- 独自設定(ガバガバ)があります。
- チート性能のゆっくりたちが登場しますのでご注意を。
- 分量が多いので分割します。
幹部ありすの家を取り囲む、たくさんのゆっくり。
取り囲んでいるのは、村の長、幹部ようむをはじめとした、ゆっくりたち。
みょんは嬉しそうにしている幹部ようむの元へと向かおうとしたが、
「そっちいっちゃだめなのぜ!てきは、ありすじゃないのぜ!!」
風来坊まりさの
声がした。
瞬間、みょんの背後に凶刃が迫る。
間一髪で避けるみょん。
後ろを振り向きざまに、みょんは、はくろーけんを抜き、相手を切り捨てる。
「どういうことだみょん?」
みょんは、幹部ようむの方を見る。
「ちっ、しっぱいしたみょーん」と幹部ようむが言う。
「もういいみょーん。さくせんをじっこうするみょーん」
幹部ようむの配下達が、村の長を拘束する。
「ありすをしょぶんして、ゆっくりするつもりだったみょーん。おまえたちもいかしてはおかないみょーん」と幹部ようむは言う。
「にんげんたちは、ありすがくろまくとおもってるみょーん。おまえたちがいなくなればようむのかちだみょーん。つぎのおさはようむだ」
その言葉を聞いた瞬間、みょんは、ニヤリと笑い、はくろーけんを構え直し、群れのゆっくりの方に突撃する。
「りゆうはきかないみょーん!?」
「きょうみないみょん。みょんをつぶすやつは、みんなぶったぎるみょん」
部下達をどんどん切り捨てていくみょん。しかし、群れのゆっくりはそれなりにいるので、なかなか埒が明かない。
そして、みょんは首謀者である幹部ようむに照準を定めた。
その時だった。
ヒュンッ!! 何かが空を切る音が聞こえたと思うと、次の瞬間には、みょんの近くにあった草花が細切れになった。群れのゆっくりたちは傷一つ付いていない。
一体何が起きたんだ? とみょんは辺りを見渡す。幹部ようむの方を改めてみると、何やら剣のようなものを咥えているのが見えた。
「これが、おめあてのおたからだみょーん?」と幹部ようむ。
幹部ようむが咥えているもの。もしかして―
「ろーかんけん?」
すると、幹部ようむはキョトンとして言う。
「これは、ろーかんけんじゃないみょーん。ろーかんけんなら、とっととうばいとってるみょーん。おまえは、がせをつかまされたみょーん」
舌打ちをするみょん。とんだ無駄足だったか。でも、これはこれで良さそうな剣だ。おそらくは、加工所の手が入っている。
無言で幹部ようむに斬りかかるみょん。
だが、それをひらりと避け、反撃してくる。
どうやらこの剣は、はくろーけんで切り裂くことはできないようだ。もともとみょん種とようむ種は近縁種。人によっては、同種とみなすことも多い両者は性質や能力が似ている。武器の性能に圧倒的な差がない以上、みょんにとっては、ある意味戦いにくい相手であった。
さらに、幹部ようむの攻撃を捌いているうちに、いつの間にか幹部ようむの部下達は幹部ありすの家に侵入を試みていた。
突入されたら、別の意味で厄介だ…。
そう思っていると、突然背後から声をかけられた。
声の方に目を一瞬向けるとそこには、風来坊まりさがいた。
「おそいみょん」
「そういわないでほしいのぜ。まりさ、けっこうがんばったのぜ?」
風来坊まりさが、残念そうに言った。
「まりさは、ありすのほうにいくのぜ。そっちはたのむのぜ」
みょんはそれに無言で答え、幹部ようむとの戦いを続行する。
気にかける要素がなくなったみょんは、一気に攻撃を畳みかける。幹部ようむは、すっかり防戦一方になった。
「おまえはやすぎみょーん」
「まちには、もっとはやいゆっくりがいたみょん」
幹部ようむは、苦し紛れに攻撃するが、みょんは軽々とそれを避ける。そして、幹部ようむを跳ね飛ばす。
「ゆべぇっ!」
だが、幹部ようむも体勢を整え、猛攻撃をしてきた。
「やっぱりそのけんつよいみょん」
激しい攻防が続く。
幹部ようむの攻撃は苛烈を極めるが、みょんは冷静に対応していた。
しばらくすると、幹部ようむの動きが鈍ってきた。
幹部ようむは、体力の限界を迎えつつあった。
その時、幹部ようむは、何かを呟いていた。
よく聞き取れないが、おそらくは、 ありすのところへはいかせないみょーん……とかそんなことを言っているのだろう。
幹部ようむの執念は凄まじい。
幹部ようむは、渾身の一撃を放つ。
その瞬間、みょんは、はくろーけんを手放し、ゆ叩き棒(ゆっくり用)で殴りとばした。
幹部ようむは、吹き飛ばされ、地面に転がる。
幹部ようむは、すぐに起き上がろうとしたが、体が思うように動かない。
もう、限界だ。
幹部ようむは、立ち上がることができなかった。
みょんは、「ゆたたきぼうは、なぐるためのどうぐじゃないみょん」と言いながらゆ叩き棒をしまい、はくろーけんを咥えると、
「やっぱり、おまえよわいみょん。おまえくらいのゆっくり、これまでいっぱいみてきたみょん」
幹部ようむは、最期までどこかを睨みつけていた。それはみょんだったのか、それともほかの誰かだったのか。なんで幹部ようむが反乱を起こしたか不明だが、それを知るすべはないし、興味もない。
半分に切られた饅頭を後にして、みょんは、幹部ありすの家へと向かう。
幹部ありすの家の中に入ると、戦闘が繰り広げられていた形跡はあるが、おおかた終了したようだ。
家の中を物色していると、奥の部屋から、風来坊まりさがやってきた。ヒモのようなもので幹部ありすを引っ張っているようだ。
こちらの様子を窺う幹部ありすと目が合ったが、幹部ありすは気まずそうに眼をそらす。
「つぎがくるわよ。もうおそい」と幹部ありすが言った。
「どういうことなのぜ?」
「もうすぐ、どすのたいぐんがくるわ。ようむもあつめていたようだけど、ありすのどすもおおいわ。もうしっぱいね…」
「やっぱり、あのひのしゅうげきは…」
「あれは、ようむのどすよ。ありすのどすは、これからむらにくるよていだったの。これから、たくさんどすすぱーくをするわ。みんなさようならよ」と幹部ありすは笑いだす。
「それはもうかいけつずみだみょん?」
「え?」
「もうにんげんさんが、いっせいくじょをはじめてるみょん。どすはむらにはこないみょん」
「そうなのぜ?」
「あと、のこりのどすはたぶん…」
うー!うー! フ、フランダア!! ドスノイノチノアンコサンスウノヤメテネ!! ユンヤー ドオシテレミリャガココニイルノオオ!! うー☆うー☆
ドスたちの断末魔が聞こえてきた。捕食種たちの鳴き声も鳴り響く。
「かんぶふらんね… ありすのかんぱいだわ… にるなりやくなりしなさい…」
ありすを引っ張り外にでる風来坊まりさ。
「きめるのは、おさなのぜ。ぶがいしゃのまりさたちじゃないのぜ」
村の長は、既に幹部ふらんによって解放されていた。幹部ようむが倒されてから、反乱者たちが統率を失い、あっという間に撃破されていったようだ。
「むきゅ。とてもたすかったわ」と顔色が悪そうな村の長。幹部ありすを引き渡し、みょんと風来坊まりさは、これまでの子細について話をした。
「にんげんさんにもめいわくをかけてしまったのね…むきゅー」と悲しそうな村の長。
「これは、くじょもさけられないかもしれないわね… わかったわ。これもさだめなのかもしれないわね」
「ありすは、どうするのぜ?」
「じじょうはあったのかもしれないけど、ありすはざいゆんよ。せいっさいすることになるわ」
「そうなのぜ…」
「そして、ぱちぇもいんたいしようとおもうの。これは、ぱちぇのちからぶそくがげんいんよ」
まあ、くじょされたらおしまいだけどと村の長は苦笑いした。
「みょんができるのはここまでみょん。あとは、むらできめることだみょん」と、みょんは出発の用意をし始めた。
「もういくのぜ?」
「ここにいても、もうどうしようもないみょん。もくてきがなくなったみょん」
「ちょっとつめたいのぜ」
「そういうものだみょん。それにみょんたちは、ただの”ゆっくりごろし”みょん」
そう言って、みょんと風来坊まりさは村を後にすることにした。
村を出る前に、長から宝の剣を持って行かないかと言われたが、固辞した。あの剣はみょんが探していたものではないし、今後必要とするゆっくりも現れることだろう。
山沿いの農道を進んでいると、一段の軽トラックが近づいてきた。
見ると、乗っているのは農協のおじさんと、幹部ふらんだった。
『おう! お前ら無事だったのか!』と、おじさんは車を止める。
「どすたちはかたづいたみょん?」と、みょん。
『ああそうだ。だいたいおわったらしいぞ』
「そうかみょん…」
と、少し残念そうな顔をするみょん。
「どすのしゅうげきもおさまったし、これでおちつく!」と幹部ふらん。
「もうどすはいないのかぜ?」
「うん!ほとんどやられたみたい!」
と、嬉しそうな幹部ふらん。
すると、みょんが言った。
この村に、自ゆんたちの居場所はない。これから別のところへ行こうと思うと。
それを聞いたおじさんと幹部ふらんは驚いた様子だった。
それから、しばらく沈黙が続いた後、おじさんは口を開いた。
『どこに行くんだ?』
「わからないのぜ」
『そうかい……。じゃあ、これに乗っていけよ。荷台は空いてるぜ』
「いいのぜ?」
『かまわんよ! 困ってたらお互い様だろ。ちょうど良いところで降りればいい』
「みょんはどうするのぜ?」
「せっかくだからのるみょん」
「ありがとうなのぜ! おじさん!!」
こうして、風来坊まりさとみょんは、軽トラの荷台に乗った。
「うー どこにいくんだろうねー」と、幹部ふらん。
「さぁ……でも、たぶんどこかにいくことになるのぜ」
「いみがわからないみょん」
「まりさは、どこでもいいのぜ」
と、風来坊まりさが言うと、みょんは呆れたような表情をした。
軽トラックで揺られること数時間。みょんと風来坊まりさは、ある街についた。
そこは、とある田舎町であった。どこかの駐車場でトラックが停車する。
「このへんでいいみょん」
「そうなのぜ?」
「ちょうどよいみょん」
『もういいのかい?用が済んだら別の街にも行くが・・・』
「これいじょうはだいじょうぶみょん。おせわになったみょん」
「おせわになったのぜ」
『ああ』
二匹は軽トラから降り、街へと消えていく。
とある田舎町の一角にて
「どうして、しんはんゆんがわかったみょん?」
「そ、それは・・・」
風来坊まりさが口ごもる。
「ま、まりさがゆっくりしてたからなのぜ!たぶんそうなのぜ!ゆっふん!」
「なにかごまかしてるみょん」
挙動不審になる風来坊まりさであるが、急に話題を変え始めた。
「それにしてもほんとうによかったのかぜ?」
「おたからみょん? しつこいみょん。おいてくみょん?」
「どおしてそんなこというのおお!?」
「でも、ふらんとはたたかってみたかったみょん」
「ふらん、は、やめといたほうがいいのぜ」
「どうしてみょん?」
「なんでもなのぜ。もういくのぜ」
風来坊まりさはスタスタと先に進んでいく。
こうして二匹の旅は続く
みょんに聞かれない程度の小声で風来坊まりさは呟く。
「ふらんにかてるわけがないのぜ。だってどうつきなのぜ」
【結】
最終更新:2022年06月14日 23:42