ゆっくりいじめ小ネタ317 エアバッグ

ゆっくりごろごろ〜♪」
「ごろごろ〜♪」
れいむとまりさが転がっていた。ごろごろと。勢いよく。


そこは群れのテリトリー内にある小さな坂だった。
柔らかい草が生えたその坂は、赤ちゃんから子供ぐらいまでのゆっくりにとってはちょうどいい遊び場であった。
また場所的にも優れていた。目と鼻の先にドスのおうちや群れの集会所があり、常に大人のゆっくりが子ども達の様子を
見ていられる事もあって、子供たちは自由にここへやってきていた。


「ありすはもっところがるわ!」
「ごろごろしていってね!!!」
子ども達はここでゴロゴロと坂を転がっていた。どうやら飽きるという事はないらしく、坂を下っては上り
下っては上りを繰り返していた。



「ゆっくりしていってね!!!」
また声が聞こえた。れいむの声だった。
「「ゆっくりしていってね!!!」」
既に坂で遊んでいたまりさとありすがその声に答えた。


「ゆ? れいむははじめてみるゆっくりだね!」
「そうね! はじめましてね!」
「ゆゆー! れいむははじめてここにきたんだよ! れいむもゆっくりころがるよ!」
どうやられいむは初めてこの坂に遊びに来たようだ。よく見ると他の二匹より少し小さい。おそらく最近初めて外に出た子供なのだろう。
そうとうワクワクしているようで、ゆっくりらしからぬサイドステップを刻んでいる。


「まずはあのてっぺんまでゆっくりのぶるんだよ!」
「そしたらころがるのよ!」
「ゆっくりりかいしたよ!」
二匹の助言を聞いたれいむはせっせと坂を登り始めた。
「ゆっ! ゆっ! ゆっ!」
れいむは汗を流しながら一生懸命登っていた。
「がんばってねれいむ!」
「とかいはにのぼるのよ!」
坂を登るという行為もゆっくりの子供には中々疲れる遊びのようだ。二匹はれいむを下から応援していた。
れいむはなんとか坂の上まで上りきると、大きくため息をつきながら
「ゆっくりー♪ おそらをとんでるみたいー♪」
と、いつもより目線を楽しんでいた。



「れいむ! そっからころがるんだよ!」
「ゆ?」
言われてれいむはやっとここに登った理由を思い出した。
まりさの声がする方を見る。するとそこは今までいたところより遥かに高いところであった。
「ゆ、ゆゆゆゆ・・・・」
れいむは急に怖くなった。こんな高いところから転がったら怪我をしてしまうのではないかと。
実際には下には沢山の草が生えており、それが衝撃を緩和しているため問題ないのだが、それを分かれというのは
この幼き饅頭にはあまりに酷な話だった。
「ゆゆ・・・ゆわあああああああああんんんん!!!!! れいむこわいよおおおおおおおおおおおおお!!!」

れいむはついに泣きだしてしまった。ワンワンと目から砂糖水をまき散らす。
「ゆわああああああああああああああああんんん!!! れいむもうおうぢがえ゛る゛う゛う゛う゛う゛!!!!」
おうちに帰るには坂を下りなければならないことに気づいてないらしい。
更に言えば上った時と同じように普通に坂を下れば帰れることにも気付いてないようだ。


「ゆぐううう・・・おちついてねれいむ!」
「そうよ! とかいはならぶそんぐをうたってあげるから! ゆっくり〜のひ〜♪」
ひとまずれいむを落ち着かせようとする二匹。
ありすがおうたを歌ってあげている間に、まりさはなんとかしようと餡子をフル回転させた。


そこから導き出された結論は
「ゆゆ! れいむ! まりさがれいむをうけとめるからゆっくりころがってね!」
エアバックならぬAIRまりさだった。もう・・・ゴールしていいよね?


「ゆ! ほんと? れいむがんばるよ!」
思いがけない提案にれいむは勇気が湧いたようだ。
ピョンピョンと飛んで気合いを入れている。
「がんばってねれいむ! まりさもがんばってね!」
ありすは近くで応援することにした。


「ゆぅーーーーーーーーーーーーーーーー!」
大きく息を吸い込む、「ぷくうううう!!!」と膨らんだまりさ。
いつもの1.2倍の大きさに膨れ上がったまりさはそのまま口を閉じて、れいむの真下へ移動した。
目には何がなんでもれいむを受けとめようとする覚悟があった。まるで戦場へ向かう兵士のそれだ。
「れいむ! いいわよ! ゆっくりどんときてね!」
ありすが準備完了である事を告げると、れいむは大きく頷いた。
ここに来て言葉は無用の産物である。
思い浮かべるのは下に無事降り立った時の栄光。そして両親の元へ無事へ帰り着こうという思い。
あの暖かなすりすりをもう一度味わう為に、れいむは今向かう! 坂の下へ。


「ゆっっっっっっくりいいいいいいいいいいいい!!!!」
全身のバネを使い軽やかに飛ぶれいむ。そしてそのまま勢いよく坂を転がった。
「やっばじゆっぐじでぎないいいいいいいいいいいいい!!!!」
最初に勢いを付け過ぎた為か、通常の三倍のスピードで坂を駆けるれいむ。
小石などの危険物はないために、体こそ傷つきはしないが、グルングルンと回る視界を
初めて体験するれいむは、その異常さに餡子の処理が追いつかなかった。
「ゆべべええええええ!!! どめでえええええええええ!!!!」
廻れ廻れ廻れ廻れ廻れマワレェ!!!! そんな感じである。


一方まりさ。まりさもまりさで、このスピードは正直予想外であった。
(どうじでぞんなにゆっぐりじでないのおおおおおおおおお!!!!)
と喉元まで湧きあがっていたが、なんと叫ぶのを堪えた。
ここで自分がれいむを受け止めなければれいむは大変なことになってしまう。
震える体を叱咤し、まっすぐに目の前の物体を睨みつける。


ゆっくりから見れば落石に等しいそれが目と鼻の先に来ても、まりさは動かなかった。
(ゆっくりうけとめるよぉおおおおおおおおおおおおお!!!)
まりさの皮がれいむの髪と触れた。






そしてまりさは吹っ飛ばされた。
「ゆぐぶううううううううううううううううう!!!」
割れた風船のように空気を口から吐き出しながら、後ろへ飛んでいくまりさ。
右目はべコリと凹み、左目は潰れ、歯も何本か折れながら、空を飛ぶまりさ。
そのままの勢いで数m先にあった木へ背中をぶつける。
そのまま倒れ掛るようにして落ちたまりさの顔は既にまりさの顔でなかった。
目は潰れ歯は欠け、皮も破けて餡子が滲みでていた。


「ば、ばりざあああああああああああああああ!!!!! どうじでえええええええええええええ!!!!」
それを見ていたありすは半狂乱のまま、まりさの元へ駆け寄った。
「ばり、ばりざ?ばりざあdふぁふぁsfばりざあああああああああああああ!!!!」
まともに喋れないほど混乱しているありす。
まりさの方はと言うと、息も途切れ途切れに
「ゆぅ・・・・ぅ・・・・れ・・・れ・・・・」
そう呟いていた。



むくりと草むらから起き上がった影があった。れいむである。
「ゆゆー! すっごくたのしかったよ! でもつぎはもっとゆっくりころがるよ!」
元気ハツラツ! 実に気持ちのいい笑顔でそういった。笑顔が眩しいとはまさにこの事である。
「ゆゆー! でもきょうはつかれたからおうちにかえるね! ありがとうまりさとありす! あしたもゆっくりしようね!」

そういって木の下へ向かったれいむ。そこで見た物は・・・



「ばりざああああああああああ!!! どうじでええええええええええええええ!!!!!」




後日、その坂は立ち入り禁止になったそうだ。
ついでにあのまりさは命だけは助かった。しかし潰れた凹んだ目と歯は治らず
家の片隅でじっとしているだけの生活を続けていた。外に出れば皆が自分を見てゴソゴソと何かを言ってくることに耐えられなかった。
ありすはそんなまりさの話し相手として毎日家に通い詰めていた。
れいむはというと、あの事件以来、家族そろって村八分の扱いを受けていた。
そのうち群れを抜け出してどこかへ行ってしまった。風の噂によれば人間の畑に入って人間に捕まったとか。




【あとがき】
ウルトラマンタロウに転がる怪獣が居たような気がする
確か臼みたいなやつ

by バスケの人

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最終更新:2009年01月23日 10:46
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