あねきィィさんからのお題「羽饅」から書きました。
俺設定満載




羽饅




「う~♪う~♪」

数匹の胴無しれみりゃがゆっくりの集落を襲っていた。

「れみりゃだあああああああ!!!!!!」
「むぎゅううううううううう!!!!」
「にげてえええええええ!!!!」

逃げ惑うゆっくり達、そんないつもの光景がそこにあった。




甘すぎる彼女達の餡子は他の野生動物の口に合わず餌にはなり辛い。
しかしそれを好んで食べる物達もいる。
それはゆっくり自身、特に捕食種と呼ばれる連中だ。
ゆっくりにとって甘いものは好物であり、それを恒久的に食べられるのは他のゆっくりに力という点で勝る捕食種達なのだ。
彼女達が一応の同属であるゆっくりを食べるのも無理のないことであった。




さて、ある日のこと。

「う~♪」

今日もごはんであるゆっくり達を探し機嫌よく森を徘徊する一匹の胴無しれみりゃ。

「ゆっゆっゆ~♪」
「まりさ!きょうもごはんあつめがんばろうね!」

まりさとれいむの番らしき二匹のゆっくりがいた。
どうやら今日の獲物を見つけたようだ。

「うー!うー!」

いつものように茂みから突然現れて間彼女達を脅かす。
食べる前に脅かし恐怖を与えることでゆっくり達の餡子はその旨みを増す。
捕食種が捕獲に手間取ることを知りながらわざわざゆっくり達を脅かすのはそのためである。

「ゆ?れみりあだよ!」
「まりさ!きょうはごちそうだね!」

「う~?」

しかしこの二匹のゆっくりは驚くどころか目を輝かせて空中を飛ぶれみりゃに襲い掛かってきたのだ。

バサァ!

背中の羽を広げて!

「う゛ー!?」

れみりゃは突如襲い掛かられ驚き戸惑い反応が遅れる。
その間に二匹はれみりゃに噛み付いたのだ。

「うー゛!う゛ー!」

すでに起きている事態がれみりゃの肉饅脳の限界を超えているため理解できないが今の事態がまずいことだけは分かる。
しかし逃げようとしたれみりゃの翼に左右それぞれから二匹が噛み付きついにれみりゃは地面に叩き落された。

「ゆっへっへ!うまそうなにくまんなんだぜ!」
「さっそくむーしゃむーしゃするよ!」
「うああああああああ!!!」

そして二匹はれみりゃを貪り食った

「むーしゃむーしゃ、しあわせー!」
「うっめ!これめっちゃうめ!」
「う…あ…。」

瞬く間にれみりゃは二匹のゆっくり腹に収まった。
それは非日常的な光景だ。




この翼のある通常種のゆっくりがいったいどのような過程を経て生まれてきたのか定かではない。
しかしこの羽付ゆっくりが増えるにしたがって捕食種は捕らえる側から捕らえられる側となっていった。

「ゆっへっへ!のろまなれみりゃはさっさとたべられてね!」
「うああああああ!あがじゃあああああああん!」
「みゃみゃあああああ!!!」

こんな光景が森の各地で見受けられるようになり元捕食種のゆっくり達は日に日にその数を減らしていった。
しかし羽付ゆっくり達がれみりゃ達を食べて満足していたのはほんの短い時間だけだった。
肉饅であるれみりゃはゆっくり達の口には合わなかったのである。
必然的にゆっくり達のターゲットは彼女達の口の合う食べ物へとシフトする。

「ゆ!たたかいのときはきたよ!」
「「「「「「「「「「「ゆーーーーーーー!!!!!」」」」」」」」」」」

ここは羽付ゆっくり達ばかりの群れ。
彼女らは羽付が優れた種であることを自覚しており、そのことに慢心する者が非常に多かった。
そんな彼女らが集まったのがこの群れである。
その数は百を超えている。

「れいむたちはついにれみりゃたちをもこえ、どすすらもりょうがした!いまこそおいしいやさいをひとりじめするにんげんにせいぎのてっついをくだすときがきた!」
「「「「「「「「「「「ゆーーーーーーーー!!!!!!!」」」」」」」」」」」

言い方はご立派だがいつも通りの野菜目当ての人間の里襲撃である。

「いざゆかんにんげんのもとへ!えいえいゆー!」
「「「「「「「「「「「えいえいゆーーーーーーーーー!!!!!!!」」」」」」」」」」」




そうして羽付ゆっくり達は空を飛んで人間の畑へと到着した。

「ゆ!?にんげんさんがいるよ!」
「むきゅ、あれは『かかし』といってただのにんぎょうよ!だいじょうぶだわ!」
「あんなものでれいむをだませるとおもってるんだね!にんげんさんはつくづくばかだね!」

案山子はゆっくり用ではなく鳥用のトラップなのだがそんな事は知りもしないゆっくりたちはついに畑に降り立った。
そうして、

「ゆ!?」

ガチ!!

見事に対ゆっくり用のトラップであるトラバサミに引っかかった。

「ゆぐわあああああああ!!!!!いだいいいいいいいいい!!!!!」
「むぎゅうううううう!!!!」
「いやあああああ!!!!」

我先にと畑に飛び込んでいったゆっくり達は畑に仕掛けられたトラバサミに次々と引っかかる。
畑の中に仕掛けるには一見危なそうに見えるが、ここ最近羽を持つゆっくりの被害が激増しておりやむなく危険を顧みず設置したのだ。
その代わり人間にはそれほど危険でない構造になっている

「よし!今だ!ゆっくり共を捕らえろ!」

畑の脇から隠れていた人間達がまだ捕まっていないゆっくり達に網を放り投げる。
彼らは山から現れた羽付ゆっくりの集団を見つけ行き先を予測し事前に集まっていたのだ。
ゆっくりの飛ぶ速度など所詮はゆっくりが跳ねて走るより少し早い程度である。
ゆっくり同士であれば致命的なその差も相手が人間ともなれば無いに等しい。
後は空に逃がさないように気をつけながら捕らえればよいだけである。




猛威を振るうかに思われた羽付ゆっくり達は驚くほどあっさりと一網打尽となった。
翼というアドバンテージを慢心し、作戦一つ練らず襲撃したがゆえの結果である。

「やれやれ正面から堂々と盗みにくるとはな。これじゃあ羽が無いやつのほうが厄介だぜ。」
「さーてお仕置きの時間だな。」

そういうと次々とゆっくりたちの羽をもぎ取り始めた。

「ゆぎゃああああああああ!!!!まりざのはねさんがあああああああ!!!!」
「ありずのとがいでぎなはねがああああああああ!!!!!!」
「むぎゅうううううう!!!!もってかないでえええええええ!!!!」

すべての羽付ゆっくり達の羽をもぎ取ると次々に森に向かって放り投げる。

「おら!二度と来るんじゃねえぞ!最もその羽じゃ来れもしねえだろうがな。」
「むぎゅ!」
「ゆべ!」
「うぼ!」

羽付のゆっくりは翼という新しい武器を手に入れたため捕食種に勝る力を手に入れた。
だが同時に通常種のようには跳ねたりすることが苦手になっていた。

「はねがないとごはんとれないよおおおおおおおお!!!」
「ありずのはねがえじでええええええええ!!!!」

彼女達のゆん生はもはや閉ざされたも同然である。




この事件以外にもさまざまな原因で羽付のゆっくりは数を減らした。
羽付ゆっくりは非常に目立つためその子供は捕食種達の格好の獲物となってしまったのである。
さらに自分達が狩られることを覚えた捕食種達は集団で狩を行い始めたのだ。
こうなれば羽付ゆっくり達といえどもひとたまりもない。
もはや彼女らは見つけやすいだけの獲物に成り下がった。

「うっう~♪おいしそうなあまあまだどぉ~♪」
「やべでえええええええ!!!!!あんごずわないでえええええええ!!!!」
「はねはまずいからぽーい♪だどぉ~♪」
ブチブチィ!
「ゆぎゃあああああああ!!!!!!」

こうして羽付ゆっくり達の天下は早々に終わりを告げたのである。
そうして世界から羽付はいなくなりゆっくり達はあるべき姿へ戻ったのだ。
変わったのは人間の更に厳重になったゆっくり対策とさらに凶悪になった捕食種のみであった。




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by デストラクション小杉

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最終更新:2022年04月16日 23:28