「おいこら、虐待野郎!!」
「なんだ・・・愛で太郎じゃないか・・・朝っぱらから騒々しい」
愛でお兄さんは朝一番に虐待お兄さんお部屋に突撃してくると、わけのわからないことを叫んだ。
「お前にこのゆっくりが虐待できるか!!?」
そう言って、彼が差し出したのはビー玉サイズの極小ゆっくりれいむとゆっくりまりさ。
それから、そのれいむとまりさの周りにはBB弾サイズの超極小ゆっくりれいむとゆっくりまりさがいた。
「「ゆっくりしていってね!」」
「「「「ゆっきゅりちちぇっちぇね!」」」」
「こいつは・・・?」
「ゆゆっ!みんにゃれいみゅのこどもたちだよ!」
虐待お兄さんが物珍しそうに小さなゆっくりを眺めていると、愛でお兄さんの肩に乗っているプチトマトサイズの赤ちゃんれいむがそんなことを抜かした。
もちろん、赤ちゃんれいむに出産なんて出来るわけがないので、その子の与太話を軽く聞き流して愛でお兄さんに詳しい説明を求めた。
「そいつらはな・・・小柄な個体ばかりを選りすぐって交配を繰り返して作ったミニマムゆっくりだ」
「・・・なるほど、こいつら親子なわけか」
「どうだ、これだけ小さくて可愛らしいと虐待できないだろう!」
虐待お兄さんは思った。それとは別の次元で虐待する気が起きないな、と。
そもそも、彼はいわゆるアマチュアレベルの、ちょっとした虐待愛好家でしかない。
そんな彼にとって、創意工夫を凝らさないと針で突いただけで死んでしまいそうなミニマムに何の魅力も感じないのだ。
「ん~・・・こんな惰弱なもん虐待するのもめんどくさい」
「はっはっは!強がるな強がるな!」
「ゆゆっ!?みょうしゅぐちーちーのじかんだよ!」
お兄さん達が平和なやり取りをしていると、赤ちゃんれいむがそう叫びながら、ミニマムゆっくりの傍へ跳ねていく。
「あかちゃ~ん、ちーちーだよー」
そんな猫なで声を出す赤ちゃんに尿道を刺激されて放尿を強要されているのは親のミニマムれいむだった。
相手は無力な赤ちゃんれいむであるにもかかわらず、ミニマムの親は全く抵抗できない。
尿道を舐められ続けているうちに、やがて下あごに穴が開いて、そこからちょろちょろと水が漏れ始める。
「ゆううううううう!?あかちゃんたちいいいい!みにゃいでええええええ!!?」
ミニマム親れいむが顔を真っ赤にして叫んでいる傍らで、ミニマム赤ちゃん達は親の痴態に失望していた。
そりゃそうだろう。赤ん坊にも勝てない上にいい歳こいた大人が人前で赤ちゃんにおしっこの手伝いをしてもらっているのだから。
しかし、その光景を見た虐待お兄さんはあることを思いついた。
「そぉい!!」
掛け声とともに愛でお兄さんの手を叩く。すると、手の上に居た全てのゆっくりが方々に弾き飛ばされた。
赤ゆっくりは愛でお兄さんがナイスキャッチ。
ミニマムゆっくりの一家は家族全員てんでばらばらの方向へ弾き飛ばされてしまった。
「ふぅ、すっきりした」
「どほどでいこんにゃこちょしゅるにょおおおおおお!!?」
「お前の飼い主が虐待しろって言ったから」
「どほぢてそんにゃこちょいうにょおおおおお!?」
「いやぁ、まさか本当に虐待されるとは思わなくて・・・お詫びにチョコレートあげるから許してくれ」
「ゆっきゅりりきゃいちたよ!」
「なんだ、お前らも愛着持ってなかったのかよ・・・」
「小さすぎて愛でにくいんだよ!」
「あかちゃんのくしぇにおとなぶっちぇりゅんだもん!」
用件を済ませた虐待お兄さんは「二度寝するからとっとと帰れ」と愛でお兄さん達を追い返した。
それから、部屋の中央に座り、静かに心を研ぎ澄ませて、室内に散り散りになったミニマム達の声に耳を傾ける。
「ゆぅ~・・・おきゃかしゅいたよ~・・・」
このれいむは他の家族からはぐれ、小さすぎる体にとってはサハラ砂漠にも等しいこの室内で生きていくことが出来なかったようだ。
空腹を訴える声は体の小ささ以上に弱々しく、次の瞬間には消えてしまってもおかしくないものだった。
「もっちゅゆっくちとちゃかっちゃよぉ~・・・」
これはミニマム赤ちゃんまりさの断末魔だった。
さっきのれいむ同様に空腹に耐えられなかったのか、それとも別の要因か。
何にせよ、これで、ただ室内に解き放っただけで既に2匹の赤ゆっくりが死滅してしまった。
「まりぢゃあああ!あがぢゃんだべぢゃだべええええ!?」
「うっめ、これめっちゃうめぇ!?」
「ゆきぃぃぃぃいいいいいい!?やめちぇええええ!!」
ある箇所から3匹のミニマムゆっくりの声が聞こえてくる。
恐らく両親と赤まりさのものと見て間違いないだろう。
どうやら空腹に耐え切れなくなった親まりさが赤ちゃんを食べてしまったらしい。
母性の強いれいむはこの蛮行を許すはずがないだろうから、一家の離散はほぼ確定した。
付け加えるならば、親2匹が協力することを諦めた時点で、この一家の全滅も確定した。
「む、むちしゃんこっちこにゃいでね!?」
またある場所からは虫におびえる赤れいむの声が聞こえてくる。
しかし、相手はゆっくりでも人間でもなくただの虫。言葉など用いても無視されるのがオチだろう。
数秒後、赤れいむは「やめちぇえええええええええ!」という言葉を発し、完全に沈黙した。
「・・・虫が居るのか。今度バルッサン買って来よう」
案の定、既にほぼ壊滅。
極めて小型だからこそかえって高高度からの落下で潰れることはなかっただろう。
しかし、あのサイズでは親でさえも秒速1cmあるかどうかの移動しか出来ず、この狭い男性の部屋で家族が集合することは非常に困難。
そう、彼が行った虐待とは人間の庇護を引っぺがす、ただそれだけのことだったのだ。
「しかし、愛での野郎・・・俺よりたちの悪い虐待しやがるな」
思い返してみれば先ほどの赤ちゃんれいむの行動。
自分に親の尊厳をあそこまで傷つけることができるだろうか?
産まれた瞬間から人間の、あるいは他のゆっくりの玩具となることが確定している生命。
誕生それ自体が既に虐待として成立させるなど、とてもじゃないがこの虐待お兄さんに出来るものではなかった。
‐‐‐あとがき‐‐‐
英国にはサンベリーナという体高50cm程度の馬が居るそうです。
ゆっくりも小さな個体の交配を繰り返せば大人でも赤ちゃんサイズになるんじゃなかろうか?
byゆっくりボールマン
最終更新:2022年04月16日 23:09