ゆっくり剥製
※虐待成分は殆ど無しです。
男は幻想郷では珍しい剥製製作の技術を持っており、それで生計を立てていた。
男の仕事はまず材料であるゆっくりを見つける事から始まる。
ゆっくり達が起き出す頃合を見計らって森に分け入り、出会ったゆっくりをためつすがめつし、自分の作品に相応しいゆっくりであるか検分するのだ。
まずは輪郭。ゆっくりの特徴である下膨れの顔。その曲線のラインを見定め、時に曲線をなぞって感覚で確かめる。
基本的に体の無い生首饅頭であるゆっくりにとって下膨れの曲線の美しさこそがゆっくりの美醜を決める要因の一つになる。当然でっぷりと見苦しく太ったゆっくりなどもっての外である。
大抵のゆっくりは嫌がるが、「可愛い」とおだててやり、心ばかりの野菜くずを渡すと掌を返したように協力してくれる。つくづく単純なものだと男は時々思う。
次に髪。これは人間と同じで、傷んでなく、サラサラで色素の濃いものがいい。当然、クセっ毛はアウトだ。
最後に髪飾り。男にとってはゆっくりの髪飾りなどはどうでもいい物なのだが、依頼してくる客の殆どはゆっくりがもともと身に着けていたものでないと困る、と言う。
何がどう違うのか男にはサッパリだが、とにかくキズや汚れが少ないものを身に着けているゆっくりを選ぶ。
幸い、とある群れでメガネに叶った一匹のれいむ種を見つける事ができた。
ゆっくり達に話を聞いてみると、そのれいむは群れで1,2を争うほどの器量良しなのだとか。
ゆっくり達からも太鼓判を押されたため、男はそのれいむを「作品」にすることに決めた。
群れから連れ出す事をゆっくり達に説明すると、群れからもれいむ本人からも嫌がられた。
男にとってはそういう対応をされるのは想定内のことなので、適当に言いくるめておく。
「私もこのれいむの美しさの虜になってしまってね・・・。私の家でもっときれいにしてから必ず返すからそれまで待っていてくれないか?」
勿論賄賂代わりの野菜くずも忘れない。れいむにも特別に餡子(以前の作品を作った時に出た物)を食べさせ、納得させる。
そうして群れから材料であるれいむを連れ出し、家へと連れ帰る。
材料を確保した事でようやく本格的に男の仕事が始まる。
まずは、れいむに何でもいいから食べさせる。大抵の場合は以前の作品を作る時に出た餡子だ。
直接食べさせようものなら間違いなく汚く食い散らかし、口の周りに餡子がついて製作の際に要らない手間がかかってしまう。
その為、匙で餡子を掬ってれいむに食べさせてやる。
肝心のれいむはというと男が自分の美しさの虜になっていると完全に信じ込んでいるため、匙で食事を与えられる事が当然と思っている。つくづく調子のいい生き物だ。
食べ始めの頃は「うっめ!これめっちゃうっめ!!」だの「まじはんぱねぇ」だのテンプレ通りのセリフをほざきながら食べているが、次第に声に力が無くなり、眠るように意識を失う。
当然である。餡子の中には睡眠薬が混ぜてある。量にして人間でも軽く1日は眠り続ける程度。ゆっくりが飲もうものなら良くて仮死状態、悪くて永遠に眠る事になるだろう。
れいむが動かなくなった事を確認すると、男は別室の作業場へと移動する。
まず、ホルマリンに漬け込み、防腐処理を行う。他の動物や魚とは違い、ゆっくりは饅頭である。その皮は水分に弱く、長時間漬け込んでいると皮が崩れて台無しになってしまう。
逆に言えばホルマリンが皮に染み込むまでそれほどの時間がかからないということでもある。
閉じていたれいむの目を開き、だらしなく開いていた口をいつものふてぶてしい笑顔の形にしてホルマリンに漬け込む。
ボーダーラインは5分である。十分に成熟したゆっくりなら皮全体にホルマリンが染み込むまでにそれほどの時間で済む。
ホルマリンから引き揚げ、れいむの体が固まっている事を確認する。
そして、メスで底部に切れ込みを入れ、そこから体内の餡子を掻き出す。
仮死状態でも血肉とも取れる餡子が減っているのがわかるのか、時々「ゆ゛っ、ゆ゛っ」と小刻みに震える。
そして、完全に餡子を掻き出すと、空っぽになった皮の中に石綿を詰めていく。ここで気を抜くと折角ホルマリンで硬直した皮の形が崩れてしまう。男の顔が険しくなり手つきも慎重になる。
れいむの中身が石綿に置き換わったら、目をくり抜き、ガラスで出来た義眼を埋め込めば完成である。
「いやぁ、あなたの作る剥製は見事だ!いまにも生きて跳びはねそうだ!」
依頼主は完成したれいむの剥製を見てご満悦のようだ。
ちなみに依頼主の殆どは所謂ゆっくり愛で派と呼ばれる人種である。
「かわいいゆっくりをいつまでも可愛いままで飾っておきたい」という歪んだ、しかしある意味では共感できなくも無い理由である。
とにかく男はこれで生計を立てている。依頼主の事情には興味は無い。
ただ、自分の技術を用いて最高の作品を作る。ただそれだけである。
あとがき
多くの虐待SSに触発され、自分もそれっぽいものを書いてみました。
他の先達の皆様の様に直接的な虐待描写が浮かばないため、こんな形で間接的に虐待してみました。
ちなみに剥製製作については専門的な知識を持っていないため、多少無理があるところが多いと思います。
下手にツッコまずに、スルーしていただけたら幸いです。
最終更新:2022年05月18日 21:29