無意味に平和な休日の昼前。
「おーい、ゆっくりゃ~!プリンだぞ~!」
「う~!ぷっでぃ~ん、だべるどー!」
私が庭の草むしりをしているとお隣のゆっくり愛好家宅の庭先からそんな声が聞こえてきた。
ゆっくりゃ。正式名称ゆっくりれみりゃは何故か紅魔館では大量繁殖しているらしいが、それ以外ではめったに見かけない貴重なゆっくり。
そんな貴重な種を飼っているなんて、流石愛好家を名乗るだけのことはあるなと思いつつ、1m程度の低い柵越しに隣りの庭の様子を伺う。
そこにあったのは3つの影。1つは家主のゆっくり愛好家だろう。一応毎日挨拶しているから見間違えることはない。
もう一つの影は背丈は3,4歳の子どもくらいなのだが、顔がやたらに大きくぱっと見3頭身。妙にばばくさい衣装を着た膨れっ面の女の子?だった。
見た感じ人間ではない。恐らく、あれがゆっくりゃなのだろう。人間という種が理性と引き換えに捨て去って来た本能のレベルで不快感を覚えさせる奇天烈かつでたらめで見苦しい踊りを踊っている。
いや、あんなものを踊りと呼ぶのは人類が築き上げてきた舞踏という文化・伝統に対する挑戦だといえるかもしれない。
まあ、長々と説明したが、一言で言うととにかくうざかった。もし飼い主がいなかったら私の中に眠る野生の衝動がアレを八つ裂きにしていたかもしれない。
そして最後の一つ影。それは普通の人間だった。一見するとさわやか系のイケメンちっくな風貌の持ち主なのだが、ゆっくりの虐待にかけては右に出るものがいないほどの虐待の達人である。
正直、この異常な性癖ゆえ避けて通りたいタイプの人間だ。というか、一部の界隈では下級の妖怪じゃないかとさえ言われているくらいだから避けるべき相手だろう。
そんな彼が何故ゆっくり愛好家の家の庭先にいるのだろうか?そして、何故柔和な笑みを浮かべてゆっくりゃを見守っているのだろうか。
その疑問は次の瞬間、氷解する。
「さあ、ゆっくりゃ、お口を開けてー!」
「ぎゃお~♪」
口を開くように指示したゆっくり愛好家の手にあるのはバケツプリン。目算だが10リットルは入っているだろう。
しかも、愛好家宅の庭をよく見てみると、プリンの入ったバケツが山ほど用意されている。
1つ2つ3つ・・・その数なんて107杯。1トンをゆうに超える常識はずれのボリューム。こ、これが愛好家ということなのか・・・。
と、あっけに取られている間にも愛好家のお兄さんはバケツプリンをゆっくりゃの口内に叩き込まんと振りかぶった。
どう見ても口より大きいだろ!と内心突っ込みながらも、私は生理的に受け付けないあの不愉快なゆっくりゃがバケツプリンをぶつけられる姿を期待する。
しかし、その瞬間はやってこなかった。
ゆっくりゃめがけてバケツプリンが解き放たれた瞬間・・・
ゆっくりゃの口が異常なまでに広がり・・・
バケツプリンを丸呑みにした・・・。
「どうだ、美味しいか~?」
「うご、あが、んんーーー!!!」
「そうかそうか、狂喜乱舞するほど美味しいか、はっはっは」
いや、どう見ても苦しそうでしょうが。
それにしても、なんであんな風に口が開いたんだろう?
生来の機能だというのなら、あんなふうに苦しむほどの量をいっぺんに飲み込むことはありえないように思える。
「んぐ、あぐ・・・!?う゛ー・・・」
やっと飲み込めたらしい。安堵の表情を浮かべて下を向き、ため息をついている。
「よーし!もう一杯行くぞ~!!」
発明家のお兄さんは再びバケツプリンを手に取ると先ほどと同じように振りかぶった。
さっきの苦しみのせいか、ゆっくりゃはバケツプリンから逃げようと身を翻した。・・・いや、身を翻そうとした。
しかし、少し体をねじったところで身動きが取れなくなり、またしても放たれたバケツプリンを丸呑みする羽目になる。
「んぐーーーー!!!あぐーーー!!ん゛ーーーーー!!」
またしても苦悶の表情を浮かべひっくり返るゆっくりゃ。
その瞬間、確かに見た。
ゆっくりゃが動けなくなった瞬間、あれの口が広がった瞬間、庭先で様子を見守っていた虐待お兄さんの手が複雑に動いていた。
彼はあのゆっくりゃに何かをしている。何をしているのかまではわからないが、何かをしているのは間違いないだろう。
「ん゛!!んぐっ!!!あ゛ーーーー!!!」
またしても何とか立ち直ったゆっくりゃを見て、バケツプリンを手に取る愛好家のお兄さん。
「いや゛ーーーー!!!ぷっでぃ~んぎらい゛ーーーー!!!」
泣き叫ぶゆっくりゃ。その言葉を聞いた愛好家お兄さんは一瞬手を止める。
が「はっはっは、遠慮なんてしなくて良いんだぞ♪」とまたしても問答無用にバケツプリンを放つ。
その動作を確認した直後、またしても虐待お兄さんの手が怪しく動く。
またしてもバケツプリンはゆっくりゃの口に吸い込まれた。
身勝手な、なおかつ常軌を逸した愛情を押し付け、相手の言い分を自分の都合の良いようにしか解釈しないゆっくり脳の持つ主。
そして虐待にかけては右に出るもののいない、というかもはや人知を超えた何かになりつつあるような気がしなくもない虐待マニア。
まさに前門の虎、後門の狼だ。
バケツプリン攻めは全てのバケツが空っぽになるまで続けられ、終わった頃にはどっぷり日も暮れていた。

その後、飼い主のゆっくり愛好家に絶交宣言をしたゆっくりゃは、あまりに肥え太って歩くこともままならない状態で何とか家を出た直後に虐待お兄さんにじっくりしっかり殺された。
その手並みはあまりに残虐にして鮮やかなものだった。もはや芸術の域にまで高められた虐待・・・そのあまりの美しさに私は涙を流していた。
愛好家のお兄さんも「野生のゆっくりの所有権は拾い主にあるから仕方がない」とやけにあっさりしていた。そんな彼の目にも涙が浮かんでいたが、それが悲しみによるものなのか、私と同じ感動によるものなのかまでは分からなかった。





---あとがき?---

構想10秒。製作期間20分の超大作です。誤字脱字はいつものこと!
この作品は「ゆっくりをとにかくゆっくりさせる」に近いコンセプトのものですね。
相手の望むことを極端な形で実現し、それの中止を認めない。
肥えまくったゆっくりゃを虐待お兄さんがどんな風に虐殺したかは想像にお任せします。

byゆっくりボールマン

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最終更新:2022年04月16日 23:04