注意書き
※いじめられないゆっくりが出ます
※集団を暴行注意
※人間<ゆっくりな表現があります
※俺設定の塊

















この世界にゆっくりと呼ばれる生物(?)が誕生してからどのくらい経つのかは知らないが、害獣として認識されている。
ゆっくりと人間との歴史は争いの歴史といっても良い。その全てを人間は制してきた。
しかし! 生物が環境に適応して進化した様に! 人間が障害を道具で克服してきた様に! ゆっくりも人知れずゆっくりと力を付けていったのだ……!!!

『ゆっくりヒーロー紅い弾丸MAYRIN ~第一話:紅い弾丸~』

「うわ~ゆっくりがでたぞ~!」
「男たちは全員武器を持て~! 女子供は逃げろ~!」
「薬物班も急げ~!」
「バカヤロー! 早くタンカだー!!」

ここはとある村、自然に恵まれた農村であるが、人々は戦々恐々としてパニック状態だった。
大方、畑をゆっくりに荒らされているのだろうが、村人たちの対応は訓練された軍隊のそれの様に素早く、いかに場慣れしているのかが伺える。
従来のゆっくりならば、数分のうちに殲滅出来るだろう。しかし、ここで考えてもらいたい。ゆっくり程度でここまでパニックになるだろうか?
何百単位もの数だったらそうなるかもしれないが、幸い少数の様だ。ではなぜ村人総出で畑に向かっているのだろうか? なぜケガ人が出るだろうか……!?
夏真っ盛りのこの季節、畑には素人目に見ても立派なスイカが転がっていた。しかし、そのスイカの隣にあるのは何だ? お化けスイカか? 堆肥の山か?




  答 え は こ れ だ!!!


『むぅぅしゃぁぁむぅぅしゃぁぁしあわせぇぇぇぇ♪』


黒いとんがり帽子!ゆっくりまりさだ!! あまりのでかさに自分の声が口の中でエコーしている!
何世代か前までドスまりさとかいう巨大まりさが主流だったようだが、それより一回り大きいサイズだ!
仮にこのまりさを『化けまりさ』としよう。この化けまりさはドスと違い髪に装飾品が付いていない。つまり、高慢、無情、ワガママの塊のまりさである!
それもサイズのお陰で、何倍にも増長している。しかも、これだけではない!!

「そういつまでも喰われてたまるか~!」
「全員同時に槍を投げるんだ~!!」
「今だぁ~!」


手際よく化けまりさを囲み、一斉に槍を投げる!
化けまりさはスイカに夢中で村人にすら気づいていない!!
勝った……その場にいた農民はみなそう思っただろう。鋼鉄の穂先は全ての方向から同時に刺さり、巨大な体に吸い込まれていったのだ。
日々強さを増していくゆっくりに対抗して特訓、編み出した必勝の対ゆっくり戦法だった。

『ゆぅぅぅぅ?』

化けまりさは今になってようやく自分の体の異変に気がついたようだ。
だが、もう遅い! 貴様の体は槍に貫かれ……てない!?
誰が信じられただろうか? 農民とはいえ訓練され自警団となった屈強な男たちが全力で鋼鉄の槍を投げたのだ。それが化けまりさの弾性を超えずにめり込んだままだ……!!
化けまりさは、周りを見渡すとようやく自分の置かれている立場を理解した様だ。

『ゆぅぅへっへぇぇぇえこぉぉんなぁぁもぉのぉぉ』
「やっやばい!みんな逃げろ~!!」
『ゆぅぅぅうん!』

化けまりさの口が三日月の様にキューと歪むと、スーパーボールが弾性で戻って来る様に槍を弾き返した!!
さらに、弾く瞬間に捻りを加えたのか、槍は高速回転していた。人間程度なら簡単に切断されてしまうだろう。
訓練の賜物か、直撃した者はいなかったが……飛んできた槍がスイカを弾き、散弾の様になり飛んできた。
運悪く、それを正面から受けた一人の青年が崩れ落ちた。


「森永~!しっかりしろ森永ぁ~!!」
「だ……団長、じっじぶんはもぉゴハァ!!」
「しゃべるな!傷が開く!!」


「クソォ~森永の仇ぃ~!」
「これでもくらえ~!!」

一人欠けてしまったが、これまた全員同時に対ゆっくり様の毒煙玉を投げた。
たちまち化けまりさを紫の煙が覆う。このスキに森永を医療班に運ばせる。

「まだだぁ~!すべて使いつくせぇ~!!」

団長が号令をかけると一斉に煙の中にありったけの武器を打ち込んだ。残りの槍、矢、猟銃、極み付けに斧……すべて使いつくした。


「やったか……!?」

煙がだんだんと晴れていく、そこに残っていたのは……

『ゆぅぅくぅぅりぃぃでぇきぃなぁいんなぁらぁじぃぃねぇぇ!!』
「ばっバカなぁ!?」

化けまりさは、ほぼ無傷だった。左目に先ほど団長が放った矢が一本刺さっていたが、文字通り一矢報いたにすぎなかった。
驚くべきことに、その他の武器は全てひしゃげて散らばっていた。槍に至っては全てが地面に突き刺さっている。
唯一通用するだろうと思われた斧は化けまりさの歯で止められていた。チョコレートを食べるかのように、バキバキと噛み砕きペッと吐き出した。すると、化けまりさの体が膨らみ……

『ゆふぅぅぅぅぅ!!』

なんと先ほどの毒ガスを吐き出したではないか! この毒ガスも日々強力になるゆっくり様にパワーアップしているため、人体にも影響がでる危険な物なのだ!!
結果、団員は全て毒ガスの餌食となり身動きが取れなくなってしまった。化けまりさがこの畑を制圧した瞬間、化けまりさはスイカを一つ頬張り種を地面に転がる斧の刃の破片に飛ばした。
刃はいとも簡単に砕けてしまった。そしてゆぅぅっくりと団長に近づいた。

『たぁねぇくぅらぁいはぁぁあげぇるぅかぁらぁゆぅっくぅりぃしぃんでぇねぇ!!!』
「こ、ここまでか……!」

団長は覚悟を決め固く眼を閉じた。

「待てぇぇい!」
『ゆぅぅぅ?』

突然現れた声の主は畑の用具舎の上に立っていた。この場の全員の視線がそこに釘付けとなった。

紅い野球帽! 袖の破れたシャツ!! 腰に光るは銀のウエストポーチ!!!

どう控えめに見ても、十代になったばかり、いかにも運動場から来ましたという様ない出立ちだ。ただ、その眼光は精悍な戦士のそれだった。

「人の命は世界の畑! ゆっくりの能力は未来への種子!! 哀れな種はここで絶やしてくれようぞ!!!」
『ゆぅぅ!? こぉどぉもぉのぉくぅせぇにぃぃぃ!!』

幼さを残したその声は、その場の空気をビリビリと震わせ化けまりさを萎縮させた。
先ほどの大人より強い! 餡脳にも理解できた。先手必勝だ!
化けまりさは用具舎に突っ込んだ。間一髪その一撃をよけ少年。用具舎は粉々に砕け散った。化けまりさは、勢い余って畑にめり込んだ。

「むっ無理だぁ~! コイツは鋼鉄の武器すら通さねぇんだぞぉ~!?」
「ゆっくりが鋼鉄より硬いなら、ゆっくりを貫くのもゆっくりのみ!!」

自警団の一人が情けない声を上げると、少年は迷わずにこう返した。化けまりさは体制を立て直し、こちらに向かって突進してきた!

『ゆぅっぐぅりしぃなぁいでぇさぁっさぁとぉしぃねぇぇ!!』
「出番だぁ~! MAYRIN!!」
『じゃおおおおおおおおおおおおん!!』

少年が叫び、指を鳴らすとウエストポーチからソフトボールサイズのゆっくりめいりんが飛び出し、少年の帽子の上に乗った。
紅い髪に緑の帽子! 帽子についた星のトレードマーク!! 星の中には「龍」の字が刻まれていた。

「いっけぇぇ~!MAYRIN~!!!」

なんと少年は、相棒のめいりんをほおり投げると、横から見ればきれいな“Y”の字になる様に右足を上げ―――

『じゃぁぁぁぁおおおおおおおおおん!!』

めいりんを思いっきり蹴り飛ばした!!
超スピードで飛ぶめいりんの帽子が風圧で飛ばされた!紅い髪をなびかせ、化けまりさに一直線に飛ぶ!!

『くぅずぅでぇちぃびぃなぁめぇぇりぃんのくぅせぇにぃぃ!!』

めいりんを喰らおうと大口を開け、めいりんを飲み込んだ。化けまりさは勝ち誇った様に不敵な笑みを浮かべる。
……が次の瞬間!! 後頭部からめいりんが飛び出した!!!

『どぉ゛ぼぉ゛じぃ゛でぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!?』

めいりんの勢いは死んでおらず、突き刺さった槍に向かって飛んで行った。化けまりさは今度こそ終わったと確信した。
めーりんは他のゆっくりと比べ、皮が硬く頑強であるがその分柔軟性に乏しいのだ。自分を貫いたのは驚きだが、あのスピードで激突すればひとたまりもないだろう。
化けまりさは安心し、ゆっくりと憎き少年の方へと向かった。

『どぉんなぁにかぁたぁくぅてぇもぉくぅずぅはぁくずぅだぁったぁねぇぇぇ!』
「おお、こわいこわい」
『ゆ゛ぅ゛ゆ゛ぅ゛!? ばぁ゛がぁ゛わ゛ぁ゛じぃ゛ね゛ぇ゛ぇ゛!!』

絶望に震える姿を見たかった化けまりさにとって平然としている少年の姿が気に入らなかった。思いっきり威嚇してやればビビるだろうと体を膨らませる。
この化けまりさは皮が分厚かったせいか、倍以上に膨れ上がった。そして重圧で殺さんと向かってきた。

『ゆ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!? な゛ぁ゛ん゛でぇ゛な゛ぁ゛に゛ぃ゛も゛ぉ゛み゛ぃ゛え゛な゛ぁ゛い゛の゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛』

後ろからめいりんが右目を貫いたのだ。でもなぜ潰れていなかったのか!? 答えはすぐに出た。
少年は高く跳びあがると、返ってきためいりんをオーバーヘッドキックで蹴り返した!! 不思議なことに蹴られためいりんは足で数秒止まっている様に見えた。
その種としては異常なほどの弾性を持っており、自らの形を変形させる程の衝撃を受けとめ、めり込ませてから飛ばしていた。
それからは、悲惨なものだった。ピスッピスピスと化けまりさの体に穴が空いていった。
少年は、自警団との戦闘で散らばった障害物で軌道修正しながら返ってくるめいりんを全て正確に蹴り返していたのだ。
それは、傍から見れば紅い弾丸を撃ち込み続けているようだった。


結局、化けまりさは全身をめいりんに貫かれ、毒の抜けた農民に袋叩きにされた。餡子が駄々漏れになり瀕死の状態になった。
どうも漏れている餡子の様子が少し変だった。ところどころに異物が混ざっていたのである。紅白のリボンや黒いとんがり帽子を始めとしたゆっくりの装飾品だった。
最後に大きな餡塊を吐くと、傷だらけの普通サイズのゆっくりまりさが残った。

「こいつは他のゆっくりを食べることによって、ゆっくりとしては破格の能力を得た様だな……素晴らしい力も方向を誤ってしまっては―――」
『『『『『ゆゆ!かたきをとってくれてありがとう!!』』』』』

いつの間に集まったのか、成熟し切っていないゆっくりの集団が少年を囲っていた。ざっと見て五十は下らないだろう。
まだいたのかと、農民たちが身構える。中には既に弓を引いている者もいた。


「ま、待ってください! この仔達はそのまりさに親を殺された被害者です。引き取ってもらえませんか?」
「どういうことか説明してくれないか?」

あの化けまりさは、ここら一帯のゆっくり達をその能力を用いて支配していたこと。たまたま知り合ったこの仔ゆっくり達に助けを求められたことを説明した。
少年が言うには、突如進化したかの様にゆっくり達は生物的に強くなった。さらに成熟する過程で多種多様の能力を身に付けているらしい。
以前と比べてではあるが、知識もモラルもあるという。現に仔ゆっくり達は、少年の連れていためいりんとじゃれていた。
ゆっくりめいりんは元々いじめの対象にしかならなかったとされていたから驚きだ。

「この仔達に農業でも教えながら育ててくれませんか? 成熟すれば強力な仲間になると思いますし、どうでしょ団長さん?」
「あんたの頼みなら構わないが、いったい何者なんだ?」
「人間とゆっくりの共存を望むものです」

少年はめいりんを帽子の上に乗っけると、沈み始めた夕日に向かい町を後にした。誰が言い始めたかは分からないが、彼は「紅い弾丸の少年」としてしばらくの間話題に上がった。



~ゆっくりデータファイル~

No.1 MAYRIN(ゆっくりめいりん種)
能力:めいりん種独自の頑強さに加え、柔軟性にも優れる。ある一定のスピード(帽子が取れる程度)を超えると鋼鉄以上の強度を得る。
特殊:『超スピードで弾丸になる程度の能力』
備考:本作品の主人公の相棒ゆっくり。普段は主人公の頭の上にいるが、しえすた時はウエストポーチの中に入る。
主人公の思想を理解していて、お呼びがかかればすぐに飛び出す。


No.2 化けまりさ(ゆっくりまりさ種)
能力:身体能力全般が総じて化け物。武装した成人男性の集団を寄せ付けないほどである。
特殊:『共食いすれば強くなる程度の能力』
備考:元々は通常サイズのまりさだったが、能力に目覚めたとたんに周りのゆっくり種を捕食。巨大、強靭になった。
結局は、生き残りの仔ゆっくり達によって差し向けられた主人公に敗れる。戦う時期が遅れていたら勝てなかったかもしれない。





あとがき

最初は巨大なまりさをいじめる話だったんだよ!
それから、なんか新しいものにしようとしたけっかがこれだよ!!
第一話ってなってるけど、面白いアイデアがあれば書くかな程度
なんか他ではひどい目に逢うことが多いめいりんに活躍させたかったにつきる作品です。













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最終更新:2022年04月11日 00:34