うちの庭はゆっくり達によく荒らされる。
花壇(すでに雑草だらけ)や池、そして外敵が少ないせいなのだろう。いつの間にかゆっくりが来て荒らしていくのだ。
今は面倒なので荒らされたまま放置しているが、それでもゆっくり達は煩いし何かとうざい。
最初は潰して駆除していたが、飽きずに奴らは来る。ゆっくりの死体を放置していても「はふはふっ」と食う始末だ。きもい。
なのでこの際やつらで遊ぶことにした。
そのために今回使うのは『ギロチン』。そう、首をはねる処刑道具だ。
今回はそれをゆっくりに使うわけだ。

早速庭にいるゆっくり霊夢の家族を部屋に連れていくことにする。
一週間ほどから庭に住み着いているゆっくり霊夢の家族は子ゆっくりが多く、マジでうるさい。
普段は閉め切っている庭への入口を開けるとちょうどゆっくり家族は池の脇でゆっくりしているところだった。
俺は奴らに近づくと『⑨でもわかるゆっくり虐め by阿Q』に従って声をかける。
「ゆっくりしていってね!」と。
「「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」」
ああうるさい。特に子ゆっくりの声は甲高くて耳に障る。
「ゆっ、おじさんどうしたの? ここはれいむたちのおうちだよ!!」
「いまみずばでゆっくりちてるのー!」「おじさんゆっくりできるひとー?」
おじさんとはひどい。まだ10代(16進数)だぞ。しかし我慢だ。
「ああ、ゆっくり出来るよ。おにいさんはほら、隣のおうちに住んでいてね。挨拶にきたんだよ」
「そこのおうちはおじさんのおうちだったんだ!」
お、一応そこの分別はあるんだな。ただこの庭も俺の家なんだけどな。
「おじさん!」
バスケットボール大ほどの一番大きな母ゆっくりが話しかけてくる。他の子ゆっくり達は水遊びに戻っていた。
「ん、なんだい?」
「おじさんのおうちはきょうかられいむのおうちにするね!!」
前言撤回。やっぱこいつら分別ないわ。いや、そういう次元の問題じゃないわ。
「あ~、だめだよ。でもおにいさんのおうちに来てゆっくりさせてあげてもいいよ」
「ゆっ! じゃあゆっくりおうちに入れてね!!」
あいよ、と子ゆっくり共々我が家へ入れてあげる。

入ってすぐの部屋が今日のために用意したゆっくり虐待ルームだ。なのでゆっくりに使う道具以外は何も置いてない殺風景な部屋である。
「はい、ここがおにいさんのおうちだよ。ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていくね!!」と母ゆっくり。
「ゆっくりちていくね!」「ゅ!なにもないよ!」「でもきのいたが冷たくて気持ちいいよ!!」
続く子ゆっくりは反応が様々だ。えぇと、全部で11匹か。母親ゆっくり含めて12匹と。
「おじさん、れいむたちのあたらしいおうちには食べ物がないの? ゆっくりもってきてね!」
「ちょっ」
もう新しいおうちとか言いやがった。ありえん(笑) …というかおじさんはいい加減やめて。
「わかったよ。でもその前にゆっくり楽しめるおもちゃで遊ぼうよ」
「あとでいいから食事もってきてね!」といい加減うざい母ゆっくりだが、子ゆっくりは楽しめるおもちゃという言葉に反応する。
「おもちゃ! ゆっくりだしてね!」「ゅーゅー♪」「おもちゃがさきにほしいよ!!」
そんな感じで子供が言うので母親も食事は後でよくなったようだ。

そしてようやくギロチン様の登場だ。
ゆっくり向けに作ったので高さは大体1m。刃はギロチンの高い所に留め具で固定されていて外すと刃は落ちるというわけだ。
さらに刃の背中側には一本の長い縄が付いていてそれを引っ張っていれば留め具がなくても落ちることはない。
ちなみに威力は実証済みだ。腕ぐらいに太い木の枝もバッサリだぜ。さすが冥界の刃だ。
ああ、もう早くこいつらを真っ二つにしたい。でももう少し我慢だ。
「ゆっ? なにそれ???」「たのしめるの??」「おじさんこれでゆっくりできるの??」
子ゆっくりは見たことのない道具に興味心身だ。
「まぁ待てこうやって使うんだよ」
俺はポケットから饅頭を出してギロチンへとセットする。
「ゅー!おまんじゅうたべたいよ!!」「ゆっくりわけてね!!」
なんて言いながらギロチンに突っ込んでくるゆっくりしない畜生どもを弾く。食べ物見るとこれだよ。
「ゆっくり見て行ってね!」
「「「「ゆっくりみていくね!!!」」」」
条件反射でゆっくり挨拶を返すゆっくり家族。扱いやすいなー。
「よーし、みてろよー」
留め具を外す。縄を手から放す。刃が落ちる。饅頭真っ二つ。
まさに一瞬だ。
ゆっくり達もびっくりしてるようだ。
「ゅー、こわいよー!」「おじさんこれじゃゆっくりできないよ!!」「ほかのおもちゃよういしてね!!「あとおかしもだしてね!!!」
さすがのゆっくりも危険なものだと判断出来たらしい。それはむしろ好都合だ。
俺は俺に向かって食事をもってきてねとうるさい母ゆっくりをギロチンの台にセットする。
「ゆゆっ! なにするの!!? ゆっくりやめてね!!!」
無視しながら母ゆっくりが逃げ出せないように固定する。あと、しゃべらせないために口に布をつめてやる。
「むぐーっ! んんぐぐぐぐーーーー!!!」
「ゅ! おじさんなにするの!!」「おかあさんをゆっくりはなしてね!!」「ゆっくりできないおじさんはしね!!!」
子ゆっくり達は勇敢にも体当たりしてくる。しかしダメージなどあるわけがない。
「おいおい、これからが楽しいんだぞ?」
「なにいってるのかわからないよ!! ぜんぜんたのしくないよ!!!」「はやくおかあさんをゆっくりたすけてね!!!」
11匹の子ゆっくりが抗議してる中、俺はギロチンの留め具を外した。
「アーッ!!」「おがあざああああん!!!」「やめでえぇぇぇえ!!!」「ゅーーー!!!」
しかし刃は落ちない。そりゃそうだ。刃に付けた縄を掴んでるので落ちることはない。
「ゅっ! おちてこないよ!!」「ゆっくりたすかったね!!」「おじさんのばーかばーか」「ゅー♪」
「お前ら馬鹿か? 馬鹿だろ? いや、馬鹿だ。俺がこの縄を放したらどうなるか覚えてないのか」
言うと勝ち誇っていた子ゆっくり達の顔が固まっていく。
「い”やぁぁぁぁぁ!!」「おじさんばなざないでぇぇ!!」
「じゃあこの縄をお前らが引っ張れよ。俺はもう放す」
俺はそう言うと縄を刃の上方、ギロチンの頂点に備え付けていた滑車に引っかけると子ゆっくり達に残りの縄を投げつけた。
長い縄なのでゆっくり全員で引っ張れるだろう。
すると子ゆっくり達は数秒考えた。
「みんなでおかあさんをゆっくりたすけるよ!!」「なわをみんなでひっぱるよ!!」「ゅー! ひっぱるょ!」
ゆーゆーと何やら気合い入れると、子ゆっくり11匹は縄を咥えて引っ張りだした。
それを確認すると俺は縄から手を離した。と同時にゆっくり達に襲いかかる重み。
「おもひよ!!」「へも、みんふぁでふぁんふぁればふぁいようふだひょ!!」
翻訳すると重いよ、でもみんなで頑張れば大丈夫だよ、か。いつまで保つやら。


だがしかし、子ゆっくり達の母を思う力は強いようだ。すでに始ってから3時間が経とうとしていた。
がんばってはいる。だが小さなゆっくりほど疲れが見てとれた。
「がんばるなぁ。そんなお前たちに感動したからお菓子用意したぞ」
床に色んな種類のお菓子をばらまいてやった。なんてやさしいんだ俺。
ゆっくり達は物欲しそうな瞳で床に散らばったお菓子を見る。
ちょっと縄から口を放して跳ねれば食べられる距離。そう、母を見捨てて家族を裏切ればの話だ。
子ゆっくり達は家族の絆と食欲の間で揺れ動く羽目になった。
(これからが楽しいところだな)
ゆっくり達は食欲に弱いからな。食料が無いために共食いするなんてこともよくあること。
俺は隣の部屋へ移ると、扉にあけた覗き窓から様子を観察することにした。


お菓子を床に置いてから5分程だろうか。もっと短かったかも知れない。
一番のちびゆっくりが食欲に負けてお菓子へと飛び付いたのだ。
「ゅー!おいちいよ! ゆっくりできるー!!」
母や姉にも遠慮せずにバクバク食べるちびゆっくり。
子供なら仕方ない、そう言えるのは通常時のみ。今はゆっくり達にとっては緊急事態なのだ。
乱闘でも起こるかなと思ったがこのゆっくり家族は思いのほか絆が強いようだった。
一番の姉であろうゆっくりは言う。
「ゆっくりみんなのぶんもってきふぇね!!」「おかしみんなでたふぇたらげんきになっておかあさんたすけられるよ!!」
ちびゆっくりを責めず、今のゆっくり達にとって最良になりえる指示を出した。
だが、ちびゆっくりはその言葉を聞くと、
「ゅ! ぃゃだょ!!! これはぜんぶわたちがたべるの!!」
「だめだよ! おがあざんじんちゃうよ!!」
「おねえちゃんがたすけてね! わたちつかれたよ!!」
「つかれてるのはみんないっしょだよ!!」
しかしここで妹ゆっくり達が動き出した。

このままではちびゆっくりに全部のお菓子を食べられてしまう。
一人ぐらい縄を放しても大丈夫だろう。
食欲と集団心理が彼女たちを動かした。
一匹、そしてまた一匹と縄から口を放してお菓子に口をつける。
「はふっはふっ! うっめめっちゃうっめ!!!」
「な"んでみんないっぢゃうの"おぉぉぉぉ!!」
姉の悲鳴が響く。もはや縄を咥えて引っ張っているのは二匹だけだった。
姉妹の中でも大きい二匹だ。少しの間がんばった。つまり少しの間しかもうがんばれなかった。

ザンッ!!!!
「むぐっ!!?」

無常な風切り音と母ゆっくりの小さな断末魔が聞こえた。
見ると母ゆっくりは綺麗に真っ二つに斬られている。少し意識が残っているようだったが、餡子が床へ流れ出て死んだ。
さて、子ゆっくりはというと、
「なんで放したのぉぉぉ!!!」「おねえちゃんのせいだー!!」
「おねえちゃんとはもうゆっくりできないよ!!」「ゆっぐりじねぇぇぇ!!!」
ひどい話である。最後までがんばった姉ゆっくり達を、がんばらなかった妹ゆっくり達が責める。それもお菓子を頬張りながら。
姉ゆっくりはぷるぷると涙を浮かべながら震えていた。それは何かを我慢しているようだ。

「ゅー♪ がんばれなかったおねえちゃんはゆっくりちんでね!!」
一番最初に縄を放し、さらに家族の崩壊を招いたちびゆっくりの罵倒がトリガーとなった。
「うががあああああ!!!」「あががががが!!!」
突然ゆっくりとは思えない叫び声を上げて二匹の姉ゆっくりが暴走する。
二匹が向うのはまずちびゆっくり。
「ゅ!? うべぇっ!!??」
突進してきた姉ゆっくりに反応もできずに潰されてしまった。
もう一匹の姉ゆっくりは生きてるとも死んでるとも判別付かないソレに飛び乗るとそのまま何度も跳ねた。床に広がっていく餡子。
これでちびゆっくりは完全に死んだ。
「ゆ!? おねえちゃんたちやめてね!!」「ゆっくりさせてえぇぇぇぇ!!!」
「やあぁぁぁ!!!」「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」
鬼と化した姉ゆっくり達に恐怖し、バラバラに部屋を跳ねまわる。
鬼ごっこの始まりだな。ただし鬼は殺る気モードの二匹だ。


追うものと追われるものでは動きがまるで違う。
追われるものは恐怖からか上手く跳ねまわれず、終いには転ぶ。
そうして小さく力の弱いゆっくり達から鬼姉ゆっくりに挽き潰され、噛みつかれ、そして食われた。
「や”あ”あ”あ”!! お、おじさんどこいったの!? おじさんだずげでぇぇぇ!!!」
おにいさんと言え。そしたら考えたかも知れない。あ、だめだ。食われたw

そして10分程度でリアル鬼ごっこは終了し、11匹いた子ゆっくり達も姉ゆっくり2匹を残すのみとなった。
体は餡子にまみれ、髪には白髪がまじり、目は恐怖ではなく狂気で見開いていた。
こえぇ、これは子供が見たら絶対泣くぜ。
あまりに怖いからこの二匹はこのままこの部屋に放置しよう。




「ぎゃぅぁあばば!!!」
「なんだなんだ?」
その夜、あの二匹を放置した部屋から悲痛な声が聞こえたので慌てて見に行った。
「こいつら…」
するとその二匹が争っていた。口元には餡子。見ると部屋にまき散らされた餡子が無くなっていた。
ギロチンの周り、母ゆっくりが在った場所にも、だ。
(こいつら食べやがった。あんなに助けようとしていた母ゆっくりまでww)
そしていま、お互いを食べようと睨み合っているのだ。
これは食欲じゃないな。お互い食べられるかもと信用できないんだ。

勝負は意外とあっさり終わった。
一匹が体当たりすると、体当たりされたゆっくりは転がっていった。
転がったゆっくりは台に落ちている刃へ当るとそこで止まった。
「ぐぁ…ぅ」
体当たりされたゆっくりは相当な衝撃を受けたせいで朦朧としている。
体当たりしたゆっくりはギロチンの縄を咥えて引っ張った。
数時間前は助けるために引っ張っていた縄。しかし今度は殺すために縄を引っ張った。
動けないゆっくりは、刃が上方に昇ったせいでよっかかる物が無くなったのでギロチン台へと突っ伏す。
それを確認した縄を咥えたゆっくりは、縄を放し、姉妹を処刑した。
「うげげげげげげげげげげげげげげげげげげげげ!!」
鬼と化し、完全に狂ったそのゆっくりは一晩中笑い続けた。






結局俺はその狂ったゆっくりを野へ放してやった。
殺したら何だか呪われそうだし、家に置いていても笑い方が怖くて眠れないしな。

それからしばらく我が家の周りに種別問わずゆっくりの死体が増えることになる。
数ヶ月後にはゆっくり達の屍の上で鬼のような顔をしたゆっくりが息絶えていたらしいということを聞いた。


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最終更新:2022年04月14日 22:44