしゆっくりを与えるとすぐに元に戻ってしまうだろう。
仮に与えても口が小さくなったから丸かじりできない。
野生に放すともう捕食すらできないだろう。
「ぶでぃんだべどぅ!やざいいだだい!ざぐや”!!!!う”----------!!!!!」
じたばたするゆっくりゃも毎度の事となった。
俺がこの存在を育てていくのだ。

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最終更新:2020年09月21日 13:31