あの子の幸せそうな表情を見てニヤケが止まらない俺は箱を持って庭に移動し、猿轡を外す。
放心状態だが下手に騒がれるよりマシだ。
箱から出して庭に放置し、キッチンに放置しておいた赤ゆっくりも庭に移動させる。
そして、玄関の棚から先程調達してきた「あるもの」を取り出し庭に向かう。
「ゆ…………」
「ゆぅ………」
「「「「ゆっくいちていっちぇね!!!」」」」
チビ共は餡子容量が少ないためか先程の惨劇を忘れてしまっている。
両親の方はついに俺に対し心を閉ざしてしまったようだ。目的まであと一押し…これでとどめを刺してやる。
俺は「あるもの」を親子に見せてやる。
「うー!!!うー!!!」
「うー!!!うー!!!」
「あるもの」の正体。それはつがいのうーパックだッ!!!
昼飯の後、あちこち駆けずり回ってうーパックの巣を探し続けた。
しかしなかなか見つからなかったため、たまたま目の前でゆっくりを運搬していたうーパックをかっぱらってきた。
そのゆっくり達は虫を報酬にうーパックに運んでもらっていたようだが、
そいつらをブッ殺し、前金として差し出すことでうーパックを買収してやったのだ。
「「「「ゆっくいちていっちぇね!!!」」」」
「「うー!!!うー!!!」」
すっかり打ち解けた赤ゆっくりとうーパック。早ぇな。
両親はゆーゆー唸っているだけだ。こちらを疑いの眼差しで見つめているようにも見える。
「それじゃあれいむとまりさで別々にわかれて、うーパックの中に入りな」
「ゆっ???」
中に入れと言われ意味不明といった感じで首をかしげる赤ゆっくり達。
だがうーパック達はそれを理解し、れいむ二匹とまりさ二匹をそれぞれ自分達の中に入れ、宙に浮いた。
「ゆっ?うきゃんでりゅよー!!!」
「わぁい!!!おしょらをちょんでりゅみちゃいー!!!」
いやマジで飛んでるから。
うーパックの口の部分から外を見てはしゃいでいる赤ゆっくり。
「うー♪うー♪うー!!!」
赤ゆっくりのはしゃぐ声を聞いて嬉しくなったのか、高度を上げたり旋回したりで赤ゆっくりを楽しませようと頑張るうーパック。
その様子を見ていた両親はというと
「あかちゃん!!!ゆっくりしていってね!!!」
「ゆっくりたのしんでね!!!ゆっくりでいいからね!!!」
すっかり元通りだ。これこそ餡子脳の真骨頂。
親子は少年を疑っていたものの、子供達を楽しませてくれるうーパックを連れてきてくれたことで思い過ごしだったと考えていた。
もはやおめでたいというレベルを遙かに超越してしまっている。
いや、完全に忘れてしまったわけではない。
少年から受けた数々の仕打ちは記憶の奥底にどんどん蓄積されているのである。
少年の狙いはそこにあるのだ。
数十分くらい経過しただろうか。
「ゆっ♪しょろしょろおろちてね!!!」
「またゆっきゅりちゃちぇちぇね!!!」
流石に飽きたのだろう。うーパックに降りるように言う赤ゆっくり。
それに応えゆっくりと地面に近づくうーパック。
「ありがとう!!!おかげであかちゃんゆっくりできたよ!!!」
「あかちゃん!!!ゆっくりおりてきてね!!!ゆっくりおれいをいおうね!!!」
「よくやってくれたな。じゃあ約束の報酬渡すから先にこっちに来てくれ」
赤ゆっくり達は饅頭の前金では足りないくらい遊んでもらっていた。
だがそれは俺にとっては好都合だった。
うーパックは言われるがまま中に赤ゆっくりを入れたままこちらに来る。
俺はポケットからマッチを取り出した。二日前うーパックを焼殺し、昨日ゆっくりの巣を焼き払った時と全く同じマッチだ。
その瞬間、両親は硬直した。
俺はマッチに火をつけ、うーパック二匹同時に点火した。
「うー!!!うー!!!うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
「うあー!!!うあー!!!うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
「ゆ?にゃんだかあちゅいよ!!!」
「ゆっきゅいちにゃいではやくだちてね!!!」
「あ゛あ゛あぁぁ゛ぁ゛ぁぁ゛あ!!!ま゛り゛じゃの゛おぼーじがあ゛あぁあ゛ああ゛あぁ゛あ゛あ!!!」
「りぇいみゅの゛がびがぁ゛ああ゛あ゛あぁ゛ああ゛!!!あぢゅいよ゛おお゛ぉぉお゛お゛お゛!!!」
「お゛があぢゃあ゛あ゛ぁあ゛あぁあ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!!!だじゅげでぇえ゛え゛え゛え゛ぇえ゛ぇえ゛!!!」
「ゆ゛っぐぢでぎな゛い゛よ゛おお゛お゛ぉお゛ぉお゛おお゛お゛おぉ゛お゛お!!!」
その時、両親の餡子に、これまでの記憶がフラッシュバックした。
れいむとまりさ、ぱちゅりーが虐殺され、うーパックは焼き殺された
騒音を出していたが幸せそうだったゆっくり家族の母は瀕死の重傷を負わされ、末っ子は殺され、財産は奪われた
自分達が生んだ命のうち一本の蔓を毟られ、無事に生まれても無惨に食われてしまった六匹の赤ちゃん
助けてもらったと思っためーりんが実は殺されてしまっていた
たった今、うーパックもろとも残された赤ちゃんが焼き殺されている
そして…一番大きな惨劇 自分の家族がおうちもろとも燃えてしまった
そのとき、おうちに火をつけたのは「誰か」…………
「「ゆ゛…ぎゃあ゛あお゛あおあ゛おあ゛お゛あ゛あ゛ああ゛おあ゛あお゛おあ゛あ゛お゛ああ゛お゛あお゛あ゛おあ゛お゛おあ゛あ゛あ゛おあ゛お゛あ゛あ゛おあ゛ああ゛!!!!!!」」
れいむとまりさは、今までで最も大きな声を上げ、絶叫した。
うーパックは灰になった。中にいた赤ゆっくりもろとも…
「あーあ、死んじゃった★」
少年のその言葉が引き金となり、
れいむとまりさに蓄積されていた感情が爆発し、燃え上がった。
「「…………ゆ゛っぐり゛じね゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!!!」」
れいむとまりさは憎しみの権化となり、少年に牙を剥き、襲いかかった。
それは、いつぞやの「般若の相」とは比べものにならないほど鬼気迫るものだった。
少年はれいむに右腕、まりさに左腕を噛みつかれた。
「ノーダメージだっつーのォォオオオ!!!」
やせ我慢などでは決してない。全く痛くないのだ。怒り狂っているとはいえ、ゆっくりの力なんてそんなものだ。
それを知っていたからこそこのプランを決行したのだ。
とりあえず利き腕にひっつかれているとウザいのでれいむを地面に叩きつけた。
「ゆ゛べっ!!!」
地面にキスし、ひしゃげるれいむ。
そしてフリーになった右腕を振りかぶり、まりさの右目めがけて振るう。
グシャ!
「ゆ゛があ゛あ゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛!!!ばり゛ざの゛お゛め゛め゛があ゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛ぁ゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛!!!」
まりさの体は右目を中心に全体の四分の一が吹き飛んだ。
吹っ飛んだ際に深く噛みついていた歯が何本か折れた。
「よ゛ぐも゛ま゛りざを゛お゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛お゛お゛ぉ゛お゛お゛お゛お゛ぉ゛お゛お゛!!!ゆ゛ぶひゃっ!!!」
再び向かってきたれいむを踏みつける。
「でい゛む゛うううううぅうううううぅううぅううう!!!」
「動くな」
そう言って俺はれいむを踏みつけた足をグリグリ動かす。
「ゆ゛ぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ」
れいむは苦しそうな声を上げる。実際苦しいのだ。
「下手な真似したらこいつを踏みつぶすぞ」
「れ゛、れ゛い゛む゛ううぅぅうぅぅ……」
まりさは大人しくなった。体の一部が無くなったというのによーやる。
俺はその場でしゃがみこみ、れいむをその手に掴む。
れいむはさっきのグリグリで意識が朦朧としているようだ。
「れ゛い゛む゛を゛はな゛ぜぇえ゛ええ゛え゛ぇえ゛え゛ぇ゛え゛ぇえ゛!!!」
それを見て向かってくるまりさ。
「状況がわかってないのか?」
そう言ってれいむを掴んだ部分に力を入れる。
「あ゛っあ゛っあ゛っあ゛っあ゛っ」
再び苦しそうな声を上げるれいむ。
「ゆ、ゆううううぅうぅううう………」
突撃をやめ、再び大人しくなるまりさ。
「そうだ、大人しくしてろ」
俺はそう言ってまりさを再び箱に閉じこめた。
「そこで今から俺がやることを見てろ。安心しろ、れいむは殺さん」
俺は再びマッチに火を付け、れいむの底部を焼く。
俺の上を行く虐待派達がよく使う方法だ。底部を焼かれることでゆっくりは跳ねることができなくなる。
「あ゛ああ゛あぁ゛ああ゛あ゛ぁ゛ああ゛あぁ゛あ゛あぁ゛ぁあ゛あ゛!!!でい゛ぶの゛あ゛じがあ゛あぁ゛ぁぁ゛ぁあ゛ああ゛ぁあ゛ああ!!!あ゛づい゛いい゛いい゛ぃぃ゛ぃ゛いい゛いい!!!」
「れ゛い゛む゛う゛う゛うぅ゛ぅうぅ゛うぅ゛うぅぅ゛う゛うう゛うぅ゛う゛うぅ゛ぅう゛うう!!!」
マッチの火が消えたあたりで焼くのをやめる。この程度なら跳ねることができずとも這って移動するぐらいはできるだろう。
さて、次だ。部屋に戻ってニッパーを持ってくる。
ペンチが望ましかったんだが探すのがめんどくさかった。でもゆっくり程度ならこれでいいだろう。
俺はニッパーでれいむの歯を掴み、一本一本引き抜いていく。
「ぴゅっ!!!ゆばっ!!!ぴぎぃっ!!!ぷぅぅっ!!!」
「あ゛あ゛ぁぁ゛ぁあ゛ああ゛あ゛!!!れ゛い゛ぶの゛っ!!!れ゛い゛ぶの゛はがぁあ゛ああ゛あ゛ぁあ゛あ゛あ!!!」
まりさの悲鳴をBGMに作業は順調に進み、全ての歯を抜き終わった。
「ひゅっ!!!ゆぴゅっ!!!ぴゅへっ!!!」
歯無しのれいむの発する言葉は文字通り話にならない。
だがまだだ、まだ終わらんよ…
また部屋に戻り、今度はバケツを持ってくる。
そしてその中身をれいむにブチ撒ける。
「ぴゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁ゛ぁあ゛ああ゛ぁ゛ぁあ゛あぁぁ゛ぁぁ゛ぁあ゛ぁぁ゛あ゛あ゛ああ゛あぁ゛あ!!!」
中身は熱湯である。いわゆる湯責めというやつだ。
お湯と言えど瞬間的にぶっかけられただけではゆっくりは死なない。
だがれいむの皮は水によってふやけ、熱によってあちこちに火傷ができている。どうなってんだ。
「れ゛い゛む゛っれ゛い゛む゛っれ゛い゛む゛っれ゛い゛む゛っれ゛い゛む゛っ…」
まだまだぁ!!!
次はさっき持ってきた釘を使う。日曜大工用に保管してあったやつだ。
そいつを一本一本れいむの頭に刺し込んでいく。
「ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛ゆ゛っ゛」
一本刺す度に面白い声で鳴くれいむ。調子に乗ってケースに入っていた分全部刺しちゃったぜ。
「れ゛い゛む゛れ゛い゛む゛れ゛い゛む゛れ゛い゛む゛れ゛い゛む゛れ゛い゛む゛れ゛い゛む゛れ゛い゛む゛れ゛い゛む゛れ゛い゛む゛れ゛い゛む゛れ゛い゛む゛」
まりさは呪詛のようにれいむの名を呼び続けている。
その後もれいむに対する虐待はれいむが気を失うまで続いた。
そしてその矛先はまりさに向けられた。
まりさは必死に抵抗しようとしたものの、人間の前では全くの無意味だった。
だがまりさに対する虐待は、傷口にマッチを押し当てられる、軽くボコボコにされる、帽子に犬のフンと少年の小便をひっかけられる、髪の毛に少年が吐き捨てたガムをつけられる程度で済んだ。
日が沈んだころ、まりさは少年に掴まれ、町外れの森まで連れて行かれた。
そして少年はまりさを森に向かって投げ捨てた。
「ゆ゛ぎゅっ!!!」
「お前は逃がしてやる。ここには捕食種もお前らを取って食う動物だっていやしない」
「れ゛…れ゛い゛む゛…れ゛い゛む゛を゛がえ゛ぜっ゛………」
「まだそんなことを言う元気があったか、驚きだな。だが安心しろ。れいむは生かしておいてやる。殺す以外のことはするがな。
取り返せるもんなら取り返してみろ。わかってるだろ。お前は俺には勝てない」
「ゆううううぅぅぅぅ…………」
まりさはわかっていた。れいむを助けてあげたい。
だが自分の力ではこの人間に勝つことはできない。
今は森に逃げる。それがまりさが選んだ選択だった。
「ごろ゛じでや゛る゛っ!!!あ゛の゛に゛ん゛げん゛!!!い゛づがぜっだい゛ごろ゛じでや゛る゛っ!!!」
憎しみの権化となったまりさ。その姿はあのゆっくりしていた頃の面影はまるでなかった。
まりさはれいむを見捨てたわけではなかった。まりさは独り立ちする前に母親から聞いたことを思い出していた。
それは、もしもゆっくりできなくなったときの「最終手段」。
まりさはれいむを助け出すため、あの人間に復讐するため、その「最終手段」にすがるべくボロボロの体に鞭打って森を駆けていった。
「計画通り…」
全てが思惑通りに進行し、俺は自室で笑っていた。
その傍らには、まりさ以上にボロボロになった箱詰めのれいむ。かろうじて生きている状態だ。
虐待兄貴は言っていた。
ゆっくりしたスタンダードをどれ程虐待しても最後の言葉は決まって「どう゛じでごん゛な゛ごどずる゛の゛お゛おぉお゛お゛お゛おお゛!!!」だと。
それは人畜無害のゆっくりだからこそ口にできる言葉だ。
しかしそれではつまらない。だからこそ俺は少し時間をかけて「憎しみを植え付ける」仕込みを行ったのだ。
ゆっくりはその独特の餡子脳で都合の悪いことはすぐ忘れてしまう。だがそれは飴を与えた場合に起こりやすい。
ならば間髪入れず一方的に鞭を与え続ければいい。そう思って連中の家族を皆殺しにしてやった。
特に自分ではなく自分の大切なモノを痛めつけられれば効果は倍増だ。それは人間も同じである。
その結果がこれだ。全てがうまくいきすぎて笑いが止まらない。
…だが「憎しみを植え付ける」ことはあるシチュエーションを作り出すための準備に過ぎない。
俺は知っている。あの後まりさがどんな行動に出るのか。まりさが頼っているものが何なのか。あの森には「何が」いるのか…
仕込みは全て終わった。あとは「それ」が起こる時を待つだけだ。
作:TOSSY
餡子脳はいろんな意味で都合がいいですね。
一番スタンダードだったのはゆっくりではなく僕の虐待ですね…
余談ですが初作品にうーパックを出したのは「うーパックとぱちゅりー」のSSのうーパックがあまりにもいい声で鳴くものですからついw
んでその後うーパック作品がたくさん出てとても楽しめました。
次回で「憎しみの炎編」は終わりです。シリーズ名は今付けましたが火攻めが多いし一番合ってるかと思いまして。
その後は別の主人公の話とか、気が向けば初作に出た自称無敵まりさの生涯を書くかもしれません。
最終更新:2018年04月02日 23:08