ゆうげんシステム、それは知る人ぞ知るRTS制作会社である。
チャット欄は常にお兄さんお姉さん達が熱い会話(炎上リスクで)と、常にLGBTQに喧嘩を売り、ゲスゆっくりもドン引きする会話をしている。
まあそんな瑣末な事は良いとして、このRTSには特徴がある。
諸氏はウォーゲームを知っているだろうか、要約すると将棋の系譜であり、古くはボードゲーム今はパソコンゲームとなっている。
この会社の名物商品は、ある意味極限のリアリティを売りにしていた。
実際にユニットが死ぬのである。
そう、ユニットごとにゆっくりが割り振られており、フルボイス生中継で死ぬ。
この加工所データリンクシステムはゲームシステムの根幹を成しており、前進命令を出してもゆっくりが従わずユニットが動かないと言ったトラブルも起こす。
またゲームである以上補給部隊のリアリティの為に補充部隊や衛生部隊も出番を出せる、ちなみに衛生ユニットは中身がオレンジジュース均一である、フードロス防止でSDGSにうるさい官僚もニッコリだ!
斯くしてゆっくりはサスティナブルに人間の戦争欲求を満たすべく戦地に送り込まれるのだった。
これはその取材である。
取材例1「市街地戦線異常なし」
最初に取材をしたプレイヤーS氏、気さく男性でRTS歴はそこそこ長い。
今回は大規模市街地を巡る戦い、市街地各区画で別の部隊のゆっくりが塵芥の様に榴弾で弾け飛んでいる。
「大事なのはまず偵察ですね、基本的に後出しジャンケンを達成するかが肝だと思うので」
そう言いながら彼は航空支援を要請した。
低空侵入したうーパックがナパーム弾を投下、4区画が炎上し90匹近くのゆっくり達の頭上にナパームが浴びせられている。
「ゆぎゃああああ!」
「どけ、どけ、とげるううう!」
泡を食って逃げ出すのは運が良い奴ら、いや悪い奴らだ。
真に幸運なのは死ぬ恐怖もなくサーモバリックで爆散した奴らだろう。
最低に不運なのは喋ることも出来ず動けず重傷で苦しんで死にかけているゆっくり達だ、ざっと50ほどだろうか。
「ほらね、視界で先取りをする事で爆撃を呼べるわけです」
彼はナパーム攻撃がお気に入りだ、苦しむゆっくりのボイスが敵ゆっくり全てにデバフを与える。
事実後続部隊のゆっくり達はおそろしーしーを垂れ流して前衛と後衛が分断され、動きが止まっている。
お兄さんは恍惚とした顔で、私の目の前で子ありすを飲み込んでからカフェオレを飲み、言った。
「朝に嗅ぐ焼き饅頭の匂いほど良いものもありません・・・」
記者はやった事が無いが興味が湧いた、とてもゆっくりしているお兄さんだ。
するとハッとした顔でお兄さんは指揮に戻った。
ゆっくりである以上起こり得る問題、命令違反だ。
《ゆぅ・・・あさごはんもなしで歩かされてるよ・・・》
《ぐんたいさんってほんっとっあるかされるのすきなんだね!ぷんぷん!》
《どぼじでじぎがんざんのめいれいむじずるのおおお!》
ユニットは基本歩兵ゆっくり10匹、特技兵ゆっくり2匹、すぃー及び航空ゆっくり1匹で構成されている。
そのためこうして、低級ゆっくり達は命令を無視するのもしばしばだ。
「これだからライフルゆんは・・・」
低級歩兵ゆっくり、ライフルゆんとは西軍の低級歩兵ゆっくりユニットだ。
コストは驚きの10円、さっきのナパームが95円で、最高級すぃーが180円クラスであるから価値の底辺さは分かるだろう。
これより下は15匹歩兵ゆっくり、ミリシアゆんしかいない、赤ゆ子ゆの民兵部隊であり、カカシにもならない。
「実際にされるとムカつくんですけど、でも後で振り返るとアレも良い思い出かなって思えるんですよねえ」
彼はそう言うと、工兵すぃーを呼んだ。
ドーザーブレードを装備し、模倣大型どすぱーくを打てる様になったまりさだ。
アルミ箔装甲だが野晒し歩兵ゆっくりなんかよりは良いだろう。
《おら!さっさとしたっぱはまりささまのえいこうのみちからどくんだぜ!》
無理矢理進ませた事によって敵の射程に入り、命令無視を図ったゆっくり達が撃ち抜かれている。
それで火点を割ったまりさは、盛大にどすぱーくを撃ち込んだ。
「ゆんやああああ!!」
「ゆへへへっ!」
対車両火器の射程外からの一方的な攻撃だ、一撃で六匹か五匹は爆ぜ飛んでいる。
凄まじい威力で、画面越しに思わず「おぉ」と声をあげてしまった。
「やっぱカッコいいですよねえ、戦闘工兵車両」
お兄さんも大変よく分かるとニコニコしていたが、敵の戦車が出てきた。
どす級最高級だ、装甲はプラスチック級で生半可な手段じゃ対処不能である。
《ゆゆ?せんしゃさんなんだぜ、ゆへへ!あれもすこあにしてやるのぜ!》
「あ、あかんわ、まりさ死んだわ」
榴弾しかないのでまりさに勝ち目は無く、弾薬誘爆によってまりさはおぼうしも残らず弾け飛んでしまった。
哀れ。
「はかねぇのが妙に良いんですよねえ」
お兄さんは取材の最後にそう語ってくれた。
《ばがなぐじでるのばあなたのせいでじょおおお!!》
戦地から何か聞こえた気がしたが聞こえない、死んだゆっくりが100だろうが実際には101だろうが、高級司令部にそんな事気にもされないのだ。
全てひっくるめて異常無しなのである。
2「あんこゆかば」
次に取材したのはB氏、海戦を主な趣味としているお姉さんだ。
「陸戦が素晴らしいのは分かります、ですが海戦にある魔術的煌めきが私どうしても気に入ってるのです」
頂いたエクレアを食べつつ、話を伺う、画面の向こう側から怨嗟の声が聞こえるので更に美味しい。
海戦は古き良き木造戦列艦っぽく、ナポレオン時代をベースにしてるらしい。
ただその戦列艦はガムテープ補強ダンボール装甲だ。
「何より素晴らしいのがこの残弾システムなんです」
画面を見た私は思わず「そうきたか!」とひざをうった。
砲弾は全て赤ゆだ、お互いに赤ゆを砲弾として飛ばし合い、時には白兵戦を演じる。
お姉さんが鋼色の瞳をうっとりとさせてる理由が理解出来た。
「ではやりましょうか」
戦列艦は海に出た、海といっても加工所のプールだ。
乗ゆん数は250匹で快速性と武装を合わせた巡洋艦クラスである。
早速敵と遭遇、ファーストコンタクトは敵が偵察で送り出した戦闘ガレオン、乗ゆん数40匹ちょっと。
《ゆんやあああ!せんれつかんさんだあああ!》
《ゆっくりしないでいそいでせんとうはいちについてね!》
《ゆううぅぅぅ!もおてきがいるううう!!》
お互いクッソうるさい。
なぜ五月蝿いかと言うと、赤ゆんを装填する必要があるからだ。
あちこちでれいむだかが見苦しい自己弁護の泣き声をあげながら装填作業をしている巡洋艦と、急いで逃げようとしている戦闘ガレオンから同じようなセリフが響いている。
「スターポート、シュート!」
お姉さんがボタンを押し、発砲。
赤ゆ達が「おそら」と言う間もなく、敵船にぶち当たる。
0.8Jくらいで飛んでいった赤ゆは戦闘ガレオンの舷側を容易く貫通している。
当然円錐状にゆっくりをぶち殺せる程度には破片を撒き散らしている、あんな柔皮でダンボールが防げるわけないし、砂糖菓子の歯が直撃したりしたらグロい事になるのは明白だ。
《ひ、ひだりげんのじょうゆんぜんめつしたんだぜぇぇぇ!》
《ゆびぃぃぃ!》
小型艦が主力艦に襲われれば被害甚大は当然だ、だがすぐには沈まない。
「弾種変更、黒ゴマ」
どう言う意味だろうか?と首を傾げるが、お姉さんは見てれば分かりますよとニコリと笑った。
赤まりさ達がげっそりとした顔で砲身に詰められているが、中に何かが詰め込まれてるらしくまんまるだ。
「てぇっ」
《おしょらをとッ!!》
さっきよりはゆっくり飛んでいったまりさは、時限信管で炸裂してBB弾を撒き散らした。
散弾、ブドウ弾だ!
撒き散らされた散弾が戦闘ガレオン船の全区画を蹂躙していく。
《いじゃいいい!!》
《きょきょどきょおおおお!たちゅけてぇぇえええ!》
弾薬庫にも被害が及んだらしく、赤ゆどもが絶叫している。
すると何処からか煙が上がり始めた。
「あ、弾薬庫引火してる!っふふうふふふ!!」
お姉さんは高笑いを始め、巡洋艦が慌てて逃げ始めた。
打ち出す為の花火程度の装薬が何かの間違いか、砲手ゆっくりがやらかしたかで引火してるらしい。
カッ!と輝くと共に爆炎が立ち上がり、かつてゆっくりの死体だった焼き饅頭達が沈んでいく。
が、そのうちの一体が巡洋艦の甲板に飛び込んだ。
《ゆうううう!!!かねんぶつさんだああああ!!》
《いそいでおとしてね!!じゃないとしずんじゃうよおおお!!》
慌てて甲板から焼き饅頭を落とそうとするゆっくり、しかしながら焼けついた焼き饅頭は思ったより硬い!ついでに熱い。
ダメージコントロールをしようとしたゆっくりの1匹が燃え移り、甲板をのたうち回る。
《じねっ!ふねをきけんにするげすはしね!》
咄嗟に甲板長れいむが引火したゆっくりを装填棒で突き落とした。
胸がすくような気持ちだ、病みつきになる。
後ろでおんなじようにありすが引火して、甲板の装薬の箱をひっくり返してるのを同時に見てると特に。
「あーあ・・・」
「甲板後部は壊滅しましたね、これはいけません、総員退艦です」
お姉さんはびくっびくっと震えつつ声だけ冷静だ、椅子がなんか濡れてるけど気のせい、マウス握ってない片手の行方も知らない。
そんなお姉さんはつゆしらず、ゆっくり達は生き残るべく必死だ。
退艦命令が出たのは良いが短艇を下すことができない、なんでか?短艇さっき吹っ飛んだからだよ。
当然ゆっくりが水に飛び込むなんてしたら終わりだ。
「じゃあまりさはさきにしつれいするんだぜ!」
乗ゆんに混じっているまりさ達は、我先に逃げ出そうとしている。
既に船は傾斜し始めている、大きく右傾化しつつある巡洋艦で愚かなまりさ達はよりにもよって右側の水面に飛び込んだ。
「ゆがっ!ごぼっ!なん!!うげ!ないのぉ!!」
沈む船の潮流だからだよ。
飛び込むべきは左側だったのだ、沈む船で生まれる流れは訓練された人間ですら助からない、故に訓練された人間は反対側に飛び込むよう鍛えられる。
たまたま幸運だったまりさは退艦に成功し、既に離れようとしている。
飛び込むのを躊躇したまりさたちは別の脅威に襲われていた、ほかのゆっくりがお帽子を奪おうとしているのだ!
「やべでええええ!」
揉み合いになるゆっくりたち!崩れた燃えるダンボール甲板直撃!お帽子引火!ゆっくり炎上!
「こ、こないでね!れいみゅしにたくないよ!!」
燃えるゆっくり赤ゆ弾薬庫直行!馬鹿か!?
数コンマの静寂ののち、大きく爆炎が広がり、退艦に成功したまりさたちは爆発による大波に攫われて波間に消えた。
儚いなあ。
最終更新:2023年04月26日 07:09